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涙の訳は
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ヒュッ、クゥン…ヒューッ。
アルヴィンの耳にふと、小さな鳴き声と事切れそうな息遣いが聞こえた気がした。
その瞬間アルヴィンとシュヴェルトの間を風のように黒いものが通り過ぎた。
「うわっ。」
それは月のない夜のように黒い鬣をたなびかせ、しなやかな身体をバネにして一気にヴィルマの元へ飛びかかる。
「獅子系魔獣だッ!! シュネー!! 」
シュネーはその声に咄嗟にカールとヴィルマを押し倒した。獅子系魔獣はシュネー達を飛び越えて、ヴィルマが解体していた猪系魔獣に飛び付く。
「ああーッ!! 私の豚汁ぅッ!! 」
「黙ってろッ。なんちゃって男爵令嬢!! 」
アルヴィンとシュヴェルトが立ち上がろうとしたヴィルマとカールを抱き上げ、走って距離を取る。シュネーは剣を抜き、牽制しつつ同じく距離を取った。
獅子系魔獣は口に咥えていた瀕死の犬を投げ捨てて、ガツガツと猪系魔獣の肉を貪り喰う。
「……どうする? 一旦引くか。」
「うーん。結構アイツ被害出してるからここで打たないとまた被害が…。」
「早く決めて、シュヴェルトッ!! 」
今、獅子系魔獣は食事に夢中だ。
撤退するなら早い方がいい。倒すにも油断している今が好機。
「分かった!! 俺と相棒がダーと行って、アルヴィンがグッで、アイツを倒そう!! 」
「……?? 」
「何だって? 効果音じゃ分かる訳ないだろう!! 」
シュヴェルトは撤退するより討伐を取るみたいだという事は分かったが、それ以外の情報が指示が特殊すぎて何も入ってこない。これはもう私が指示がした方が早い。
「私とシュヴェルトで獅子系魔獣を、アルヴィンは抜かれた時の為にヴィルマ達を守って後退。」
「……分かった。」
「よっしゃ!! 」
シュヴェルトとともに獅子系魔獣目掛けて走る。出来れば三人でやりたかったがこの森にいる魔獣は獅子系魔獣だけではない。幾らヴィルマが猪系魔獣を狩れるだとしてもリスクは避けたい。
例え、不足の事態で獅子系魔獣級の魔獣があちらを襲っても、騎士の中でも卓越したな剣さばきのアルヴィンなら何分か持つだろう。
「私が先行して足を挫く。シュヴェルトはトドメを!! 」
「りょーかい!! 」
太陽の光を反射して炎のように揺らめく刀身抜き、一気に獅子系魔獣の距離を詰める。
こちらに気付いた獅子系魔獣が鋭い爪で引き裂こうと突っ込んでくる私を迎え撃つ。私は爪を剣で受け流すが、攻撃が重く、剣がミシ、ミシと悲鳴をあげた。攻撃を受け切り、ジンジンと痛みを訴える手を無視して、するりと刃で受け流した前足に切り裂く。
グォォー!!
剣で斬ったとは思えない歪んだ切り傷から血が溢れて出す。やはりこの剣はエゲツない。
前足を斬られた獅子系魔獣は体勢を崩した。獅子系魔獣は負けじと牙を剥くがシュヴェルトの大剣が振り下ろされ、体勢を崩して避けられなかった獅子系魔獣の脳天に直撃した。
獅子系魔獣の頭がミシミシッと嫌な音をさせながら地面に叩きつけられる。獅子系魔獣はもがいてまだ動く前足でシュヴェルトを切り裂こうとしたが、私がその前に前足を斬り落とした。
頭を割られた獅子系魔獣は血を吹き出し身体をヒクヒクと痙攣させ、やがて動かなくなった。
クゥン…ヒュゥーヒュゥー。
動かなくなった獅子系魔獣の近くで瀕死の犬が死にかけていた。その犬は真っ白な毛を真っ赤な血で染めていた。
「やったな相棒。俺達がの連携の前では上位種もラクショーだったな!! 」
「………たまたま。相手が油断してたからだ。」
シュヴェルトが嬉しそうに肩を叩くが、どうしてもその犬が気になってしまう。
「クゥン。クゥーン。」
その犬より一回り小さな栗色の子犬が茂みから現れ、その犬に擦り寄る。死にかけの犬はその栗色の子犬をペロペロと舐め、ゆっくりと瞼を閉じた。
よく見るとその栗色の子犬も怪我をしている。もしかしたらこの犬達は親子かもしれない。
先程の獅子系魔獣から栗色の子犬を身を呈して守ってあの犬は。
ー もう、あの犬はあの子犬をもう守りたくても守ってやれないのか。
何故かその事がやけにチクリと胸に刺さり、その痛みが胸から身体に広がっていく。
「何だ?犬見てんの? あの犬も魔獣か? 」
「さぁ。」
「!! どうしたんだよ、相棒ッ!! 」
私の顔を見て、ギョッとしてシュヴェルトが私の肩を揺する。「何処か怪我したのか!? 」とシュヴェルトが怪我がないか確かめる。
怪我はない。
別に怖かった訳でも無ければ、あの犬の死を悼んでいる訳でもない。
