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ヴァイオレット王女、ノワールを差し出す
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アキラはノワールに鍵を渡した。
「どの部屋でもお使いください。ただ、今後、他のお客様が来るかもしれません」
「それでは、内覧させていただきます」ノワールを先頭に、ヴァイオレット王女やアキラたちも一緒に部屋を見て回った。アキラにとっても2階は初めてだった。
この宿の客室は2階に10部屋のみで、すべてリバービューのテラス付き。どの部屋も広々としており、アキラの部屋と同じくらいの広さだった。
「では、右奥から3部屋お借りします。ヴァイオレット様とアゼリア様、私とリリィ、そしてフェニックス様とアダム。よろしいでしょうか?」
「どうぞ」ラピスが問題なければ、アキラも異存はない。
「嬉しいわね。アゼリアと一緒なんて、子供の頃以来だわ」ヴァイオレットが浮かれた声を上げると、アゼリアは困った顔をしながらも、どこか嬉しそうだった。
「とても気に入りました。しばらく滞在させていただいてもよろしいでしょうか? もちろん、宿代や必要経費はお支払いします」
ヴァイオレットから予想通りの要望が出た。
あらかじめラピスと打ち合わせをしていたので、驚かなかった。ラピスもガチャで手に入れた貴重なキャラを、今の段階で無駄にはしたくなかった。
「かまいません。」面倒なので無料で良いかと思ったが、そうもいかないようなので、後でダリオスに丸投げしよう。
「ただ、この宿ですが、まだ、清掃や食事、その他の業務をこなせる人手が足りていません」
王女様が滞在するとなると、ダリオスとステラだけでは回らないだろうとアキラは考えた。
「それでしたら問題ありません。ノワールとリリィで食事や清掃を、その他の仕事は私とアゼリア、アダムで担当いたします」
フェニックスは王国を采配している男である。宿の一つくらいなんとかできるだろう。
「ただ、長期の滞在となりますと、いろいろと不足してくるものもあるでしょう。この村はアリーシア村で間違いないですか?」
フェニックスはそう考えていたが、いくつか疑問に思うところがあって尋ねた。
「いいえ、ここは魔物の森の内側にあたります。一番近い町はウエストグレンです。アリーシア村はオークに滅ぼされました」
その言葉を聞いて、ヴァイオレット王女一行は青ざめた。正確には、ヴァイオレット以外全員だが。魔物の森から出たオーガが村を襲うとは、緊急事態ではないかと。
さらに、アキラは話を続けた。
「ご安心ください。この辺りには魔物避けの結界があり、基本的には安全です。それと、アリーシア村を襲ったオーガ4匹はセレナが倒しました」
「正しくは、セレナとルナ!」とセレナ。
「ワオーン!」そうだそうだとルナが叫んだ。
彼女たちの驚きが最高潮に達した。結界のある村、オーガを一人で4匹倒す者――すべてが想定外だったからだ。
「実は、明日からウエストグレンに行く予定です。その際、買い物をする予定ですので、ご要望の品は調達してきますよ」
「ノワール、アキラ様にご一緒させていただきなさい」
ヴァイオレット王女から、突然の指示が飛ぶ。
「それでしたら、私かフェニックス殿が行きます」アゼリアが意見を述べるが、ヴァイオレットに即座に却下された。
「それはダメです! ぜひとも、ノワールの同行をアキラ様にお願いしたいのです」ヴァイオレットは我儘を言った。
アキラは困惑した。
「先ほどもお話ししたように、ここは魔物の森の内側です。馬車で移動できませんし、魔物との戦いも避けられません」
「構いません。先ほどは不覚を取りましたが、自分の身は自分で守りますのでご同行の許可を。」ノワールは、王女の意向を汲み取って志願した。
アキラはどうしたものか悩んでいたが、ラピスが「パーティを組むのを条件に了承すれば良いのでは?」と耳元で囁いてきた。
アキラの最大の秘密を明かすことになるのだが、大丈夫だろうか? 局面が見えているラピスの言う事に間違いはないだろう。
「わかりました。ただし条件があります。僕のパーティに入ってもらいます」
「そんな事容易い事です」ノワールは安易に答えた。すぐにものすごく後悔する事になるのだが。
※
「これからお話しする内容は、ここにいる人たちだけの秘密です」
アキラが語り始めると、その内容は驚愕のものであった。
レベルリセットと体の若返り。信じがたい話だが、目の前の男はそれを特別なこととして捉えていない。
子供のころ読んだ絵本に出てくる悪の大魔導師とは、こういう人物なのだろうかと、ノワールはぼんやり考えた。
「その話が本当なら、あなたは悪魔の使いですか?」アゼリアはノワールと同じ考えを口にした。
「話は本当だけど、アキラは悪魔の使いじゃない。アキラは怒りん坊な神の使いだよ、じゃなくて、エリス神の使いの友達だよ」
セレナがいつの間にか現れて、横から口を挟んだ。
「それでは、私がまずパーティに入ります」
