1 / 5
大好きな人
しおりを挟む
「明日、婚約破棄するから」
突然、目の前でお茶を飲みながらなんて事ない様にマリス王子様は私に告げた。
「それは……」
言葉に詰まる私を、チラリと見ると彼は静かにカップをソーサーに戻す。
「わかりました、いままで……ありがとうございました」
そう言うと、席を立ち彼にお辞儀をした。
今までの八年もの思い出が、一気に私の中を駆け巡り、寒気にもにた感覚が襲ってくる
まだだ……
まだ、泣いてはいけない……
ぐっと奥歯を噛み締めて泣きそうになるのを堪える
「明日だ、今じゃない」
何故か焦る様にマリス王子様が私に言った。
明日だろうと同じことだ。
婚約破棄は成されるのだろう……。
私は彼の顔を見ることなく、その場を後にした。
◇◇◇
マリス王子様はこの国の第二王子、彼が十歳になる祝いの席で私達は出会った。
たくさんの令息、令嬢が集まる中、人見知りの性格だった私は会場の隅に両親と立っていた。
マリス王子様は王妃様と共に一人一人に挨拶をされる。
ちょうど私の所に来られた時だ、王子様方の背後から何やら様子のおかしな男が手に黒い塊を持って近づいてくるのが見えた。
王妃様と両親は話しをしていて気付いていない、マリス王子様は私の方を向いていた。
その男が黒い塊をマリス王子様へと投げつけようとするのを見た私は、咄嗟に彼を庇ってそれを受けた。
「きゃあっ!」
ドンッと左肩にいままで知らなかった痛みが走る。
「あーあ、ひとつしか無かったのに…それは呪いだ」
黒い塊を投げた男が言ったその言葉に、周りはざわめき立った。
私が知るのはそこまでだ。
痛みに気を失った私の目が覚めたのは次の日だった。
「大丈夫かい?……リゾレット……痛みはないかい?」
お父様が痛々しい顔をして私の右手を握る。
その横でお母様が顔を覆って泣いていた。
私はどうかしたのかな?
あれれ? 左肩がすごく熱い。
ズキン、ズキンとそこに心臓があるみたい。
「痛いよ、肩が痛いの、お父様」
お父様は私の手を強く握り目を伏せた。
「リゾレット……お前は呪われてしまった……けれど立派だったよ。マリス王子様を守ったのだから」
ああ……そうだった……
よかった、マリス王子様は無事だったんだ……
そう思うと痛みを忘れて自然と笑みがこぼれた。
「どうして笑えるんだ……君は……女の子なのにっ」
そこには私を見ながら涙をこぼす、マリス王子が立っていた。
「責任を取らせて欲しい」
その言葉をもって、マリス王子様と私、リゾレット・ダラス伯爵令嬢との婚約となった。
マリス様は毎日見舞いに来てくれた。
肩の痛みは一週間ほど続いた。痛みが無くなるとそこの皮膚は黒く変色してしまった。
私は肌の色が白い方で余計に呪いのシミが目立ってしまっていた。私と両親は、この体では王子には相応しくない、やはり婚約は無かったことにしましょう、とマリス様に伝えたが彼は首を縦には振らなかった。
「僕はリゾレットを好きになってしまったんだ、それに呪いは必ず解くから信じて待っていて」
マリス様は私に優しい笑顔を見せた。
突然、目の前でお茶を飲みながらなんて事ない様にマリス王子様は私に告げた。
「それは……」
言葉に詰まる私を、チラリと見ると彼は静かにカップをソーサーに戻す。
「わかりました、いままで……ありがとうございました」
そう言うと、席を立ち彼にお辞儀をした。
今までの八年もの思い出が、一気に私の中を駆け巡り、寒気にもにた感覚が襲ってくる
まだだ……
まだ、泣いてはいけない……
ぐっと奥歯を噛み締めて泣きそうになるのを堪える
「明日だ、今じゃない」
何故か焦る様にマリス王子様が私に言った。
明日だろうと同じことだ。
婚約破棄は成されるのだろう……。
私は彼の顔を見ることなく、その場を後にした。
◇◇◇
マリス王子様はこの国の第二王子、彼が十歳になる祝いの席で私達は出会った。
たくさんの令息、令嬢が集まる中、人見知りの性格だった私は会場の隅に両親と立っていた。
マリス王子様は王妃様と共に一人一人に挨拶をされる。
ちょうど私の所に来られた時だ、王子様方の背後から何やら様子のおかしな男が手に黒い塊を持って近づいてくるのが見えた。
王妃様と両親は話しをしていて気付いていない、マリス王子様は私の方を向いていた。
その男が黒い塊をマリス王子様へと投げつけようとするのを見た私は、咄嗟に彼を庇ってそれを受けた。
「きゃあっ!」
ドンッと左肩にいままで知らなかった痛みが走る。
「あーあ、ひとつしか無かったのに…それは呪いだ」
黒い塊を投げた男が言ったその言葉に、周りはざわめき立った。
私が知るのはそこまでだ。
痛みに気を失った私の目が覚めたのは次の日だった。
「大丈夫かい?……リゾレット……痛みはないかい?」
お父様が痛々しい顔をして私の右手を握る。
その横でお母様が顔を覆って泣いていた。
私はどうかしたのかな?
あれれ? 左肩がすごく熱い。
ズキン、ズキンとそこに心臓があるみたい。
「痛いよ、肩が痛いの、お父様」
お父様は私の手を強く握り目を伏せた。
「リゾレット……お前は呪われてしまった……けれど立派だったよ。マリス王子様を守ったのだから」
ああ……そうだった……
よかった、マリス王子様は無事だったんだ……
そう思うと痛みを忘れて自然と笑みがこぼれた。
「どうして笑えるんだ……君は……女の子なのにっ」
そこには私を見ながら涙をこぼす、マリス王子が立っていた。
「責任を取らせて欲しい」
その言葉をもって、マリス王子様と私、リゾレット・ダラス伯爵令嬢との婚約となった。
マリス様は毎日見舞いに来てくれた。
肩の痛みは一週間ほど続いた。痛みが無くなるとそこの皮膚は黒く変色してしまった。
私は肌の色が白い方で余計に呪いのシミが目立ってしまっていた。私と両親は、この体では王子には相応しくない、やはり婚約は無かったことにしましょう、とマリス様に伝えたが彼は首を縦には振らなかった。
「僕はリゾレットを好きになってしまったんだ、それに呪いは必ず解くから信じて待っていて」
マリス様は私に優しい笑顔を見せた。
1,532
あなたにおすすめの小説
婚約破棄直前に倒れた悪役令嬢は、愛を抱いたまま退場したい
矢口愛留
恋愛
【全11話】
学園の卒業パーティーで、公爵令嬢クロエは、第一王子スティーブに婚約破棄をされそうになっていた。
しかし、婚約破棄を宣言される前に、クロエは倒れてしまう。
クロエの余命があと一年ということがわかり、スティーブは、自身の感じていた違和感の元を探り始める。
スティーブは真実にたどり着き、クロエに一つの約束を残して、ある選択をするのだった。
※一話あたり短めです。
※ベリーズカフェにも投稿しております。
みんながみんな「あの子の方がお似合いだ」というので、婚約の白紙化を提案してみようと思います
下菊みこと
恋愛
ちょっとどころかだいぶ天然の入ったお嬢さんが、なんとか頑張って婚約の白紙化を狙った結果のお話。
御都合主義のハッピーエンドです。
元鞘に戻ります。
ざまぁはうるさい外野に添えるだけ。
小説家になろう様でも投稿しています。
再会の約束の場所に彼は現れなかった
四折 柊
恋愛
ロジェはジゼルに言った。「ジゼル。三年後にここに来てほしい。僕は君に正式に婚約を申し込みたい」と。平民のロジェは男爵令嬢であるジゼルにプロポーズするために博士号を得たいと考えていた。彼は能力を見込まれ、隣国の研究室に招待されたのだ。
そして三年後、ジゼルは約束の場所でロジェを待った。ところが彼は現れない。代わりにそこに来たのは見知らぬ美しい女性だった。彼女はジゼルに残酷な言葉を放つ。「彼は私と結婚することになりました」とーーーー。(全5話)
今日結婚した夫から2年経ったら出ていけと言われました
四折 柊
恋愛
子爵令嬢であるコーデリアは高位貴族である公爵家から是非にと望まれ結婚した。美しくもなく身分の低い自分が何故? 理由は分からないが自分にひどい扱いをする実家を出て幸せになれるかもしれないと淡い期待を抱く。ところがそこには思惑があり……。公爵は本当に愛する女性を妻にするためにコーデリアを利用したのだ。夫となった男は言った。「お前と本当の夫婦になるつもりはない。2年後には公爵邸から国外へ出ていってもらう。そして二度と戻ってくるな」と。(いいんですか? それは私にとって……ご褒美です!)
お母様と婚姻したければどうぞご自由に!
haru.
恋愛
私の婚約者は何かある度に、君のお母様だったら...という。
「君のお母様だったらもっと優雅にカーテシーをきめられる。」
「君のお母様だったらもっと私を立てて会話をする事が出来る。」
「君のお母様だったらそんな引きつった笑顔はしない。...見苦しい。」
会う度に何度も何度も繰り返し言われる言葉。
それも家族や友人の前でさえも...
家族からは申し訳なさそうに憐れまれ、友人からは自分の婚約者の方がマシだと同情された。
「何故私の婚約者は君なのだろう。君のお母様だったらどれ程良かっただろうか!」
吐き捨てるように言われた言葉。
そして平気な振りをして我慢していた私の心が崩壊した。
そこまで言うのなら婚約止めてあげるわよ。
そんなにお母様が良かったらお母様を口説いて婚姻でもなんでも好きにしたら!
あなたへの想いを終わりにします
四折 柊
恋愛
シエナは王太子アドリアンの婚約者として体の弱い彼を支えてきた。だがある日彼は視察先で倒れそこで男爵令嬢に看病される。彼女の献身的な看病で医者に見放されていた病が治りアドリアンは健康を手に入れた。男爵令嬢は殿下を治癒した聖女と呼ばれ王城に招かれることになった。いつしかアドリアンは男爵令嬢に夢中になり彼女を正妃に迎えたいと言い出す。男爵令嬢では妃としての能力に問題がある。だからシエナには側室として彼女を支えてほしいと言われた。シエナは今までの献身と恋心を踏み躙られた絶望で彼らの目の前で自身の胸を短剣で刺した…………。(全13話)
好きでした、さようなら
豆狸
恋愛
「……すまない」
初夜の床で、彼は言いました。
「君ではない。私が欲しかった辺境伯令嬢のアンリエット殿は君ではなかったんだ」
悲しげに俯く姿を見て、私の心は二度目の死を迎えたのです。
なろう様でも公開中です。
【完結】忘れてください
仲 奈華 (nakanaka)
恋愛
愛していた。
貴方はそうでないと知りながら、私は貴方だけを愛していた。
夫の恋人に子供ができたと教えられても、私は貴方との未来を信じていたのに。
貴方から離婚届を渡されて、私の心は粉々に砕け散った。
もういいの。
私は貴方を解放する覚悟を決めた。
貴方が気づいていない小さな鼓動を守りながら、ここを離れます。
私の事は忘れてください。
※6月26日初回完結
7月12日2回目完結しました。
お読みいただきありがとうございます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる