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姉妹
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私は生まれた時から異常だった。
いや、もしかしたらそんなことは無かったかもしれない。けれど、私が物心着いた時には既に、狂っていた。
私の物心が着いた時、両親の愛は既に一つ下の妹へと移っていた。
私よりも大きくてクリクリとしたエメラルドグリーンの瞳。母親譲りのふわふわとした色素の薄い茶髪。人形のように愛らしい妹は両親の愛を一心に受けていた。
しかし、私の容姿は妹のように優れてはいない。腰あたりまで伸びる父親譲りの淡い金髪は妹のようにふわふわしておらず、ゆるく巻きがかかっているだけ。瞳の色は妹と同じエメラルドグリーンだが、くりくりとした妹の瞳とは違い、どこか落ち着いた印象を与えてしまう。
両親から愛を注がれなかった私は、本来ならば愛によって満たされる筈だった心の穴を勉学によって埋めた。両親は妹に熱を上げすぎるためか、よく私の存在を忘れた。妹のように愛されなかった私は、感情を表現する術も知らなかった。きっとそれが余計に両親から忘れられる原因になっていたのだろう。両親は妹に関しては過保護で目に余るとこがあるが、基本的には聡い方々なのだ。だからこそ、私を見てその存在を思い出したかのように驚いた後は、気まずそうに私から目を逸らす。そして私への償いなのかより一層妹に熱を上げるという悪循環。
──両親は私に興味がないのだ。
幼いながらにそう悟った。
そして私の心にはなんの感情も湧かなかった。ただ、目の前の事象を客観的に判断し、そう結論づけただけ。我ながら冷たいと思うが、感情を育てる環境に恵まれなかったのだ。致し方ないだろう。
まだ私達が幼かった頃、1度だけ人形劇を見に行ったことがある。勿論、妹の提案で。妹に誘われた私は知見を広げたくて一緒に見に行くことにした。
大きな舞台に、私達くらいの人形が糸で吊るされていた。人形達は糸を操る裏方の人の動きに合わせて
軽やかに動き、コロコロと表情を変えていた。用意された舞台で、用意された台詞、ストーリーであるにも関わらず、人形である彼らはまるで生きているかのように楽しそうに舞っていた。
私は魅了された。今までの人生で1番心動かされた瞬間だった。隣に座る妹は途中で眠ってしまったようだが、私は最後まで舞台に魅入っていた。
舞台が終わった後も余韻に浸る私に、母は嬉しそうな笑顔で頭を撫でてくれた。
その瞬間、何かあたたかいものが私の心を満たした。それが愛なのかは分からなかったが、いつまでも満たされていたいと思うものだった。
──私も、あの人形のようになればいい。
そう考えた私は、時に文学、時に教師や使用人、時に母の付き添いで社交界へと行き、どうすれば他人に好まれるのかを学習していった。人当たりの良い笑顔を浮かべ、丁寧な所作で他人の望む言葉を吐き出す。それはまるで、予め決められたことをこなす操り人形のように。そうすれば私は上辺だけでも皆に好かれた。皆が自分が好む言葉を口にする私を重宝した。本当の私を誤魔化すことなど容易かった。
私のない感情を曝け出す必要は無い。感情を持って真逆のものを演じるよりか、元より無いものを演じる方が遥かに楽だ。
私は自分の人生に夢や希望、期待することをやめた。あの人形のように、流されるまま、平穏な毎日が送れればそれでいい。
あの舞台を見に行った後、いつもニコニコと笑顔を浮かべる私に両親はともかく使用人達は戸惑っていた。使用人達も両親と同様、たまに私の存在を忘れていたからだ。そして勘の鋭い父専属の執事は、私が試すようなことを言う度に少しだけ眉を顰めていた。最も、他の人間から見たら無表情に見えていただろうが。
他人の喜ぶ言動が理解出来るようになった私は、今まで通り両親からは無干渉で勉学に励んでいた。幸い私は出来が良かったらしく、吸収した知識は妹を溺愛する両親に代わり、たまに屋敷や領地の運営に活かしていた。今までの無表情な様から見違える程の変化をして両親の仕事をこなす私に、父専属の執事は1度だけ哀れんだ瞳を私に向けてきた。しかし私が声をかけると、一言の謝罪と共に二度とそんな瞳向けてくることは無かった。
