110 / 169
Tier56 二手
しおりを挟む
長い廊下をトタパタと勢いよく走って来る足音が聞こえる。
そして、足音は突如止まる。
「ごめん、皆お待たせー!」
誰もいない六課に勢いよく入って来た那須の声が響き渡る。
「あれ? 皆、いないの?」
那須はキョロキョロと辺りを見渡す。
しかし、物音一つせず六課は静寂に包まれていた。
「おかしいな~? 皆もう先に来ていると思ったのに……まだ、来てないのかな~?」
那須は呟きながらデスクの下や引き出しの中、仕舞いにはゴミ箱の底からパソコンの裏まで皆がいないか探し始める。
「ここまで探していないとなると……もしかして、今日の招集って午前からじゃなくて午後から? だとしたら私、皆より先に来ちゃったってこと?」
ここには誰もいないので那須の独り言の疑問に答えてくれる者などいるわけもないのだが、誰が答えてくれなくとも那須は自分で結論を導き出した。
「なんだ、私うっかり先に来ちゃったのか。なら、皆が来るまで待ってよ」
導き出した結論が正しいかどうかはともかく、那須は自分の席に座り皆を待つことにした。
自分が致命的な勘違いをしていると、いつ気付くのかは那須次第である。
--------------------------
手塚課長が話終わる前にマノ君に引っ張られて、半ば強引に六課から出た僕達は既に警視庁本部の建物からも出ていた。
「俺と伊瀬は広崎の面会にこのまま行くけど、他はどうすんの?」
「あ、どうすればいいのかな?」
美結さんが、しまったという顔をする。
「手塚課長、私達に対しても指示出そうとしてたけど、それを聞かずに出て来ちゃったからね」
少し申し訳なさそうに市川さんが言う。
「多分だけど、渋谷の通り魔事件の資料を整理しといて欲しいとかだと思うよ。それなら、ただの資料整理だから捜査にならないしね」
丈人先輩の推測に僕はなるほどなと感心した。
「逆に言えば、現状は面会以外に出来るのはそれぐらいってことだな。正直、やってもやらなくても良い内容だ。資料の整理なんて、この事件の捜査を担当した所が既にやっている。改めて資料整理が必要になるには、新たな手掛かりが出た時ぐらいだ。何も掴めていない、現状にやることなんて無ぇよ」
「そんなの分かんないじゃん。もしかしたら、資料整理以外にも何か手塚課長がやって欲しいことがあるかも」
「何かってなんだよ?」
「それは……ちょっと分かんないけど……」
「分かんないなら最後まで聞けば良かっただろう。手塚課長のクソ寒いギャグを含めてな。なんで、一緒に出て来たんだよ?」
「えっと……体が反射的に……」
気まずそうに美結さんがマノ君に答える。
体が反射的にって……手塚課長のギャグはそこまで凄まじく寒いのだろうか……
「まぁ、本当に必要な指示があるとしたら、手塚課長だったら携帯に連絡してくれると思うよ。連絡が無かったら、俺達の推測が当たってたってことだから問題は無いしね。俺は手塚課長からの連絡が無いようなら一応、事件の資料整理やるつもりだけど、日菜ちゃんと美結ちゃんはどうする?」
「私もやろうと思ってました」
「アタシも!」
「じゃあ、決まりだね。俺達は事件の捜査資料を取りに行って整理しているから、二人は進展があったらいつでも連絡して」
「分かりました。んじゃ、俺達はさっさと広崎の面会と行くか」
僕とマノ君は広崎さんの面会へ、丈人先輩と美結さんと市川さんは事件の資料整理ということで僕達は二手に分かれることになった。
そして、足音は突如止まる。
「ごめん、皆お待たせー!」
誰もいない六課に勢いよく入って来た那須の声が響き渡る。
「あれ? 皆、いないの?」
那須はキョロキョロと辺りを見渡す。
しかし、物音一つせず六課は静寂に包まれていた。
「おかしいな~? 皆もう先に来ていると思ったのに……まだ、来てないのかな~?」
那須は呟きながらデスクの下や引き出しの中、仕舞いにはゴミ箱の底からパソコンの裏まで皆がいないか探し始める。
「ここまで探していないとなると……もしかして、今日の招集って午前からじゃなくて午後から? だとしたら私、皆より先に来ちゃったってこと?」
ここには誰もいないので那須の独り言の疑問に答えてくれる者などいるわけもないのだが、誰が答えてくれなくとも那須は自分で結論を導き出した。
「なんだ、私うっかり先に来ちゃったのか。なら、皆が来るまで待ってよ」
導き出した結論が正しいかどうかはともかく、那須は自分の席に座り皆を待つことにした。
自分が致命的な勘違いをしていると、いつ気付くのかは那須次第である。
--------------------------
手塚課長が話終わる前にマノ君に引っ張られて、半ば強引に六課から出た僕達は既に警視庁本部の建物からも出ていた。
「俺と伊瀬は広崎の面会にこのまま行くけど、他はどうすんの?」
「あ、どうすればいいのかな?」
美結さんが、しまったという顔をする。
「手塚課長、私達に対しても指示出そうとしてたけど、それを聞かずに出て来ちゃったからね」
少し申し訳なさそうに市川さんが言う。
「多分だけど、渋谷の通り魔事件の資料を整理しといて欲しいとかだと思うよ。それなら、ただの資料整理だから捜査にならないしね」
丈人先輩の推測に僕はなるほどなと感心した。
