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鬼界編
エピローグ 数十年後のとある夏の夜
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リー、リー、ジジジ。
虫の音響く、本家の縁側。時折吹く風を感じながら、夜空を見上げ、もらったアイスをくわえて、ゴロリと寝転がっていると、幼い子どもの顔がのぞいた。
「そうたおじさん、そのアイス、どうしたの?」
「瑠里にもらったけど?」
「えぇ!? かあさん、ぼくにはオヤツなんてないっていってたのにっ!」
子どもは、俺が子どもの頃に見た柊士と同じ顔で、不満の声をあげた。それとともに、タタタッと誰かが走る音が直に廊下の床から響いてくる。
「いけません、綾仁様! 奏太様にそのような仰り方をしては!」
柾によく似た声だけど、言い方や物腰は比較にならないくらいに柔らかい。
「良いよ。綾仁からしたら、むしろ、じいちゃんだろ」
身体をむくっと起こすと、もはや仔犬とは言えない、立派な灰色の成犬になった朔がいた。
「……なんで、その姿なの?」
「瑠里様に、綾仁様の相手をして欲しいと言われまして……」
「晦は?」
「別の御役目に……」
「はは、子守を押しつけられたってわけか」
今、綾仁の母親は、当主仕事の引き継ぎの真っ最中だ。柊士がそうであったように、多忙に多忙を極めている状態である。妖界、鬼界との取引もあるせいで、あの頃よりも、覚えるべきことは多いかもしれない。
「柊ちゃん、仕事がなくなって、一気にボケなきゃ良いけどね」
「……余計な御世話だ、馬鹿」
不意に、廊下の角から疲れ切った顔の柊士が現れた。老年期の伯父さんそっくりで、時々、自分の生きてる時代を錯覚するほどだ。
「さあさ、綾仁様、お邪魔になりますから、あちらへ参りましょう」
ひらりと黄色の蝶の姿でやってきた栞が、未だに俺のアイスに目を奪われたままの綾仁の周囲を舞う。
「えー、おじさんのはなし、ききたかったのに」
「また明日、伺いましょう。まだ、しばらくいらっしゃるでしょうから」
栞の視線に、俺は苦笑しつつ頷いて見せた。栞も、ゆっくり汐と話をしたいだろう。
綾仁が朔に背を押されて行くのを眺めながら、柊士は俺の横に腰かけた。
あれから、いろいろ大変な中だったけど、柊士は付き合いのあった大社の娘とお見合い結婚をした。日向の血筋を残さないといけないのに、結婚のケの字も見せない柊士に伯父さんが痺れを切らした結果だ。
気難しい性格な上に、特殊な家系、特殊な仕事。ついでに美人で絶大な権力を持つ従妹の影がチラチラ見える状況で、それらすべてを受け止め包み込める、気立てが良く大らかな女性だった。それを見て、たぶん、里と日向に関係する全ての者がホッとしたと思う。
……あ、栞を除いて。
栞は、一時期、すごく荒れたらしい。前々からそうだったけど、更に柊士にべったりになり、本家に帰ってきた汐を捕まえては怒涛の愚痴攻撃を浴びせるほどに。
けど、柊士の奥さんは本当にできた人で、それを長い目で見守り、少しずつ声をかけながら近寄ってはちょっとずつ心を開かせ、ついに打ち解けるまでになってしまった。
栞は今まで通りに柊士の手伝いをしながら、生き生きと、柊士の孫達の世話を焼いているらしい。
ちなみに、里の妖も結婚をして子孫を残していくけれど、淕も栞も柊士と柊士の子ども、孫にかかりきりで、今のところ、異性の影はないらしい。
柊士の子どもは二人いて、長子の瑠里が当主を継ぐことになった。二人とも陽の気の使い手だ。さっき俺の顔をのぞき込んだ瑠里の子、綾仁にも、その兆候が見られると聞いた。
「お前、護衛はどうした?」
柊士はサッと周囲を見回す。同じように周囲をみれば、離れたところに淕がいて、小さく会釈をされた。俺の方は、護衛役も案内役も、近くに居ない。
「久々だし、里に帰らせたよ。俺は本家から出るつもりないし、ある程度自己防衛もできるから」
「正式に東宮になるのを了承したって聞いたぞ。妖界からも護衛をつけられるんじゃないのか?」
