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ヴァイオレット派集結
しおりを挟む「本当に?」王女の言葉に驚いた一行は、口々に同じ質問をした。
「ええ、少なくとも、王国にいるよりは安全なはずよ」ヴァイオレットは満面の笑顔で答えた。
「ここから見える小島と監視塔。あれが、昔見た地図と報告書に書いてあった場所であれば、何となくわかります。アストリア様に命じられた軍隊が交代でいた場所のはずです。探索してみましょうか?」
フェニックスは提案した。
「ダメよ。勝手に出歩いては。そんなことする必要もないわ。でも、散歩はしたいわね」ヴァイオレットは笑った。
話が一段落した頃、ノクスがいつの間にか座席の側に立っていた。供が全員周囲を警戒していたはずなのに、それを掻い潜られたことにアゼリアは驚き、思わず剣に手をかけようとしたが、その手を簡単に抑えられてしまった。
「ダイニングで簡単なお食事でもどうぞ。こちらです」ノクスが柔らかな声で案内した。
圧倒的な強者であるセレナと、隙を見せないエルフのノクスに対し、アゼリアは自分が格下であることを痛感し、顔色が曇った。
アゼリアは、飛び抜けた才能を持ち、人一倍努力してきたが、同年代や年下の女性に負けたことはなかったのだ。
ダイニングで出された料理は、この地方の郷土料理のようだった。実は、セレナシェフが腕を振るい、アズーリア村の料理を真似て作ったものである。
ステラという小さな子が一人で給仕係をしているのを見て、ノワールとリリィは手伝い始めた。
「フェニックス、馬車からテーブルウェアとカトラリーのセットを降ろして。アゼリア、水汲みをお願い」
ノワールは気を取り直し、メイド長らしい態度で指示を出した。リリィはステラに説明しながら、仲良く一緒に準備を進めている。
「それでは、水場を案内します」
ノクスはアゼリアに声をかけた。アゼリアは最初は警戒していたが、ノクスの邪念のない態度にやっと警戒心を解いた。
そして、二人で水場の行き帰りで話をし、考えを改めた。
「あら、美味しそうね。そういえば、昨日から何も食べていなかったわね。アキラさんはどちらかしら?」
ヴァイオレットは無邪気に聞いた。
「皆様の食事が終わる頃にお呼びします」ステラは配膳をしながら答えた。
※
食事が終わる頃、アキラではなく、ポーションと思われる瓶を山ほど抱えた女性がホテルに現れた。
珍しく緊張した態度で、ヴァイオレット王女を見つけると、荷物を下ろし、膝をつき、うやうやしく頭を垂れて挨拶をした。
「久しぶりにお会いしましたと言っても、おわかりにならないでしょうが、わたくし、薬師のアリアと申します。アストリア王妃様には、生前お世話になりました」
破天荒なアリアらしからぬ様子に、ステラもノクスも驚いていたが、ノワールやフェニックスは、不意の親友の登場に涙を流して再会を喜んだ。
「アリアさん、お母様のお友達なのね。お会いできて嬉しいわ。立って」
ヴァイオレットは満面の笑みを浮かべて、肩を支えた。
「アリアお姉様、全く顔を出さないと思ったら、こんなところで会えるなんて」
ノワールはアリアに飛びかかり、きつく抱きしめた。感情的な振る舞いの殆ど無いノワールの態度に、周りから驚きの声が上がった。
「痛い、痛い、相変わらずの馬鹿力だな」
アリアは困惑した表情をしながらも、嬉しそうであった。
「久しぶりだな、アリア。元気そうで良かった」
フェニックスは男泣きをしていた。
「フェニックスもね。色々と聞きたいことと話すことがあるわ」
アリアはにっこりと微笑んだ。
※
そんなやりとりを監視していたラピスは、苦虫を噛み潰したような顔をしていた。
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