【26話完結】日照りだから帰ってこい?泣きつかれても、貴方のために流す涙はございません。婚約破棄された私は砂漠の王と結婚します。

西東友一

文字の大きさ
27 / 27

26.エピローグ(ジェイド)

しおりを挟む
 エバーガーデニア王国の王家には言い伝えがあった。

 世界は始め、竜と神の争いがあった。
 竜は破れ、神が勝った。

 神の時代は長く続いたが、人々は力を蓄え王を作った。
 王は神から世界を自分たちに任せるように頼み、神は王を信頼し国を預けた。
 だが、神は王へ言った。

「王は王でしかない。託した力はいずれ全ての人々に分け与えよ」

 聡明である王は約束した。
 しかしながら、王は自身の力に固執し、身内を贔屓して、権力に執着した。

 それを憂いた神は大雨を降らせた。
 世界が全て覆いつくされる様な大雨を。
 リセットするつもりで、神の考えを理解している人だけ残した。
 そのつもりだった。

 けれど、人々はまた同じことを繰り返した。
 雨がダメならば、今度は日照りを。
 灼熱の試練。
 けれど、苦しむ人々の姿を見て、思わず神は地上に舞い降りてきた。
 その姿は巫女だった。

 巫女は雨を自由に降らせて、人々を救った。
 神は不干渉でありたかったが、王の権力をけん制した。
 巫女は王が反省したのを見て、去って行った。


 だが、もう一度、巫女が来たのであれば、
 巫女を怒らせてはならない。怒らせれば、怒りの炎で世界が焼き尽くされるだろう。
 巫女を悲しませてはならなない。悲しませれば、悲しみの洪水で世界が沈むだろう。
 
 そして、願わくば、巫女である神と縁を結び・・・権力を確実なものするのだ。
 決して、今度は巫女である神を逃がすことなく・・・・・・モノにするのだ。




「あっ、雨だ・・・」

 乾ききったエバーガーデニア王国の国民が空を見ていると、雨が降った。人々は雨水を蓄えるために必死にバケツや桶を外に出した。

 ミシェルが出ていってからしばらく経ってようやく降った雨。何人かの自称雨乞いの巫女が祈ったのが伝わったのかどうなのか、10回に1回、20回に1回程度雨が降った。その雨の頻度は彼女達の成果なのか、それとも神が作った頻度なのか、それは人にはわからない。

 ゴロゴロゴロッ・・・・・・

「なんの音だ?」

「これって・・・」

 ゴロゴロゴロゴローーンッ

 カミナリだ。
 カミナリが鳴った。

 ミシェルがいなくなったエバーガーデニア王国に初めてカミナリが鳴った。
 その光とその音は人々に恐怖をもたらした。

「そういえば・・・いや・・・」

 ジェイドは裏路地でカミナリを見て、なぜかミシェルを思い出す。ジェイドにはカミナリよりも間近で見るミシェルの泣き顔の方が嫌だった。

 ジェイドは王から王家の言い伝えを聞いていない。もし、ジェイドがその言い伝えを知っていて、ミシェルを手放さなければ、誰が幸せで、誰が不幸せだったのか。

 それは誰にもわからない。
 
 でも、多くの人が望んだ物を手に入れたのだろう。
 晴れを望んだエバーガーデニア王国。
 雨を望んだガラハラ王国。

 となれば、自分の選択肢を幸せにするもしないも本人と周り次第。
 少しずつ王の時代が終わり、人の時代が産声をあげようとしているのだから。
 
 FIN
しおりを挟む
感想 2

この作品の感想を投稿する

みんなの感想(2件)

太真
2022.06.04 太真

ラストは感慨深く人間の欲望に怖くなりました(´゚ω゚`)現在も権力や富に執着して起こる争いが有るからな~😞🌀。

2022.06.05 西東友一

太真様
最後までお読みいただきありがとうございました。
終わりは決めていたのですが、パッとひらめいたことを入れて少しテイストが変わったかと思いますが、そう言っていただき嬉しいです。

解除
おゆう
2022.05.27 おゆう

憂死涙!?Σ(゚ロ゚;)。

2022.06.05 西東友一

おゆう様
お読みいただきありがとうございます。
当て字を使わせていただきました。

解除

あなたにおすすめの小説

婚約破棄追放された公爵令嬢は、居酒屋の聖女に転身する。故国が滅ぶ?それがどうかしましたか?

克全
恋愛
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。

タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。

渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。 しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。 「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」 ※※※ 虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。 ※重複投稿作品※ 表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。

醜い傷ありと蔑まれてきた私の顔に刻まれていたのは、選ばれし者の証である聖痕でした。今更、態度を改められても許せません。

木山楽斗
恋愛
エルーナの顔には、生まれつき大きな痣がある。 その痣のせいで、彼女は醜い傷ありと蔑まれて生きてきた。父親や姉達から嫌われて、婚約者からは婚約破棄されて、彼女は、痣のせいで色々と辛い人生を送っていたのである。 ある時、彼女の痣に関してとある事実が判明した。 彼女の痣は、聖痕と呼ばれる選ばれし者の証だったのだ。 その事実が判明して、彼女の周囲の人々の態度は変わった。父親や姉達からは媚を売られて、元婚約者からは復縁を迫られて、今までの態度とは正反対の態度を取ってきたのだ。 流石に、エルーナもその態度は頭にきた。 今更、態度を改めても許せない。それが彼女の素直な気持ちだったのだ。 ※5話目の投稿で、間違って別の作品の5話を投稿してしまいました。申し訳ありませんでした。既に修正済みです。

本当に妹のことを愛しているなら、落ちぶれた彼女に寄り添うべきなのではありませんか?