「人界なら目を瞑るって了承してもらったよ。妖界鬼界は護衛必須だってさ。人界のほうも、万が一ケガでもして帰ってきたら無理やり同行させるって璃耀さんに脅されたけど」
柊士が老いるのと同様に、ハクも年をとっていく。妖と同じ寿命ではなく、人と同じ寿命。
けれど、五百年の寿命を持つ妖界の者達からすれば、政変からたかが数十年だ。
ハクがいなくなった後の世で、当時帝を僭称していた柴川の者が再び頂点に立つことに反発する意見が多かったらしい。当の翠雨も反対派だったと聞いている。
帝位を正当な血筋の者で埋めておきたい。かと言って、転換の儀は金輪際行わないし、行わせるつもりもない、というのが人界、妖界、双方の結論。そこで白羽の矢が立ったのが俺だった。
ハクの次の帝、とは言っても、政治は全部四貴族家に任せることになっている。俺はただ、帝の椅子に座ってるだけのお飾りで良いらしい。妖世界の治世に口出しして良い立場でもないので、名前だけの象徴ってやつだ。
一応、今まで通りに妖界の見回りをして、結界に穴があれば塞ぐし、妖界の結界石に陽の気の不足があれば補充はする。けど、やるのはそれだけ。人界や鬼界の方も見ないといけないので、最小限かつ秩序の神の義務の範囲だけを担うということで結論づいた。
しかも、妖界の結界石への陽の気の補充も、今は日向の誰かが人界の太陽の光で満たされた日石を妖界に運ぶだけになっている。それで問題なく回っているのだ。俺が余計な手出しをする必要もない。
「妖界に留まるんじゃないのか?」
「里帰りくらいさせてよ。それに、鬼界の様子だって見に行かなきゃならないし」
深淵をある程度祓ったことで、鬼界の者達が憂いなく暮らしていけるくらいには土地に陽の気が満ちてきた。でも、まだ完全じゃないし、どういうわけか深淵も完璧には消えてくれない。もう少し手を入れてやらないとならない状態だ。
「あいつは、お前に居場所を作ってやりたいって言ってたぞ」
「居場所?」
「人界は時の流れが早い。ちょっとずつ、お前の足が人界から遠のいてるのは、そのせいだろ」
……柊士の言う通りだ。自分だけが、あの頃に取り残されたまま、周囲の時間はどんどん進んでいく。置いていかれるのに耐えられなくて、ゆっくり時間の進む場所に身を置くのが楽になってしまった。
御先祖様が鬼界で生活していた塔のような場所は、俺の眷属しかいなくて、そこだけは時間が止まったようで、心が楽になる。でも、時々無性に怖くなった。気づいたら、塔の外にある大事なもの、全てを失っていそうで。
久々に人界に戻ってきて、本家で無駄にゴロゴロしてたのも、その恐怖から解放されたかったからだ。柊士がいて、あの頃に出会った妖達がいることを、確認したかった。
でもきっと、それもそのうち……
そう思っていると、ハアと息を吐く声がすぐ横から聞こえてきた。
「……鬼界に引きこもって、閉ざされた場所で孤独に生きてほしくない。だから今のうちに、寂しくなった時にいつでも帰れる居場所を作っておくんだって、あいつはそう言ってた」
「……ハクが?」
まさか、ハクがそんな風に思っていてくれてたとは思わなかった。そういえば、この前妖界に行った時に、幻妖宮も、温泉地も、鴉天狗の山も、それ以外も、あちこち連れ回されて顔を売らされた。念入りに、何度も。これから奏太をよろしく頼むね、と。
……ただ、妖界の為を思って言い出したことじゃなかったんだ。
ハクの気持ちに、胸の奥がなんだかじんわりと温かくなる。
そんなことを思い出していると、柊士が、以前と変わらない瞳で、俺のことをじっと見つめた。
「ここも同じだ、奏太。ちょこちょこ帰ってこい。たとえ、俺がいなくなっても、だ」
「…………柊ちゃんが居なくなるのは、あんまり考えたくないな……」
ポツリと、本音が溢れる。
いつかは、そんな日が来る。きっと、それほど遠くない未来の話だ。それを想像しただけで不安感でいっぱいになる。
この場所が自分の居場所じゃなくなり、人として生きてた俺をつなぎとめるものがなくなるような、不安感。
