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第40話 アメリス、悶える
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ほとほと自分の思慮の浅さが嫌になる。
よく考えてみれば、これまでの段階で自分から動いたことがあったかと問われれば、答えはNOである。
いや、動かなかったというわけではない。率先して動いてはいた。だが動いていただけなのだ。いつも無闇に突き進む私のことを周りの人がサポートしてくれていたから私は首の皮一枚繋がって生存していただけである。
「結局私が自分でできることなんて何もないのね……」
なんとなく手慰めに、床に転がっていた、アルドたちが座っていたクッションをポイと投げる。思ったよりも遠くに飛んでいき、ルネが外で待機しているはずのドアへと当たった。
クッションとドアの当たる振動が、ルネにも伝わったらしく、ガチャリという音と共に扉が開け放たれる。
「どうかしましたか? アメリス様」
貴族のドレスではなく、今はただの村娘のような格好をしたルネが部屋へと入ってきた。
「ああごめんなさい、別に呼びつけたわけじゃないの。ただ考え事をしていて、行き詰まってクッションを投げたらドアに当たってしまったの」
「考え事、ですか。どんなことを考えていたんです?」
そうですか、と言ってルネは再び外へと戻るかと思っていたが、話を聞く気らしくベットの上に腰をかけた。
まあ一人で考えていてもこれ以上仕方がないのは事実だし、相談してみるのも悪くないか。
「実はね、お姉様のことを考えていたの」
「アメリス様のお姉様、ですか。アサス様ですか?」
「ええ、よく知ってるわね」
「隣接地域のご令嬢ですし。それにうちの兄によくコンタクトを取ろうとしてたみたいですしね」
「あー」
そういえばそうだった。金にがめついアサスお姉様はロストスのことをいくらか気に入ってたっけ。
「それで、そのアサス様がどうしたんですか? 今更姉妹関係を修復したいわけでもないでしょう?」
「それはそうなんだけど、アサスお姉様ならもしかしたらこの事態を改善するきっかけになるんじゃないかと思って」
私がルネにそう告げると、彼女は要領を得ないといった表情で、
「と、言いますと?」
と言って首を傾げた。
まあ、そんな反応をするわよね。
予想通りの返しに、私はぽつりぽつりと今考えていることを話し出した。
「なるほど。確かにアサス様の性格を考えれば今の現状には満足していないでしょうね」
一通り話し終えると、ルネはそう言ってどこか遠い目をした。
「まだ兄が実業家として力をつける前からアサス様は私の兄に接触してきたほど、アサス様の金に対しての執着はすごいものだと思います。しかしだからと言って、利益を求めてアメリス様との対話に応じるかは微妙なラインじゃないですか」
「それはそうだけど、でも会ってみないと始まらないじゃない。もしかしたらアサスお姉様は私の提案に乗って、和解してくれるかもしれないかなって……」
「アサス様の利益を求める理由がわかればいいんですけどねぇ」
ルネは腕を組んで、言葉を漏らす。
彼女の言うことはもっともだ。そもそもアサスお姉様がどうしてあんなにも利益を追求するのかは、長年一緒にいた姉妹である私からしても窺い知れない。
国のためか、自分のためなのか、はたまたひたすらにお金が大好きなのか。
諸説はあるが(私の中で)、どれも定かではない。
「どうするんですかもし国のために利益を出そうとしていたら。アメリス様は即刻処刑ですよ」
「確かに……」
アサスお姉様はまるで機械仕掛けの自動人形かと思うほどに自分の感情を表に出さない。だからその意図は本人にしか窺い知れないのである。
「もう少しお姉様と一緒にいる努力をしておけばよかったわね……」
理想を口にしてみるが、当然向こうが必死に拒絶してきていたので、歩み寄ったとしても散々な結果に終わったであろうことは容易に想像できるが。
私は思わず頭を抱え込み、「あ~~っ」とため息とも嘆きの吐息とも混ざったものを口から吐き出す。そのまま魂が抜けていきそう。
「血の繋がった人間だといっても、あり方はそれぞれなんですね」
うなだれていると、ルネはどこか感心するように、どこか自分とは違う世界の人を見るかのように呟いた。
「そうね、兄妹で仲が良いあなたたちが羨ましいわ。秘訣を知りたいくらい」
「秘訣と言われましても……別に私と兄だって仲良いわけじゃないですよ」
「そうなの?」
意外だ。兄に全幅の信頼を寄せているように見えていたが、そうではないのかもしれない。
「そうですよ。アメリス様たちの仲が悪すぎるんです」
「うっ……」
その通りでございますとしか言えない。確かに仲が悪すぎる。顔を合わせれば睨まれ、話しかければ舌打ちされる。そういえば、アサスお姉様と妹のマリスも仲が悪かったっけ。アサスお姉様はマリスにも結構きつい態度取ってたわね。
「兄妹っていうのはどこかで通じ合ってると思いますけどねぇ。同じ人間から生まれた存在なんですから」