木山楽斗
恋愛
伯爵令嬢であるアレシアは、婿を迎える立場であった。 しかしある日突然、彼女は婚約者から婚約破棄を告げられる。彼はアレシアの妹と関係を持っており、そちらと婚約しようとしていたのだ。 そのことについて妹を問い詰めると、彼女は伝えてきた。アレシアのことをずっと疎んでおり、婚約者も伯爵家も手に入れようとしていることを。 このまま自分が伯爵家を手に入れる。彼女はそう言いながら、アレシアのことを嘲笑っていた。 しかしながら、彼女達の父親はそれを許さなかった。 妹には伯爵家を背負う資質がないとして、断固として認めなかったのである。 それに反発した妹は、伯爵家から追放されることにになった。 それから間もなくして、元婚約者がアレシアを訪ねてきた。 彼は追放されて落ちぶれた妹のことを心配しており、支援して欲しいと申し出てきたのだ。 だが、アレシアは知っていた。彼も家で立場がなくなり、追い詰められているということを。 そもそも彼は妹にコンタクトすら取っていない。そのことに呆れながら、アレシアは彼を追い返すのであった。

傷付いた騎士なんて要らないと妹は言った~残念ながら、変わってしまった関係は元には戻りません~

キョウキョウ
恋愛
ディアヌ・モリエールの妹であるエレーヌ・モリエールは、とてもワガママな性格だった。 両親もエレーヌの意見や行動を第一に優先して、姉であるディアヌのことは雑に扱った。 ある日、エレーヌの婚約者だったジョセフ・ラングロワという騎士が仕事中に大怪我を負った。 全身を包帯で巻き、1人では歩けないほどの重症だという。 エレーヌは婚約者であるジョセフのことを少しも心配せず、要らなくなったと姉のディアヌに看病を押し付けた。 ついでに、婚約関係まで押し付けようと両親に頼み込む。 こうして、出会うことになったディアヌとジョセフの物語。

熱烈な恋がしたいなら、勝手にしてください。私は、堅実に生きさせてもらいますので。

木山楽斗
恋愛
侯爵令嬢であるアルネアには、婚約者がいた。 しかし、ある日その彼から婚約破棄を告げられてしまう。なんでも、アルネアの妹と婚約したいらしいのだ。 「熱烈な恋がしたいなら、勝手にしてください」 身勝手な恋愛をする二人に対して、アルネアは呆れていた。 堅実に生きたい彼女にとって、二人の行いは信じられないものだったのである。 数日後、アルネアの元にある知らせが届いた。 妹と元婚約者の間で、何か事件が起こったらしいのだ。

そちらから縁を切ったのですから、今更頼らないでください。

木山楽斗
恋愛
伯爵家の令嬢であるアルシエラは、高慢な妹とそんな妹ばかり溺愛する両親に嫌気が差していた。 ある時、彼女は父親から縁を切ることを言い渡される。アルシエラのとある行動が気に食わなかった妹が、父親にそう進言したのだ。 不安はあったが、アルシエラはそれを受け入れた。 ある程度の年齢に達した時から、彼女は実家に見切りをつけるべきだと思っていた。丁度いい機会だったので、それを実行することにしたのだ。 伯爵家を追い出された彼女は、商人としての生活を送っていた。 偶然にも人脈に恵まれた彼女は、着々と力を付けていき、見事成功を収めたのである。 そんな彼女の元に、実家から申し出があった。 事情があって窮地に立たされた伯爵家が、支援を求めてきたのだ。 しかしながら、そんな義理がある訳がなかった。 アルシエラは、両親や妹からの申し出をきっぱりと断ったのである。 ※8話からの登場人物の名前を変更しました。1話の登場人物とは別人です。(バーキントン→ラナキンス)

堅実に働いてきた私を無能と切り捨てたのはあなた達ではありませんか。

木山楽斗
恋愛
聖女であるクレメリアは、謙虚な性格をしていた。 彼女は、自らの成果を誇示することもなく、淡々と仕事をこなしていたのだ。 そんな彼女を新たに国王となったアズガルトは軽んじていた。 彼女の能力は大したことはなく、何も成し遂げられない。そう判断して、彼はクレメリアをクビにした。 しかし、彼はすぐに実感することになる。クレメリアがどれ程重要だったのかを。彼女がいたからこそ、王国は成り立っていたのだ。 だが、気付いた時には既に遅かった。クレメリアは既に隣国に移っており、アズガルトからの要請など届かなかったのだ。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。