しかし、柊士はそれを見透かしたように、ポンと俺の頭に皺のある手を乗せ、あの頃のように、髪をグチャッと乱暴に撫でた。
「忘れるな。誰が何と言おうと、ここはお前の故郷だ。必ず、お前を知っている者が、お前の帰りを待っていられるようにする。だから、自分からここを切り離すな。たとえ、どれ程の時間が経ったとしても、変わらずここは、お前の居場所であり続ける。そうなるように、ちゃんと、繋いでいくつもりだ。だから、いつでも、安心して帰ってこい」
柊士の目は真剣そのもので、あの頃と同じように、俺を心配するものだ。
「…………うん」
その言葉が、柊士の気持ちが、嬉しくて、嬉しくて、胸がギュウと握られるように痛くて、喉の奥が熱くなる。
奥歯を噛んで俯くと、握った拳の上に、ポタリと一粒の涙が落ちた。
「奏太様!」
不意に、その感動をぶち破るような高い声が周囲に響いた。
「奏太様、結界の綻びが見つかったようです!」
汐の声とともに、翼をバサリと羽ばたく音が聞こえる。更に、フッと俺の上に影が落ちた。見慣れた顔が下から俺の顔を覗き込む。
「まさか、泣いていたのですか、奏太様」
その無遠慮な態度と表情は、決して心配しているものではない。確実に。
「柊士様にあやされておいでで? 溶けたアイスで手もベトベトにして、秩序の神がまるで子ども……」
アイスの棒を捨ててベトベトの手でバシッと顔面を軽く叩くと、亘はブッと無様な声を上げてよろめいた。不満気な目がこちらを向く。
「心配して差し上げたというのに、この仕打ちはいかがなものでしょうね」
「心配じゃないと確信を持ったから、この仕打ちだってわからないのか?」
ジロっと睨むと、俺と亘の間に、巽がパッと現れた。
「まあまあ、御役目の前ですし、そういうのはあとにしましょう」
「巽の言う通りです。少し穴が大きいようなので、人が迷い込んだりする前に、急いだ方が良さそうです」
椿も、ふわりと地面に降り立ちながら言った。
「今回はどっち?」
「妖界との綻びです」
「珍しいね。わかった。ハクがあっちで動くには時間がかかるから、こっちからさっさと閉じちゃおう。俺がいくけど良いよね、柊ちゃん」
そう言いつつ振り返ると、柊士はチラッと廊下の端に目を向ける。離れて控えていた淕が、それにコクと頷いた。
「奏太、今回は悠真を連れて行け」
「悠真を?」
悠真は、綾仁の三人いるうちの一番上の兄。中学生か高校生か、それくらいの年頃だったはずだ。
「妖界との綻びなら、最初の役目にはちょうど良いだろ。淕もつける」
「……なんか、俺の時とは、随分な違いだね」
柊士に、全部汐に聞けと丸投げされた過去が蘇る。
「……あの時は悪かったよ」
柊士は、気まずそうに視線を逸らした。反省してるなら、まあいいけど。
庭に降りて、悠真の準備が整うのを待っていると、一人の少年がやってきた。柊士が伯父さんそっくりなら、こっちは柊士の若い頃そっくりだ。
「これはまた、可愛げのない顔に育ちましたね」
亘がぼそっと言うのを、肘で突いて黙らせる。
悠真の側には、見覚えのある顔があった。
「浅沙が筆頭護衛役?」
「はい。よろしくお願いいたします。奏太様」
一時期、俺の護衛役をしてくれていた馴染みのある顔だ。亘と違って真面目だし、安心感がある。淕もいるし、悠真のことは任せておいて大丈夫だろう。
「準備はいいか、悠真」
「うん、大丈夫」
そう言いながらも、悠真は緊張を隠せない表情だ。
「大丈夫だよ。難しいことはないし、今回は妖界との間の綻びだから」
「奏太様が妖に脅かされて泣き叫びながら逃げようとしたのは二回目の御役目の時でしたかね」
「泣いてないし、今、その情報要らないだろ!」
せっかく後輩に良いところを見せようとしてたのに、亘のせいで台無しだ。
「……あ、あの……綻びで、何が出たの……?」
……ほら、悠真も怖がってるし。
しかし、亘はそれを見て楽しそうにニヤッと笑う。
「向った先は、今回と同じ廃病院。その手術室に、二本の角と鋭い牙を持つ、人の背を超えるほどの巨大な蜘蛛が……」
