19 / 59
第19話 高嶺の花
しおりを挟む
舞踏会というものは、日が落ちてから行われるものが一般的ではあるが、中にはそうでないものもある。
日が高く昇らないうちからお茶会や乗馬など、男女それぞれが交流の場を持ち、日が暮れてから舞踏会の会場に移動して踊る、というものだ。
特に若い男女が結婚相手を求めて行う様な舞踏会はその様な形式のものが多く、ベアトリーチェはそれに出なければならないらしかった。
「んで、お前は招待状を貰っていないのにも関わらず、舞踏会に参加するわけか」
いつもより上等な執事服で身を固めたアルが大理石の柱に背を預け、ダンテだけに届く程度の小さな声で囁く。
その隣に立っているダンテは、上等な燕尾服に身を包み、シルクハットを目深にかぶってその美しすぎる貌を隠している。
詐欺師の二人は、招待などされてもいない舞踏会に、口八丁で衛兵を騙して忍び込んでいた。
「当然。もうすぐで授業に出られるようになるんだ。そうなりゃいやでも顔を合わせるようになって、秘密を明かすどころじゃなくなる」
ダンテはアンジェリカと会うごとにひとつ秘密を明かし合うと約束したのだ。
毎日顔を突き合わせていれば、ロマンスもクソもない。
だからその前にダンテのことをある程度は知っておいてもらう必要があった。
「さて、それで調べてきてくれたんだろう? 誰の名前が書いてあった?」
こういった若い貴族の子女が集まる舞踏会は、招待状に踊りたい相手の名前を書いて主催者に渡す。
ダンテが聞いているのはアンジェリカが望んだダンス相手の名前だった。
「……空白だったぜ。残念だったな」
アンジェリカがダンテの名前を書かなかったのか、それとも家の意向で白紙で出したのかは分からない。
ただひとつ言えることは、まだ惚れさせ方が弱いということだけだった。
それが分かった途端、ダンテの口元に不敵な笑みが浮かぶ。
獲物は難敵であればあるほど、ダンテの闘志は燃え上がるのだ。
「了解」
ダンテがシルクハットを脱いで顔を晒す。
シャンデリアから降って来る灯の光がダンテのプラチナブロンドに当たって弾け、光の粒子となって周囲に降り注ぐ。左右で色の違う瞳はダンテの内面から湧き上がる意志の力で宝石よりもなお眩い輝きを放つ。
ダンテが着ている燕尾服は、最高級の生地使い、名のある仕立て屋が丹精込めて仕上げた逸品だったが、ダンテの顔の下にあると安物に見えてしまっていた。
「……男に生まれててホントに良かったよ」
いつもその顔を見慣れているアルですら、ダンテの人間離れした美貌を前に思わずため息を漏らす。
「俺と商売ができなくなるからな」
「お前の正体知ってりゃ抱かれたくなくなるから問題ねえよ」
「ぬかせ」
軽くいつも通りじゃれ合った後、ダンテはシルクハットをアルへ手渡し、獲物へ向かって歩き出した。
天井にはいくつもシャンデリアが吊り下げられ、壁は清澄な白い地肌を晒し、床は綺麗に磨き上げられた石版が幾何学模様を描いている。
そんなきらびやかな世界の中で、大勢の着飾った貴族たちが談笑したり、美味い酒に舌鼓を打っていた。
このダンスホールを作るためにどれだけの金が使われたのか。
ダンテが今足で踏みつけている石板でさえ、たった一枚でテッドたちのような浮浪児たちが腹いっぱい飯を食うことができるだろう。
そんなことを考えていると、ダンテはやるせない思いでいっぱいだった。
「あそこか……?」
ダンスホールの一角に、ひときわ目立つ人だかりができているのを見つける。
誰もが上品に取り繕った笑みを浮かべ、きらびやかな衣装で身を包んでいるが、その腹の中はどす黒いもので埋め尽くされている様にダンテは感じた。
「……ま、それは俺も同じか」
一人ごちたところでダンテは頭のスイッチを切り替え、晴れやかな笑顔を顔に張り付ける。
それだけで彼も華やかでありながらも醜悪な怪物たちの一員へと変わったのだった。
「良い夜ですね」
近づいたことで人垣の中に知った顔をいくつか見つけ、姿こそ確認できなかったものの、ダンテはアンジェリカがこの場に居ると判断した。
「――アンジェリカ」
ダンテが彼女の名前を口にした瞬間、一斉に敵意や好奇など、様々な感情の乗った視線がダンテに集まる。
しかし、以前と違うことがひとつ。
誰からもダンテを非難する言葉が上がらなかったのだ。
代わりに「退きなさいっ」と鋭い叱責が飛び、人垣が二つに割れていく。