ただただ涙が止まらなかった。
何故だか涙が止まらない。
その光景を見ていると自身の中で何かが燻った。
「大丈夫。」
止まらない涙をテキトーにぬぐい、自身の服の裾を乱暴に破り、栗色の子犬に近付いた。子犬は怯えたが親から離れず、逃げる事はなかった。
そんな子犬の傷口に水筒の水を掛け、清めてやり、先程破いた布で傷口を抑えるように巻いた。
「その子は死んでるよ。もうお行き。ここに居たら血の臭いに引き寄せられて魔獣が来る。」
子犬はこちらの言葉が分かるようで、何度も親を見返りながらも茂みの中へ消えていった。
「犬が可哀想だったのか? 」
「自然界で弱肉強食は当たり前。そんな事気にしてたら魔獣討伐なんて最初から出来ない。」
「…そうだな。」
アルヴィン達がこちらに駆けてくる。どうやら無事らしい。
シュヴェルトはまだ私を心配している。流石に全員に泣き顔を見られたくなかったので水筒の残りの水を頭からかけた。
「あーッ!! 私の豚汁がぁー。豚汁がぁー。ッて、ずぶ濡れよ!! どうしたの。」
「ちょっと頭を冷やしたかっただけ。」
「……俺も戦いたかった。」
「文句は後で聞くよ。」
シトシトと掛けた水が髪から流れ落ちる。やっと涙は止まったが、やはり自身が何で泣いたのかは分からなかった。
「もう直ぐ四学年かぁ。楽しみですわぁ。」
気を取り直したヴィルマがルンルンと楽しそうに護衛を置いて先に行こうとする。それにカールも続こうとするので涙の理由を考える暇もなく、二人を止める。
「……俺もやっと学園に入学か。」
「おお、そうだな。楽しみだな!! 」
シュヴェルトに頭を撫でられ、アルヴィンが少し嬉しそうにはにかんだ。
その笑顔にやっと一緒通えるなと思う反面。結局、アルヴィンが入学する前に友達が一人も出来なかったという複雑な気持ちが絡み合う。
「やっと…、やっと始まる。やっと、スチルがみれる。…グフフ。」
ヴィルマが男爵令嬢と思えない気持ち悪い笑みを浮かべる。その『スチル』が何かは分からないが嫌な予感がする。ブルリッと寒気が身体に走り、「…大丈夫か? 」とアルヴィンに心配された。
アルヴィンの耳にふと、小さな鳴き声と事切れそうな息遣いが聞こえた気がした。
その瞬間アルヴィンとシュヴェルトの間を風のように黒いものが通り過ぎた。
「うわっ。」
それは月のない夜のように黒い鬣をたなびかせ、しなやかな身体をバネにして一気にヴィルマの元へ飛びかかる。
「獅子系魔獣だッ!! シュネー!! 」
シュネーはその声に咄嗟にカールとヴィルマを押し倒した。獅子系魔獣はシュネー達を飛び越えて、ヴィルマが解体していた猪系魔獣に飛び付く。
「ああーッ!! 私の豚汁ぅッ!! 」
「黙ってろッ。なんちゃって男爵令嬢!! 」
アルヴィンとシュヴェルトが立ち上がろうとしたヴィルマとカールを抱き上げ、走って距離を取る。シュネーは剣を抜き、牽制しつつ同じく距離を取った。
獅子系魔獣は口に咥えていた瀕死の犬を投げ捨てて、ガツガツと猪系魔獣の肉を貪り喰う。
「……どうする? 一旦引くか。」
「うーん。結構アイツ被害出してるからここで打たないとまた被害が…。」
「早く決めて、シュヴェルトッ!! 」
今、獅子系魔獣は食事に夢中だ。
撤退するなら早い方がいい。倒すにも油断している今が好機。
「分かった!! 俺と相棒がダーと行って、アルヴィンがグッで、アイツを倒そう!! 」
「……?? 」
「何だって? 効果音じゃ分かる訳ないだろう!! 」
シュヴェルトは撤退するより討伐を取るみたいだという事は分かったが、それ以外の情報が指示が特殊すぎて何も入ってこない。これはもう私が指示がした方が早い。
「私とシュヴェルトで獅子系魔獣を、アルヴィンは抜かれた時の為にヴィルマ達を守って後退。」
「……分かった。」
「よっしゃ!! 」
シュヴェルトとともに獅子系魔獣目掛けて走る。出来れば三人でやりたかったがこの森にいる魔獣は獅子系魔獣だけではない。幾らヴィルマが猪系魔獣を狩れるだとしてもリスクは避けたい。
例え、不足の事態で獅子系魔獣級の魔獣があちらを襲っても、騎士の中でも卓越したな剣さばきのアルヴィンなら何分か持つだろう。
「私が先行して足を挫く。シュヴェルトはトドメを!! 」
「りょーかい!! 」
太陽の光を反射して炎のように揺らめく刀身抜き、一気に獅子系魔獣の距離を詰める。
こちらに気付いた獅子系魔獣が鋭い爪で引き裂こうと突っ込んでくる私を迎え撃つ。私は爪を剣で受け流すが、攻撃が重く、剣がミシ、ミシと悲鳴をあげた。攻撃を受け切り、ジンジンと痛みを訴える手を無視して、するりと刃で受け流した前足に切り裂く。
グォォー!!
剣で斬ったとは思えない歪んだ切り傷から血が溢れて出す。やはりこの剣はエゲツない。
前足を斬られた獅子系魔獣は体勢を崩した。獅子系魔獣は負けじと牙を剥くがシュヴェルトの大剣が振り下ろされ、体勢を崩して避けられなかった獅子系魔獣の脳天に直撃した。
獅子系魔獣の頭がミシミシッと嫌な音をさせながら地面に叩きつけられる。獅子系魔獣はもがいてまだ動く前足でシュヴェルトを切り裂こうとしたが、私がその前に前足を斬り落とした。
頭を割られた獅子系魔獣は血を吹き出し身体をヒクヒクと痙攣させ、やがて動かなくなった。
クゥン…ヒュゥーヒュゥー。
動かなくなった獅子系魔獣の近くで瀕死の犬が死にかけていた。その犬は真っ白な毛を真っ赤な血で染めていた。
「やったな相棒。俺達がの連携の前では上位種もラクショーだったな!! 」
「………たまたま。相手が油断してたからだ。」
シュヴェルトが嬉しそうに肩を叩くが、どうしてもその犬が気になってしまう。
「クゥン。クゥーン。」
その犬より一回り小さな栗色の子犬が茂みから現れ、その犬に擦り寄る。死にかけの犬はその栗色の子犬をペロペロと舐め、ゆっくりと瞼を閉じた。
よく見るとその栗色の子犬も怪我をしている。もしかしたらこの犬達は親子かもしれない。
先程の獅子系魔獣から栗色の子犬を身を呈して守ってあの犬は。
ー もう、あの犬はあの子犬をもう守りたくても守ってやれないのか。
何故かその事がやけにチクリと胸に刺さり、その痛みが胸から身体に広がっていく。
「何だ?犬見てんの? あの犬も魔獣か? 」
「さぁ。」
「!! どうしたんだよ、相棒ッ!! 」
私の顔を見て、ギョッとしてシュヴェルトが私の肩を揺する。「何処か怪我したのか!? 」とシュヴェルトが怪我がないか確かめる。
怪我はない。
別に怖かった訳でも無ければ、あの犬の死を悼んでいる訳でもない。
ただただ涙が止まらなかった。
何故だか涙が止まらない。
その光景を見ていると自身の中で何かが燻った。
「大丈夫。」
止まらない涙をテキトーにぬぐい、自身の服の裾を乱暴に破り、栗色の子犬に近付いた。子犬は怯えたが親から離れず、逃げる事はなかった。
そんな子犬の傷口に水筒の水を掛け、清めてやり、先程破いた布で傷口を抑えるように巻いた。
「その子は死んでるよ。もうお行き。ここに居たら血の臭いに引き寄せられて魔獣が来る。」
子犬はこちらの言葉が分かるようで、何度も親を見返りながらも茂みの中へ消えていった。
「犬が可哀想だったのか? 」
「自然界で弱肉強食は当たり前。そんな事気にしてたら魔獣討伐なんて最初から出来ない。」
「…そうだな。」
アルヴィン達がこちらに駆けてくる。どうやら無事らしい。
シュヴェルトはまだ私を心配している。流石に全員に泣き顔を見られたくなかったので水筒の残りの水を頭からかけた。
「あーッ!! 私の豚汁がぁー。豚汁がぁー。ッて、ずぶ濡れよ!! どうしたの。」
「ちょっと頭を冷やしたかっただけ。」
「……俺も戦いたかった。」
「文句は後で聞くよ。」
シトシトと掛けた水が髪から流れ落ちる。やっと涙は止まったが、やはり自身が何で泣いたのかは分からなかった。
「もう直ぐ四学年かぁ。楽しみですわぁ。」
気を取り直したヴィルマがルンルンと楽しそうに護衛を置いて先に行こうとする。それにカールも続こうとするので涙の理由を考える暇もなく、二人を止める。
「……俺もやっと学園に入学か。」
「おお、そうだな。楽しみだな!! 」
シュヴェルトに頭を撫でられ、アルヴィンが少し嬉しそうにはにかんだ。
その笑顔にやっと一緒通えるなと思う反面。結局、アルヴィンが入学する前に友達が一人も出来なかったという複雑な気持ちが絡み合う。
「やっと…、やっと始まる。やっと、スチルがみれる。…グフフ。」
ヴィルマが男爵令嬢と思えない気持ち悪い笑みを浮かべる。その『スチル』が何かは分からないが嫌な予感がする。ブルリッと寒気が身体に走り、「…大丈夫か? 」とアルヴィンに心配された。
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