『私は全てを受け入れています。』
そう言って練習の末に出来上がった私の人当たりの良い笑顔を浮かべる姿は、様々なことを経験してきた壮年の彼にはどう見えていたのだろうか?私は私なりに出した結論を伝えただけだった。けれど彼は一瞬悲しそうな顔をしていて──。
嗚呼、間違えてしまったと、その時私は感じた。
◆◇◆
「ええ!公爵様から婚約の申し込みですか!?」
朝食の席で、私の妹であるアリス・ナールイスはそう声を大にして言った。アリスは今年で13でありながら、レディとしての教養が今一つである。まあそこも可愛らしいのだが。
幼い頃の愛嬌を残したまま成長した彼女は、社交界で「天真の蕾姫」と呼ばれていた。一方で、妹とは違い愛らしさを持ち合わせていない私は、対人スキルが役立ったせいか「博愛の百合姫」なんて呼ばれている。
「そうだ。ホワイウェル公爵家のレイバン・ホワイウェル公爵様だ。確か15歳で家督を継いだ優秀なお方だよ。」
父、アーロン・ナールイス侯爵の言葉を聴きながら、私は笑顔で朝食を口にする。最早笑顔の状態が無表情であると言ってもいい位には笑顔が染み付いていた。私の存在を認知して気まずそうだった両親も、私が笑顔だと空気が柔らかいことに気づいたのは記憶に新しくない。私とアリスの元には幾つもの縁談が来ていたが、皆が侯爵以下の爵位だったため両親も断っていた。曰く、私達(アリス)には好きになった人と結ばれて欲しいと。
しかし自分達よりも爵位の高い人間からの縁談となれば話は別だ。私達はよっぽどの理由がない限り、それを断ることは出来ない。しかもどうやらこの縁談、私とアリスのどちらが嫁いでも良いらしい。
恐らく、公爵様の目的はそれなりの爵位を持った女を妻にすることなのだろう。姉妹である私達は、どちらかは家を出なければならないから都合が良いのだ。
公爵家は我が国に2つ存在する。そのうちの一つ、ホワイウェル公爵家は先代の頭首が戦争にて我が国のために前線で戦果を上げ続け表彰される程の実力を持った武闘派の一族である。そして現在の当主であるレイバン様は、王族の敵である悪人を影で始末する汚れ仕事を任されているとの噂が社交界では広がっている。冷酷無慈悲に敵を始末し、返り血に染まる彼は「暗紅の白銀狼」なんて言われているらしいが、真実かどうかも分からないことに不名誉な二つ名を付けるのは流石は貴族といったところか。
「お父様。ホワイウェル公爵様って『暗紅の白銀狼』なんて呼ばれている危ない方ですよ!?そんな所に私達を嫁がせようとするなんて本気なのですか?」
アリスは返事に困る父から目を逸らし、大きな瞳を不安げに歪めてこちらを見つめてきた。きっと私からも父に伝えて欲しいのだろうが、たとえ私達がどれだけ反対しようとも無駄なのだ。そんなことをする気は無い。まぁそもそも反対する気などないのだが。私は持っていたフォークとナイフを置くと、手を膝の上に置いて目の前に座るアリスに口を開いた。
「アリス。『暗紅の白銀狼』なんて二つ名も、社交界で広がった噂も真実かどうかは分かりませんわ。噂だけ判断せずに、その方を自分の目で見極めないと失礼になってしまいますよ。」
穏やかな笑顔に優しい口調でそう告げると、彼女は「そう…ですね。確かに私、失礼でしたわ。」と納得したようだった。
彼女は良くも悪くも素直だ。良い所を伝えれば喜ぶし、悪い所を伝えると直そうと努力する。誰の話も信じ、誰にでも等しく明るい笑顔を向ける。自分の信じることを疑わず、自分の価値観が当たり前であると思っている。
日に日に成長し、男女に関わらず人に囲まれている彼女はもっと人を疑うこと、柔軟性を持つべきだと、私は感じていた。
「実は明日、わざわざ公爵様が来てくれるのだ。その時に判断するのも遅くはないだろう。」
父の言葉にアリスは満足そうに頷いていた。
私は再び食事を取り始めると、過去にご友人から聞いた噂話を思い出していた。
公爵様の容姿は並外れて美しいが、性格は冷酷で冷淡。彼に近づこうとした女性は悉く泣きを見る──と。
