【26話完結】日照りだから帰ってこい?泣きつかれても、貴方のために流す涙はございません。婚約破棄された私は砂漠の王と結婚します。

西東友一

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16.乞いのぼり、祈りのぼる

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 偏った才能、それも天才というのは周りに扱いに困る。
 
 ミシェルも本人ですら扱いに困る才能だった。

(心の中に世界を・・・・・・。世界を大きく広げて・・・・・・。もっと、もっと・・・・・・っ)

 ガラハラの空を思い浮かべて、そこに大きくて分厚い雨雲を思い浮かべる。具体的なイメージができたら、それを神に乞う。

(私はエバーガーデニア王国の第15代目雨乞いの巫女、ミシェルと申します。今はガラハラ王国におりまして、御力を持ってこの国に雨を賜りたいと存じます)

 毎回自己紹介をするのが礼儀作法。神に祈りを届けることを生業にしている者はただ他の者よりも声が大きいだけと考える人もいる。そんな人たちも世界中で考えれば五万といるし、神と会話する力が低い物でも、神聖な場所で行えば、想いが届くこともある。雨を司る神が雨を降らせる願いを叶えているのか、全知全能の神が叶えているのかは、神のみぞ知るところだが、驕ってしまえば、神は人の願いを叶えてはくれない。元の性格もさることながら、ミシェルは敬虔に神に祈った。

 雨乞いの巫女の祈りが届くのは数日かけたとしても、よくて5回に1回。
 ましてや、ミシェルは神から泣いた時に雨を必ず降らせる才能というとても貴重かつ強力な才能を与えられたがゆえに、祈ることで雨を降らせる力を養う機会もほぼなく、そもそもその力が一般人より大きいのかさえ不明だった。祈りを声の大きさだと捉えるならば、いつも自信が無さそうに喋るミシェルの声は小さいし、言いたいことをはっきり言わないから神の耳を持っていたとしても聞き取りづらいに違いない。

「雲だっ」

 ガラハラ王国の誰かが呟いた。

 数十回に1回。いや、もしかしたら数百回に1回だったのかもしれない。
 けれど、その1回が早い段階でミシェルとガラハラ王国の元に訪れた。それは、神がミシェルの頑張りを見ていたからか、それとも、ミシェルの声も足してようやくガラハラ王国の悲願がようやく神の耳に届いたのか、それはわからない。

 小さな雲。
 ミシェルの行いをミシェルはガラハラ王国全体をイメージしていたが、雲は王宮を覆うくらいだった。ミシェルは雲を大きくすることを祈る余裕は無く、できたと言われる雲の密度を上げるイメージをして、白い雲を太陽の日差しを遮り恵の雨をもたらす黒い雨雲にしていただけるように神へと祈った。

「雨だ・・・」

 マハラジャが空を見て呟く。
 空から落ちてきてマハラジャの服に落ちた。
 その一滴は彼が来ている服に施されているどの宝石よりも輝いていた。
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