完結 シシルナ島物語 少年薬師ノルド/ 荷運び人ノルド 蠱惑の魔剣

織部

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蠱惑の魔剣

祝祭前夜

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「島主を探すのは後だ」
 ディスピオーネは、他の国の大使館員をカニナ村へ避難させることにした。サナトリウムに子供たちの避難を終えたメグミと、大使館を周り、頭を下げた。

「いったい、シシルナ島は、ガレア殿はどうしちまったんだ!」
「こっちは、祝祭の件で、本国に怒られているんだぞ! 楽しみにしてる貴族もいてな!」

「危険に巻き込まるかも知れません。カニナ村でお楽しみ下さい。いざとなっても守ります」
 憤慨していた大使たちに、ありえない額の「支度金」を渡され態度を一変させた。

「まったく、大損だぜ。滞在費も遊興費も持ってやる訳だし」
 髭を触りながらディスピオーネは言った。
「何を言ってる! こういう時の為にあんたに儲けさせたんだろう。って母さんは言いますよ」

 実力不足を思い知らされたメグミは、冗談を言いながらも、涙目になっている。
「ああ、違いねぇ。やばそうなら、船に乗せて大陸に送る」

「それより、囚われた共和国大使と聖王国の司祭たちよ。どうしよう?」
 二人は、頭を悩ませることとなった。



 聖王国のルカ大司祭の元に、シシルナ島の異変が届いたのは、その事件の次の朝だった。

 大陸中を周る巡幸がやっと終わり、聖都を見下ろす庭で、ルカは、尋ねてきたグラシアスと二人ワインを飲んでいた。

「そうか。モナン公国の秘宝を馬鹿息子が盗み出してたのか?」
「秘宝、違いますね。危険な物です。それを危険な人物が持っている」

 ルカの質問に、グラシアスは答えた。
「それでどうするんだ? 今、シシルナ島にいるんだな」

「ええ、エリクシオン公爵から預かっているものがあります。本当は本人がシシルナ島に行きたいらしいのですが、周囲が許さないらしくて。何とかしますよ」

「旅続きみたいだが、まあ、体には気をつけてな。このことをネフェル様には秘密だぞ」
「ええ。商人は旅人ですから。それに……」

 セラに会える。それだけで彼は元気が出て来て旅路が楽しく思える。
 その時、空から聖教会の印が脚についた伝聞鳥が舞い降りてきた。

「せっかくの休みだと言うのに。噂をすれば、シシルナ島からだ」
 何気なく、封筒から手紙を取り出して、ルカは青ざめた。

「グラシアス、遅かったみたいだ。シシルナ島で異変が起きている」
「私にも読ませてください」

 牢獄に閉じ込められているシシルナ島の司祭からだった。そこには、シシルナ島の現状が語られていた。そして、明日祝祭があり重大な発表があるとも。

 二人が真剣に手紙を読んでいて、後ろの人物に気が付かなかった。いや、彼女が本気を出せば気づけない。

「ふうん。それは大変ね。ルカ、まさか私に報告しないつもりじゃなかったわよね?」
 ネフェルが、遊びのつもりで近ずいて真実を知ってしまった。恐るべき怒気を、威光を放っている。

「もちろんです。聖女ネフェル」
 彼のワインを持つ手震えていた。
「ネフェル、話を聞いてくれ」グラシアスは、彼女に椅子を勧めた。
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