──どうせ私が嫁ぐのだろう。
私は静かにそう考えていた。
◇◆◇
翌日。ホワイウェル公爵家の紋章である白い狼が刻まれた真っ黒な馬車で、公爵様はやってきた。
私は普段と変わらずに淡い空色に白い薔薇の刺繍が刻まれたドレスを身に纏っていた。アリスはピンクを基調としたドレスにレースが幾重にも施された愛らしいドレスを身に付けている。やや凹凸のある胸元には蝶のブローチが付けられていた。あれは私が誕生日の時に両親から貰ったものだったが、妹にねだられて譲ったのだ。物に執着のない私は、妹が欲しがるものは全て譲っていた。
なんて考えながら、私以外の家族は緊張した面持ちで、屋敷の前に止まった馬車から公爵様が出てくるのを待っていた。
「ッ!」
「まぁ…!」
アリスが息を飲み、その隣にいる母が感嘆の声を漏らした。
「白銀狼」との二つ名が付けられるだけあって、彼の髪は艶やかな白銀色だった。すらりとした高身長と、髪にも負けぬキメ細かい白い肌に真っ黒な貴族服は良く似合う。肩にかけられている黒いマントには金色の刺繍が施されていた。まるで吹雪のような冷たい瞳は、金色だった。その美貌は確かに人を惹きつけるものでありながら、むやみに人を寄せ付けないような冷ややかな威圧感があった。
「遅くなってすまない。」
私達の前に立ち、そう言って優雅にお辞儀をした彼の動きは洗練されていて無駄な所作は一切ない。
「…ッいいえ。滅相もございません。本日はお越しいただきありがとうございます。」
流石にこんな時まで子煩悩になるつもりはないのか、父は緊張した面持ちで彼を応接間へと案内した。
「今回はしがない侯爵である私の娘と婚約をして頂き、ありがとうございます。」
「…いや。こちらからの一方的な申し込みにも関わらず了承して貰って感謝する。」
私を除くそれぞれが軽い自己紹介を終え、目の前の3人用ソファに腰掛ける彼はそう口を開いた。その声は芯があり美しいがやはり冷たい声だった。
そして、案の定昨日私達に話した時点で婚約は既に決まっていたことだったらしい。彼の向かいに座る両親は作り笑顔を浮かべ、両親の真ん中に座るアリスは嬉しそうにキラキラした瞳で公爵様のことを見つめていた。
「さて、私は侯爵の大事な娘であるアリス嬢と…。」
彼はちらりと1人用のソファに座る私を一瞥した。私は自己紹介する間もなくアリスが進められてしまった為、彼は私の名前を知らないのだ。社交界ではそこそこ名が知れていると思っていたが、それも私自身が必要最低限の社交界しかでていないため名前のひとり歩きのようなものだ。それに彼はあまり表舞台に立たないことでも有名だった。
「ご挨拶が遅れて申し訳ありません。わたし私フィオナ・ナールイスでございます。」
私は視界の隅でしまったというような顔をした両親は気にせずその場で恭しくカーテシーをした。
「気にするな。」
狼のような鋭い金色の瞳をこちらから逸らす彼は気にもとめてない様だった。それもそのはず、テーブルを挟んで彼の目の前に座るアリスの瞳は、彼との婚約を望んでいたから。
私はこの家での立場を十分に分かっている。私はアリスのスペアであり、最初から私の意思を問われることなどないのだから。
「では私はアリス嬢を貰っても良いのか?」
「ッはい!是非!」
公爵様はアリスの態度から婚約者は彼女だと判断したようだ。例えそうでなかったとしても、皆が私ではなく無垢なアリス惹かれるのは当たり前である。
アリスは頬を染めて愛らしい笑顔を公爵様に向けていた。両親もほっとした様子なのが伺える。私はいつもの笑顔を浮かべたまま目の前にある紅茶を口に含んだ。こんな時であろうとも、紅茶と甘いものは、私の心を少しだけ満たしてくれる。
──このまま、何も無いと良いけれど。
喜んでいる彼女とは対照的に、彼の周りの温度は先程よりも下がっていた。その理由は何故かわからない。今まで聞いてきた話から考えると、女性が苦手なのだろうか。
「よろしければ、我が家の庭をご案内致します。」
