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新たなる住民
しおりを挟む「それじゃあ、最後の住民ガチャを引いてしまいましょう!」
ラピスの少し曇った声が、聞こえてきた。
「どうしたんですか? 心配事ですか?」アキラは訪ねる。
「いえ、問題ないでしょう。アキラさん、お願いします」
アキラは、久しぶりにコンソール画面から、ガチャ画面を開いた。なぜか操作画面が段々と、普通の世界に溶け込んでいるような感触に、彼は感じ始めていた。
ガチャ 10連目
R警備(男)、R警備(女)、R農民(男)、R農民(女)、R農民(男)、農民(女)、N子供(男)、N子供(女)
SR調理人 トト(男、犬人族)
SR衣装(トト用初期衣装)
SRメイド ロロ(女、犬人族)
SR衣装(ロロ用初期衣装)
20連目
R警備(男)、R警備(男)、R警備(女)、R警備(男)、R警備(女)、R警備(女)、N子供(男)、N子供(女)
SR警備長(男、カリム・シルヴァ・クロウ コボルト)
SR衣装(カリム専用衣装)
SR警備長(男、ジル・シルヴァ・クロウ コボルト)
SR衣装(ジル専用衣装)
30連目
R警備(男)、R警備(女)、R狩猟(男)、R狩猟(女)、R狩猟(男)、R狩猟(女)、N子供(男)
SR調理人 カイ・アルストン(男、人間)
SR衣装(カイ専用衣装)
SR接客師 ミラ・アルストン(女、人間)
SR衣装(ミラ専用衣装)
SR受付嬢 リアナ(女、エルフ)
SR衣装(リアナ専用衣装)
ガチャを引き終えると、アキラは深く息をついた。
「……けっこう引き当てたな。SRがこんなに出るなんて、逆に不安になる」
どこか胸騒ぎを覚えながら、彼は椅子にもたれた。
まるで眠気に誘われるように、アキラはそのまま、意識を手放していった。
アキラは、初めて夢を見た。それは、彼が思い出そうとしてできない記憶の断片なのか、それとも、願望なのかの区別はつかなかった。
それは、家族の夢だった。妹が笑っていて、友人たちが焚き火のそばで、ビール片手に冗談を飛ばしている。
「兄さんって、ほんと世話焼きだよね」
「そう、わざわざ私の実家までキャンプ旅行なんて」
「熊本の私の家にも来たよ、勧誘に」
どの声も懐かしく、あたたかかった。けれど、その中のいくつかに、どこか聞き覚えがある気がして――アキラは夢の中でふと、立ち止まった。
「兄さん、起きて」
アキラはゆっくりと覚醒する。
ログインしました。バトルモード16日目。ログインボーナスを獲得しました。
フロンティアモード9日目。
「アキラさん、起きて。迷い人が到着しています」
その声は、ステラが扉を叩いて、出していた声だった。アキラの布団には、今日もシーツのくぼみが残っていた。誰かが、そこにいたかのように。
「ああ、準備をして降りて行きます。ダリオスさんとストーンファイアさんに対応をするよう伝えて下さい」
「わかりました。朝食の準備もできています」
ゆっくりと伸びをして、それからシャワーを浴びる。部屋には、柔らかく優しい光が差し込んでいた。
「アキラさん、おはようございます」ラピスの声がする。
「おはよう」アキラは、返事をしながらはたと考え込む。
この声、そういえばステラの声も。夢の中の声の誰かと、同じ――。
「どうしました?」ラピスが不審に思い尋ねてくる。
「いや、何をしないといけないのかなと思って」
夢のこと、声のことは秘密にしようとアキラは考えた。
※
着替えをすませて、一階の食堂に顔を出した。
「朝食が出来ています。早く召し上がらないと、大勢のお客様が……」ステラが、声をかけてくる。やはりだ。夢で聴いた声と同じだ。
「ああ、そうするね」
「おはよう、アキラ。相談があります」ノクスが、やつれた顔で話しかけてきた。
「どうしたの?」
聞けば、ノクスの居場所を探し出したハイエルフの使者が、兄が行方不明になっているとの連絡が入ったらしい。
「手紙が、ここに。それと、オーガとの戦いもあったらしいです」
アキラは、顔色を変えた。
「戦いは、どうなっているの? 被害は?」
「ん、父たちが撃退しました。オーガ如きに、ハイエルフが負ける訳ありませんよ」
ノクスが、誇らしげに声を張り上げた。
「それで、一度、ハイエルフの村に戻ろうかと考えています。その許可を!」
「わかったよ。俺も行こうかな。まずは、難民の受け入れをしよう」
急いで、朝食を終えると、難民のいるであろう平原へと向かった。
ガチャの結果でわかっていたが、そこにはコボルトの集団がいた。
取り囲まれて怯えている、二台の馬車にストーン・アリアホテルの経営者夫婦と、食堂ホワィティ・ハウルの親子、それと、冒険者ギルドの受付嬢のリアナの姿があった。
「俺たちには、戦闘も敵対もする意志は無い。ここはどこだ?」コボルトの族長 カリムが叫んだ。
ドワーフのストーンファイアに、コボルトたちへの説明を任せて、他の人をダリオスとともに、アキラハウスに先に迎え入れることにした。
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