「ダンテ様っ」
取り巻きがいやいや退いていくのがもどかしかったのか、アンジェリカは障害物を押しのけてダンテのもとまで走り寄って来る。
黒を基調に銀糸と金糸を絡み合わせて作ったフリルをあしらったドレスを身に纏い、本物の金よりも深い金色の髪を結いあげて蝶の形をした髪留めでまとめ、頬に薄く化粧を施し、唇には紅を差している。
そうやって飾り立てたアンジェリカは、ダンテが生涯で見た中で最も美しい少女と言っても過言ではなかった。
「――っ」
ダンテはアンジェリカを前にして、何も言わず、ただ目を見張ってアンジェリカの姿を見つめる。
「ダンテ様?」
ダンテがなんの反応も示さないことが心配になったのか、アンジェリカが小首をかしげもう一度ダンテの名前を呼ぶ。
「――失礼」
ダンテは軽く目を逸らし、軽く握った手で口元を隠してから咳払いをしたのち、ためらいがちにアンジェリカへと視線を戻して……しかしまた逸らすを繰り返す。
そんなダンテの不審な挙動に、アンジェリカはなおのこと不安そうな眼差しを向けた。
「……正直に告白しますと、見惚れていたのですよ」
「まあっ」
ダンテの告白に、アンジェリカの顔がぱぁっと明るくなる。
「もっと素直に褒めてくださってもよろしくてよ」
浮かれたアンジェリカは豊かな胸を逸らし、横柄にもそう言ってのける。
確かに取り巻きを含め、普通の男であれば今のアンジェリカに懸想しない者などほとんどいないだろう。
しかしダンテは違った。
今までのダンテの言動は全てお芝居、噓八百である。
常にダンテが攻め立てるだけではアンジェリカもその刺激に慣れてしまう。
なので、わざとうろたえたふりをして、アンジェリカの攻勢がうまく行ったと思わせたのだ。
案の定、アンジェリカはダンテの策にまんまと引っかかり、恋の駆け引きで自分がダンテを上回ったと調子付いている。
この先彼女はダンテの張った罠にずぶずぶとはまっていくだろう。
「ええ、認めましょう。想像を遥かに超えていました」
「ふふっ」
ダンテは満足そうに頷くアンジェリカの手を取ると、遅まきながら挨拶の口づけを落とす。
「でも良いのですか?」
「なにがでしょう」
「私が止まれなくなるとは考えなかったのですか?」
ダンテは全て言わなくても察してくれとばかりに、具体的な事は何一つ口にしていない。
それでもアンジェリカが満足しているのは、それ以外ありえないと確信しているからだ。
今ふたりは同じ方向を見て、決定的にすれ違っていた。
「あら、なら私はダンテ様から逃げなくてはなりませんわね」
そう言いつつも、アンジェリカに逃げ出す気配はない。
手を振りほどくことなくダンテとの会話を楽しんでいた。
「それでは、私はアンジェリカを捕まえておくためにも……」
ダンテはアンジェリカと手を繋いだまま片膝を折って床につける。
「一曲、よろしいですか?」
日が高く昇らないうちからお茶会や乗馬など、男女それぞれが交流の場を持ち、日が暮れてから舞踏会の会場に移動して踊る、というものだ。
特に若い男女が結婚相手を求めて行う様な舞踏会はその様な形式のものが多く、ベアトリーチェはそれに出なければならないらしかった。
「んで、お前は招待状を貰っていないのにも関わらず、舞踏会に参加するわけか」
いつもより上等な執事服で身を固めたアルが大理石の柱に背を預け、ダンテだけに届く程度の小さな声で囁く。
その隣に立っているダンテは、上等な燕尾服に身を包み、シルクハットを目深にかぶってその美しすぎる貌を隠している。
詐欺師の二人は、招待などされてもいない舞踏会に、口八丁で衛兵を騙して忍び込んでいた。
「当然。もうすぐで授業に出られるようになるんだ。そうなりゃいやでも顔を合わせるようになって、秘密を明かすどころじゃなくなる」
ダンテはアンジェリカと会うごとにひとつ秘密を明かし合うと約束したのだ。
毎日顔を突き合わせていれば、ロマンスもクソもない。
だからその前にダンテのことをある程度は知っておいてもらう必要があった。
「さて、それで調べてきてくれたんだろう? 誰の名前が書いてあった?」
こういった若い貴族の子女が集まる舞踏会は、招待状に踊りたい相手の名前を書いて主催者に渡す。
ダンテが聞いているのはアンジェリカが望んだダンス相手の名前だった。
「……空白だったぜ。残念だったな」