アゼリアは長い銀色の髪を靡かせながら、すっくと立ち上がった。呪いであれば、聖騎士のスキルで無効化できるし、精神系魔法の無効化も可能だ。
実は、アゼリアはセレナやノクスの強さの秘密を知ろうと考えて立候補したのだ。
「ダメよ、アゼリア。ノワールの参加をお願いします。アキラさんはお母様と同じで神の使徒なのでしょう」
「わかりました。でも、レベルリセットは困ります」
ノワールは戸惑ったが、ヴァイオレットの我儘には従うしかないと考えた。
「大丈夫ですよ。すぐにレベルが上がりますから」ノクスが自分の実体験を伝えた。
「そうそう」「ワオーン」セレナやルナも同意の意を示した。
「そうね。小さいノワールを見てみたいわ」
ヴァイオレットはいたずらを企むような笑顔を浮かべた。他の人は、冷静に大人の対応をしていた。
※
「それでは、お部屋で着替えの準備をしてください。部屋に着いたら、すぐにパーティに参加してもらいます。セレナ、服を貸してあげてください」
アキラは、ラピスに叱られないように指示を出した。
「そういえば、私の子供の頃の服が一着、荷物の中にあるわ。リリィ、出して」
ヴァイオレットがいつの間にか荷物の中に入れていたようで、ノワールは驚いた。
全ての女性陣が着替え部屋に入っていった。アキラがノワールのパーティ参加を承認すると、ノワールの体は光に包まれ、大人の女性が少女に変わった。部屋からは驚きと歓声が上がり、その音はラウンジにいるアキラにも聞こえてきた。
「ラピさん、これで良かったのかな」
ヴァイオレットの強引な進め方に疑念を抱いていたのだ。
「そうですね。仕方ありません。でもあの子の我儘には理由がありますから」
嫌そうにしながら拒絶しない、戦力云々以外の理由があるようにアキラには思えた。
「可愛いい!」着替えすら、自分でさせてもらえず、全身を触られる状態の黒髪の小さな少女は、ヴァィオレットの幼い時の真っ赤な服を着てファッションモデル化している。
「黒色以外の服を着るノワール、初めて見たわ」
ヴァイオレットはノワールを持ち上げて振り回し、スカートが花のように舞っている。
ノワールはヴァイオレットとアリアに両手を握られながら歩いていた。
ノワールは嫌がって手を解こうとするが、力が足りず、そのままにされている。ラウンジでお茶を飲んでいたフェニックスは目を大きく見開き、お茶を吹き出してしまった。
「そろそろレベル上げに行きましょう。まずは北の草原へ」
「ガルルル」ルナは低い音で喉を鳴らした。子供好きなルナにしては、どこか不満そうだ。
「我慢しなさい! ルナ、ノワールを乗せて!」セレナに言われて、仕方なくルナはノワールを横座りで乗せた。
「どの部屋でもお使いください。ただ、今後、他のお客様が来るかもしれません」
「それでは、内覧させていただきます」ノワールを先頭に、ヴァイオレット王女やアキラたちも一緒に部屋を見て回った。アキラにとっても2階は初めてだった。
この宿の客室は2階に10部屋のみで、すべてリバービューのテラス付き。どの部屋も広々としており、アキラの部屋と同じくらいの広さだった。
「では、右奥から3部屋お借りします。ヴァイオレット様とアゼリア様、私とリリィ、そしてフェニックス様とアダム。よろしいでしょうか?」
「どうぞ」ラピスが問題なければ、アキラも異存はない。
「嬉しいわね。アゼリアと一緒なんて、子供の頃以来だわ」ヴァイオレットが浮かれた声を上げると、アゼリアは困った顔をしながらも、どこか嬉しそうだった。
「とても気に入りました。しばらく滞在させていただいてもよろしいでしょうか? もちろん、宿代や必要経費はお支払いします」
ヴァイオレットから予想通りの要望が出た。
あらかじめラピスと打ち合わせをしていたので、驚かなかった。ラピスもガチャで手に入れた貴重なキャラを、今の段階で無駄にはしたくなかった。
「かまいません。」面倒なので無料で良いかと思ったが、そうもいかないようなので、後でダリオスに丸投げしよう。
「ただ、この宿ですが、まだ、清掃や食事、その他の業務をこなせる人手が足りていません」
王女様が滞在するとなると、ダリオスとステラだけでは回らないだろうとアキラは考えた。
「それでしたら問題ありません。ノワールとリリィで食事や清掃を、その他の仕事は私とアゼリア、アダムで担当いたします」
フェニックスは王国を采配している男である。宿の一つくらいなんとかできるだろう。
「ただ、長期の滞在となりますと、いろいろと不足してくるものもあるでしょう。この村はアリーシア村で間違いないですか?」
フェニックスはそう考えていたが、いくつか疑問に思うところがあって尋ねた。
「いいえ、ここは魔物の森の内側にあたります。一番近い町はウエストグレンです。アリーシア村はオークに滅ぼされました」
その言葉を聞いて、ヴァイオレット王女一行は青ざめた。正確には、ヴァイオレット以外全員だが。魔物の森から出たオーガが村を襲うとは、緊急事態ではないかと。
さらに、アキラは話を続けた。
