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この溢れ出しそうな気持ちをどう抑えたらいいのかわからない。
胸が苦しくて、眩しくて、後姿から目が離せない。
*****
「デレデレでしたね」
緑の離宮のガゼボからアスランを見送って姿が見えなくなったころ、ミシェルの後ろに控えていたルリーンが楽しそうに言った。
ミシェルは咄嗟にベールから出ている口元を押さえて振り返った。
「いえ、殿下ではなくて。陛下ですよ。ア・ス・ラ・ンへ・い・か!」
ミシェルはベールの中で目をぱちくりさせた。
ルリーンには見えていないはず。なのにミシェルの反応がしっかりわかってしまっているルリーンはさすがミシェルの魔法使いだ。
「まぁ、殿下ったらどうしてお気づきにならなかったんですか? このドレス姿、息を呑んで見つめていたじゃないですか」
アスランが息を呑んでいたかどうかは解らなかったが。
「ドレスは、似合っていると言ってくださったわ。ヒューブレインの女性みたいだと。国王陛下にお褒め頂くなんて、光栄なことだったわ」
ミシェルは少し照れながらルリーンに報告した。それがどれほど嬉しかったかは、なるべく悟られないようにと注意して。
しかしルリーンはミシェルが『国王陛下からお褒め頂いた』ことを喜んでいることにため息を吐いて首を振った。
「先ほど殿下とご一緒していらした紳士は、国王陛下ではありません」
ルリーンも一緒にいたし『陛下』と呼んでいたのにいきなり何を言い出すのかと、ミシェルは理解出来ないという風に首を傾げた。
「先ほどまで殿下と時間をお過ごしになった紳士は、ただの男です。国王陛下の仮面がすっぽり脱げ落ちて、ミシェル殿下に恋するただのひとりの男性でしたよ。しかもかなりヘタレの。二十七歳で女性にヘタレってどうなのかって感じですけど。なにも感じませんでしたか?」
ルリーンの言葉に、今度はミシェルがため息を吐いて首を振った。
「ルリーン、いけません。陛下の御前でなくとも、そのような物言いはしてはいけません。それに、からかわないのよ。わたしの魔法使いは想像力も豊かだわ。でも、そんなありえないストーリーじゃ小説家にはなれないわね」
ミシェルは再びため息を吐き、屋敷に向かって歩き出した。
その後ろ姿につぶやいた。
「だめだなヘタレ陛下。さすが王女は手強いぞ」
とりあえずルリーンは自分の機転でアスランがまた来られる状況を作ったことで、今日はよしとすることにした。
自室に戻り、夕食までゆっくりしたいと伝え一人になる。
ミシェルは大きく息を吐いた。
ルリーンがおかしなことを言ったからだ。
アスランがミシェルに恋するただの男などと言ったからだ。
それはない。絶対に。
そう確信していたが、ルリーンの言葉を思い返して鼓動が早くなる。
妄想でもいけないことだ。国王陛下が自分に想いを寄せてくれているなど、不敬極まりないことだ。
そして自分も。
この甘く苦しい胸の鼓動はいけない事なのだ。
逢いたくて姿を思い浮かべ、逢えた時には早鐘を打ったように胸が躍り、アスランの一喜一憂に呼吸が苦しくなる。
アスランがミシェルを見て微笑んだ時、ミシェルの目はベールの中で蕩け頬は燃える。
ミシェルは自分に言い訳をする。
国王陛下は国民の憧れ。自分はこの国の民ではないけれど、この国の民と同じように若く逞しく美しい王に憧れてしまっているだけ。
国王陛下に本気の恋をしたりしない。
見て憧れるだけ。
少しくらい近しくさせていただいたからと言って、不敬なことを胸に抱いてはいけない。弁えなくてはいけない。
それに自分は、恋と一番遠いところにいるのだから。
*****
ヒューブレインに来てから毎晩寝る前に施術されるようになったルリーンのフェイスマッサージを受けながら、楽しそうに喋るルリーンの顔を椅子に腰かけながらミシェルが困った顔で見上げていた。
ルリーンが『陛下デレデレ』話を再びし始めたからだ。
「国王陛下が私にそんな風になるはずないわ」
「でも本当に恋する男でしたよ」
「それはありえないと言ったでしょ。国王陛下が誰彼構わず恋すると思うの?」
