アルカディア・クロノクル ゲーム世界に囚われた俺を救うのは、妹か、かつての仲間か

織部

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セレナの旅立ちと冒険者ギルド

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 ログインしました。バトルモード15日目。ログインボーナスを獲得しました。

 フロンティアモード8日目。ストーリーが開始されました。 特別イベント「牙狼族王女の凱旋」が開始されました。

「特別イベントって?」 アキラはイベント内容をタップして確認した。
 牙狼族の王女が故郷を訪れ、主と認める者のもとに無事帰るイベントです。

【達成報酬】
・旅立ちの準備:高級パン×100、特上干し肉×100(準備完了で達成)
・故郷への到着:5,000ゴールド  
・主人との再会:1,500ジェム
 ※この報酬は、イベント当事者も受け取ることが可能です。

「ラピさん、ありがとう!」  アキラはラピスの粋な計らいに感謝した。
「何のことでしょう」  ラピスはイベントのことに触れなかったが、それがかえってぎこちない空気を生んでいた。  

 アキラは、自分が彼女に抱く好意——いや、愛情を隠しきれていないことに気づき、思わず顔が熱くなる。

「PSRが保護対象を長く離れてもらっては困りますからね!」 「そうだね!」アキラは微笑みながら軽く相槌を打った。

 セレナたちを送り出すと、場が静かになった。アキラはアストリアの本を倉庫にしまうことにした。ラピスが「ここに置いておくのは危険だ」と警告していたためだ。

 ノワールもアストリアの資料を持ち出したいと強く望んでいたが、本棚には貴重な書物が多く、選別する時間がなかった。  

 結局、すべての本を持ち去ることに決めた。
「お世話になりました。これを」ノワールは深々と頭を下げ、支払いを済ませた。その姿から、彼女の強い意志が感じられる。

「ありがとうございます。ご満足いただけたでしょうか。庭の手入れが行き届かず、申し訳ございませんでした」

 料理長のカイ、フロントのミラ、このアルストン夫婦によると、従業員はすでに解雇しており、アストリアの関係者が来るのを待っていたという。  
 まるで虫の知らせのように、彼らは田舎に帰る準備を進めていた。

「これで、このホテルも役割を終えました。最後のお客様です」 「さようなら」

 アキラたちは丁寧に見送られ、静かにその場を去っていった。


 待ち合わせ場所の冒険者ギルドの扉を開けると、人で溢れていた。アキラはハートフェルトを探し、人混みを押し分けて中に入った。「セレナやルナがいれば、匂いで分かるのに」と心の中で思いながら。

「何があるんですか?」

 冒険者たちに問いかけると、一斉に振り返り、驚いたように彼を見つめた。無骨な男が「おいおい、子供の遊び場じゃないぞ。お前の仕事はあっちだ!」と、虫でも追い払うように壁のクエストボードを指差す。

 別の冒険者がニヤリと笑い、「いや、ウエストグレンじゃ立派な冒険者なんだってよ」と冷やかし、周囲が大笑いした。

 彼らは皆、見事な防具と武器を身につけている。アキラでも一目で分かるほどだ。それだけの装備ができるということは、彼らが上級の冒険者である証拠だろう。

 ノクスも立派な装備をしているが、少女であることに加え、アキラは初級冒険者の少年の装い、ノワールはまだ子供に見える。

 彼らは外見や装備だけで強さを判断しているのだ。ノクスは一瞬、軽く睨み返したが、すぐに無表情を保った。

「くそっ…!」
 ラピスは、内心で憤りと後悔を噛みしめた。あざ笑う冒険者たちと、アキラに装備を贈らなかった自分に対してだ。

 しかし、アキラはまるで気にする様子もなく、冒険者たちを興味深げに観察していた。

 ギルド内の冒険者たちは、3つのグループに分かれているように見える。

「方言からすると、王都、セーヴァス、ウエストグレンの3つのグループですね。数人しかいないのがウエストグレンです」とノワールが冷静に耳元で囁いた。

 アキラがクエストボードに近づくと、一番目立つ場所に3人の指名手配書が掲示されていた。

「破り捨ててやる……」

「ノワールさん、口に出てますよ!」ノクスは慌ててノワールの口を押さえた。

 アキラはボードの依頼票を眺めながら、空想の冒険に心を躍らせていた。

「薬草採取 風切り草 セーヴァスの海岸崖近く 王国銀貨20枚/一枚 ギルド依頼」 「商隊護衛 王都との往復、3食食事付き王国金貨1枚/1日 商会連合依頼」

 ふと、上段の注意事項に目が止まった。
「魔物出現により、しばらくの間、クエストは中止となります。上級冒険者は討伐への参加を義務とします。中級冒険者は商人護衛と薬草採取のみ。下級冒険者以下は、クエストを受けることはできません」

 残念ながら、冒険者になっても、クエストを受けるのは難しそうだ。

 ハートフェルトがいないことを確認し、一行はギルドを出ようとした。その時、受付のリアナが出口に向かうノクスを見つけ、急いで近づいてきた。
「あなた、ハイエルフではありませんか?」

「……」
「隠しても分かりますよ。兄さ~ん、兄さ~ん。ご使者が到着されましたよ!」

「いえ、誤解です。私はノーザンの娘です」

「やっぱり! こう見えても、洞察力には自信がありますからね。ノーザン様のご活躍も伺っております。さあ、二階へどうぞ。ここは臭いますから」

 リアナは耳をぴくぴくさせながら、ノクスの背中を軽く押し、二階への階段を促す。

「アキラさんもお願いします」
「人の従者ですか? 仕方ないですね。一緒に上がってください!」

 通されたのは、副ギルド長の部屋だった。いつもは書類の山だが、まとめて書庫に置いたらしく、整理整頓されていた。



「残念ながら、見失いました」

 ウエストグレンにある秘密の洞窟で、ネグラロサ商会のコール支店長が、アルマダ副会長に報告した。

「当たり前だ。それで、見つけた時の様子は?」

「はい。ウエストグレンから王都へと向かう街道沿いです。道に座り込んだ狼娘が、両手にパンを持ち、無心に食べていたようです。その隣に、お探しの狼が、小山のような大量の干し肉を食べていたとのことです」

「それで、見つけた商人は無事だったのか?」

「はい。狼娘と狼に睨まれたらしいですが、一瞥されると無視されたとのこと。彼女たちは道の真ん中にテントを出し、昼寝を始めたそうです」

「王都に向かっているのは間違いないのだな」 
「はい。その方向です」

「王都にいるネグラロサのメンバーに伝えろ。指示を与える」
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