「ご安心ください。この辺りには魔物避けの結界があり、基本的には安全です。それと、アリーシア村を襲ったオーガ4匹はセレナが倒しました」
「正しくは、セレナとルナ!」とセレナ。
「ワオーン!」そうだそうだとルナが叫んだ。
彼女たちの驚きが最高潮に達した。結界のある村、オーガを一人で4匹倒す者――すべてが想定外だったからだ。
「実は、明日からウエストグレンに行く予定です。その際、買い物をする予定ですので、ご要望の品は調達してきますよ」
「ノワール、アキラ様にご一緒させていただきなさい」
ヴァイオレット王女から、突然の指示が飛ぶ。
「それでしたら、私かフェニックス殿が行きます」アゼリアが意見を述べるが、ヴァイオレットに即座に却下された。
「それはダメです! ぜひとも、ノワールの同行をアキラ様にお願いしたいのです」ヴァイオレットは我儘を言った。
アキラは困惑した。
「先ほどもお話ししたように、ここは魔物の森の内側です。馬車で移動できませんし、魔物との戦いも避けられません」
「構いません。先ほどは不覚を取りましたが、自分の身は自分で守りますのでご同行の許可を。」ノワールは、王女の意向を汲み取って志願した。
アキラはどうしたものか悩んでいたが、ラピスが「パーティを組むのを条件に了承すれば良いのでは?」と耳元で囁いてきた。
アキラの最大の秘密を明かすことになるのだが、大丈夫だろうか? 局面が見えているラピスの言う事に間違いはないだろう。
「わかりました。ただし条件があります。僕のパーティに入ってもらいます」
「そんな事容易い事です」ノワールは安易に答えた。すぐにものすごく後悔する事になるのだが。
※
「これからお話しする内容は、ここにいる人たちだけの秘密です」
アキラが語り始めると、その内容は驚愕のものであった。
レベルリセットと体の若返り。信じがたい話だが、目の前の男はそれを特別なこととして捉えていない。
子供のころ読んだ絵本に出てくる悪の大魔導師とは、こういう人物なのだろうかと、ノワールはぼんやり考えた。
「その話が本当なら、あなたは悪魔の使いですか?」アゼリアはノワールと同じ考えを口にした。
「話は本当だけど、アキラは悪魔の使いじゃない。アキラは怒りん坊な神の使いだよ、じゃなくて、エリス神の使いの友達だよ」
セレナがいつの間にか現れて、横から口を挟んだ。
「それでは、私がまずパーティに入ります」
アゼリアは長い銀色の髪を靡かせながら、すっくと立ち上がった。呪いであれば、聖騎士のスキルで無効化できるし、精神系魔法の無効化も可能だ。
実は、アゼリアはセレナやノクスの強さの秘密を知ろうと考えて立候補したのだ。
「ダメよ、アゼリア。ノワールの参加をお願いします。アキラさんはお母様と同じで神の使徒なのでしょう」
「わかりました。でも、レベルリセットは困ります」
ノワールは戸惑ったが、ヴァイオレットの我儘には従うしかないと考えた。
「大丈夫ですよ。すぐにレベルが上がりますから」ノクスが自分の実体験を伝えた。
「そうそう」「ワオーン」セレナやルナも同意の意を示した。
「そうね。小さいノワールを見てみたいわ」
ヴァイオレットはいたずらを企むような笑顔を浮かべた。他の人は、冷静に大人の対応をしていた。
※
「それでは、お部屋で着替えの準備をしてください。部屋に着いたら、すぐにパーティに参加してもらいます。セレナ、服を貸してあげてください」
アキラは、ラピスに叱られないように指示を出した。
「そういえば、私の子供の頃の服が一着、荷物の中にあるわ。リリィ、出して」
ヴァイオレットがいつの間にか荷物の中に入れていたようで、ノワールは驚いた。
全ての女性陣が着替え部屋に入っていった。アキラがノワールのパーティ参加を承認すると、ノワールの体は光に包まれ、大人の女性が少女に変わった。部屋からは驚きと歓声が上がり、その音はラウンジにいるアキラにも聞こえてきた。
「ラピさん、これで良かったのかな」
ヴァイオレットの強引な進め方に疑念を抱いていたのだ。
「そうですね。仕方ありません。でもあの子の我儘には理由がありますから」
嫌そうにしながら拒絶しない、戦力云々以外の理由があるようにアキラには思えた。
「可愛いい!」着替えすら、自分でさせてもらえず、全身を触られる状態の黒髪の小さな少女は、ヴァィオレットの幼い時の真っ赤な服を着てファッションモデル化している。
「黒色以外の服を着るノワール、初めて見たわ」
ヴァイオレットはノワールを持ち上げて振り回し、スカートが花のように舞っている。
ノワールはヴァイオレットとアリアに両手を握られながら歩いていた。
ノワールは嫌がって手を解こうとするが、力が足りず、そのままにされている。ラウンジでお茶を飲んでいたフェニックスは目を大きく見開き、お茶を吹き出してしまった。
「そろそろレベル上げに行きましょう。まずは北の草原へ」
「ガルルル」ルナは低い音で喉を鳴らした。子供好きなルナにしては、どこか不満そうだ。
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