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第二章 ローレライとロバ耳王子と陰謀と
38、僕は拗ねてるんだっ!!
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「成程。それは喜ばしいですね」
「そうでしょ?」
ニコニコとリュビオとシルビオが笑い合っている。
赤々と紅葉した木々の中。
2人が馬で並走して、笑い合い談笑する姿はまるで本の挿絵のように一見、美しく見える。
だが、騙されること無かれ。
彼等がしているのは僕の朝の痴態の話である。
僕の乗馬訓練としてやってきた紅葉狩りの場で僕の痴態を掘り返すという新手のイジメだ。
「ふふふっ。そうなると、やはり、そろそろ婚約者を斡旋した方がいいでしょうねっ! 」
「いや…。僕は将来、漁師だから別に…」
「さて、帝国内なら侯爵家以上の家柄が望ましいでしょうね。有望株はラピュセル…。あっ、ユーリウスなんてどうですか? 一応、皇族ですし。アレでも昔は未来の賢帝と呼ばれていた男ですよ。アレでも。…そうですよ。そうしましょう。私は2人の為に喜んで身を引きましょうっ!」
「…謹んでお断りするよ」
ちゃっかりと自分の婚約者を押し付けようとするリュビオに内心、巻き込むなと睨みたい。
合宿での一件を地味に根に持っているリュビオはここ最近、すぐ僕を巻き込もうとする。
本当に心の底から迷惑だ。
だが、しかし、僕は現状、睨む事すら出来ない。
何故なら僕のすぐ後ろでシルビオが笑顔で怒ってるから。
ー この馬、降りたいな…
初めて乗馬という事で、一番乗馬の上手いシルビオが同じ馬に乗りながら、一緒に手綱を引いてくれている。
だから、この2人が喧嘩すると馬上で逃げられない僕は巻き込まれる。
ここ最近、仲の悪いこの2人の喧嘩に…。
「ラニラニの前であの人の名前を出さないでって言ったよねー? リュビちゃん」
「貴方がそういう話題を振ったんでしょ?」
「違うねー。俺はラニラニがそういうトラブルに巻き込まれないように皇室に閨教育を依頼した方がいいかもしれないって話しをしてるんぢゃん」
「はぁ? 閨よりも婚約者でしょう」
「それはリュビちゃんの都合だねー? リュビちゃんの思惑を押し付けないでくれるカナ」
「「…………」」
「勘弁してよっ…」
2人して笑顔のまま言葉で殴り合うシルビオとリュビオ。
この2人はここ最近…というか、僕が合宿でリュビオの婚約者との一件に巻き込まれて以降、仲が悪い。
リュビオが恐ろしい程にとても一途?な婚約者に連れ帰られた次の朝、シルビオは静かにキレていた。
別に僕はチクってない。
だが、既にシルビオは僕に起こった事、全てを知っていた。
シルビオの行動は早かった。
すぐさま第一王子ユーリウスに抗議文を書き、合宿が終わって、やっと自身の婚約者から解放されたリュビオを捕縛した。
『何を考えているの? ラニラニは未成年の王族だという事は分かってる? ユーリウス殿下を近付かせるなんて何を考えてるの?』
感情の読めない笑顔を浮かべて、こてんと首を傾げ、一見穏やかに見えるシルビオのリュビオを見る目は汚物を見るような目だった。
しかし、リュビオも黙ってはいない。
ニッコリ笑いながら腕を組むと、軽蔑するような目でシルビオを見た。
『私も分かりませんね。何故、ラニ王子がこれ程の大怪我を負っているのでしょう? ファルハ人に追われて怪我をしたと耳にしてますが、ちょっと、分かりませんね。何故、巡回を強化するなり、無理矢理にでもラニ王子についているなりしなかったのか? さっぱり、私には分かりませんね』
『……頼むから2人ともやめてくれ』
笑顔でお互いに嫌味を言い合う2人。
