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終章 ロバ耳王子と16歳と約束と
8、人生ってままならないね…
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人生って本当にままならないねって、ふと、僕はプリンをスプーンで突きながら溜息をついた。
大人の階段は1人だけ上がれない。
グルグル眼鏡先輩との見解の相違。
ルトゥフとの別れに。
全く、掴まれる事の出来ない主人公。
1週間。
僕はルトゥフとの別れを惜しみつつも、バッドエンドを回避しようとエレンと会話を試みた。だが、エレンの逃げ足は異常に速かった。
気が付けばこちらを遠くから見ているというのに、捕まえようとしても捕まらない。
寧ろエレンを捕まえようとする僕が、シルビオに捕まるという事を繰り返している。
「ラニラニ。あんまり、俺の視界から消えないで」
どんなに頑張って背を伸ばしても軽々と抱き上げられて、シルビオはご機嫌取りと言わんばかりにプリンを僕に差し出す。
頭を撫でて、僕に何がいけないのか諭しかける。
まるで親が幼い子供を叱るようにだ。
現在もNowで叱られて、その後宥めるようにプリンを与えられて、憤慨しつつもプリンに罪はないのでプリンを食べている。
プリンを食べながら夜会に向けての準備をしてもらっている。
今日は待ちに待ったフラント侯爵の夜会。
結局。色仕掛けを覚える暇もなく、迎えてしまったので、そちらはしょうがないのでぶっつけ本番であの男娼から学んだテクでなんとかするつもりだ。
そして何より今日のフラント侯爵家の夜会ではミューズ学園の音楽隊が出演する。
つまり、エレンも出席する。
《仮面の男爵》とお近付きになり、エレンも捕まえる。
今日はそんな最大ミッションが2つも控えているというのに……。
「さて、ラニラニ。復唱しようか」
準備が終わり、いざ行かんと内なる闘志を燃やす中、今日は貴族として参加するシルビオが流れるように僕の前に手を差し出す。
僕はソッと現実から目を逸らすが、手を何時の間にかにシルビオの手の上に重ねられて、逃げられない状態になっていく。
「夜会では知らない人から出された食べ物は?」
「食べない?」
「俺から?」
「…………」
「ラニラニ。これを約束出来ないと今日は連れてけないぢゃん。俺から?」
「………は、離れない?」
ニッコニッコと黒い笑顔を浮かべるシルビオにそうほぼ強引に誓い?を立てさせられて、僕はこの護衛騎士をどう撒こうか頭を悩ませる。
今日のフラント侯爵家の夜会はミューズ学園の音楽隊が参加する。
つまり、今日はフィルは皇子ではなく、音楽隊の1人として参加する。
そして、何故かそんなフィルの護衛にエリオットが連れてかれてしまったので、僕はシルビオと2人で参加する事になってしまった。
本当にどうしようっ!?
僕はどうやって、シルビオを撒いて1人になって、《仮面の男爵》に色仕掛けをかけて、エレンをとっ捕まえるんだろう??