そう言ってアリスが公爵様の腕を取ると、彼は一瞬、おそらく誰も気づかないであろうレベルで怪訝そうに顔を歪めた。本当一瞬のことだったが、彼等のことを見ていた私はたまたま見てしまった。
──嗚呼、良くないわね。
「アリス。むやみに男性に触れてしまうと良くない印象を抱かれてしまうわ。婚約したのだから、焦らずにゆっくり歩み寄って行きましょう。」
「ぁ…そうですよね。ありがとうございます!お姉様。」
こそりと耳打ちすると、アリスは向日葵のような笑顔でお礼を口にした。私はその笑顔に対して、恐らく大抵の人が返すであろういつもよりも深い笑みで2人を見送った。
「その、フィオナ…先程はすまない。」
アリスと公爵の後ろ姿が見えなくなると、その場にいた両親は申し訳なさそうに謝罪を口にした。私はいつもよりも深い笑みのまま両親の方へ振り返り、用意された言葉を口にした。
「気になさらないで下さい。愛らしいアリスが公爵様と婚約出来て、私とっても嬉しいのですから。」
「…そうか。ならよかったよ。」
両親もほっとしたように微笑んでいた。
私は仕事があるからと応接間を後にして、父の執務室へと向かった。
私が両親の仕事を手伝いたいと初めて言った時、2人は何の反対も口にせず二つ返事で了承した。父は自分の書斎を好きに使っていいとも言った。もし私が無邪気な子供だったなら、2人に信頼されている証だろうと喜んでいたことだろう。しかしあの時の私は歳が2桁になったばかりでありながら既に年相応の子供らしさはなく、ただ両親は私に興味が無いだけだと理解していた。
そして10歳から手伝い始めた仕事も、今では父の仕事の半分をこなし、母の仕事に至ってはほぼ全ての仕事をこなしていた。しかしそのせいで両親が益々アリスを構うようになったのは言うまでもないだろう。
「フィオナお嬢様。お疲れ様です。」
父専属の執事は今でも変わらずに私の仕事を手伝ってくれている。私が母の仕事である屋敷や従業員の給料に関わる仕事をやっていると知ってから、メイド達も私を気にかけるようになっていた。とても分かりやすくて可愛らしいが、私は態度を変えられても特に何も感じなかった。むしろ至極当然だろうと思った。自分達の生活がかかっているのだから。
どうやら昼頃に来た公爵様は今日半日は我が家にて過ごすらしい。まあ夜には帰るらしいが。公爵家ともなれば仕事の量も多くて大変だろうに、わざわざ自分の婚約者を見極める為に調整したのだろうか。
彼の瞳には愛や熱意といったものが微塵も感じられなかった。まさに噂通りの冷たくて獰猛な狼のような人。きっと、婚約者にも愛情は望んでいないのだろう。公爵夫人としての務めを果たし、無駄な口出しをしない女。きっとそれが彼の望む理想の妻の姿なのだ。
そしてその理想に、アリスは当てはまらない。彼女は家族、ましてや夫婦の間には愛情があって当たり前だと思っている。そしていつまでも絵本や物語に出てくるような白馬の王子様との純愛を望んでいるのだ。
アリスの周りにはいつも多くの令息がいるが、彼女は彼等のことをお友達としか思っていないのは見ていてわかる。しかし彼等がそう思っているはずもなく、アリスの態度に一喜一憂させられている様はまるで喜劇だ。
そして今日、黒い馬車、黒い馬と共に公爵様がやってきた。彼女にはきっと、まさに理想の王子様に見えたことだろう。
机上に散乱した書類をまとめ、後は父のサインだけだと執事に渡す。最近はアリスがご友人達に高値の宝石を差し上げたりしていて、主にアリス絡みの出費が激しい。今はまだなんとかなるだろうが、このままでは家が傾いてしまうだろう。父にそのことを話すと渋い顔をなさっていた。あの顔はアリスを咎めると言うよりも…。
次の仕事に取り掛かろうとした時、事件は起こった。
「フィオナお嬢様!大変です!」
メイドがノックも忘れて執務室へと入ってきたかと思えば、どうやら1番恐れていたことが起こってしまったらしい。私は次から次へとやってくる厄介事に、ズキズキと痛む頭に手を当てて自然とため息をついていた。
「アリス様が公爵様とッ!」
──嗚呼、なんてことなの。
私から両親の愛や私物を奪うだけに留まらず、平穏まで奪おうとするなんて。
「分かりました。すぐ行きますわ。」
