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第二章 ローレライとロバ耳王子と陰謀と
36、R指定のやつ(言っとくが僕は関係ないっ!!)
しおりを挟む※ ※ 注意 ※※
ドS注意。
別カプのそういうシーン(ほぼ言葉責め)があります。
苦手な方は飛ばしましょう。
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
「俺はリュビィを愛してる」
「リュ、リュビィ??」
「リュビィを手に入れる為ならなんだってする。その為に王位継承権を捨てた事も俺は一切後悔していない。寧ろ、愛しいリュビィをこの腕に囲い、愛でる時間が増え、満足している。俺はリュビィという存在全てを愛しているが、強いてひとつあげるなら自分に自信を持っている芯のある強さと、完璧でありたいのに抜けている所がとても可愛らしい」
「そ、そう…なんだ」
そこから始まったのは怒涛の惚気。
そのノンブレスで続けられる惚気に呆気に取られて、ただ相槌を打つ事しか許されない。
しかし、それが悪かったのだろう。
聞いてもらえた事が嬉しかったのか。更に惚気はヒートアップしていく。
「普段の清楚で美しい顔がベッドの上ではトロリと蕩けて情欲に染まっていくのがまたいいッ。最初は羞恥に閉ざしていたそのすらりと綺麗な脚を突き上げる度に誘うように淫らに開く姿は妖艶。S字結腸まで激しく突き上げられるのが好きで、止まらぬ快楽に身を浸す姿は雄の本能を掻き立てられる」
「あの…。もう、いいでs…」
「勿論、傷を付けるのは良くない事だ。だが、愛し過ぎて、リュビィの身体はもう、ちょっとやそっとの快楽では達せられなくなってしまってるのだ。胸の飾りを弄られるより噛まれる方が、大事に抱かれるように乱暴に抱かれる方が…。ああ、でも、達せられずに身体の熱を持て余したままよがり狂うのも捨て難いな…」
もう段々と一方的な惚気に疲れてゲンナリしてきた。
リュビオは惚気が始まった途端、顔が真っ赤になり、青くなり、まった真っ赤になりを繰り返し、最終的には放心状態になってしまった。
…ねぇ。リュビオ。
時々、専門用語的なものが出てきて話をあんまり理解出来なかったけど、君がドMだって事はよく分かったよ。
溜息をついて、再度リュビオを見て、やっと終わった惚気にもう勘弁してという意味を込めて、締めくくる。
「……今日は取り敢えず、距離を置きましょう。それで落ち着いてから、またきちんとカフェかどっか人気のある所で話し合ってください」
ドMという事は置いておいて、逃げたという事実を受け入れてほしい。
そう諭すと第一皇子ユーリウスは「しかし…」と粘ろうとしたものの「そうだな」と肯定した。
やっと終わった。僕は頑張ったとうんうんと頷いた。
そう取り敢えずは問題は完結した筈だったんだ。
放心状態だったリュビオがハッと意識を取り戻し、涙目で嬉しそうに僕にお礼の言葉を紡ぐ。
「ありがとうございます。…普段はお子ちゃま全開でちょっと間抜けだと思っていましたが、やるじゃないですかっ! 見直しましたっ!!」
「「…………」」
きっと本人は至って大真面目に僕を称賛している。
僕は助かったとホッとした笑顔を浮かべるリュビオにニコリっと笑い掛けると、ソッとリュビオを引き剥がし、立ち上がった。
そのまま扉の前まで行き、ニッコリと笑顔を浮かべたまま、扉を開け放った。
「ぎゃぁあああッ。何してるんですかーッ!」
「返品しますので、お引き取りください」
「なんか…すまん」
扉の向こうにいた皇子に威厳と男らしさを足した姿をした第一皇子ユーリウスは、とても申し訳なさそうに会釈した。
そして、この期に及んで逃げようとするリュビオを引っ捕まえて、抱っこした。
「う、裏切り者っ。裏切り者っ!」
「何故見捨てられたか、胸に手を当てて、よく考えてみてよ…。本当にリュビオのそういうとこ、直した方がいいと思う」
「今のはリュビィが悪い」
「うるさいっ! 私は絶対に帰らな…」
パーンッ!!!
「ひゃうっ!? あ…、あっ…ぁ」
性懲りも無くまだ粘ろうとしたリュビオのお尻をユーリウスはとても小気味良く叩いた。
綺麗に響いたその音とともに、リュビオは背を逸らし、見開いた目で天井を仰ぐと、くたりっと大人しくなった。
ユーリウスは何処かへとトリップして小刻みに体を振るわすリュビオの身体を抱き込むと、ワイシャツの下から見える叩いて少し赤くなったお尻を気遣わしげに撫でた。
「君の言葉は善処しよう」
「うん…。もう勝手にして」
何を善処するつもりなのか。ユーリウスは捕食者の目のまま捕食対象(リュビオ)を連れて消えてった。
「寝よう…。頭が痛いっ…」
ドッと疲れて、心労で痛くなった頭を抱えてベッドでうずくまる。
きっと、あれは僕がまだ見てはいけない世界だったんだ。
なんかこう…、R指定の付くアレだ。未成年に見せちゃいけない奴…。
あんな事があり、うなされるかと思ったが、その後、意外とすんなり寝れた。
でも、アレを見た後の所為か。
少し変な夢を見た。
真っ暗な部屋の中。
スースーと僕はいつも通り寝ている。
そして、いつも通りの現実とは違う夢のライモンド先生が暗い夜の闇の中から現れた。
しかし、何処か様子が違う。
何時もするあの落ち着くラベンダーの香りにヤニの匂いが混ざっている。
表情は少し暗く、複雑な表情を浮かべていた。
「ラニ…」
そう僕を呼ぶ声はか細く心配になる。
怪我でもしたようなとても痛そうな表情で唇を重ねた。
しかし、いつもの様に苦くなく、キスも啄む様に軽く優しい。
「俺…。間違ってるのかな…」
まるで何かを確かめるように、まるで何かに縋る様に何度も何度も軽いキスを重ねては、そう悲しげに呟く。
それがなんだか悲しくて、たったひとりでつぶやくその姿が寂しくて。
今起きたら、海の泡の様に何処かへ消えてしまいそうで。
「ラニ……」
あまりにも呼ぶ声は心許なくて。切なくて。
胸がチクチク痛くて、もどかしさが心の中で溢れた。
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