「思います。国王陛下と言えどひとりの男なわけですから。それに恋って選んでするものじゃないじゃないですか。気が付いたら落ちているのが恋の醍醐味ですよぉ」
ルリーンは本当に楽しそうだ。
友達がいれば年頃の女の子同士でこんな話をして楽しむのだろうが、ミシェルには初めての経験だ。
一番近くにいた侍女ともこんな風に話しをしたことがない。内親王であるミシェルと砕けたことを話すなど決してしなかったからだ。
本当は侍女ともこんな風に自然な会話をしたかった。なので、話の内容はともかくルリーンとお喋りをするのが楽しいミシェルだった。
ルリーンは話しかけていいかと許可も取らないし。言葉遣いは気を付けているが、笑顔を隠さず感情豊かに砕けた内容のことでも普通に喋ってくる。
「ヒューブレインの侍女やメイドは、皆主人とこんな風にお喋りするの?」
ルリーンが特別なのか、それとも国柄なのか。
「ご主人によるかと……。わたし、砕けすぎていますか?」
見上げたルリーンの顔が戸惑ったように眉が下がったので、ミシェルは焦って否定した。
「ちがうのよ。それが嬉しいの。わたしは今までこんな風に女の子同士で楽しくお喋りすることが妹としか出来なかったの。だから嬉しいのよ」
「お国の侍女は殿下にどのようにしていらしたのですか?」
「真っすぐ視線を合わせたりはしないし、話をするときもまずは許可を得るの。本当はそんなことわたしはしてほしくなかったけど、グルシスタでは王族の権威がとても高くてそういうしきたりだったから。権威が高いことが良い面もあるわ。尊敬されることで国民を統率していけるし、その尊敬に恥じないように自身を律することもできる」
「では今のわたしをグルシスタの方が見たら、きっと激怒されてしまいますね」
「ふふふ。でもね、そうして恐れ多い存在として在らねばならなかったから、友達もいなかったし家族以外の人と楽しくお喋りもしたことがなかったわ。しかもわたしはこの痣があって引き籠っていたから。だから本当にあなたとお喋りするのが楽しいの。同年代の女の子とこんな風にお喋りしてみたかったのよ」
感謝を込めて言うと、ルリーンも嬉しそうに笑顔を見せた。
「王族の方には、ちゃんと国を治めている方への敬意をもって接しなくてはいけませんがグルシスタほどではないかもしれませんね。わたしは大概砕けた女なので父からくれぐれも失礼のないように……と言われてきたのですけど、殿下がお優しいので甘えさせていただいています」
「甘えているのはわたしだわ」
「でも、今の話でわかりました。グルシスタとヒューブレインでは王族に対して違うところが多々ありそうです。例えば王族の方の結婚とかは、どうなんですか?」
ルリーンが興味津々で聞く。
「そうね。王族に準ずる貴族とか、神官の家系の近い年齢の人と結婚するわ」
「それはお見合いで?」
「お見合い? っていうのかしら? 王と役人で決められた人と結婚します。自由に恋愛でというのはないけれど、妹のアンヌは婚約者がいてとても良い関係を築いているわ。きっと幸せな家庭を築けるでしょう」
ミシェルはかわいいアンヌを思い出す。
離れていても、いつもでアンヌの幸せを願っている。
「ヒューブレインは恋愛結婚をする王族の方もいます。貴族たちが娘を売り込んだり、自分で陛下のそばに侍ろうと必死に近づいて妻の座を射止めんと頑張ったりします。外国の姫を迎えることもありますし。さすがに平民と結婚はなかったと思いますけど、グルシスタに比べたら自由結婚が許されていますねー。今の陛下は独身ですから、『アスラン様~』とかって女性に追いかけられてるいとか……」
ルリーンの話にミシェルは驚いた。
自ら国王陛下に売り込みにいくなど、グルシスタではありえない。
貴族との距離がグルシスタよりもずっと近いようだ。
「そうなの。それなら、陛下も良き相手をご自身で見つけることができるのね」
「そうです。恋愛も自由です。ミシェル殿下はご自身の国の国王と同じようにわが国の国王をお考えなのでわたしの言うデレデレとかも信じられないのかもしれないですけど、わが国では国王陛下も普通に恋をしてデレデレします。今日のように」
「ルリーン、それはルリーンが思い込んでいるだけよ。わたしにそんなことあるはずがないわ」