「そのはずなんだけどね……」
考えれば考えるほど、突破口が見えない。やっぱりアサスお姉様に取り入るのは無理なのか。
アサスお姉様にあうの不可能なのかしら、と呟くと、「どうにか工夫すれば会えるんじゃないですか?」とルネは私に言ってきた。
「工夫?」
「たとえば、変装するとか。変装して近づいてもしアメリス様の和解の申し入れを受け入れてくれるような雰囲気だったらそのまま正体を明かせばいいし、ダメそうなら変装を解かなければうまくいきません?」
「簡単そうに言ってくれるわね……」
確かに、もしその作戦がアサスお姉様の視力が異常に悪く、なおかつ屋敷にいる人間が揃いも揃ってバカだったらならばうまくいくかもしれない。しかし。だが変装なんてすぐに見破られてしまうだろう。「現実性が少し乏しいんじゃない?」と口にすると、
「そんなことないですよ。私、化粧とかそっちは自信があるんです。私が兄から任されている商品だって化粧品とか洋服なんです。アメリス様なら……そうですね、男装とかいけるんじゃないですか?」
顎をなでながら、ルネはジロジロと私の顔を見てきた。まるで人の体を物色するように。
「男装?」
あまりにも熱心な視線でこちらを見てくるので、少し恥ずかしくなり、さっと体を手で覆う。
「そう男装です。アメリス様は女性にしては身長が高いし、胸もだってぺったんこ。それに顔の造形からしても……いけるんじゃないですか、これ」
さらにまじまじと私の顔を見てくるルネ。胸がぺったんことかチクチク言葉が混ざっており褒められているのか貶されているのかわからないが、男装が似合うというのは悪い気はしないので「あはは……」と苦笑いで返す。
するとついにルネはベッドから立ち上がって私が座り込んでいるところの前にしゃがみ込むと、突然私の体をフニフニと触り始めた。
「ち、ちょっと待ってルネ。一体何を……」
抵抗しようとして一歩後ろに下がるも、ルネはジリジリと距離を無言で詰めてくる。なんだか少し怖くなり、彼女の顔を見ると、完全に目がキマっていた。
「ル、ルネ。正気を取り戻して!」
だが私の言葉は届かない。
「アメリス様、少しおとなしくしててくださいね……」
ニヤリと笑みを浮かべるルネ。二人だけの空間で、誰も彼女を止めるものはいない。服の上から採寸をするように身体中をペタペタと熱心に触ってきた。妙にくすぐったくて、思わず声が漏れそうになる。
くすぐったい感覚に耐えるのに必死で抵抗できず悶えていると、しばらく触り続けた後にルネは満足したのか、「ほうほう、わかりましたアメリス様。少し待っててくださいね」と言い残して、部屋を出ていってしまった。
「な、なんだったの……?」
よく考えてみれば、これまでの段階で自分から動いたことがあったかと問われれば、答えはNOである。
いや、動かなかったというわけではない。率先して動いてはいた。だが動いていただけなのだ。いつも無闇に突き進む私のことを周りの人がサポートしてくれていたから私は首の皮一枚繋がって生存していただけである。
「結局私が自分でできることなんて何もないのね……」
なんとなく手慰めに、床に転がっていた、アルドたちが座っていたクッションをポイと投げる。思ったよりも遠くに飛んでいき、ルネが外で待機しているはずのドアへと当たった。
クッションとドアの当たる振動が、ルネにも伝わったらしく、ガチャリという音と共に扉が開け放たれる。
「どうかしましたか? アメリス様」
貴族のドレスではなく、今はただの村娘のような格好をしたルネが部屋へと入ってきた。
「ああごめんなさい、別に呼びつけたわけじゃないの。ただ考え事をしていて、行き詰まってクッションを投げたらドアに当たってしまったの」
「考え事、ですか。どんなことを考えていたんです?」
そうですか、と言ってルネは再び外へと戻るかと思っていたが、話を聞く気らしくベットの上に腰をかけた。
まあ一人で考えていてもこれ以上仕方がないのは事実だし、相談してみるのも悪くないか。
「実はね、お姉様のことを考えていたの」
「アメリス様のお姉様、ですか。アサス様ですか?」
「ええ、よく知ってるわね」
「隣接地域のご令嬢ですし。それにうちの兄によくコンタクトを取ろうとしてたみたいですしね」
「あー」
そういえばそうだった。金にがめついアサスお姉様はロストスのことをいくらか気に入ってたっけ。
「それで、そのアサス様がどうしたんですか? 今更姉妹関係を修復したいわけでもないでしょう?」
「それはそうなんだけど、アサスお姉様ならもしかしたらこの事態を改善するきっかけになるんじゃないかと思って」
私がルネにそう告げると、彼女は要領を得ないといった表情で、
「と、言いますと?」
と言って首を傾げた。
まあ、そんな反応をするわよね。
予想通りの返しに、私はぽつりぽつりと今考えていることを話し出した。
「なるほど。確かにアサス様の性格を考えれば今の現状には満足していないでしょうね」
一通り話し終えると、ルネはそう言ってどこか遠い目をした。