そして、その2人を前に2人の言葉に一番傷つきながら止めに入る皇子。
結果、2人はあまりに落ち込む皇子を前に言葉を全て飲み込んだ。
だが、シルビオは僕にリュビオを近付くだけで嫌がるし、リュビオはリュビオで分かっててシルビオの地雷を踏みまくった。
皇子が少し見てない合間を狙って。
そして、現在。
2人がNowで喧嘩している紅葉狩りに皇子の姿はない。
今日は急に政務が入ったらしく、ドタキャンだ。
この状況にちょっと疲れて、集中が切れる。
集中が切れたその瞬間、グラリッと身体が傾いた。
「危ないヨ、ラニラニ」
そっとお腹に手が添えられて、グイッとシルビオの元へ引き戻される。
落ちそうになったのが怖くて、安心を求めて身体をシルビオの腕に寄せると、「怖かったね」とギュッとしてくれた。
「馬も落ちれば危ないですからね。…大丈夫ですか?」
「…うん。気を付けるよ」
僕より真っ青な顔でリュビオが釘を刺しつつも心配してくれる。
「馬に乗るのも体力が入りますからね。ラニ王子の体力を考えるとそろそろ切り上げた方が」
「そうだね。切り上げよっか。今すぐ、乗れるようになる必要なんてないしね。別に乗れなくても俺が乗せればいいし」
2人は最近仲が悪い。
でも、やっぱり、幼馴染だからなのか。こういう時は意見が揃って、自然と協力し合う。
「閨の授業は入れてもらうとして。ラニラニの夢精についてはどうしよっか?」
「そうですね。この歳だと性に興味を持つ年頃ですからエロい夢を見て夢精するのは仕方のない事。大丈夫。汚れたシーツを侍女に洗われるのなど日常茶飯事。慣れてしまえばいいだけの話ですよ、ラニ王子。誰もが通る道です」
「………。日常茶飯事かは置いておいて、ここはオニーサンとして俺が手解きするべきカナ?」
「…何故、話しをそこに戻した」
もう2人なんて知らないと全力で僕は拗ねた。
それなのに2人はどこ吹く風で、紅葉が綺麗だとか普通に僕に話題を振ってくる。
僕は機嫌取りだとシルビオにもらった一番色づいた綺麗な赤い葉っぱをクルクルと手で弄びながら断固として拗ねたのだ。
「そうでしょ?」
ニコニコとリュビオとシルビオが笑い合っている。
赤々と紅葉した木々の中。
2人が馬で並走して、笑い合い談笑する姿はまるで本の挿絵のように一見、美しく見える。
だが、騙されること無かれ。
彼等がしているのは僕の朝の痴態の話である。
僕の乗馬訓練としてやってきた紅葉狩りの場で僕の痴態を掘り返すという新手のイジメだ。
「ふふふっ。そうなると、やはり、そろそろ婚約者を斡旋した方がいいでしょうねっ! 」
「いや…。僕は将来、漁師だから別に…」
「さて、帝国内なら侯爵家以上の家柄が望ましいでしょうね。有望株はラピュセル…。あっ、ユーリウスなんてどうですか? 一応、皇族ですし。アレでも昔は未来の賢帝と呼ばれていた男ですよ。アレでも。…そうですよ。そうしましょう。私は2人の為に喜んで身を引きましょうっ!」
「…謹んでお断りするよ」
ちゃっかりと自分の婚約者を押し付けようとするリュビオに内心、巻き込むなと睨みたい。
合宿での一件を地味に根に持っているリュビオはここ最近、すぐ僕を巻き込もうとする。
本当に心の底から迷惑だ。
だが、しかし、僕は現状、睨む事すら出来ない。
何故なら僕のすぐ後ろでシルビオが笑顔で怒ってるから。
ー この馬、降りたいな…
初めて乗馬という事で、一番乗馬の上手いシルビオが同じ馬に乗りながら、一緒に手綱を引いてくれている。
だから、この2人が喧嘩すると馬上で逃げられない僕は巻き込まれる。
ここ最近、仲の悪いこの2人の喧嘩に…。
「ラニラニの前であの人の名前を出さないでって言ったよねー? リュビちゃん」
「貴方がそういう話題を振ったんでしょ?」
「違うねー。俺はラニラニがそういうトラブルに巻き込まれないように皇室に閨教育を依頼した方がいいかもしれないって話しをしてるんぢゃん」
「はぁ? 閨よりも婚約者でしょう」
「それはリュビちゃんの都合だねー? リュビちゃんの思惑を押し付けないでくれるカナ」
「「…………」」
「勘弁してよっ…」
2人して笑顔のまま言葉で殴り合うシルビオとリュビオ。
この2人はここ最近…というか、僕が合宿でリュビオの婚約者との一件に巻き込まれて以降、仲が悪い。
リュビオが恐ろしい程にとても一途?な婚約者に連れ帰られた次の朝、シルビオは静かにキレていた。
別に僕はチクってない。
だが、既にシルビオは僕に起こった事、全てを知っていた。
シルビオの行動は早かった。
すぐさま第一王子ユーリウスに抗議文を書き、合宿が終わって、やっと自身の婚約者から解放されたリュビオを捕縛した。
『何を考えているの? ラニラニは未成年の王族だという事は分かってる? ユーリウス殿下を近付かせるなんて何を考えてるの?』
感情の読めない笑顔を浮かべて、こてんと首を傾げ、一見穏やかに見えるシルビオのリュビオを見る目は汚物を見るような目だった。
しかし、リュビオも黙ってはいない。
ニッコリ笑いながら腕を組むと、軽蔑するような目でシルビオを見た。
『私も分かりませんね。何故、ラニ王子がこれ程の大怪我を負っているのでしょう? ファルハ人に追われて怪我をしたと耳にしてますが、ちょっと、分かりませんね。何故、巡回を強化するなり、無理矢理にでもラニ王子についているなりしなかったのか? さっぱり、私には分かりませんね』
『……頼むから2人ともやめてくれ』
笑顔でお互いに嫌味を言い合う2人。
そして、その2人を前に2人の言葉に一番傷つきながら止めに入る皇子。
結果、2人はあまりに落ち込む皇子を前に言葉を全て飲み込んだ。
だが、シルビオは僕にリュビオを近付くだけで嫌がるし、リュビオはリュビオで分かっててシルビオの地雷を踏みまくった。
皇子が少し見てない合間を狙って。
そして、現在。
2人がNowで喧嘩している紅葉狩りに皇子の姿はない。
今日は急に政務が入ったらしく、ドタキャンだ。
この状況にちょっと疲れて、集中が切れる。
集中が切れたその瞬間、グラリッと身体が傾いた。
「危ないヨ、ラニラニ」
そっとお腹に手が添えられて、グイッとシルビオの元へ引き戻される。
落ちそうになったのが怖くて、安心を求めて身体をシルビオの腕に寄せると、「怖かったね」とギュッとしてくれた。
「馬も落ちれば危ないですからね。…大丈夫ですか?」
「…うん。気を付けるよ」
僕より真っ青な顔でリュビオが釘を刺しつつも心配してくれる。
「馬に乗るのも体力が入りますからね。ラニ王子の体力を考えるとそろそろ切り上げた方が」
「そうだね。切り上げよっか。今すぐ、乗れるようになる必要なんてないしね。別に乗れなくても俺が乗せればいいし」
2人は最近仲が悪い。
でも、やっぱり、幼馴染だからなのか。こういう時は意見が揃って、自然と協力し合う。
「閨の授業は入れてもらうとして。ラニラニの夢精についてはどうしよっか?」
「そうですね。この歳だと性に興味を持つ年頃ですからエロい夢を見て夢精するのは仕方のない事。大丈夫。汚れたシーツを侍女に洗われるのなど日常茶飯事。慣れてしまえばいいだけの話ですよ、ラニ王子。誰もが通る道です」
「………。日常茶飯事かは置いておいて、ここはオニーサンとして俺が手解きするべきカナ?」
「…何故、話しをそこに戻した」
もう2人なんて知らないと全力で僕は拗ねた。
それなのに2人はどこ吹く風で、紅葉が綺麗だとか普通に僕に話題を振ってくる。
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