アルカディア・クロノクル ゲーム世界に囚われた俺を救うのは、妹か、かつての仲間か

織部

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メインストーリーガチャ

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アキラたちが家に着いた頃には、すっかり深夜になっていた。宿を出るとき、ステラが「眠い」と言ってソファでうとうとし始めたので、セレナが背負おうとした。

 しかしステラは「アキラがいい」と言って彼の足にしがみついたため、アキラがおんぶすることに。

 ステラは背中で揺られながら、満足げに目を閉じている。夜道にはラピスの放つ不愉快な雰囲気が漂っていた。

「あ、森の警備の時間だ!」セレナとルナは声をかけ合い、駆け出していく。

「ノクスはダメだよ。」アキラは、後を追おうとする彼女を優しく制した。

 家に着いてもステラはアキラにしがみついたままだったが、アキラの部屋には入れられないので、ノクスと二人がかりで引き剥がし、寝かしつけた。

「普段はしっかりしてるんだけどなぁ」とアキラが呟くと、

「甘えたい相手だからですよ」ノクスはそう言いながら、ステラの髪を優しく撫でた。

 ノクスが眠りに落ちたのを確認すると、ステラは、窓際に立ち、遠くの森を眺めた。口元に微笑みをたたえながら。
 


 部屋に戻り、確認作業を終えたら、いよいよガチャタイムだ。ガチャを引くと眠くなってしまうため、いつもベッドに入ってから引くようにしている。

 デイリーミッションは問題なし。ウィークリーは未踏エリアのみが残っているが、町に行けば達成できそうだ。

「ラビさん、これ以上人が増えると、食料が不足しそうです。ガチャはしばらく控えようかと思います」

「問題ありません。次の町レベルアップまでは時間がかかりますしね。でも、ストーリーのガチャだけは引きましょう。強いカードが手に入りますから」

「わかった」

 ストーリー開幕ガチャ(PSRのみ、1回限定)のラインナップは5種類。獲得したカードの種類によってストーリーが大きく変化するらしい。
 
 そんな注意書きを見て、少しだけ緊張が走った。

 漆黒の魔女。ノクターナル
 光の聖女。セラフィナ
 紅血の吸血鬼。カルミナ
 我儘な王女。ヴァイオレット
 隠密の猫人。シエラ

 アキラは、ラインナップを見て驚いた。
「え!吸血鬼は絶対まずいんじゃないかな。魔女もまあ、まずいでしょ。まるでダークファンタジーだな。それより、我儘王女とか、使えるの……」彼は混乱した。

「ラピさん、ラインナップがおかしくないですか?ラピさん!」ラピスの気配は感じるのだが、答えは返って来なかった。

 アキラは、ガチャを引くのを躊躇い……



「アキラ、ガチャ引いちゃダメです!」

 彼女は、マイクに向かって大声で話しかけたが届かない。なぜか、ノイズとなって声が消されているようだ。

 天才の作っているシステムが、こんな時に不具合が発生するとは……故意か偶然か。

「やられた」まさかここで仕掛けてくるとは思わなかった。

 奴は、魔物にスキルポイント付与をゲームバランスを崩さない範囲で与えている。 バランスを崩していると見做されれば無効、ペナルティが発生するはずだ。

 ラピスも、達成報酬やイベントタイミングなどを調整している。許される範囲のアドバイスも。
 そういった作業は、全てアクティブポイントを消化している。

 お互い、ゲームの仕組みにおけるアクティブ領域への関与は出来ない。戦闘結果は無かった事に出来ないし、マップもNPCも変更出来ない。他にも……もちろんガチャ結果への介入も出来ない。

「いや、違う、奴じゃない!」

 だいたい、ガチャカードの選択権は奴は持っていない。彼女が魔物の配置設定権が無いように。
「他のゲーム介入者なのか?」

 考えてみれば、アリアもステラも怪しい。しかし、今のところ尻尾を掴めていない。

 もしかしたら、第3者なのかも知れない。

 ストーリー開幕ガチャは、アキラを助ける為に設定した。アキラのレベルアップによりアクティブポイントが貯まったのでPSR確定の配布を決めたのだった。

 準備したカードは、3枚。つまり、2枚追加されている。一度、ガチャ設定したカードは、本人しか外すことができないから追加したのだろうが、その2枚がどのようなカードで何の意味を持つのだろうか。

「敵か、味方か?」

 何はともあれ、アキラの強運に望みをかけるしかない。



 彼女が、まず準備したカードは、漆黒の魔女ノクターナル。紅血の吸血鬼カルミナ。

 この2枚は、中盤以降のメインストーリーにも絡み、サブストーリーにも登場する。最初、敵対するが、倒されて降伏して仲間になるパターンだ。

 何故か規定違反にならずにガチャ設定できた。非常に強力なカードだし、ストーリーの進行に役に立つし、何よりアキラが彼女達に興味を湧くはずが無いのが良い。

 もう一枚は、悩んで、隠密の猫人 シエラにした。PSRにもガチャ設定するのにかかるコストがカードによって大きく違っている。

 最低3枚は設定する必要があるのだが、無駄に、宿屋作成にアクティブコストをかけ過ぎた。シエラはコスト的に安かった……決して、猫女と狼女の喧嘩を楽しみにしたの事では無い。

 そんな訳で、残り2枚 光の聖女セラフィナ。我儘な王女ヴァイオレット。この2枚については、彼女の設定では無い。

 彼女はこの2枚のカードをデータベースにアクセスして調べた。「カード一覧 PSR」を何度見ても見当たらず、「カード一覧 SR」にも無かった。

 大体、彼女はこのゲームの主要キャラクターやPSRカードは頭に入っているのだ。

「セラフィナはカード化されていないはず。ストーリーには殆ど絡んでこないし。それに、ヴァィオレットは……」ふとカード一覧データベースのタグに、目を落とした。いや、こんなランクのタグは無かったはず……

「カード一覧 特殊」 



ログインしました。バトルモード13日目。
ログインボーナスを獲得しました。
 フロンティアモード6日目
 フロンティアモード開始ボーナス(6日目)
•ガチャチケット:10連チケット     
•緊急食料:30人分

メインストーリー開始条件を満たしています。メインストーリー開始まで、あと2日。

 何故か、体が震えて寒気で目が覚めた。いつもガチャを引くと、気絶したように眠ってしまう。

 二度寝しようとして、ノックとかけられた声で覚醒する。昨日とは違い、ベッドに誰かが寝た形跡は無かった。

「アキラ様、朝食のご用意ができています。ダイニングで皆様お待ちです」
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