【完結】なんで、あなたが王様になろうとしているのです?そんな方とはこっちから婚約破棄です。

西東友一

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「うーん・・・」

 不満そうな顔で客室を眺めるネロ。

(さっ、早めに言いましょう。同じ空間で、同じ空気を吸っているのも嫌ですから)

「ネロ」

「ネロ王・・・」

「婚約破棄ですわ」

 わたくしの言葉に驚き固まるネロ。
 本日初めて、わたくしの言葉の意味がしっかり伝わったようです。
 その言葉の意味すらわからなければ、困ってしまいましたもの。

「なっ!?」

 本来の意味で言う間抜け。
 あぁ、言葉の意味はわかっても、理由がわかっていらっしゃらない様子。

「はぁ・・・っ」

 それでは、順を追って説明してあげましょうか。

「まず、その無礼な態度をわきまえよ、ネロ。私を誰だと思っている」

 わたくしはきつい言葉でネロに告げる。
 あぁ、誤解しないでください。
 わたくしは犯罪者とネロみたいな人にしか、そんな風に権力を振り回したり、冷徹な態度はとりません。くれぐれもお間違え無いように。

「なっ」

「はぁ・・・本当に・・・っ。一から説明せねば、わからぬのか。いいか? 貴様は一端の貴族。私は偉大なる国王、エドワード・アウグストゥスの一人娘、王位継承権第一のヴィクトリア王女である。あなたが、呼び捨てにしていいわたくしではございません」

「だって・・・婚約・・・」

「すでに破棄してありますが、いいでしょう。仮に婚約中であったとしても、今言ったことは変わりはありません」

 目からウロコだと言わんばかりに呆気に取られているネロ。

「そして、一介の貴族でしかない貴方が国を語る、それも王の御前で、それもそれも、お父様が具合悪そうにしている中で、あんなにも煩く・・・」

 あぁ、わかっています、わかっています。
 こんなに一気に言ってしまえば、ネロの理解が追いつかない可能性があることも。でも、わたくしの悲しみと怒りはネロのリアクションを見て言おうなんてこれっぽっちも待つことはできなかったのです。

「婚約破棄なんてすれば・・・国王家の名に泥を塗ることになるぞ」

 そう婚約も契約と言えば、契約。
 仮にも王族と貴族で結ばれた契約を簡単に反故したとなれば、彼の言う通りでしょう。

「あなたの血を王家に迎えることに比べれば、取るに足らないこと・・・。それに、あなたの重ねた愚行は婚約破棄も当然・・・。本来であれば、貴方の首一つでも足りません。いかに名家といえども、廃家・・・いえ、専門家に聞いてみないとわかりませんが、一族郎党根絶やしかもしれませんよ」

「なっ!?」

 うん、こんな法律も理解していない自分勝手な方が仮にも王家に入ったら、愚王として後世300年に汚名を残すことになるでしょう。私の決断は間違っていません。
 けれど・・・

「ふざけるなぁ!!!!!!?」

 こんなわたくしが唯一間違っているとすれば、正論を素直に納得するならこんな性格になるはずもないネロと二人きりで、お伝えしてしまったこと。
 ネロが、わたくしに襲い掛かろうとしてきました。

(やばいですわあああっ!!!!!)
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