アンジェリカがダンテの名前を書かなかったのか、それとも家の意向で白紙で出したのかは分からない。
ただひとつ言えることは、まだ惚れさせ方が弱いということだけだった。
それが分かった途端、ダンテの口元に不敵な笑みが浮かぶ。
獲物は難敵であればあるほど、ダンテの闘志は燃え上がるのだ。
「了解」
ダンテがシルクハットを脱いで顔を晒す。
シャンデリアから降って来る灯の光がダンテのプラチナブロンドに当たって弾け、光の粒子となって周囲に降り注ぐ。左右で色の違う瞳はダンテの内面から湧き上がる意志の力で宝石よりもなお眩い輝きを放つ。
ダンテが着ている燕尾服は、最高級の生地使い、名のある仕立て屋が丹精込めて仕上げた逸品だったが、ダンテの顔の下にあると安物に見えてしまっていた。
「……男に生まれててホントに良かったよ」
いつもその顔を見慣れているアルですら、ダンテの人間離れした美貌を前に思わずため息を漏らす。
「俺と商売ができなくなるからな」
「お前の正体知ってりゃ抱かれたくなくなるから問題ねえよ」
「ぬかせ」
軽くいつも通りじゃれ合った後、ダンテはシルクハットをアルへ手渡し、獲物へ向かって歩き出した。
天井にはいくつもシャンデリアが吊り下げられ、壁は清澄な白い地肌を晒し、床は綺麗に磨き上げられた石版が幾何学模様を描いている。
そんなきらびやかな世界の中で、大勢の着飾った貴族たちが談笑したり、美味い酒に舌鼓を打っていた。
このダンスホールを作るためにどれだけの金が使われたのか。
ダンテが今足で踏みつけている石板でさえ、たった一枚でテッドたちのような浮浪児たちが腹いっぱい飯を食うことができるだろう。
そんなことを考えていると、ダンテはやるせない思いでいっぱいだった。
「あそこか……?」
ダンスホールの一角に、ひときわ目立つ人だかりができているのを見つける。
誰もが上品に取り繕った笑みを浮かべ、きらびやかな衣装で身を包んでいるが、その腹の中はどす黒いもので埋め尽くされている様にダンテは感じた。
「……ま、それは俺も同じか」
一人ごちたところでダンテは頭のスイッチを切り替え、晴れやかな笑顔を顔に張り付ける。
それだけで彼も華やかでありながらも醜悪な怪物たちの一員へと変わったのだった。
「良い夜ですね」
近づいたことで人垣の中に知った顔をいくつか見つけ、姿こそ確認できなかったものの、ダンテはアンジェリカがこの場に居ると判断した。
「――アンジェリカ」
ダンテが彼女の名前を口にした瞬間、一斉に敵意や好奇など、様々な感情の乗った視線がダンテに集まる。
しかし、以前と違うことがひとつ。
誰からもダンテを非難する言葉が上がらなかったのだ。
代わりに「退きなさいっ」と鋭い叱責が飛び、人垣が二つに割れていく。
「ダンテ様っ」
取り巻きがいやいや退いていくのがもどかしかったのか、アンジェリカは障害物を押しのけてダンテのもとまで走り寄って来る。
黒を基調に銀糸と金糸を絡み合わせて作ったフリルをあしらったドレスを身に纏い、本物の金よりも深い金色の髪を結いあげて蝶の形をした髪留めでまとめ、頬に薄く化粧を施し、唇には紅を差している。
そうやって飾り立てたアンジェリカは、ダンテが生涯で見た中で最も美しい少女と言っても過言ではなかった。
「――っ」
ダンテはアンジェリカを前にして、何も言わず、ただ目を見張ってアンジェリカの姿を見つめる。
「ダンテ様?」
ダンテがなんの反応も示さないことが心配になったのか、アンジェリカが小首をかしげもう一度ダンテの名前を呼ぶ。
「――失礼」
ダンテは軽く目を逸らし、軽く握った手で口元を隠してから咳払いをしたのち、ためらいがちにアンジェリカへと視線を戻して……しかしまた逸らすを繰り返す。
そんなダンテの不審な挙動に、アンジェリカはなおのこと不安そうな眼差しを向けた。
「……正直に告白しますと、見惚れていたのですよ」
「まあっ」
ダンテの告白に、アンジェリカの顔がぱぁっと明るくなる。
「もっと素直に褒めてくださってもよろしくてよ」
浮かれたアンジェリカは豊かな胸を逸らし、横柄にもそう言ってのける。
確かに取り巻きを含め、普通の男であれば今のアンジェリカに懸想しない者などほとんどいないだろう。
しかしダンテは違った。
今までのダンテの言動は全てお芝居、噓八百である。
常にダンテが攻め立てるだけではアンジェリカもその刺激に慣れてしまう。
なので、わざとうろたえたふりをして、アンジェリカの攻勢がうまく行ったと思わせたのだ。
案の定、アンジェリカはダンテの策にまんまと引っかかり、恋の駆け引きで自分がダンテを上回ったと調子付いている。
この先彼女はダンテの張った罠にずぶずぶとはまっていくだろう。
「ええ、認めましょう。想像を遥かに超えていました」
「ふふっ」
ダンテは満足そうに頷くアンジェリカの手を取ると、遅まきながら挨拶の口づけを落とす。
「でも良いのですか?」
「なにがでしょう」
「私が止まれなくなるとは考えなかったのですか?」
ダンテは全て言わなくても察してくれとばかりに、具体的な事は何一つ口にしていない。
それでもアンジェリカが満足しているのは、それ以外ありえないと確信しているからだ。
今ふたりは同じ方向を見て、決定的にすれ違っていた。
「あら、なら私はダンテ様から逃げなくてはなりませんわね」
そう言いつつも、アンジェリカに逃げ出す気配はない。
手を振りほどくことなくダンテとの会話を楽しんでいた。
「それでは、私はアンジェリカを捕まえておくためにも……」
ダンテはアンジェリカと手を繋いだまま片膝を折って床につける。
「一曲、よろしいですか?」
0
あなたにおすすめの小説
「がっかりです」——その一言で終わる夫婦が、王宮にはある
柴田はつみ
恋愛
妃の席を踏みにじったのは令嬢——けれど妃の心を折ったのは、夫のたった一言だった
王太子妃リディアの唯一の安らぎは、王太子アーヴィンと交わす午後の茶会。だが新しく王宮に出入りする伯爵令嬢ミレーユは、妃の席に先に座り、殿下を私的に呼び、距離感のない振る舞いを重ねる。
リディアは王宮の礼節としてその場で正す——正しいはずだった。けれど夫は「リディア、そこまで言わなくても……」と、妃を止めた。
「わかりました。あなたには、がっかりです」
微笑んで去ったその日から、夫婦の茶会は終わる。沈黙の王宮で、言葉を失った王太子は、初めて“追う”ことを選ぶが——遅すぎた。
つまらない妃と呼ばれた日
柴田はつみ
恋愛
公爵令嬢リーシャは政略結婚で王妃に迎えられる。だが国王レオニスの隣には、幼馴染のセレスが“当然”のように立っていた。祝宴の夜、リーシャは国王が「つまらない妃だ」と語る声を聞いてしまい、心を閉ざす。
舞踏会で差し出された手を取らず、王弟アドリアンの助けで踊ったことで、噂は一気に燃え上がる――「王妃は王弟と」「国王の本命は幼馴染」と。
さらに宰相は儀礼と世論を操り、王妃を孤立させる策略を進める。監視の影、届かない贈り物、すり替えられた言葉、そして“白薔薇の香”が事件現場に残る冤罪の罠。
リーシャは微笑を鎧に「今日から、王の隣に立たない」と決めるが、距離を取るほど誤解は確定し、王宮は二人を引き裂いていく。
――つまらない妃とは、いったい誰が作ったのか。真実が露わになった時、失われた“隣”は戻るのか。
婚約破棄で悪役令嬢を辞めたので、今日から素で生きます。
黒猫かの
恋愛
「エリー・オルブライト! 貴様との婚約を破棄する!」
豪華絢爛な夜会で、ウィルフレッド王子から突きつけられた非情な宣告。
しかし、公爵令嬢エリーの心境は……「よっしゃあ! やっと喋れるわ!!」だった。
悪役令嬢に転生しましたが、行いを変えるつもりはありません
れぐまき
恋愛
公爵令嬢セシリアは皇太子との婚約発表舞踏会で、とある男爵令嬢を見かけたことをきっかけに、自分が『宝石の絆』という乙女ゲームのライバルキャラであることを知る。
「…私、間違ってませんわね」
曲がったことが大嫌いなオーバースペック公爵令嬢が自分の信念を貫き通す話
…だったはずが最近はどこか天然の主人公と勘違い王子のすれ違い(勘違い)恋愛話になってきている…
5/13
ちょっとお話が長くなってきたので一旦全話非公開にして纏めたり加筆したりと大幅に修正していきます
5/22
修正完了しました。明日から通常更新に戻ります
9/21
完結しました
また気が向いたら番外編として二人のその後をアップしていきたいと思います
婚約破棄すると言われたので、これ幸いとダッシュで逃げました。殿下、すみませんが追いかけてこないでください。
桜乃
恋愛
ハイネシック王国王太子、セルビオ・エドイン・ハイネシックが舞踏会で高らかに言い放つ。
「ミュリア・メリッジ、お前とは婚約を破棄する!」
「はい、喜んで!」
……えっ? 喜んじゃうの?
※約8000文字程度の短編です。6/17に完結いたします。
※1ページの文字数は少な目です。
☆番外編「出会って10秒でひっぱたかれた王太子のお話」
セルビオとミュリアの出会いの物語。
※10/1から連載し、10/7に完結します。
※1日おきの更新です。
※1ページの文字数は少な目です。
❇❇❇❇❇❇❇❇❇
2024年12月追記
お読みいただき、ありがとうございます。
こちらの作品は完結しておりますが、番外編を追加投稿する際に、一旦、表記が連載中になります。ご了承ください。
※番外編投稿後は完結表記に致します。再び、番外編等を投稿する際には連載表記となりますこと、ご容赦いただけますと幸いです。
悪役令嬢の身代わりで追放された侍女、北の地で才能を開花させ「氷の公爵」を溶かす
黒崎隼人
ファンタジー
「お前の罪は、万死に値する!」
公爵令嬢アリアンヌの罪をすべて被せられ、侍女リリアは婚約破棄の茶番劇のスケープゴートにされた。
忠誠を尽くした主人に裏切られ、誰にも信じてもらえず王都を追放される彼女に手を差し伸べたのは、彼女を最も蔑んでいたはずの「氷の公爵」クロードだった。
「君が犯人でないことは、最初から分かっていた」
冷徹な仮面の裏に隠された真実と、予想外の庇護。
彼の領地で、リリアは内に秘めた驚くべき才能を開花させていく。
一方、有能な「影」を失った王太子と悪役令嬢は、自滅の道を転がり落ちていく。
これは、地味な侍女が全てを覆し、世界一の愛を手に入れる、痛快な逆転シンデレラストーリー。
五年後、元夫の後悔が遅すぎる。~娘が「パパ」と呼びそうで困ってます~
放浪人
恋愛
「君との婚姻は無効だ。実家へ帰るがいい」
大聖堂の冷たい石畳の上で、辺境伯ロルフから突然「婚姻は最初から無かった」と宣告された子爵家次女のエリシア。実家にも見放され、身重の体で王都の旧市街へ追放された彼女は、絶望のどん底で愛娘クララを出産する。
生き抜くために針と糸を握ったエリシアは、持ち前の技術で不思議な力を持つ「祝布(しゅくふ)」を織り上げる職人として立ち上がる。施しではなく「仕事」として正当な対価を払い、決して土足で踏み込んでこない救恤院の監督官リュシアンの温かい優しさに触れエリシアは少しずつ人間らしい心と笑顔を取り戻していった。
しかし五年後。辺境を襲った疫病を救うための緊急要請を通じ、エリシアは冷酷だった元夫ロルフと再会してしまう。しかも隣にいる娘の青い瞳は彼と瓜二つだった。
「すまない。私は父としての責任を果たす」
かつての合理主義の塊だった元夫は、自らの過ちを深く悔い、家の権益を捨ててでも母子を守る「強固な盾」になろうとする。娘のクララもまた、危機から救ってくれた彼を「パパ」と呼び始めてしまい……。
だが、どんなに後悔されても、どんなに身を挺して守られても、一度完全に壊された関係が元に戻ることは絶対にない。エリシアが真の伴侶として選ぶのは、凍えた心を溶かし、温かい日常を共に歩んでくれたリュシアンただ一人だった。
これは、全てを奪われた一人の女性が母として力強く成長し誰にも脅かされることのない「本物の家族」と「静かで確かな幸福」を自分の手で選び取るまでの物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる