将軍の宝玉

なか

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20.決意

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「さて、お前の知らなかった一面も見れて楽しめたし、本題に入ろうか」

   ラスティンを帰した後、何故かシャワーを浴びてラフな格好に着替えたレイノルドが私室のソファに座りなおす。
   結婚するまでは何度も来ていたからか、すっかり寛いでいる。
   
   いつもの緩い口調は鳴りを潜め、奴も思うところがあるようだ。

   泊まっていくつもりなのは明らかなので、戸棚から酒瓶とグラスを出す。ツマミになるものも皿に用意されていた。どうせレイノルドが執事のダラスに命じていたのだろう。その皿もテーブルに並べた。

   度数の強い琥珀色の蒸留酒を注ぎ、彼の前に置く。一口飲んで、ふっと息を吐き出す。


「大人しくしているどころか、動き出してきたな。余程俺が嫌いらしい」

「直接屋敷にまで忍び込んでくるとは思わなかったけどね。あちらさんも追い詰められてきたのか、切れてヤケクソにでもなったのか」

「置き土産みたいだぞ」

   懐から折りたたまれた1枚の紙をテーブルに落とす。先程、書斎を改めていて見つけたものだ。
   レイノルドが手に取り内容を確認している。

「そうきたか」

「自ら尻尾を出してきたな。奴らにとっても失敗は誤算だろうが、今夜のことは俺の落ち度だ。警備の強化が意味をなさなかった」

   ただでは済まないぞ。
そう口に出さずに、もう一口酒をあおる。その時。前から吹き出す音がした。

「おっ、お前、顔がいつも以上に凶悪になってるぞ」

   副官としての体裁はなりを潜め、ただの悪友のような顔でレイノルドが可笑しそうに笑う。
   顔を触ってみても、いってる意味が分からない。元々悪人顔だの強面だの言われ続けてきたのだ。そう変わらないはずだ。

「大切な宝石に傷つかなくてよかったけどさ、いつになく顔に出過ぎだろ」

「何のことだ」

「自覚なさそうだなぁ!ほんと最近面白いね、お前。お前の大切できれいな奥方のことだろ!いやーほんと美人でびっくりしたよ。
   にしてもさー、ラスティン相手にヤキモチ焼き過ぎ!かわいそうに~」

   は?

   言われている意味が分からず、眉間に皺がよる。それを見て、レイノルドがさらににやにやと面白そうな顔をしているのが気にくわない。

「戯言はいい。怪我はなかったにしろ、無事かどうかは雨に濡れている。明日熱を出さなければの話だ。まだ無事とは言えん」

   またもや吹き出し、ついにゲラゲラ腹を抱え笑い出したレイノルドを放置して、グラスにもう1杯酒を注ぐ。それも空になった頃、どうやらようやく笑いも治ったようだ。

「あー笑った~。今なら顔面で人殺せそう」

   意味のわからないことを言いながら、レイノルドがツマミを口にしている。

「ま、落ち着いたらうちに本当に連れてきなよ。気分転換も必要だろ」


   結婚して短い期間で2度も危ない目にあっている。シェリルノーラには穏やかに過ごしてほしいと思いながらも、逆の状況になってしまっている。
   少し気分を変えるのもいいかもしれない。しかし、すべての憂いを取り払うことが先だ。

「で、内通者がいるようだが、ザイルか?」

「当たり、だろうね。前回野盗に襲われた時と今回の件、ちょっと意外だけど、奴が関わってると踏んでる。あ、地下の1室借りてる」

「先に言え」

   これで証人と物的証拠が手に入った。後は堀を固めて、叩く。
   降りかかる火の粉を払えればいいと思っていたが、今回の件で腹が決まった。

   どうしてくれよう。


 
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