ミステリーSS集

神在琉葵(かみありるき)

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この世で一番醜い顔

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俺が特殊メイクに興味を持ったのは、確か、子供の頃に見たSF映画がきっかけだったと思う。
 映画に出て来る他所の星の宇宙人を見た時、俺はそれが本物の宇宙人だと錯覚した程だ。
 五つ年上の従兄弟に、あれはごく普通の人間の顔に特別なメイクアップを施したものだって聞いて、俺はすごくびっくりして…
普通の人間が、あんな宇宙人になれるなんて、まるで魔法だと思った。



だが、そんな感動も子供だった俺はそのうち忘れ果て…特殊メイクの事なんていつしかすっかり忘れていたが、高校生になった時…
俺は、初めての彼女とのデートでSF映画を見に行って…そこで、子供の頃のあの感動を思い出してしまい…



「俺…もう決めたから。」



 俺は、大学には行かず、メイクアップの専門学校に行くことにした。
 親は当然、猛反対した。
 学費も生活費も出さないと言われ、半ば、勘当のような形で俺は着の身着のまま実家を飛び出した。



たいした金も持たず、見知らぬ土地での新しい暮らしはとても大変なものだった。
しばらくはネットカフェから学校に通った。
 寝る間を惜しんでバイトをした。
 時給の良いきつい肉体労働のせいで、疲れは半端なかったが、俺はそれを若さと情熱で何とか乗り切った。
そのうち、学校で金持ちの友達が出来て、そいつの広いマンションに居候させてもらうようになった。
そのおかげで、少しずつ蓄えも出来るようになり、一年後にはアパートを借りた。
その頃には、両親も俺の気持ちが本気だとわかってくれて、仕送りをしてくれるようにもなり、俺はバイトを減らしてさらにメイクアップの勉強に打ち込むようになった。



スクールを卒業して、俺は小さな工房に就職した。
しかし、そこでの仕事は俺が思うようなものではなかった。
 俺は、ニューヨークへ旅立つことを決意した。
もっと、特殊メイクを極めたいと思ったからだ。



 伝手もなく、言葉さえ通じない外国だったが、不安なんて全然なかった。
 日本では得られない技術を知るだけではなく、外国の暮らしは刺激が多くて、毎日がまるで夢みたいだった。



ニューヨークで三年の時を過ごし、日本に戻って来て就職したのは、この業界でも有名な大手の工房だった。
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