【完結】妹が欲しがるならなんでもあげて令嬢生活を満喫します。それが婚約者の王子でもいいですよ。だって…

西東友一

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「さてさて、準備は整ったかな」

 グリフィス様が王国の方を見て、そうつぶやいた。

 ぐーーーーっ

 私のお腹が鳴った。
 恥ずかしい・・・。

「よろしければ、一緒にご飯でもたべませんか?」

 グリフィス様がそう言ってくださったけれど、私は恥ずかしくて返事もせず、子どものように頷くことしかできませんでした。

「んっ、美味しい」

 私は食べたことも無い果物をご馳走になる。

「それは、東の国カナンで取れるウォメロンです。水分補給に加えて、甘さがいいでしょ」

「はい」

 月夜を頼りに火を点けず、私はグリフィス様の野営に加えてもらった。
 私が食べ物からグリフィス様を見ると、グリフィス様はとても興味深い顔で私を見ていました。

「なんでしょうか?」

 私は顔に何かついているか不安になって、口のあたりをふいてみるけれど何もつかなかった。

「いいえ、本当に綺麗だと思いまして・・・よろしければ、ぜひ、結婚していただきたい」

 うっとりとした顔がとても魅力的で、油断するとこの暗闇で一番美しいその二つの瞳に心を奪われてしまいそうになる。

「ハンス様とそっくりですね、そういうところっ」

 私は冗談半分の照れ隠しでそう返事をすると、グリフィス様の表情がとても怖い顔になる。

「あんな・・・男と・・・一緒だと・・・」

 グリフィス様の拳に力が入っており、とても怖かった。

「すっ、すいません。軽率な発言でした・・・」

 そうやって謝ると、グリフィス様も初対面の私にそんな態度を取ってしまったことを反省したのか、とても申し訳なさそうな顔になって、

「こちらこそすいませんでした。つい、兄と似ていると言われると、どうしようもなく・・・つらくて・・・」

 本気で凹んでいるグリフィス様。

「わっ、私も、何でも欲しがって、ハンス王子まで寝とった妹のメアリーと似ていると言われると、鳥肌が立ってしまいます。だから、気持ちがわかるはずなのに、その・・・失礼なことを言ってすいませんでしたっ」

 私もグリフィス様に謝ると、

「じゃあ・・・僕らは似た者同士ですね」

 と笑った。

 それから、あっという間にグリフィス様は国を乗っ取った。
 乗っ取ったというよりは無血開城に等しい感じで、ハンス王子を慕っていた一部の兵士たち以外はグリフィス様を支持してハンス王子とメアリーの追放に尽力した。

 グリフィス様は彼らに十分なお金を渡して、二人を国外追放させた。二人は負け惜しみを言いながら、新婚旅行だと言いつつ、国外へと旅立ったけれど、風の噂では、気ままな性格の二人は計画性もなくすぐに使い切ってしまい、浮浪者になったそうだ。

 そして・・・私はと言うと・・・。
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