「脅すな、馬鹿!」
何故、こいつは、何時もこうなのだろう。こういうところだけは、本当に、会ったときから変わらない。
すると、浅沙が亘と悠真の間に入り、悠真に視線を合わせるようにして穏やかな声をだした。
「大丈夫ですよ、悠真様。何があろうと、我らが必ずお護りいたします」
悠真はじっと浅沙の顔を見たあと、それに、ゆっくりと頷いた。
俺は、懐かしい思いでそれを眺める。
浅沙が言う通り、護衛役は何があっても守り手を護ってくれる。自分の命が危険にさらされようと、必ず、守り手を第一に。それだけは、経験上確かだ。
……まあ、浅沙の主への態度は亘のものとは大違いだけど。
俺は亘と浅沙を見比べて、ハアとこれ見よがしに息を吐いた。
「なんです? いくら何でも失礼過ぎませんか?」
「俺の最初の役目の時に、自分がどうだったか思い出してから言ってもらえないかな」
眉根を寄せた亘に、わざとらしく笑ってみせる。
しかし、それを遮るように、蝶のままの汐が俺と亘の間に飛び込んできた。
「奏太様、亘の相手などしていては、いつまで経っても出発できませんよ!」
汐は苛立たし気な声をあげつつ、急かすように、ひらりひらりと俺の周囲を舞う。
「……わかったよ」
汐も、あの頃から、全く変わっていない。
「じゃあ、柊ちゃん、行ってくるよ!」
「ああ、気をつけろよ」
柊士の声を背に、俺は亘の背に乗り、何時ものように、バサリという羽音と共に、星の瞬く夜の空に舞い上がった。
俺のやることもまた、あの頃から変わっていない。この仲間達とともに、これから先、どれ程時代が移り変わっても、きっと、ずっと、そうなのだろう。
……―― ああ、ちなみに、悠真の最初の御役目は、あんまりすんなりとは行かなかった。けど、それはまた別のお話、だ。
―――― 鬼界篇 完
(あとがき)
これにて、妖界編、人界編、鬼界編、と続いた結界守護者は完結です。
ここまで読んでくださった皆さま、本当に、本当に、ありがとうございました。読者様がいたおかげで、ここまでたどり着けました。改めて、感謝申し上げます!
さて、三世界を舞台にしたものを書けたら、というのが目標だったので、ひとまず、目標達成。
物語を通して、少しでも、ドキドキ、ワクワクを感じていただけていたら、幸いです。
奏太の成長
チームとしての成長
護衛役、案内役との絆
従兄姉との絆
周辺キャラ達の成長
一話から改めて読み返すと、皆、結構成長していました。
特に亘と奏太の関係は、大きく変わりました。
妖界編では、奏太の護衛役でありながらも、結>奏太、だったのが、鬼界編最後には、永遠に奏太の未来を守る護衛役である事を誓う程に。
汐は、どんどん人間味(妖ですが)が増していったというか……鬼界編ともなると、椿というライバルができたせいか、淡い想いどころか、ちょっと奏太様への気持ちが露骨になりつつあります。。。
……やっぱり栞の姉妹なんだなぁ……(遠い目
そして、柊士。
本質的には子どもの頃からそうだったのでしょうが、いろいろあって拗れ、道を逸れてしまっていた従妹弟思いの長男は、きちんと頼れる当主になりました。
兎にも角にも!
奏太達の長い長い旅にお付き合いいただき、ありがとうございました。
また、一言だけでも、さらっと、
「このキャラが好きだった」
「このエピソードが好きだった」
「このキャラのこういう話が読みたい」
「このときの、このキャラ視点の話が読みたい」
「これってどうなったの?」
みたいなコメントをいただけましたら、次作やSSの参考にさせていただくので、どんな些細なことでも良いので、お気軽にお寄せいただけましたら幸いです。
最後に。
この物語から三百年後。秩序の神となった奏太と、それに寄り添う亘達の物語も公開中です。
『蜻蛉商会のヒトガミ様 』
https://www.alphapolis.co.jp/novel/174241108/158016858
こちらも、お時間の許す時に、覗いてみてください。
では。
読んでくださった皆さまに、心から、最大級の感謝をっ!
虫の音響く、本家の縁側。時折吹く風を感じながら、夜空を見上げ、もらったアイスをくわえて、ゴロリと寝転がっていると、幼い子どもの顔がのぞいた。
「そうたおじさん、そのアイス、どうしたの?」
「瑠里にもらったけど?」
「えぇ!? かあさん、ぼくにはオヤツなんてないっていってたのにっ!」
子どもは、俺が子どもの頃に見た柊士と同じ顔で、不満の声をあげた。それとともに、タタタッと誰かが走る音が直に廊下の床から響いてくる。
「いけません、綾仁様! 奏太様にそのような仰り方をしては!」
柾によく似た声だけど、言い方や物腰は比較にならないくらいに柔らかい。
「良いよ。綾仁からしたら、むしろ、じいちゃんだろ」
身体をむくっと起こすと、もはや仔犬とは言えない、立派な灰色の成犬になった朔がいた。
「……なんで、その姿なの?」
「瑠里様に、綾仁様の相手をして欲しいと言われまして……」
「晦は?」
「別の御役目に……」
「はは、子守を押しつけられたってわけか」
今、綾仁の母親は、当主仕事の引き継ぎの真っ最中だ。柊士がそうであったように、多忙に多忙を極めている状態である。妖界、鬼界との取引もあるせいで、あの頃よりも、覚えるべきことは多いかもしれない。
「柊ちゃん、仕事がなくなって、一気にボケなきゃ良いけどね」
「……余計な御世話だ、馬鹿」
不意に、廊下の角から疲れ切った顔の柊士が現れた。老年期の伯父さんそっくりで、時々、自分の生きてる時代を錯覚するほどだ。
「さあさ、綾仁様、お邪魔になりますから、あちらへ参りましょう」
ひらりと黄色の蝶の姿でやってきた栞が、未だに俺のアイスに目を奪われたままの綾仁の周囲を舞う。
「えー、おじさんのはなし、ききたかったのに」
「また明日、伺いましょう。まだ、しばらくいらっしゃるでしょうから」
栞の視線に、俺は苦笑しつつ頷いて見せた。栞も、ゆっくり汐と話をしたいだろう。
綾仁が朔に背を押されて行くのを眺めながら、柊士は俺の横に腰かけた。
あれから、いろいろ大変な中だったけど、柊士は付き合いのあった大社の娘とお見合い結婚をした。日向の血筋を残さないといけないのに、結婚のケの字も見せない柊士に伯父さんが痺れを切らした結果だ。
気難しい性格な上に、特殊な家系、特殊な仕事。ついでに美人で絶大な権力を持つ従妹の影がチラチラ見える状況で、それらすべてを受け止め包み込める、気立てが良く大らかな女性だった。それを見て、たぶん、里と日向に関係する全ての者がホッとしたと思う。
……あ、栞を除いて。
栞は、一時期、すごく荒れたらしい。前々からそうだったけど、更に柊士にべったりになり、本家に帰ってきた汐を捕まえては怒涛の愚痴攻撃を浴びせるほどに。
けど、柊士の奥さんは本当にできた人で、それを長い目で見守り、少しずつ声をかけながら近寄ってはちょっとずつ心を開かせ、ついに打ち解けるまでになってしまった。
栞は今まで通りに柊士の手伝いをしながら、生き生きと、柊士の孫達の世話を焼いているらしい。
ちなみに、里の妖も結婚をして子孫を残していくけれど、淕も栞も柊士と柊士の子ども、孫にかかりきりで、今のところ、異性の影はないらしい。
柊士の子どもは二人いて、長子の瑠里が当主を継ぐことになった。二人とも陽の気の使い手だ。さっき俺の顔をのぞき込んだ瑠里の子、綾仁にも、その兆候が見られると聞いた。
「お前、護衛はどうした?」
柊士はサッと周囲を見回す。同じように周囲をみれば、離れたところに淕がいて、小さく会釈をされた。俺の方は、護衛役も案内役も、近くに居ない。
「久々だし、里に帰らせたよ。俺は本家から出るつもりないし、ある程度自己防衛もできるから」
「正式に東宮になるのを了承したって聞いたぞ。妖界からも護衛をつけられるんじゃないのか?」
「人界なら目を瞑るって了承してもらったよ。妖界鬼界は護衛必須だってさ。人界のほうも、万が一ケガでもして帰ってきたら無理やり同行させるって璃耀さんに脅されたけど」
柊士が老いるのと同様に、ハクも年をとっていく。妖と同じ寿命ではなく、人と同じ寿命。
けれど、五百年の寿命を持つ妖界の者達からすれば、政変からたかが数十年だ。
ハクがいなくなった後の世で、当時帝を僭称していた柴川の者が再び頂点に立つことに反発する意見が多かったらしい。当の翠雨も反対派だったと聞いている。
帝位を正当な血筋の者で埋めておきたい。かと言って、転換の儀は金輪際行わないし、行わせるつもりもない、というのが人界、妖界、双方の結論。そこで白羽の矢が立ったのが俺だった。
ハクの次の帝、とは言っても、政治は全部四貴族家に任せることになっている。俺はただ、帝の椅子に座ってるだけのお飾りで良いらしい。妖世界の治世に口出しして良い立場でもないので、名前だけの象徴ってやつだ。
一応、今まで通りに妖界の見回りをして、結界に穴があれば塞ぐし、妖界の結界石に陽の気の不足があれば補充はする。けど、やるのはそれだけ。人界や鬼界の方も見ないといけないので、最小限かつ秩序の神の義務の範囲だけを担うということで結論づいた。
しかも、妖界の結界石への陽の気の補充も、今は日向の誰かが人界の太陽の光で満たされた日石を妖界に運ぶだけになっている。それで問題なく回っているのだ。俺が余計な手出しをする必要もない。
「妖界に留まるんじゃないのか?」
「里帰りくらいさせてよ。それに、鬼界の様子だって見に行かなきゃならないし」
深淵をある程度祓ったことで、鬼界の者達が憂いなく暮らしていけるくらいには土地に陽の気が満ちてきた。でも、まだ完全じゃないし、どういうわけか深淵も完璧には消えてくれない。もう少し手を入れてやらないとならない状態だ。
「あいつは、お前に居場所を作ってやりたいって言ってたぞ」
「居場所?」
「人界は時の流れが早い。ちょっとずつ、お前の足が人界から遠のいてるのは、そのせいだろ」
……柊士の言う通りだ。自分だけが、あの頃に取り残されたまま、周囲の時間はどんどん進んでいく。置いていかれるのに耐えられなくて、ゆっくり時間の進む場所に身を置くのが楽になってしまった。
御先祖様が鬼界で生活していた塔のような場所は、俺の眷属しかいなくて、そこだけは時間が止まったようで、心が楽になる。でも、時々無性に怖くなった。気づいたら、塔の外にある大事なもの、全てを失っていそうで。
久々に人界に戻ってきて、本家で無駄にゴロゴロしてたのも、その恐怖から解放されたかったからだ。柊士がいて、あの頃に出会った妖達がいることを、確認したかった。
でもきっと、それもそのうち……
そう思っていると、ハアと息を吐く声がすぐ横から聞こえてきた。
「……鬼界に引きこもって、閉ざされた場所で孤独に生きてほしくない。だから今のうちに、寂しくなった時にいつでも帰れる居場所を作っておくんだって、あいつはそう言ってた」
「……ハクが?」
まさか、ハクがそんな風に思っていてくれてたとは思わなかった。そういえば、この前妖界に行った時に、幻妖宮も、温泉地も、鴉天狗の山も、それ以外も、あちこち連れ回されて顔を売らされた。念入りに、何度も。これから奏太をよろしく頼むね、と。
……ただ、妖界の為を思って言い出したことじゃなかったんだ。
ハクの気持ちに、胸の奥がなんだかじんわりと温かくなる。
そんなことを思い出していると、柊士が、以前と変わらない瞳で、俺のことをじっと見つめた。
「ここも同じだ、奏太。ちょこちょこ帰ってこい。たとえ、俺がいなくなっても、だ」
「…………柊ちゃんが居なくなるのは、あんまり考えたくないな……」
ポツリと、本音が溢れる。
いつかは、そんな日が来る。きっと、それほど遠くない未来の話だ。それを想像しただけで不安感でいっぱいになる。
この場所が自分の居場所じゃなくなり、人として生きてた俺をつなぎとめるものがなくなるような、不安感。
しかし、柊士はそれを見透かしたように、ポンと俺の頭に皺のある手を乗せ、あの頃のように、髪をグチャッと乱暴に撫でた。
「忘れるな。誰が何と言おうと、ここはお前の故郷だ。必ず、お前を知っている者が、お前の帰りを待っていられるようにする。だから、自分からここを切り離すな。たとえ、どれ程の時間が経ったとしても、変わらずここは、お前の居場所であり続ける。そうなるように、ちゃんと、繋いでいくつもりだ。だから、いつでも、安心して帰ってこい」