「まだ兄が実業家として力をつける前からアサス様は私の兄に接触してきたほど、アサス様の金に対しての執着はすごいものだと思います。しかしだからと言って、利益を求めてアメリス様との対話に応じるかは微妙なラインじゃないですか」
「それはそうだけど、でも会ってみないと始まらないじゃない。もしかしたらアサスお姉様は私の提案に乗って、和解してくれるかもしれないかなって……」
「アサス様の利益を求める理由がわかればいいんですけどねぇ」
ルネは腕を組んで、言葉を漏らす。
彼女の言うことはもっともだ。そもそもアサスお姉様がどうしてあんなにも利益を追求するのかは、長年一緒にいた姉妹である私からしても窺い知れない。
国のためか、自分のためなのか、はたまたひたすらにお金が大好きなのか。
諸説はあるが(私の中で)、どれも定かではない。
「どうするんですかもし国のために利益を出そうとしていたら。アメリス様は即刻処刑ですよ」
「確かに……」
アサスお姉様はまるで機械仕掛けの自動人形かと思うほどに自分の感情を表に出さない。だからその意図は本人にしか窺い知れないのである。
「もう少しお姉様と一緒にいる努力をしておけばよかったわね……」
理想を口にしてみるが、当然向こうが必死に拒絶してきていたので、歩み寄ったとしても散々な結果に終わったであろうことは容易に想像できるが。
私は思わず頭を抱え込み、「あ~~っ」とため息とも嘆きの吐息とも混ざったものを口から吐き出す。そのまま魂が抜けていきそう。
「血の繋がった人間だといっても、あり方はそれぞれなんですね」
うなだれていると、ルネはどこか感心するように、どこか自分とは違う世界の人を見るかのように呟いた。
「そうね、兄妹で仲が良いあなたたちが羨ましいわ。秘訣を知りたいくらい」
「秘訣と言われましても……別に私と兄だって仲良いわけじゃないですよ」
「そうなの?」
意外だ。兄に全幅の信頼を寄せているように見えていたが、そうではないのかもしれない。
「そうですよ。アメリス様たちの仲が悪すぎるんです」
「うっ……」
その通りでございますとしか言えない。確かに仲が悪すぎる。顔を合わせれば睨まれ、話しかければ舌打ちされる。そういえば、アサスお姉様と妹のマリスも仲が悪かったっけ。アサスお姉様はマリスにも結構きつい態度取ってたわね。
「兄妹っていうのはどこかで通じ合ってると思いますけどねぇ。同じ人間から生まれた存在なんですから」
「そのはずなんだけどね……」
考えれば考えるほど、突破口が見えない。やっぱりアサスお姉様に取り入るのは無理なのか。
アサスお姉様にあうの不可能なのかしら、と呟くと、「どうにか工夫すれば会えるんじゃないですか?」とルネは私に言ってきた。
「工夫?」
「たとえば、変装するとか。変装して近づいてもしアメリス様の和解の申し入れを受け入れてくれるような雰囲気だったらそのまま正体を明かせばいいし、ダメそうなら変装を解かなければうまくいきません?」
「簡単そうに言ってくれるわね……」
確かに、もしその作戦がアサスお姉様の視力が異常に悪く、なおかつ屋敷にいる人間が揃いも揃ってバカだったらならばうまくいくかもしれない。しかし。だが変装なんてすぐに見破られてしまうだろう。「現実性が少し乏しいんじゃない?」と口にすると、
「そんなことないですよ。私、化粧とかそっちは自信があるんです。私が兄から任されている商品だって化粧品とか洋服なんです。アメリス様なら……そうですね、男装とかいけるんじゃないですか?」
顎をなでながら、ルネはジロジロと私の顔を見てきた。まるで人の体を物色するように。
「男装?」
あまりにも熱心な視線でこちらを見てくるので、少し恥ずかしくなり、さっと体を手で覆う。
「そう男装です。アメリス様は女性にしては身長が高いし、胸もだってぺったんこ。それに顔の造形からしても……いけるんじゃないですか、これ」
さらにまじまじと私の顔を見てくるルネ。胸がぺったんことかチクチク言葉が混ざっており褒められているのか貶されているのかわからないが、男装が似合うというのは悪い気はしないので「あはは……」と苦笑いで返す。
するとついにルネはベッドから立ち上がって私が座り込んでいるところの前にしゃがみ込むと、突然私の体をフニフニと触り始めた。
「ち、ちょっと待ってルネ。一体何を……」
抵抗しようとして一歩後ろに下がるも、ルネはジリジリと距離を無言で詰めてくる。なんだか少し怖くなり、彼女の顔を見ると、完全に目がキマっていた。
「ル、ルネ。正気を取り戻して!」
だが私の言葉は届かない。
「アメリス様、少しおとなしくしててくださいね……」
ニヤリと笑みを浮かべるルネ。二人だけの空間で、誰も彼女を止めるものはいない。服の上から採寸をするように身体中をペタペタと熱心に触ってきた。妙にくすぐったくて、思わず声が漏れそうになる。
くすぐったい感覚に耐えるのに必死で抵抗できず悶えていると、しばらく触り続けた後にルネは満足したのか、「ほうほう、わかりましたアメリス様。少し待っててくださいね」と言い残して、部屋を出ていってしまった。
「な、なんだったの……?」
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