ミシェルはきっぱりと言い切った。
それが間違いようのない事実であると確信しているからだ。
「どうしてですか? こんな美しい王女を目の前にしてデレデレしない男は、そうはいません!」
「そこまでのお世辞はいらないわ。わたしはちゃんとわかっています」
ミシェルの頑なさをルリーンは断固として否定する。
「いいえ。殿下はわかっておられません。まったくわかっておられません」
「やめて。誰にだってわかることじゃない。わたしは顔を隠しているのよ。しかも、隠した顔にはこんなひどい痣もある。美しいはずがないことは、誰にだってわかることよ」
「いいえ。わかっておられません。ミシェル殿下はお美しいです。これは変えられようもない事実です」
「もう今日はいいわ。休みます」
ミシェルは苛立ち、もうこれ以上この話はしたくないと打ち切ろうとしたのにルリーンはミシェルを逃がさなかった。
ミシェルが間違っていることをどうしても否定したかったから。ミシェルが美しいことをミシェルにもわからせたかった。
「殿下、わたしはお世辞を言いません。美しさとは外見の造形だけで作られるものでしょうか。顔を隠していても溢れ出る美しさがあります。殿下はそれをお持ちの方です。そして隠れたそのお顔の造形も、美しいことに間違いはありません」
「やめて」
「陛下にもその美しさが見えたんです。だから陛下も殿下に恋してしまったんです。殿下が陛下を受け入れられるなら……」
ルリーンは落ち着いて自分の中の真実をミシェルに伝えようとしたが、ミシェルは落ち着いてそれを受け止めることが出来ない。
「やめなさいと言っています。お願いルリーン、あなたを遠ざけたくないの」
これ以上はもう無理だという苛立ちに、ミシェルの言葉が厳しくなった。
下がるしかないルリーンだったが、ミシェルの頑なが寂しかった。
ルリーンに嘘はひとつもない。でも、ミシェルはミシェル自身を否定する。
あまりに傷が根深いのだ。
「もう休むわ。下がってちょうだい」
今のミシェルにはここまでが精いっぱいだった。
「わたしは殿下が明日も、わたしに美しい笑顔を向けてくださると疑いません」
ルリーンも、これが精いっぱいだった。
ミシェルはベッドに入ってもすぐには眠れずにいた。
ルリーンはミシェルに悪意なんかなかった。ミシェルを喜ばせようと言ってくれたはずだ。
でも、やはり嘘は嘘だと思った。
この醜い痣がある限り、自分に美しいという言葉は正しくない。
そしてその醜さを必死で隠している。民を救ったことを誇りにして堂々を見せる潔さもない。
美しいはずがない。
恋愛も結婚も諦めている。
こんな醜い女を妻に迎える男性などいようはずもない。
極貧国では王族と結婚しても贅沢などできないから、我慢して娶っても見返りもない。
それでも忠誠心を持って夫になってくれるものもいるだろが、誰かを醜い妻を持つ哀れな夫などにしたくはない。
ヒューブレインでの生活が終わり国に帰ったら、出家して修道女になり城からも出ようと考えていた。
自分に出来ることは、国のため民のため祈ること。祈りの人生を幸せだと思わなくてはいけないと。
そしてアスランを思い出す。
アスランが自由な結婚が出来るのがうらやましかった。
彼に愛され望まれる人は世界一幸福な女性だ。
しかしそれを考えたミシェルの胸はまるで握りつぶされているように痛く苦しくなった。
いけない。羨ましいと妬むなんていけないことだ。
ミシェルは自分を叱るのだが、上手くいかない。
自分が哀れに思えて、恥ずかしさに涙がこぼれた。
*****
部屋のカーテンが開けられる音と、窓から差し込む日の光で目が覚めた。
明け方近くまで眠れず、少し目が痛い。
「おはようございます。ミシェル殿下」
いつもと変わらないルリーンの声だったが、目を開けたミシェルを見て眉尻が下がる。
「私が殿下を泣かせてしまったんですね」
ミシェルの涙の跡を見つけたからだ。
「おはようルリーン。あなたのせいじゃないわ。自分が情けなかっただけ」
ミシェルはなんとか微笑んで言ったが、ルリーンを見て不安になった。
もしかしたら、ルリーンが辞めてしまうなんてことはないだろうか?
こんな自分の相手をするのは面倒以外の何物でもない。
それはいやだ。
昨日の自分は間違っていない。おかしなことを言ったのはルリーンで、しかも主人の静止も聞かなかった。ルリーンが悪いのだ。
しかしきつい言葉を使ってルリーンを下がらせた。
今まで侍女に感情的に言葉を向けたことは一度もないのに、ルリーンにはしてしまった。
それが他の主人であれば使用人にそのようなことは珍しいことではない。ミシェルがしたことがなく、知らないだけだ。
だからルリーンがそんなことですぐに辞めるなどありえないのだが、ミシェルには初めてのことでそれを知らない。
ルリーンを失うのが、どうしてもいやだった。
わたしはこんなにわがままだったろうか?
ルリーンは侍女だが、ミシェルにとっては初めて出来た友人でもあったのだ。
「ミシェル殿下」
ルリーンがまだベッドの中で横たわったままのミシェルの前に膝をついた。
「その涙も、わたしが殿下を泣かせてしまったのでしょうか?」
ミシェルの目からポロポロと涙がこぼれたのだ。
「ちがうわ」
そうは言っても涙はこぼれる。
ヒューブレインに来てからの短い期間でミシェルにとってルリーンは泣くほど大事な侍女で、友達で。
「わたしは魔法使いですよ殿下。あなたがどうして泣いているのかも、お見通しです」
ルリーンはハンカチでミシェルの涙を掬いながら言った。
「それでもわたしは言いますよ。殿下が美しいと。何度も、これからもずっと言い続けます。怒られても、喧嘩したって、真実を曲げることは出来ません。そしてどんなに殿下に嫌がられてもおそばを離れません。ヒューブレインではわたし以外に殿下のお世話を出来るものは居りません。だってわたしは、ミシェル殿下だけの魔法使いですから」
はっきりを言われて、ミシェルはまた涙をこぼした。
魔法使いのルリーンでも、ミシェルの涙の意味を誤解していた。
ルリーンは自分がミシェルにこれほど愛されているとは、わかっていなかった。
ミシェルはルリーンが美しいと言ったことは認めないが、ルリーンが離れないと言ってくれたことが嬉しくて涙がこぼれてしまったのだった。
涙をぬぐった目が柔らかく弧をえがいたので、ルリーンも小さく安堵した。
もしかしたら侍女を変えてくれと言うかもしれないと、少しだけ思っていたからだ。
「殿下は泣き虫さんですね」
「そうみたい。自分でも知らなかったわ。グルシスタではこんなに泣いたりしなかったのよ」
「泣くのは悪いことではありません。感情は表に出すべきです。ご自身を抑えてばかりいてはいけません。わたしの前では遠慮なく、いつでも笑って、怒って、泣いていただきたいです」
わたしの魔法使いはわたしのためにわたしを甘やかす。
「もう、そうなってしまっているみたい」
ミシェルが笑うと、ルリーンも笑う。
友達が出来た。それだけでもミシェルには奇跡のようなことだ。
これ以上の欲は持ってはいけない。
父上であるオーギュスト王の幸せを願うように、アスランの幸せも祈ろう。
嫉妬や僻みを遠ざけよう。
身の程を弁えぬ胸の痛みのせいで欲を覚えてはいけない。
アスランのことはなるべく考えないよう心から追い出すことを決めた。
そう、決めたのに。
*****
アスランは来た。
次の週も。また次の週も。
菓子と本を持って。
まるで緑の離宮にくるためにスケジュールが組まれているかのように、毎週同じ時間にアスランはミシェルに逢いに来た。
ミシェルは心に決めたことを守った。
アスランが息抜きで来ていると言うので、それ以上の意味を考えなかった。
他国から預かっている賓客への気遣いもあるかもしれない程度まで。それ以上の意味はない。
ルリーンはたびたびアスランのミシェルへの態度を騒いだが、笑って流した。
一瞬でも真に受けてしまったら、また情けなくなってしまうから。
アスランと話しをすることは楽しかった。
借りた本も面白く、感想を言い合いながら会話を弾ませると時間はあっという間だった。
楽しい時間を感謝し、満足した。
もし次の週からアスランが来なくなったとしても決してがっかりしないよう。喜ばず、心を律した。
しかしルリーンは満足しない。
ルリーンにはミシェルに言いたいこと、信じさせたいことが毎週のように積み重なっていた。
ミシェルの態度を見て思う。
ああ、ミシェル殿下は閉ざしてしまった。
それでもルリーンはミシェルの閉ざした心の部屋の鍵を探すことを諦めない。
それがルリーンの使命でもあるからだ。
胸が苦しくて、眩しくて、後姿から目が離せない。
*****
「デレデレでしたね」
緑の離宮のガゼボからアスランを見送って姿が見えなくなったころ、ミシェルの後ろに控えていたルリーンが楽しそうに言った。
ミシェルは咄嗟にベールから出ている口元を押さえて振り返った。
「いえ、殿下ではなくて。陛下ですよ。ア・ス・ラ・ンへ・い・か!」
ミシェルはベールの中で目をぱちくりさせた。
ルリーンには見えていないはず。なのにミシェルの反応がしっかりわかってしまっているルリーンはさすがミシェルの魔法使いだ。
「まぁ、殿下ったらどうしてお気づきにならなかったんですか? このドレス姿、息を呑んで見つめていたじゃないですか」
アスランが息を呑んでいたかどうかは解らなかったが。
「ドレスは、似合っていると言ってくださったわ。ヒューブレインの女性みたいだと。国王陛下にお褒め頂くなんて、光栄なことだったわ」
ミシェルは少し照れながらルリーンに報告した。それがどれほど嬉しかったかは、なるべく悟られないようにと注意して。
しかしルリーンはミシェルが『国王陛下からお褒め頂いた』ことを喜んでいることにため息を吐いて首を振った。
「先ほど殿下とご一緒していらした紳士は、国王陛下ではありません」
ルリーンも一緒にいたし『陛下』と呼んでいたのにいきなり何を言い出すのかと、ミシェルは理解出来ないという風に首を傾げた。
「先ほどまで殿下と時間をお過ごしになった紳士は、ただの男です。国王陛下の仮面がすっぽり脱げ落ちて、ミシェル殿下に恋するただのひとりの男性でしたよ。しかもかなりヘタレの。二十七歳で女性にヘタレってどうなのかって感じですけど。なにも感じませんでしたか?」
ルリーンの言葉に、今度はミシェルがため息を吐いて首を振った。
「ルリーン、いけません。陛下の御前でなくとも、そのような物言いはしてはいけません。それに、からかわないのよ。わたしの魔法使いは想像力も豊かだわ。でも、そんなありえないストーリーじゃ小説家にはなれないわね」
ミシェルは再びため息を吐き、屋敷に向かって歩き出した。
その後ろ姿につぶやいた。
「だめだなヘタレ陛下。さすが王女は手強いぞ」
とりあえずルリーンは自分の機転でアスランがまた来られる状況を作ったことで、今日はよしとすることにした。
自室に戻り、夕食までゆっくりしたいと伝え一人になる。
ミシェルは大きく息を吐いた。
ルリーンがおかしなことを言ったからだ。
アスランがミシェルに恋するただの男などと言ったからだ。
それはない。絶対に。
そう確信していたが、ルリーンの言葉を思い返して鼓動が早くなる。
妄想でもいけないことだ。国王陛下が自分に想いを寄せてくれているなど、不敬極まりないことだ。
そして自分も。
この甘く苦しい胸の鼓動はいけない事なのだ。
逢いたくて姿を思い浮かべ、逢えた時には早鐘を打ったように胸が躍り、アスランの一喜一憂に呼吸が苦しくなる。
アスランがミシェルを見て微笑んだ時、ミシェルの目はベールの中で蕩け頬は燃える。
ミシェルは自分に言い訳をする。
国王陛下は国民の憧れ。自分はこの国の民ではないけれど、この国の民と同じように若く逞しく美しい王に憧れてしまっているだけ。
国王陛下に本気の恋をしたりしない。
見て憧れるだけ。
少しくらい近しくさせていただいたからと言って、不敬なことを胸に抱いてはいけない。弁えなくてはいけない。
それに自分は、恋と一番遠いところにいるのだから。
*****
ヒューブレインに来てから毎晩寝る前に施術されるようになったルリーンのフェイスマッサージを受けながら、楽しそうに喋るルリーンの顔を椅子に腰かけながらミシェルが困った顔で見上げていた。
ルリーンが『陛下デレデレ』話を再びし始めたからだ。
「国王陛下が私にそんな風になるはずないわ」
「でも本当に恋する男でしたよ」
「それはありえないと言ったでしょ。国王陛下が誰彼構わず恋すると思うの?」
「思います。国王陛下と言えどひとりの男なわけですから。それに恋って選んでするものじゃないじゃないですか。気が付いたら落ちているのが恋の醍醐味ですよぉ」
ルリーンは本当に楽しそうだ。
友達がいれば年頃の女の子同士でこんな話をして楽しむのだろうが、ミシェルには初めての経験だ。
一番近くにいた侍女ともこんな風に話しをしたことがない。内親王であるミシェルと砕けたことを話すなど決してしなかったからだ。
本当は侍女ともこんな風に自然な会話をしたかった。なので、話の内容はともかくルリーンとお喋りをするのが楽しいミシェルだった。
ルリーンは話しかけていいかと許可も取らないし。言葉遣いは気を付けているが、笑顔を隠さず感情豊かに砕けた内容のことでも普通に喋ってくる。
「ヒューブレインの侍女やメイドは、皆主人とこんな風にお喋りするの?」
ルリーンが特別なのか、それとも国柄なのか。
「ご主人によるかと……。わたし、砕けすぎていますか?」
見上げたルリーンの顔が戸惑ったように眉が下がったので、ミシェルは焦って否定した。
「ちがうのよ。それが嬉しいの。わたしは今までこんな風に女の子同士で楽しくお喋りすることが妹としか出来なかったの。だから嬉しいのよ」
「お国の侍女は殿下にどのようにしていらしたのですか?」
「真っすぐ視線を合わせたりはしないし、話をするときもまずは許可を得るの。本当はそんなことわたしはしてほしくなかったけど、グルシスタでは王族の権威がとても高くてそういうしきたりだったから。権威が高いことが良い面もあるわ。尊敬されることで国民を統率していけるし、その尊敬に恥じないように自身を律することもできる」
「では今のわたしをグルシスタの方が見たら、きっと激怒されてしまいますね」
「ふふふ。でもね、そうして恐れ多い存在として在らねばならなかったから、友達もいなかったし家族以外の人と楽しくお喋りもしたことがなかったわ。しかもわたしはこの痣があって引き籠っていたから。だから本当にあなたとお喋りするのが楽しいの。同年代の女の子とこんな風にお喋りしてみたかったのよ」
感謝を込めて言うと、ルリーンも嬉しそうに笑顔を見せた。
「王族の方には、ちゃんと国を治めている方への敬意をもって接しなくてはいけませんがグルシスタほどではないかもしれませんね。わたしは大概砕けた女なので父からくれぐれも失礼のないように……と言われてきたのですけど、殿下がお優しいので甘えさせていただいています」
「甘えているのはわたしだわ」
「でも、今の話でわかりました。グルシスタとヒューブレインでは王族に対して違うところが多々ありそうです。例えば王族の方の結婚とかは、どうなんですか?」
ルリーンが興味津々で聞く。
「そうね。王族に準ずる貴族とか、神官の家系の近い年齢の人と結婚するわ」
「それはお見合いで?」
「お見合い? っていうのかしら? 王と役人で決められた人と結婚します。自由に恋愛でというのはないけれど、妹のアンヌは婚約者がいてとても良い関係を築いているわ。きっと幸せな家庭を築けるでしょう」
ミシェルはかわいいアンヌを思い出す。
離れていても、いつもでアンヌの幸せを願っている。
「ヒューブレインは恋愛結婚をする王族の方もいます。貴族たちが娘を売り込んだり、自分で陛下のそばに侍ろうと必死に近づいて妻の座を射止めんと頑張ったりします。外国の姫を迎えることもありますし。さすがに平民と結婚はなかったと思いますけど、グルシスタに比べたら自由結婚が許されていますねー。今の陛下は独身ですから、『アスラン様~』とかって女性に追いかけられてるいとか……」
ルリーンの話にミシェルは驚いた。
自ら国王陛下に売り込みにいくなど、グルシスタではありえない。
貴族との距離がグルシスタよりもずっと近いようだ。
「そうなの。それなら、陛下も良き相手をご自身で見つけることができるのね」
「そうです。恋愛も自由です。ミシェル殿下はご自身の国の国王と同じようにわが国の国王をお考えなのでわたしの言うデレデレとかも信じられないのかもしれないですけど、わが国では国王陛下も普通に恋をしてデレデレします。今日のように」
「ルリーン、それはルリーンが思い込んでいるだけよ。わたしにそんなことあるはずがないわ」
ミシェルはきっぱりと言い切った。
それが間違いようのない事実であると確信しているからだ。
「どうしてですか? こんな美しい王女を目の前にしてデレデレしない男は、そうはいません!」
「そこまでのお世辞はいらないわ。わたしはちゃんとわかっています」
ミシェルの頑なさをルリーンは断固として否定する。
「いいえ。殿下はわかっておられません。まったくわかっておられません」
「やめて。誰にだってわかることじゃない。わたしは顔を隠しているのよ。しかも、隠した顔にはこんなひどい痣もある。美しいはずがないことは、誰にだってわかることよ」
「いいえ。わかっておられません。ミシェル殿下はお美しいです。これは変えられようもない事実です」
「もう今日はいいわ。休みます」
ミシェルは苛立ち、もうこれ以上この話はしたくないと打ち切ろうとしたのにルリーンはミシェルを逃がさなかった。
ミシェルが間違っていることをどうしても否定したかったから。ミシェルが美しいことをミシェルにもわからせたかった。
「殿下、わたしはお世辞を言いません。美しさとは外見の造形だけで作られるものでしょうか。顔を隠していても溢れ出る美しさがあります。殿下はそれをお持ちの方です。そして隠れたそのお顔の造形も、美しいことに間違いはありません」
「やめて」
「陛下にもその美しさが見えたんです。だから陛下も殿下に恋してしまったんです。殿下が陛下を受け入れられるなら……」
ルリーンは落ち着いて自分の中の真実をミシェルに伝えようとしたが、ミシェルは落ち着いてそれを受け止めることが出来ない。
「やめなさいと言っています。お願いルリーン、あなたを遠ざけたくないの」
これ以上はもう無理だという苛立ちに、ミシェルの言葉が厳しくなった。
下がるしかないルリーンだったが、ミシェルの頑なが寂しかった。
ルリーンに嘘はひとつもない。でも、ミシェルはミシェル自身を否定する。
あまりに傷が根深いのだ。
「もう休むわ。下がってちょうだい」
今のミシェルにはここまでが精いっぱいだった。
「わたしは殿下が明日も、わたしに美しい笑顔を向けてくださると疑いません」
ルリーンも、これが精いっぱいだった。
ミシェルはベッドに入ってもすぐには眠れずにいた。
ルリーンはミシェルに悪意なんかなかった。ミシェルを喜ばせようと言ってくれたはずだ。
でも、やはり嘘は嘘だと思った。
この醜い痣がある限り、自分に美しいという言葉は正しくない。
そしてその醜さを必死で隠している。民を救ったことを誇りにして堂々を見せる潔さもない。
美しいはずがない。
恋愛も結婚も諦めている。
こんな醜い女を妻に迎える男性などいようはずもない。
極貧国では王族と結婚しても贅沢などできないから、我慢して娶っても見返りもない。
それでも忠誠心を持って夫になってくれるものもいるだろが、誰かを醜い妻を持つ哀れな夫などにしたくはない。
ヒューブレインでの生活が終わり国に帰ったら、出家して修道女になり城からも出ようと考えていた。
自分に出来ることは、国のため民のため祈ること。祈りの人生を幸せだと思わなくてはいけないと。
そしてアスランを思い出す。
アスランが自由な結婚が出来るのがうらやましかった。
彼に愛され望まれる人は世界一幸福な女性だ。
しかしそれを考えたミシェルの胸はまるで握りつぶされているように痛く苦しくなった。
いけない。羨ましいと妬むなんていけないことだ。
ミシェルは自分を叱るのだが、上手くいかない。
自分が哀れに思えて、恥ずかしさに涙がこぼれた。
*****
部屋のカーテンが開けられる音と、窓から差し込む日の光で目が覚めた。
明け方近くまで眠れず、少し目が痛い。
「おはようございます。ミシェル殿下」
いつもと変わらないルリーンの声だったが、目を開けたミシェルを見て眉尻が下がる。
「私が殿下を泣かせてしまったんですね」
ミシェルの涙の跡を見つけたからだ。
「おはようルリーン。あなたのせいじゃないわ。自分が情けなかっただけ」
ミシェルはなんとか微笑んで言ったが、ルリーンを見て不安になった。
もしかしたら、ルリーンが辞めてしまうなんてことはないだろうか?
こんな自分の相手をするのは面倒以外の何物でもない。
それはいやだ。
昨日の自分は間違っていない。おかしなことを言ったのはルリーンで、しかも主人の静止も聞かなかった。ルリーンが悪いのだ。
しかしきつい言葉を使ってルリーンを下がらせた。
今まで侍女に感情的に言葉を向けたことは一度もないのに、ルリーンにはしてしまった。
それが他の主人であれば使用人にそのようなことは珍しいことではない。ミシェルがしたことがなく、知らないだけだ。
だからルリーンがそんなことですぐに辞めるなどありえないのだが、ミシェルには初めてのことでそれを知らない。
ルリーンを失うのが、どうしてもいやだった。
わたしはこんなにわがままだったろうか?
ルリーンは侍女だが、ミシェルにとっては初めて出来た友人でもあったのだ。
「ミシェル殿下」
ルリーンがまだベッドの中で横たわったままのミシェルの前に膝をついた。
「その涙も、わたしが殿下を泣かせてしまったのでしょうか?」
ミシェルの目からポロポロと涙がこぼれたのだ。
「ちがうわ」
そうは言っても涙はこぼれる。
ヒューブレインに来てからの短い期間でミシェルにとってルリーンは泣くほど大事な侍女で、友達で。
「わたしは魔法使いですよ殿下。あなたがどうして泣いているのかも、お見通しです」
ルリーンはハンカチでミシェルの涙を掬いながら言った。
「それでもわたしは言いますよ。殿下が美しいと。何度も、これからもずっと言い続けます。怒られても、喧嘩したって、真実を曲げることは出来ません。そしてどんなに殿下に嫌がられてもおそばを離れません。ヒューブレインではわたし以外に殿下のお世話を出来るものは居りません。だってわたしは、ミシェル殿下だけの魔法使いですから」
はっきりを言われて、ミシェルはまた涙をこぼした。
魔法使いのルリーンでも、ミシェルの涙の意味を誤解していた。
ルリーンは自分がミシェルにこれほど愛されているとは、わかっていなかった。
ミシェルはルリーンが美しいと言ったことは認めないが、ルリーンが離れないと言ってくれたことが嬉しくて涙がこぼれてしまったのだった。
涙をぬぐった目が柔らかく弧をえがいたので、ルリーンも小さく安堵した。
もしかしたら侍女を変えてくれと言うかもしれないと、少しだけ思っていたからだ。
「殿下は泣き虫さんですね」
「そうみたい。自分でも知らなかったわ。グルシスタではこんなに泣いたりしなかったのよ」
「泣くのは悪いことではありません。感情は表に出すべきです。ご自身を抑えてばかりいてはいけません。わたしの前では遠慮なく、いつでも笑って、怒って、泣いていただきたいです」
わたしの魔法使いはわたしのためにわたしを甘やかす。
「もう、そうなってしまっているみたい」
ミシェルが笑うと、ルリーンも笑う。
友達が出来た。それだけでもミシェルには奇跡のようなことだ。
これ以上の欲は持ってはいけない。
父上であるオーギュスト王の幸せを願うように、アスランの幸せも祈ろう。
嫉妬や僻みを遠ざけよう。
身の程を弁えぬ胸の痛みのせいで欲を覚えてはいけない。
アスランのことはなるべく考えないよう心から追い出すことを決めた。
そう、決めたのに。
*****
アスランは来た。
次の週も。また次の週も。
菓子と本を持って。
まるで緑の離宮にくるためにスケジュールが組まれているかのように、毎週同じ時間にアスランはミシェルに逢いに来た。
ミシェルは心に決めたことを守った。
アスランが息抜きで来ていると言うので、それ以上の意味を考えなかった。
他国から預かっている賓客への気遣いもあるかもしれない程度まで。それ以上の意味はない。
ルリーンはたびたびアスランのミシェルへの態度を騒いだが、笑って流した。
一瞬でも真に受けてしまったら、また情けなくなってしまうから。
アスランと話しをすることは楽しかった。
借りた本も面白く、感想を言い合いながら会話を弾ませると時間はあっという間だった。
楽しい時間を感謝し、満足した。
もし次の週からアスランが来なくなったとしても決してがっかりしないよう。喜ばず、心を律した。
しかしルリーンは満足しない。
ルリーンにはミシェルに言いたいこと、信じさせたいことが毎週のように積み重なっていた。
ミシェルの態度を見て思う。
ああ、ミシェル殿下は閉ざしてしまった。
それでもルリーンはミシェルの閉ざした心の部屋の鍵を探すことを諦めない。
それがルリーンの使命でもあるからだ。
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