始まる前から完全に詰んでいるような気がしなくもない。
内心、タラタラと冷や汗をかきながらシルビオのエスコートを受け入れたというのに……。
「帰ろっか。ラニラニ」
それは夜会についてたった4分での出来事だった。
笑顔でブチギレたシルビオが僕を引きずって帰ろうとする。
「いやいやいやいや!? まだ来たばっかりでしょっ」
「こんな夜会。参加する価値もないねー」
「ま、待って頂きたい。シルビオ殿っ!」
真っ青になってとにかく、考え直してほしいと縋るフラント侯爵を煩わしそうに見、そして、ゴミを見るような目で、フラント侯爵の後ろに控える人物を見た。
何故。本当に人生とはままならないのか。
恐れというものを知らないのか、シルビオを無視して僕を凝視し続けるその人物を見て、僕は頭を抱えた。
ガウィーン・クエン。
僕にびっくり箱のように詰め込まれた飛び出す手紙を送り付けてきた男がそこに立っていた。
大人の階段は1人だけ上がれない。
グルグル眼鏡先輩との見解の相違。
ルトゥフとの別れに。
全く、掴まれる事の出来ない主人公。
1週間。
僕はルトゥフとの別れを惜しみつつも、バッドエンドを回避しようとエレンと会話を試みた。だが、エレンの逃げ足は異常に速かった。
気が付けばこちらを遠くから見ているというのに、捕まえようとしても捕まらない。
寧ろエレンを捕まえようとする僕が、シルビオに捕まるという事を繰り返している。
「ラニラニ。あんまり、俺の視界から消えないで」
どんなに頑張って背を伸ばしても軽々と抱き上げられて、シルビオはご機嫌取りと言わんばかりにプリンを僕に差し出す。
頭を撫でて、僕に何がいけないのか諭しかける。
まるで親が幼い子供を叱るようにだ。
現在もNowで叱られて、その後宥めるようにプリンを与えられて、憤慨しつつもプリンに罪はないのでプリンを食べている。
プリンを食べながら夜会に向けての準備をしてもらっている。
今日は待ちに待ったフラント侯爵の夜会。
結局。色仕掛けを覚える暇もなく、迎えてしまったので、そちらはしょうがないのでぶっつけ本番であの男娼から学んだテクでなんとかするつもりだ。
そして何より今日のフラント侯爵家の夜会ではミューズ学園の音楽隊が出演する。
つまり、エレンも出席する。
《仮面の男爵》とお近付きになり、エレンも捕まえる。
今日はそんな最大ミッションが2つも控えているというのに……。
「さて、ラニラニ。復唱しようか」
準備が終わり、いざ行かんと内なる闘志を燃やす中、今日は貴族として参加するシルビオが流れるように僕の前に手を差し出す。
僕はソッと現実から目を逸らすが、手を何時の間にかにシルビオの手の上に重ねられて、逃げられない状態になっていく。
「夜会では知らない人から出された食べ物は?」
「食べない?」
「俺から?」
「…………」
「ラニラニ。これを約束出来ないと今日は連れてけないぢゃん。俺から?」
「………は、離れない?」
ニッコニッコと黒い笑顔を浮かべるシルビオにそうほぼ強引に誓い?を立てさせられて、僕はこの護衛騎士をどう撒こうか頭を悩ませる。
今日のフラント侯爵家の夜会はミューズ学園の音楽隊が参加する。
つまり、今日はフィルは皇子ではなく、音楽隊の1人として参加する。
そして、何故かそんなフィルの護衛にエリオットが連れてかれてしまったので、僕はシルビオと2人で参加する事になってしまった。
本当にどうしようっ!?
僕はどうやって、シルビオを撒いて1人になって、《仮面の男爵》に色仕掛けをかけて、エレンをとっ捕まえるんだろう??
始まる前から完全に詰んでいるような気がしなくもない。
内心、タラタラと冷や汗をかきながらシルビオのエスコートを受け入れたというのに……。
「帰ろっか。ラニラニ」
それは夜会についてたった4分での出来事だった。
笑顔でブチギレたシルビオが僕を引きずって帰ろうとする。
「いやいやいやいや!? まだ来たばっかりでしょっ」
「こんな夜会。参加する価値もないねー」
「ま、待って頂きたい。シルビオ殿っ!」
真っ青になってとにかく、考え直してほしいと縋るフラント侯爵を煩わしそうに見、そして、ゴミを見るような目で、フラント侯爵の後ろに控える人物を見た。
何故。本当に人生とはままならないのか。
恐れというものを知らないのか、シルビオを無視して僕を凝視し続けるその人物を見て、僕は頭を抱えた。
ガウィーン・クエン。
僕にびっくり箱のように詰め込まれた飛び出す手紙を送り付けてきた男がそこに立っていた。
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