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この世で一番醜い顔
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「おめでとう!」
「やったな、圭!」
今回の映画は、数々の賞を獲った。
それは予想していたことだが、なんと俺までが栄えあるメイクアップ大賞を手にしたのだ。
何も有名になりたいわけじゃない。
それは本心だが、こうして認めてもらえると、やはり嬉しいものだ。
それに、今回の特殊メイクは、今までの俺の作品の中でも最高傑作と言えるようなものだった。
これも、赤沢の厳しいダメ出しのおかげだ。
今回、苦労して作り上げた妖精は、どこでも最高の評価を受けた。
その晩、祝賀会が開かれた。
初めての受賞に、俺は意外な程、浮かれていた。
普段はあまり飲まない酒も、今夜ばかりは飲み過ぎてしまった。
だが、真っすぐに歩けないことさえ、今夜は楽しくて仕方ない。
俺は、皆と別れ、徒歩で家を目指していた。
頬を撫でる風が気持ち良い。
(そうだ…醜い顔のことを今度、赤沢に相談してみよう。何か良い案が出て来るかもしれない。)
そんなことを考えていた時、目も眩むような強い光が俺の視界を覆い尽くした。
***
(ん……?ここは?)
俺は暗い小部屋にいた。
(あっ!)
「こ、これだ!これこそが俺の探し求めていた醜い顔だ!」
俺は興奮して寝ている男の近くに寄り、その顔を入念に観察した。
(そうか、ここをこうすれば良かったんだ!
そうすることで、痛々しさが増す。
それに……)
「あっ!」
観察しているうちに、俺はその顔の持ち主がすでに死んでいることに気が付いた。
それだけじゃない。
もっと恐ろしいことに気付いてしまったのだ。
「……こ、これは俺じゃないか!」
そうか…あの時の眩しい光は、おそらく車のヘッドライト…
(じゃあ、俺は……!)
俺は、死んだ俺の顔を見ていたのだ。
この世で最高に醜い顔をした俺自身の顔を…
ついに探し求めていた顔を理解したというのに、その顔を特殊メイクで再現することは、俺にはもう出来ない。
誰もいない霊安室で、打ちひしがれた俺はただただその場に佇んでいた。
「やったな、圭!」
今回の映画は、数々の賞を獲った。
それは予想していたことだが、なんと俺までが栄えあるメイクアップ大賞を手にしたのだ。
何も有名になりたいわけじゃない。
それは本心だが、こうして認めてもらえると、やはり嬉しいものだ。
それに、今回の特殊メイクは、今までの俺の作品の中でも最高傑作と言えるようなものだった。
これも、赤沢の厳しいダメ出しのおかげだ。
今回、苦労して作り上げた妖精は、どこでも最高の評価を受けた。
その晩、祝賀会が開かれた。
初めての受賞に、俺は意外な程、浮かれていた。
普段はあまり飲まない酒も、今夜ばかりは飲み過ぎてしまった。
だが、真っすぐに歩けないことさえ、今夜は楽しくて仕方ない。
俺は、皆と別れ、徒歩で家を目指していた。
頬を撫でる風が気持ち良い。
(そうだ…醜い顔のことを今度、赤沢に相談してみよう。何か良い案が出て来るかもしれない。)
そんなことを考えていた時、目も眩むような強い光が俺の視界を覆い尽くした。
***
(ん……?ここは?)
俺は暗い小部屋にいた。
(あっ!)
「こ、これだ!これこそが俺の探し求めていた醜い顔だ!」
俺は興奮して寝ている男の近くに寄り、その顔を入念に観察した。
(そうか、ここをこうすれば良かったんだ!
そうすることで、痛々しさが増す。
それに……)
「あっ!」
観察しているうちに、俺はその顔の持ち主がすでに死んでいることに気が付いた。
それだけじゃない。
もっと恐ろしいことに気付いてしまったのだ。
「……こ、これは俺じゃないか!」
そうか…あの時の眩しい光は、おそらく車のヘッドライト…
(じゃあ、俺は……!)
俺は、死んだ俺の顔を見ていたのだ。
この世で最高に醜い顔をした俺自身の顔を…
ついに探し求めていた顔を理解したというのに、その顔を特殊メイクで再現することは、俺にはもう出来ない。
誰もいない霊安室で、打ちひしがれた俺はただただその場に佇んでいた。
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