柊士の目は真剣そのもので、あの頃と同じように、俺を心配するものだ。
「…………うん」
その言葉が、柊士の気持ちが、嬉しくて、嬉しくて、胸がギュウと握られるように痛くて、喉の奥が熱くなる。
奥歯を噛んで俯くと、握った拳の上に、ポタリと一粒の涙が落ちた。
「奏太様!」
不意に、その感動をぶち破るような高い声が周囲に響いた。
「奏太様、結界の綻びが見つかったようです!」
汐の声とともに、翼をバサリと羽ばたく音が聞こえる。更に、フッと俺の上に影が落ちた。見慣れた顔が下から俺の顔を覗き込む。
「まさか、泣いていたのですか、奏太様」
その無遠慮な態度と表情は、決して心配しているものではない。確実に。
「柊士様にあやされておいでで? 溶けたアイスで手もベトベトにして、秩序の神がまるで子ども……」
アイスの棒を捨ててベトベトの手でバシッと顔面を軽く叩くと、亘はブッと無様な声を上げてよろめいた。不満気な目がこちらを向く。
「心配して差し上げたというのに、この仕打ちはいかがなものでしょうね」
「心配じゃないと確信を持ったから、この仕打ちだってわからないのか?」
ジロっと睨むと、俺と亘の間に、巽がパッと現れた。
「まあまあ、御役目の前ですし、そういうのはあとにしましょう」
「巽の言う通りです。少し穴が大きいようなので、人が迷い込んだりする前に、急いだ方が良さそうです」
椿も、ふわりと地面に降り立ちながら言った。
「今回はどっち?」
「妖界との綻びです」
「珍しいね。わかった。ハクがあっちで動くには時間がかかるから、こっちからさっさと閉じちゃおう。俺がいくけど良いよね、柊ちゃん」
そう言いつつ振り返ると、柊士はチラッと廊下の端に目を向ける。離れて控えていた淕が、それにコクと頷いた。
「奏太、今回は悠真を連れて行け」
「悠真を?」
悠真は、綾仁の三人いるうちの一番上の兄。中学生か高校生か、それくらいの年頃だったはずだ。
「妖界との綻びなら、最初の役目にはちょうど良いだろ。淕もつける」
「……なんか、俺の時とは、随分な違いだね」
柊士に、全部汐に聞けと丸投げされた過去が蘇る。
「……あの時は悪かったよ」
柊士は、気まずそうに視線を逸らした。反省してるなら、まあいいけど。
庭に降りて、悠真の準備が整うのを待っていると、一人の少年がやってきた。柊士が伯父さんそっくりなら、こっちは柊士の若い頃そっくりだ。
「これはまた、可愛げのない顔に育ちましたね」
亘がぼそっと言うのを、肘で突いて黙らせる。
悠真の側には、見覚えのある顔があった。
「浅沙が筆頭護衛役?」
「はい。よろしくお願いいたします。奏太様」
一時期、俺の護衛役をしてくれていた馴染みのある顔だ。亘と違って真面目だし、安心感がある。淕もいるし、悠真のことは任せておいて大丈夫だろう。
「準備はいいか、悠真」
「うん、大丈夫」
そう言いながらも、悠真は緊張を隠せない表情だ。
「大丈夫だよ。難しいことはないし、今回は妖界との間の綻びだから」
「奏太様が妖に脅かされて泣き叫びながら逃げようとしたのは二回目の御役目の時でしたかね」
「泣いてないし、今、その情報要らないだろ!」
せっかく後輩に良いところを見せようとしてたのに、亘のせいで台無しだ。
「……あ、あの……綻びで、何が出たの……?」
……ほら、悠真も怖がってるし。
しかし、亘はそれを見て楽しそうにニヤッと笑う。
「向った先は、今回と同じ廃病院。その手術室に、二本の角と鋭い牙を持つ、人の背を超えるほどの巨大な蜘蛛が……」
「脅すな、馬鹿!」
何故、こいつは、何時もこうなのだろう。こういうところだけは、本当に、会ったときから変わらない。
すると、浅沙が亘と悠真の間に入り、悠真に視線を合わせるようにして穏やかな声をだした。
「大丈夫ですよ、悠真様。何があろうと、我らが必ずお護りいたします」
悠真はじっと浅沙の顔を見たあと、それに、ゆっくりと頷いた。
俺は、懐かしい思いでそれを眺める。