「逆に言えば、現状は面会以外に出来るのはそれぐらいってことだな。正直、やってもやらなくても良い内容だ。資料の整理なんて、この事件の捜査を担当した所が既にやっている。改めて資料整理が必要になるには、新たな手掛かりが出た時ぐらいだ。何も掴めていない、現状にやることなんて無ぇよ」
「そんなの分かんないじゃん。もしかしたら、資料整理以外にも何か手塚課長がやって欲しいことがあるかも」
「何かってなんだよ?」
「それは……ちょっと分かんないけど……」
「分かんないなら最後まで聞けば良かっただろう。手塚課長のクソ寒いギャグを含めてな。なんで、一緒に出て来たんだよ?」
「えっと……体が反射的に……」
気まずそうに美結さんがマノ君に答える。
体が反射的にって……手塚課長のギャグはそこまで凄まじく寒いのだろうか……
「まぁ、本当に必要な指示があるとしたら、手塚課長だったら携帯に連絡してくれると思うよ。連絡が無かったら、俺達の推測が当たってたってことだから問題は無いしね。俺は手塚課長からの連絡が無いようなら一応、事件の資料整理やるつもりだけど、日菜ちゃんと美結ちゃんはどうする?」
「私もやろうと思ってました」
「アタシも!」
「じゃあ、決まりだね。俺達は事件の捜査資料を取りに行って整理しているから、二人は進展があったらいつでも連絡して」
「分かりました。んじゃ、俺達はさっさと広崎の面会と行くか」
僕とマノ君は広崎さんの面会へ、丈人先輩と美結さんと市川さんは事件の資料整理ということで僕達は二手に分かれることになった。
0
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
学校1のイケメン♀️から逃げ出した先には地獄しかありませんでした
山田空
ライト文芸
ハーレムを目指していた主人公は転校してきたイケメンによってその計画を壊される。
そして、イケメンが実は女の子でありヤンデレであったことを知り逃げる。
逃げた途中でむかし付き合った彼女たちとの過去を思い出していく。
それは忘れたくても忘れられない悲しき記憶
この物語はヒロインと出会いそして別れるを繰り返す出会いと別れの物語だ。
そして、旅の最後に見つける大切で当たり前なものとは
隣に住んでいる後輩の『彼女』面がガチすぎて、オレの知ってるラブコメとはかなり違う気がする
夕姫
青春
【『白石夏帆』こいつには何を言っても無駄なようだ……】
主人公の神原秋人は、高校二年生。特別なことなど何もない、静かな一人暮らしを愛する少年だった。東京の私立高校に通い、誰とも深く関わらずただ平凡に過ごす日々。
そんな彼の日常は、ある春の日、突如現れた隣人によって塗り替えられる。後輩の白石夏帆。そしてとんでもないことを言い出したのだ。
「え?私たち、付き合ってますよね?」
なぜ?どうして?全く身に覚えのない主張に秋人は混乱し激しく否定する。だが、夏帆はまるで聞いていないかのように、秋人に猛烈に迫ってくる。何を言っても、どんな態度をとっても、その鋼のような意思は揺るがない。
「付き合っている」という謎の確信を持つ夏帆と、彼女に振り回されながらも憎めない(?)と思ってしまう秋人。これは、一人の後輩による一方的な「好き」が、平凡な先輩の日常を侵略する、予測不能な押しかけラブコメディ。
友達の妹が、入浴してる。
つきのはい
恋愛
「交換してみない?」
冴えない高校生の藤堂夏弥は、親友のオシャレでモテまくり同級生、鈴川洋平にバカげた話を持ちかけられる。
それは、お互い現在同居中の妹達、藤堂秋乃と鈴川美咲を交換して生活しようというものだった。
鈴川美咲は、美男子の洋平に勝るとも劣らない美少女なのだけれど、男子に嫌悪感を示し、夏弥とも形式的な会話しかしなかった。
冴えない男子と冷めがちな女子の距離感が、二人暮らしのなかで徐々に変わっていく。
そんなラブコメディです。
俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。
true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。
それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。
これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。
日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。
彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。
※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。
※内部進行完結済みです。毎日連載です。
むっつり金持ち高校生、巨乳美少女たちに囲まれて学園ハーレム
ピコサイクス
青春
顔は普通、性格も地味。
けれど実は金持ちな高校一年生――俺、朝倉健斗。
学校では埋もれキャラのはずなのに、なぜか周りは巨乳美女ばかり!?
大学生の家庭教師、年上メイド、同級生ギャルに清楚系美少女……。
真面目な御曹司を演じつつ、内心はむっつりスケベ。
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる