亡国の公女の恋

小ろく

文字の大きさ
5 / 22

5

しおりを挟む
 グレタゴの街はキヌルに比べると残っている人も多少はいるようだった。
 コースリーの大群が通り過ぎて行ったこともあって外にはほとんど出ておらす、いつまたこの街に来るかもわからないので鎧戸を閉め家に籠っているようだ。
 スヴェトラーナとルカは街を脱出する平民のふりをしてグレタゴの街を抜けた。
 この街で宿を取れないかともルカは考えていたが、店はひとつも開いていない。
 スヴェトラーナに確認するとまだ歩けると強がりではあったが言ったので、ルカは農村の方まで進み民家の馬小屋でも借りて屋根のあるところで靴を脱いで寝かせてあげられるようにしたいと思い進んだ。



 ルカは途中何度か取った休憩の度にスヴェトラーナの気持ちを和らげてあげられるようなことは出来ないかと頭を働かせたが、洒落たジョークのひとつも知らないルカには難しかった。
 ルカの気使いが伝わっていたスヴェトラーナは胸の中にある悲しみを押さえつけ、ルカが自分を見る度に微笑んで見せた。
 ルカにはもちろん、それが無理してくれている物だとわかっていた。



 陽が沈み始めた頃、ぽつぽつと見える農村のなかに煙の登る家を見つけた。
 火のある家なら熱い湯も貰えるかもしれない。
 目立つ場所は危険かもしれないが、家人を見て判断しようと決めた。

「姫様の身分を隠しますので、申し訳ありませんが俺の妹ということにさせてください」
「わかりました」

 この状況で大公の娘が民にどのように想われているのかは微妙だ。
 戦争で家族や知り合いが被害を受けている可能性もあることを考えると、身分を明かすのは得策じゃない。

 スヴェトラーナを脇に置き、ルカは民家のドアを叩いた。
 すぐには開かない。窺っている気配がする。

「すみません。旅のものなのですが、裏にある馬小屋で休ませてもらえませんでしょうか?」

 ルカが声をかけると中で動く気配がしてからドアが開いた。

「妹とキヌルから逃げて来たんです。裏の馬小屋を一晩貸していただけませんか?」

 出てきた腰の曲がった小さな老婆はルカを見上げてからルカの言う妹の姿を探した。
 ルカがスヴェトラーナの肩に手を伸ばし老婆に姿を見せると、老婆の眉が下がった。
 マントのフードをすっぽりかぶっていても疲れている様子が見て取れたのだ。

「入りな入りな。怖い思いしてきたんだね。あたししかいないしね、安心して休んでいきなよ」

 皺のある顔を更にしわくちゃにして、老婆はふたりを招き入れた。
 中は暖炉に火が灯り、美味そうな匂いも充満している。

「火を点けていて大丈夫ですか?」

 煙が出ているのは近所ではこの家だけだ。コースリー軍が通ったら万が一にも立ち寄らないとは限らないと思った。
 ルカが聞くと老婆はニコニコしながらサラリと答えた。

「コースリーのヤロウ等が強奪に来るかもしれないのが怖いかい? 大丈夫だよ、昨日の夜うちにも来たけどねー、こんなばばあしかいない取ってくものも何もない家だからね、がっかりして出て行ったよ。食料も隠してあったからねー。床下に隠してたくらいで気が付かないなんてあいつらマヌケだわ。また来てもこのスープだけ飲ましてやりゃさっさと出て行くだろうよ。安心しなー」

 胆の据わった老婆だった。
 ルカはほっとし、暖炉の前にある椅子に座っていいかを確認してからスヴェトラーナを座らせた。

「心配しなくていいよ妹さんも。もしコースリーのヤロウ等が来たら、ベッドの下にでも隠れてりゃ、あたしが追っ払ってやるから」

 気風もいい老婆だった。
 スヴェトラーナが頷くとニコニコと微笑んで、ありがたいことに暖炉にかかっている鍋からスープを取り分けスヴェトラーナに渡した。
 スヴェトラーナは手に感じる久しぶりの暖かさに思わずため息が出た。心からありがたいと思った。
 それを見てルカも近くの椅子を借りて座り、老婆が取り分けたスープを一口すすった。
 凍えるほど寒かったわけではないが、身体の芯が解ける感覚があった。

「どこまで行く気なんだい?」

 老婆はスープを暖炉から下ろすと大きなやかんに水を入れ暖炉に掛けた。

「ノノの方はまだマシなんじゃないかと思って、そっちに行ってみようかと思ってるんです」

 ルカはレイルズの国境近くにある、実際に目指している都市を言った。

「ノノかい。こないだキヌルから逃げて来たってここに立ち寄った人は国を出てレイルズに行くって言ってたよ。もうキヌルは住んでいられない、コースリー軍が押し寄せてるって」
「ああ、酷いもんですよ。もう住民のほとんどは逃げているでしょうね」

 ルカは老人に話を合わせた。

「大公様はどうしてるかね。もう死んじまったかね」

 スヴェトラーナが公女だと知らない老婆は椅子に座りながら聞いてきた。
 一番して欲しくない質問だった。
 老婆に悪意はない。この国の人間なら大公がどうなったか気になるのは当たり前だ。
 しかしスヴェトラーナにはこの話ほどきついものはない。
 落ち着きそうになってしまったが、早々に馬小屋に移動した方がよさそうだとルカは思った。

 スヴェトラーナは態度に出ないようにゆっくりとスープを飲んで何でもないふりをした。
 父親の生死に関わる話にギクリと身体が固まりそうになったことを悟られないよう堪えた。

「どうでしょうね」
「ご家族もどうしてるかねー。逃げてりゃいいけど、お気の毒だよ。コースリーのヤロウ等のせいで酷い目にあってなかったらいいけどね」

 ルカはスープを飲み干し立ち上がった。

「ごちそう様でした。あったかくて美味しくてホッとしました。妹も疲れていますので休ませてやりたいんです、馬小屋を一晩お借りします」

 それを合図だと感じたスヴェトラーナは急いでスープを飲もうとしたが、老婆がルカを睨みつけた。

「疲れてるんだろ。だったらゆっくり飲ませてやんな。かわいそうに。今日は上の部屋貸してやるからそこに泊まったらいいよ。今お湯も沸かしてるから身体も拭いてゆっくりしな」

 ゆっくりさせてやるべきなのはルカにだって痛いほどわかっている。そうしてやりたいのは誰よりもルカが思っている。
 老婆の申し出は心から感謝して受け取りたいが、老婆の率直な物言いがスヴェトラーナに痛みを与えているのではないかと思った。
 この話が続くのを堪えさせたくない。

「おばあさんありがとうございます」

 逡巡するルカを落ち着かせるようにスヴェトラーナが礼を言った。
 ルカの心中を察して自分は大丈夫だと伝えてきたのだ。
 自分の立ちまわりの悪さにルカは情けなくなった。

「マントも靴も脱ぎな。まったく兄ちゃんのほうはビビリだね。すぐ逃げられる格好しときたいんだろうけど、コースリーのヤロウ等が来たら隠してやるから安心しな」

 マントを脱いでスヴェトラーナの顔を見たら老婆は気が付くだろうか。スヴェトラーナが公女だと気が付いたらどうなるだろうか。
 押し切るしかない。もし気が付いても公女ではないと押し切ろう。
 胸の痛みに堪えるスヴェトラーナにせめて身体だけでも休ませる方を選ぶべきだ。
 賭けになるかもしれなかったが、ルカは決めた。
 言い方からコースリーのことを相当嫌っているように見えるし、ここで逡巡する方が怪しい。

「マントを貸して」

 ルカはマスケット銃を包みながらマントを脱いでスヴェトラーナに手を伸ばして言った。
 剣も銃も見せるのは怪しまれるかもしれないと思い銃だけでもと隠したのだ。
 手を伸ばされたスヴェトラーナはルカを見上げた。
 ルカが頷いて見せると、心を決めゆっくりとマントを取りルカに渡した。
 汚れてはいるが、品のある美しい顔が出てきて老婆は目を細めた。

「なんだい、美形兄妹だねー。こんだけべっぴんさんだったら兄ちゃんも不安だったろう。コースリーのヤロウ等に何されるか分かったもんじゃないからね」

 言いながら暖炉の横において温めてあったポットから茶を注ぎスヴェトラーナに渡し頭を撫でた。
 スヴェトラーナが公女だと気付いてないようだ。ルカは安堵に小さくため息を吐いた。
 スヴェトラーナはバレなかった安堵と共に、老婆の手の優しさに胸がじんわりと暖かくなった。
 ルカは心の中でスヴェトラーナにぬくもりをくれた老婆に礼を言った。
 ありがたいことにその後スヴェトラーナに聞かせたくないような話は出て来ず、老婆の亡くなった夫や嫁いで行った娘の話題にルカは再び安堵した。



 嫁に行った娘が使っていたという屋根裏部屋を貸してもらえるだけでなく、老婆はスヴェトラーナに清潔な下着と寝間着まで用意してくれた。
 バケツに湯を入れて渡され、ひとりの部屋で身体を拭いた。
 少し前まで当たり前のように風呂に入り清潔でいられたことがはるか遠くに感じる。
 身体を拭くことが出来るだけでこんなにも気持ちがいいものなのかと実感していた。
 清潔な下着に着替え寝間着を着てから髪を拭いていると、小さなノックがドアから聞こえた。

「はい」
「入っても大丈夫ですか?」

 ルカだった。
 大丈夫だと告げると荷物と毛布、大きなバケツを持ったルカが入ってくる。
 ベッドに腰を掛けていたスヴェトラーナの前にバケツを置き、毛布と荷物を下ろしてから目の前にしゃがむ。

「湯を貰ってきました。この中に足を入れてください。ブーツを脱ぐのも三日ぶりですから相当疲れているでしょう。湯につけると少しは楽になります」

 言われた通りにしようと足を上げると、ルカの手が触り湯の中にスヴェトラーナの足を誘導した。
 ドキリとした。
 男性に素足を触られたのは初めてなのだ。
 大きな手がスヴェトラーナの小さな足を大事そうにゆっくりとバケツの湯の中に沈める。
 コートを脱いでシャツだけのルカは今まで隠れていた首と鎖骨が出て男らしさを見せていた。捲った袖から伸びている腕も逞しかった。

「熱くないですか?」

 見上げるルカの優しい笑みに、スヴェトラーナの胸は更に鳴った。
 ルカも身体や髪を拭いてすっきりし汚れと共に険しさも取れ、朴訥とした人柄を表す穏やかな顔にあるグレーの瞳がスヴェトラーナを愛しそうに見たように感じたのだ。

 口を引き結ぶスヴェトラーナを見て、無自覚で女性の素足を触ってしまっていることに気付いたルカは急いで離し手を後ろに隠した。

「すみません! あの……変な意図はなく……」

 気持ちよくさせてあげたいと思ってしたことだが、触るのは失礼なことだ。
 ルカは焦って謝り、やらしい気持ちでしたことではないと説明しようとした。

「大丈夫です。本当です。大丈夫です」

 スヴェトラーナも焦ってしまった。
 ルカに意図などあるはずがないのはわかっているのに、おかしな反応をしてしまった。
 ただ急にひとりの男性として意識してしまった事と、愛しそうに見られているように思ってしまった事が恥ずかしくなってしまった。

 お互い気まずさで黙ってしまい動かないまま沈黙が続いた。

 恥ずかしさに黙ったまま暫く俯いていると、スヴェトラーナの身体がホカホカとしてきた。
 足を熱い湯に入れていたので身体全体が温まってきたのだ。

「本当に、気持ちがいいです」
「よかった。足湯は寝つきも良くなりますし、今日はぐっすり休んでください」

 ルカは俯いたままで言った。
 スヴェトラーナも俯いたままで頷いた。

 「それと、姫様にはこのベッドで寝ていただくのですが、兄弟という設定なので……。あの……せっかくゆっくり部屋で休めるチャンスなんですが、俺もこの部屋にいさせてもらえますか」

 遠慮がちに言うルカにスヴェトラーナは顔を上げた。

「当たり前です。そんなことを断わる必要はありません」
「はい……」

 ルカが疲れていないはずない。むしろスヴェトラーナよりも食事を取らず寝ていないはずだ。
 ルカが自分のために神経をすり減らし警戒し、更に気使いまでしているのにこんなことまで気にすることに切なくなった。
 ルカがスヴェトラーナに休んでもらいたいと思うように、スヴェトラーナもルカに休んでもらいたい。
 ベッドを使いたいなら譲ることだって出来る。
 せっかく休めるのだからひとりがいいなどとは思わないと信じて欲しい。

「あなたにも、ちゃんと休んでもらいたいと思っています」
「ありがとうございます」

 スヴェトラーナの思いは通じている。ルカはスヴェトラーナがそんなこと思わないとわかっている。
 ただルカの休ませてあげたいと思う気持ちの方が強いだけだ。

 久しぶりに暖かいものを食べ、足を湯に入れたことで温まった身体に睡魔が襲う。
 眠ろうとしても色々なことが頭に浮かび寝付けなかった。地面も硬くて痛かった。
 宮殿の自室ではないが、やっと柔らかいベッドに横たえることが出来る安心感が、複雑な感情も痛い身体も遠くへ追いやり瞼を重くした。
 張りつめ続けた神経がもう限界だったのだ。
 スヴェトラーナの眠気に気付き、ルカは一瞬躊躇をしたがスヴェトラーナに声をかけた。

「姫様、足を触ります」

 遠のく意識の中でスヴェトラーナは自分が頷いたかもわからなかった。
 実際には崩れそうになった身体をルカが咄嗟に腕で受け止め、身体をベッドに降ろした。
 バケツに浸かった足を一本ずつ出して拭き、身体ごと抱き上げてベッドの中央へ横たわらせる。
 ルカは思っていたよりもずっとスヴェトラーナが軽いことに驚いた。
 馬車から馬へ乗り移るときに一瞬スヴェトラーナの身体を抱きかかえたが、あの時は必死で気付かなかった。
 こんなか細い身体で文句のひとつも言わず歩いてくれたことに胸が苦しくなった。
 毛布を掛けてスヴェトラーナを見下ろしてから、ルカはビクリと身体を固めた。
 
 今何をしようとした?
 
 無意識だった。スヴェトラーナの頬を撫でようとしてしまった。
 健気なスヴェトラーナを愛しく思ってしまった。
 自分はそんな風にスヴェトラーナを思って言い身分ではないのに。
 ルカは急いで毛布を身体に巻き、スヴェトラーナの寝るベッドに背をもたれて剣を抱えて座った。

 浅ましい。何をやっているんだ俺は。
 自分の光だと思っていたひとが近くにいて、自分を信じてくれて安心して眠る姿に無意識に感情が込み上げてしまった。
 こんな感情は間違っている。身分を弁えず調子に乗って眠っているスヴェトラーナの頬に触ろうとまでしてしまうなんて最低だ。
 自分の役目を思い出せ。
 役目を果たしたら、必要のない存在だと忘れるな。

 ルカは自分を心の中で叱咤し、膝を強く抱えた。
しおりを挟む
感想 8

あなたにおすすめの小説

遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。

沼野 花
恋愛
夫と子供たちに、選ばれなかったイネス。 すべてを愛人に奪われ、彼女は限界を迎え、屋敷を去る。 だが、その先に待っていたのは、救いではなかった。 イネスを襲った、取り返しのつかない出来事。 変わり果てた現実を前に、 夫はようやく、自分が何を失ったのかを思い知る。 深い後悔と悲しみに苛まれながら、 失ったイネスの心を取り戻そうとする夫。 しかし、彼女の心はすでに、外の世界へと向かっていた。 贖罪を背負いながらもイネスを求め続ける夫。 そして、母の心を知っていく子供たち。 イネスが求める愛とは、 そして、幸せとは――。

捨てられ侯爵令嬢ですが、逃亡先で息子と幸せに過ごしていますので、邪魔しないでください。

蒼月柚希
恋愛
公爵様の呪いは解かれました。 これで、貴方も私も自由です。 ……だから、もういいですよね? 私も、自由にして……。 5年後。 私は、ある事情から生まれ育った祖国を離れ、 親切な冒険者パーティーと、その地を治める辺境伯様のご家族に守られながら、 今日も幸せに子育てをしています。 だから貴方も勝手に、お幸せになってくださいね。 私のことは忘れて……。 これは、お互いの思いがこじれ、離れ離れになってしまった一組の夫婦の物語。 はたして、夫婦は無事に、離婚を回避することができるのか?

【完結】地味な私と公爵様

ベル
恋愛
ラエル公爵。この学園でこの名を知らない人はいないでしょう。 端正な顔立ちに甘く低い声、時折見せる少年のような笑顔。誰もがその美しさに魅了され、女性なら誰もがラエル様との結婚を夢見てしまう。 そんな方が、平凡...いや、かなり地味で目立たない伯爵令嬢である私の婚約者だなんて一体誰が信じるでしょうか。 ...正直私も信じていません。 ラエル様が、私を溺愛しているなんて。 きっと、きっと、夢に違いありません。 お読みいただきありがとうございます。短編のつもりで書き始めましたが、意外と話が増えて長編に変更し、無事完結しました(*´-`)

皇帝とおばちゃん姫の恋物語

ひとみん
恋愛
二階堂有里は52歳の主婦。ある日事故に巻き込まれ死んじゃったけど、女神様に拾われある人のお世話係を頼まれ第二の人生を送る事に。 そこは異世界で、年若いアルフォンス皇帝陛下が治めるユリアナ帝国へと降り立つ。 てっきり子供のお世話だと思っていたら、なんとその皇帝陛下のお世話をすることに。 まぁ、異世界での息子と思えば・・・と生活し始めるけれど、周りはただのお世話係とは見てくれない。 女神様に若返らせてもらったけれど、これといって何の能力もない中身はただのおばちゃんの、ほんわか恋愛物語です。

魔法師団長の家政婦辞めたら溺愛されました

iru
恋愛
小説家になろうですでに完結済みの作品です。よければお気に入りブックマークなどお願いします。 両親と旅をしている途中、魔物に襲われているところを、魔法師団に助けられたティナ。 両親は亡くなってしまったが、両親が命をかけて守ってくれた自分の命を無駄にせず強く生きていこうと決めた。 しかし、肉親も家もないティナが途方に暮れていると、魔物から助けてくれ、怪我の入院まで面倒を見てくれた魔法師団の団長レオニスから彼の家政婦として住み込みで働かないと誘われた。 魔物から助けられた時から、ひどく憧れていたレオニスの誘いを、ティナはありがたく受ける事にした。 自分はただの家政婦だと強く言い聞かせて、日に日に膨らむ恋心を抑え込むティナだった。 一方、レオニスもティナにどんどん惹かれていっていた。 初めはなくなった妹のようで放っては置けないと家政婦として雇ったが、その健気な様子に強く惹かれていった。 恋人になりたいが、年上で雇い主。 もしティナも同じ気持ちでないなら仕事まで奪ってしまうのではないか。 そんな思いで一歩踏み出せないレオニスだった。 そんな中ある噂から、ティナはレオニスの家政婦を辞めて家を出る決意をする。 レオニスは思いを伝えてティナを引き止めることができるのか? 両片思いのすれ違いのお話です。

憧れと結婚〜田舎令嬢エマの幸福な事情〜

帆々
恋愛
エマは牧歌的な地域で育った令嬢だ。 父を亡くし、館は経済的に恵まれない。姉のダイアナは家庭教師の仕事のため家を出ていた。 そんな事情を裕福な幼なじみにからかわれる日々。 「いつも同じドレスね」。「また自分で縫ったのね、偉いわ」。「わたしだったらとても我慢できないわ」————。 決まった嫌味を流すことにも慣れている。 彼女の楽しみは仲良しの姉から届く手紙だ。 穏やかで静かな暮らしを送る彼女は、ある時レオと知り合う。近くの邸に滞在する名門の紳士だった。ハンサムで素敵な彼にエマは思わず恋心を抱く。 レオも彼女のことを気に入ったようだった。二人は親しく時間を過ごすようになる。 「邸に招待するよ。ぜひ家族に紹介したい」 熱い言葉をもらう。レオは他の女性には冷たい。優しいのは彼女だけだ。周囲も認め、彼女は彼に深く恋するように。 しかし、思いがけない出来事が知らされる。 「どうして?」 エマには出来事が信じられなかった。信じたくない。 レオの心だけを信じようとするが、事態は変化していって————。 魔法も魔術も出て来ない異世界恋愛物語です。古風な恋愛ものをお好きな方にお読みいただけたら嬉しいです。 ハッピーエンドをお約束しております。 どうぞよろしくお願い申し上げます。 ※小説家になろう様にも投稿させていただいております。

冷徹公爵の誤解された花嫁

柴田はつみ
恋愛
片思いしていた冷徹公爵から求婚された令嬢。幸せの絶頂にあった彼女を打ち砕いたのは、舞踏会で耳にした「地味女…」という言葉だった。望まれぬ花嫁としての結婚に、彼女は一年だけ妻を務めた後、離縁する決意を固める。 冷たくも美しい公爵。誤解とすれ違いを繰り返す日々の中、令嬢は揺れる心を抑え込もうとするが――。 一年後、彼女が選ぶのは別れか、それとも永遠の契約か。

遊び人の令嬢が目を付けたのは、私の真面目な婚約者でした

おいどん
恋愛
子爵家の令嬢エリーネと伯爵家の次男のノルトが婚約を結んだのは、半年前だった。 真面目で優秀なノルトに相応しい婚約者であろうとするものの、エリーネには自信がなかった。 ある日、遊び人と噂の令嬢べルティーナとノルトが共にいるところを見てしまう。 「真面目クンは壁さえ破っちゃえばこっちのもんだからね〜」 「きっと、彼女の美しさに嫉妬しているのだわ…」 「…今度は、ちゃんと言葉にするから」

処理中です...