私はモヤモヤとした気持ちを押し潰して、メイドに案内されるまま応接間へと向かった。
いや、もしかしたらそんなことは無かったかもしれない。けれど、私が物心着いた時には既に、狂っていた。
私の物心が着いた時、両親の愛は既に一つ下の妹へと移っていた。
私よりも大きくてクリクリとしたエメラルドグリーンの瞳。母親譲りのふわふわとした色素の薄い茶髪。人形のように愛らしい妹は両親の愛を一心に受けていた。
しかし、私の容姿は妹のように優れてはいない。腰あたりまで伸びる父親譲りの淡い金髪は妹のようにふわふわしておらず、ゆるく巻きがかかっているだけ。瞳の色は妹と同じエメラルドグリーンだが、くりくりとした妹の瞳とは違い、どこか落ち着いた印象を与えてしまう。
両親から愛を注がれなかった私は、本来ならば愛によって満たされる筈だった心の穴を勉学によって埋めた。両親は妹に熱を上げすぎるためか、よく私の存在を忘れた。妹のように愛されなかった私は、感情を表現する術も知らなかった。きっとそれが余計に両親から忘れられる原因になっていたのだろう。両親は妹に関しては過保護で目に余るとこがあるが、基本的には聡い方々なのだ。だからこそ、私を見てその存在を思い出したかのように驚いた後は、気まずそうに私から目を逸らす。そして私への償いなのかより一層妹に熱を上げるという悪循環。
──両親は私に興味がないのだ。
幼いながらにそう悟った。
そして私の心にはなんの感情も湧かなかった。ただ、目の前の事象を客観的に判断し、そう結論づけただけ。我ながら冷たいと思うが、感情を育てる環境に恵まれなかったのだ。致し方ないだろう。
まだ私達が幼かった頃、1度だけ人形劇を見に行ったことがある。勿論、妹の提案で。妹に誘われた私は知見を広げたくて一緒に見に行くことにした。
大きな舞台に、私達くらいの人形が糸で吊るされていた。人形達は糸を操る裏方の人の動きに合わせて
軽やかに動き、コロコロと表情を変えていた。用意された舞台で、用意された台詞、ストーリーであるにも関わらず、人形である彼らはまるで生きているかのように楽しそうに舞っていた。
私は魅了された。今までの人生で1番心動かされた瞬間だった。隣に座る妹は途中で眠ってしまったようだが、私は最後まで舞台に魅入っていた。
舞台が終わった後も余韻に浸る私に、母は嬉しそうな笑顔で頭を撫でてくれた。
その瞬間、何かあたたかいものが私の心を満たした。それが愛なのかは分からなかったが、いつまでも満たされていたいと思うものだった。
──私も、あの人形のようになればいい。
そう考えた私は、時に文学、時に教師や使用人、時に母の付き添いで社交界へと行き、どうすれば他人に好まれるのかを学習していった。人当たりの良い笑顔を浮かべ、丁寧な所作で他人の望む言葉を吐き出す。それはまるで、予め決められたことをこなす操り人形のように。そうすれば私は上辺だけでも皆に好かれた。皆が自分が好む言葉を口にする私を重宝した。本当の私を誤魔化すことなど容易かった。
私のない感情を曝け出す必要は無い。感情を持って真逆のものを演じるよりか、元より無いものを演じる方が遥かに楽だ。
私は自分の人生に夢や希望、期待することをやめた。あの人形のように、流されるまま、平穏な毎日が送れればそれでいい。
あの舞台を見に行った後、いつもニコニコと笑顔を浮かべる私に両親はともかく使用人達は戸惑っていた。使用人達も両親と同様、たまに私の存在を忘れていたからだ。そして勘の鋭い父専属の執事は、私が試すようなことを言う度に少しだけ眉を顰めていた。最も、他の人間から見たら無表情に見えていただろうが。
他人の喜ぶ言動が理解出来るようになった私は、今まで通り両親からは無干渉で勉学に励んでいた。幸い私は出来が良かったらしく、吸収した知識は妹を溺愛する両親に代わり、たまに屋敷や領地の運営に活かしていた。今までの無表情な様から見違える程の変化をして両親の仕事をこなす私に、父専属の執事は1度だけ哀れんだ瞳を私に向けてきた。しかし私が声をかけると、一言の謝罪と共に二度とそんな瞳向けてくることは無かった。
『私は全てを受け入れています。』