浅沙が言う通り、護衛役は何があっても守り手を護ってくれる。自分の命が危険にさらされようと、必ず、守り手を第一に。それだけは、経験上確かだ。
……まあ、浅沙の主への態度は亘のものとは大違いだけど。
俺は亘と浅沙を見比べて、ハアとこれ見よがしに息を吐いた。
「なんです? いくら何でも失礼過ぎませんか?」
「俺の最初の役目の時に、自分がどうだったか思い出してから言ってもらえないかな」
眉根を寄せた亘に、わざとらしく笑ってみせる。
しかし、それを遮るように、蝶のままの汐が俺と亘の間に飛び込んできた。
「奏太様、亘の相手などしていては、いつまで経っても出発できませんよ!」
汐は苛立たし気な声をあげつつ、急かすように、ひらりひらりと俺の周囲を舞う。
「……わかったよ」
汐も、あの頃から、全く変わっていない。
「じゃあ、柊ちゃん、行ってくるよ!」
「ああ、気をつけろよ」
柊士の声を背に、俺は亘の背に乗り、何時ものように、バサリという羽音と共に、星の瞬く夜の空に舞い上がった。
俺のやることもまた、あの頃から変わっていない。この仲間達とともに、これから先、どれ程時代が移り変わっても、きっと、ずっと、そうなのだろう。
……―― ああ、ちなみに、悠真の最初の御役目は、あんまりすんなりとは行かなかった。けど、それはまた別のお話、だ。
―――― 鬼界篇 完
(あとがき)
これにて、妖界編、人界編、鬼界編、と続いた結界守護者は完結です。
ここまで読んでくださった皆さま、本当に、本当に、ありがとうございました。読者様がいたおかげで、ここまでたどり着けました。改めて、感謝申し上げます!
さて、三世界を舞台にしたものを書けたら、というのが目標だったので、ひとまず、目標達成。
物語を通して、少しでも、ドキドキ、ワクワクを感じていただけていたら、幸いです。
奏太の成長
チームとしての成長
護衛役、案内役との絆
従兄姉との絆
周辺キャラ達の成長
一話から改めて読み返すと、皆、結構成長していました。
特に亘と奏太の関係は、大きく変わりました。
妖界編では、奏太の護衛役でありながらも、結>奏太、だったのが、鬼界編最後には、永遠に奏太の未来を守る護衛役である事を誓う程に。
汐は、どんどん人間味(妖ですが)が増していったというか……鬼界編ともなると、椿というライバルができたせいか、淡い想いどころか、ちょっと奏太様への気持ちが露骨になりつつあります。。。
……やっぱり栞の姉妹なんだなぁ……(遠い目
そして、柊士。
本質的には子どもの頃からそうだったのでしょうが、いろいろあって拗れ、道を逸れてしまっていた従妹弟思いの長男は、きちんと頼れる当主になりました。
兎にも角にも!
奏太達の長い長い旅にお付き合いいただき、ありがとうございました。
また、一言だけでも、さらっと、
「このキャラが好きだった」
「このエピソードが好きだった」
「このキャラのこういう話が読みたい」
「このときの、このキャラ視点の話が読みたい」
「これってどうなったの?」
みたいなコメントをいただけましたら、次作やSSの参考にさせていただくので、どんな些細なことでも良いので、お気軽にお寄せいただけましたら幸いです。
最後に。
この物語から三百年後。秩序の神となった奏太と、それに寄り添う亘達の物語も公開中です。
『蜻蛉商会のヒトガミ様 』
https://www.alphapolis.co.jp/novel/174241108/158016858
こちらも、お時間の許す時に、覗いてみてください。
では。
読んでくださった皆さまに、心から、最大級の感謝をっ!
10
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みんなの感想(1件)
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動きが目に見えるような描写、素晴らしいです!私も書き始めたばかりなので参考にさせていただきます。
コメントありがとうございます(人´∀`).☆.。.:*・゚
動きが目に見えるようと言っていただけて嬉しいです〜!