そう言って練習の末に出来上がった私の人当たりの良い笑顔を浮かべる姿は、様々なことを経験してきた壮年の彼にはどう見えていたのだろうか?私は私なりに出した結論を伝えただけだった。けれど彼は一瞬悲しそうな顔をしていて──。
嗚呼、間違えてしまったと、その時私は感じた。
◆◇◆
「ええ!公爵様から婚約の申し込みですか!?」
朝食の席で、私の妹であるアリス・ナールイスはそう声を大にして言った。アリスは今年で13でありながら、レディとしての教養が今一つである。まあそこも可愛らしいのだが。
幼い頃の愛嬌を残したまま成長した彼女は、社交界で「天真の蕾姫」と呼ばれていた。一方で、妹とは違い愛らしさを持ち合わせていない私は、対人スキルが役立ったせいか「博愛の百合姫」なんて呼ばれている。
「そうだ。ホワイウェル公爵家のレイバン・ホワイウェル公爵様だ。確か15歳で家督を継いだ優秀なお方だよ。」
父、アーロン・ナールイス侯爵の言葉を聴きながら、私は笑顔で朝食を口にする。最早笑顔の状態が無表情であると言ってもいい位には笑顔が染み付いていた。私の存在を認知して気まずそうだった両親も、私が笑顔だと空気が柔らかいことに気づいたのは記憶に新しくない。私とアリスの元には幾つもの縁談が来ていたが、皆が侯爵以下の爵位だったため両親も断っていた。曰く、私達(アリス)には好きになった人と結ばれて欲しいと。
しかし自分達よりも爵位の高い人間からの縁談となれば話は別だ。私達はよっぽどの理由がない限り、それを断ることは出来ない。しかもどうやらこの縁談、私とアリスのどちらが嫁いでも良いらしい。
恐らく、公爵様の目的はそれなりの爵位を持った女を妻にすることなのだろう。姉妹である私達は、どちらかは家を出なければならないから都合が良いのだ。
公爵家は我が国に2つ存在する。そのうちの一つ、ホワイウェル公爵家は先代の頭首が戦争にて我が国のために前線で戦果を上げ続け表彰される程の実力を持った武闘派の一族である。そして現在の当主であるレイバン様は、王族の敵である悪人を影で始末する汚れ仕事を任されているとの噂が社交界では広がっている。冷酷無慈悲に敵を始末し、返り血に染まる彼は「暗紅の白銀狼」なんて言われているらしいが、真実かどうかも分からないことに不名誉な二つ名を付けるのは流石は貴族といったところか。
「お父様。ホワイウェル公爵様って『暗紅の白銀狼』なんて呼ばれている危ない方ですよ!?そんな所に私達を嫁がせようとするなんて本気なのですか?」
アリスは返事に困る父から目を逸らし、大きな瞳を不安げに歪めてこちらを見つめてきた。きっと私からも父に伝えて欲しいのだろうが、たとえ私達がどれだけ反対しようとも無駄なのだ。そんなことをする気は無い。まぁそもそも反対する気などないのだが。私は持っていたフォークとナイフを置くと、手を膝の上に置いて目の前に座るアリスに口を開いた。
「アリス。『暗紅の白銀狼』なんて二つ名も、社交界で広がった噂も真実かどうかは分かりませんわ。噂だけ判断せずに、その方を自分の目で見極めないと失礼になってしまいますよ。」
穏やかな笑顔に優しい口調でそう告げると、彼女は「そう…ですね。確かに私、失礼でしたわ。」と納得したようだった。
彼女は良くも悪くも素直だ。良い所を伝えれば喜ぶし、悪い所を伝えると直そうと努力する。誰の話も信じ、誰にでも等しく明るい笑顔を向ける。自分の信じることを疑わず、自分の価値観が当たり前であると思っている。
日に日に成長し、男女に関わらず人に囲まれている彼女はもっと人を疑うこと、柔軟性を持つべきだと、私は感じていた。
「実は明日、わざわざ公爵様が来てくれるのだ。その時に判断するのも遅くはないだろう。」
父の言葉にアリスは満足そうに頷いていた。
私は再び食事を取り始めると、過去にご友人から聞いた噂話を思い出していた。
公爵様の容姿は並外れて美しいが、性格は冷酷で冷淡。彼に近づこうとした女性は悉く泣きを見る──と。
──どうせ私が嫁ぐのだろう。
私は静かにそう考えていた。
◇◆◇
翌日。ホワイウェル公爵家の紋章である白い狼が刻まれた真っ黒な馬車で、公爵様はやってきた。
私は普段と変わらずに淡い空色に白い薔薇の刺繍が刻まれたドレスを身に纏っていた。アリスはピンクを基調としたドレスにレースが幾重にも施された愛らしいドレスを身に付けている。やや凹凸のある胸元には蝶のブローチが付けられていた。あれは私が誕生日の時に両親から貰ったものだったが、妹にねだられて譲ったのだ。物に執着のない私は、妹が欲しがるものは全て譲っていた。
なんて考えながら、私以外の家族は緊張した面持ちで、屋敷の前に止まった馬車から公爵様が出てくるのを待っていた。
「ッ!」
「まぁ…!」
アリスが息を飲み、その隣にいる母が感嘆の声を漏らした。
「白銀狼」との二つ名が付けられるだけあって、彼の髪は艶やかな白銀色だった。すらりとした高身長と、髪にも負けぬキメ細かい白い肌に真っ黒な貴族服は良く似合う。肩にかけられている黒いマントには金色の刺繍が施されていた。まるで吹雪のような冷たい瞳は、金色だった。その美貌は確かに人を惹きつけるものでありながら、むやみに人を寄せ付けないような冷ややかな威圧感があった。
「遅くなってすまない。」
私達の前に立ち、そう言って優雅にお辞儀をした彼の動きは洗練されていて無駄な所作は一切ない。
「…ッいいえ。滅相もございません。本日はお越しいただきありがとうございます。」
流石にこんな時まで子煩悩になるつもりはないのか、父は緊張した面持ちで彼を応接間へと案内した。
「今回はしがない侯爵である私の娘と婚約をして頂き、ありがとうございます。」
「…いや。こちらからの一方的な申し込みにも関わらず了承して貰って感謝する。」
私を除くそれぞれが軽い自己紹介を終え、目の前の3人用ソファに腰掛ける彼はそう口を開いた。その声は芯があり美しいがやはり冷たい声だった。
そして、案の定昨日私達に話した時点で婚約は既に決まっていたことだったらしい。彼の向かいに座る両親は作り笑顔を浮かべ、両親の真ん中に座るアリスは嬉しそうにキラキラした瞳で公爵様のことを見つめていた。
「さて、私は侯爵の大事な娘であるアリス嬢と…。」
彼はちらりと1人用のソファに座る私を一瞥した。私は自己紹介する間もなくアリスが進められてしまった為、彼は私の名前を知らないのだ。社交界ではそこそこ名が知れていると思っていたが、それも私自身が必要最低限の社交界しかでていないため名前のひとり歩きのようなものだ。それに彼はあまり表舞台に立たないことでも有名だった。
「ご挨拶が遅れて申し訳ありません。わたし私フィオナ・ナールイスでございます。」
私は視界の隅でしまったというような顔をした両親は気にせずその場で恭しくカーテシーをした。
「気にするな。」
狼のような鋭い金色の瞳をこちらから逸らす彼は気にもとめてない様だった。それもそのはず、テーブルを挟んで彼の目の前に座るアリスの瞳は、彼との婚約を望んでいたから。
私はこの家での立場を十分に分かっている。私はアリスのスペアであり、最初から私の意思を問われることなどないのだから。
「では私はアリス嬢を貰っても良いのか?」
「ッはい!是非!」
公爵様はアリスの態度から婚約者は彼女だと判断したようだ。例えそうでなかったとしても、皆が私ではなく無垢なアリス惹かれるのは当たり前である。
アリスは頬を染めて愛らしい笑顔を公爵様に向けていた。両親もほっとした様子なのが伺える。私はいつもの笑顔を浮かべたまま目の前にある紅茶を口に含んだ。こんな時であろうとも、紅茶と甘いものは、私の心を少しだけ満たしてくれる。
──このまま、何も無いと良いけれど。
喜んでいる彼女とは対照的に、彼の周りの温度は先程よりも下がっていた。その理由は何故かわからない。今まで聞いてきた話から考えると、女性が苦手なのだろうか。
「よろしければ、我が家の庭をご案内致します。」
そう言ってアリスが公爵様の腕を取ると、彼は一瞬、おそらく誰も気づかないであろうレベルで怪訝そうに顔を歪めた。本当一瞬のことだったが、彼等のことを見ていた私はたまたま見てしまった。
──嗚呼、良くないわね。
「アリス。むやみに男性に触れてしまうと良くない印象を抱かれてしまうわ。婚約したのだから、焦らずにゆっくり歩み寄って行きましょう。」
「ぁ…そうですよね。ありがとうございます!お姉様。」
こそりと耳打ちすると、アリスは向日葵のような笑顔でお礼を口にした。私はその笑顔に対して、恐らく大抵の人が返すであろういつもよりも深い笑みで2人を見送った。
「その、フィオナ…先程はすまない。」
アリスと公爵の後ろ姿が見えなくなると、その場にいた両親は申し訳なさそうに謝罪を口にした。私はいつもよりも深い笑みのまま両親の方へ振り返り、用意された言葉を口にした。
「気になさらないで下さい。愛らしいアリスが公爵様と婚約出来て、私とっても嬉しいのですから。」
「…そうか。ならよかったよ。」
両親もほっとしたように微笑んでいた。
私は仕事があるからと応接間を後にして、父の執務室へと向かった。
私が両親の仕事を手伝いたいと初めて言った時、2人は何の反対も口にせず二つ返事で了承した。父は自分の書斎を好きに使っていいとも言った。もし私が無邪気な子供だったなら、2人に信頼されている証だろうと喜んでいたことだろう。しかしあの時の私は歳が2桁になったばかりでありながら既に年相応の子供らしさはなく、ただ両親は私に興味が無いだけだと理解していた。
そして10歳から手伝い始めた仕事も、今では父の仕事の半分をこなし、母の仕事に至ってはほぼ全ての仕事をこなしていた。しかしそのせいで両親が益々アリスを構うようになったのは言うまでもないだろう。
「フィオナお嬢様。お疲れ様です。」
父専属の執事は今でも変わらずに私の仕事を手伝ってくれている。私が母の仕事である屋敷や従業員の給料に関わる仕事をやっていると知ってから、メイド達も私を気にかけるようになっていた。とても分かりやすくて可愛らしいが、私は態度を変えられても特に何も感じなかった。むしろ至極当然だろうと思った。自分達の生活がかかっているのだから。
どうやら昼頃に来た公爵様は今日半日は我が家にて過ごすらしい。まあ夜には帰るらしいが。公爵家ともなれば仕事の量も多くて大変だろうに、わざわざ自分の婚約者を見極める為に調整したのだろうか。
彼の瞳には愛や熱意といったものが微塵も感じられなかった。まさに噂通りの冷たくて獰猛な狼のような人。きっと、婚約者にも愛情は望んでいないのだろう。公爵夫人としての務めを果たし、無駄な口出しをしない女。きっとそれが彼の望む理想の妻の姿なのだ。
そしてその理想に、アリスは当てはまらない。彼女は家族、ましてや夫婦の間には愛情があって当たり前だと思っている。そしていつまでも絵本や物語に出てくるような白馬の王子様との純愛を望んでいるのだ。
アリスの周りにはいつも多くの令息がいるが、彼女は彼等のことをお友達としか思っていないのは見ていてわかる。しかし彼等がそう思っているはずもなく、アリスの態度に一喜一憂させられている様はまるで喜劇だ。
そして今日、黒い馬車、黒い馬と共に公爵様がやってきた。彼女にはきっと、まさに理想の王子様に見えたことだろう。
机上に散乱した書類をまとめ、後は父のサインだけだと執事に渡す。最近はアリスがご友人達に高値の宝石を差し上げたりしていて、主にアリス絡みの出費が激しい。今はまだなんとかなるだろうが、このままでは家が傾いてしまうだろう。父にそのことを話すと渋い顔をなさっていた。あの顔はアリスを咎めると言うよりも…。
次の仕事に取り掛かろうとした時、事件は起こった。
「フィオナお嬢様!大変です!」
メイドがノックも忘れて執務室へと入ってきたかと思えば、どうやら1番恐れていたことが起こってしまったらしい。私は次から次へとやってくる厄介事に、ズキズキと痛む頭に手を当てて自然とため息をついていた。
「アリス様が公爵様とッ!」
──嗚呼、なんてことなの。
私から両親の愛や私物を奪うだけに留まらず、平穏まで奪おうとするなんて。
「分かりました。すぐ行きますわ。」
私はモヤモヤとした気持ちを押し潰して、メイドに案内されるまま応接間へと向かった。
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