R-Face ~アンドロイドと人工知能と、策謀と日常と、そして時折昭和

kaonohito

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第9話 Splash!!

Chapter-53

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「スマンが今回は番外編だと思って読んでみてくれ」

「とゆーのも、以前はそれなりに季節感をもって書いてたんだが、筆者が足腰を悪くして最近書けなかったのだ。だから日常ネタセクションの季節にズレが生じてしまっているのだ」

「というわけで、以降の話と整合性が取れるかも分からん。とりあえずそのあたり了承して読んでくれ」

 ──※─※─※──

「左文字家でスキーに行くって言うから、てっきりカナダとかスイス、日本国内だとしても北海道レベルだと思っていたのに……」

 朱鷺光のドミンゴが関越自動車道を行く。その後を、弘介のES2型シビックフォリオ、淳志のレオーネが続く。

「なんで上越! 石打なのよ!」

 ドミンゴのセカンドシートの左側に腰掛けた、真帆子が、駄々をこねる子供のような様子で、そう言った。

「こう大所帯だとさ、クルマのほうが色々楽じゃない? 旅行はさ」

 運転席の朱鷺光が言う。

「それはわからなくもないけど……」

 真帆子は、口を尖らせる様にしながら言う。

「それに」
「それに?」

 朱鷺光がぼやくように言う言葉に、真帆子がオウム返しに訊く。

「俺、飛行機苦手なんだよね」
「…………っ!!」

 朱鷺光のボソボソとした言葉に、真帆子は呆れた視線を向けた。


「くっそー、朱鷺光のヤツ、野郎3人押し付けなくてもいいだろうに……」

 シビックフェリオの運転席で、弘介が先行するドミンゴの後ろを見ながら、苦々しく言う。

「助手席に私が乗ってるんだから、それでいいじゃないですか、ね? ね?」

 イプシロンが、宥めるようにそう言った。

「なんか……すいません、乗っけてもらって」

 後部座席に収まっているのは、『令和の三馬鹿』こと澄光・俊彰・正恭の高校生男子3人組だった。
 正恭が、少し申し訳無さそうに言う。

「もういいけどさ……はーぁ」

 弘介は呆れたと言うか疲れたと言うか、そんな様子でため息をつく。

「にしても、弘介さんのクルマも結構古いですよね? なんか思い入れあるとか?」

 真ん中に座る俊彰が、車内を見渡すようにしながら、そう言った。

「ああ、まぁ、免許とった頃、漫画の影響受けて峠攻めてたりしたんだけど」
「弘介さんがですか」

 正恭が聞き返す。

「けっこうヤンチャしてたかな、下手すると朱鷺光や淳志が呆れるぐらいに」

 弘介は、ルームミラーで正恭をちらりと見つつ、気まずそうに苦笑した。

「そんで、親戚から譲ってもらったFC、あ、RX-7の最終型のイッコ前のやつな、それで峠攻めてたんだけど、壁に突き刺さって廃車にしちゃってさ、気落ちしてたら淳志がどっかからこれ拾ってきて」

「あ、このクルマ拾ってきたの淳志さんだったんですか」

 弘介の説明に、それを途中で遮るようにして、澄光がそう言った。

「そんで兄貴に弄ってもらったわけですね?」
「そう言うこと」

 澄光の言葉に、弘介が言う。
 シビックフェリオの運転席には、本来のメーターパネルの右側に、朱鷺光のドミンゴが着けているものと同じAuto Gaugeのブースト計が追加されていた。

「何度か買い替えの機会もあったんだけどな、朱鷺光が喜んで弄ってくれるし、その分維持費も浮くしな、それでなんだかんだ乗ってる」

「そうなんすね」

 俊彰と正恭が、改めて車内を見回した。

「ま、スーチャーつけた4WDのシビックフェリオなんてそうそうないですよねぇ」

 助手席のイプシロンが、苦笑しながらそう言った。

「まーな」


 舞子スノーリゾート。

 ゴンドラパーキングで、車中でスキーウェアに着替える。
 ワンボックスのドミンゴは女性用にされ、朱鷺光達は淳志のレオーネの車中で着替えた。
 そして、ゲレンデの入口に出て、クルマのスキーキャリアから下ろしたばかりのスキーを嵌めていく。

「流石にシーズンだけあって、平日でも結構な人出ねー」

 ゴンドラに向かう人の流れを見ながら、真帆子が言う。

「OGASAKAとは、なんだか朱鷺光さんらしいと言うか、なんと言うか」

 朱鷺光のスキー板を見て、真帆子が言った。

「でもBindingはSALOMONなのね。それにあまり上位のタイプじゃないみたい」
「うん、まぁちょっと形状が気に入ってて」

 朱鷺光のスキー板の、ブーツを固定する金具ビンディングを見て、真帆子がそう言った。
 すると、朱鷺光が苦笑しながら答える。

「出渕メカファンにはなんかくるものがあるんだよ」
「出渕? ガ◯ダムかなにかのDesigner?」
「パトレ◯バーだよ」
「ああ、結構昔のアニメね。見たことはあるけど……」
「こらそこ、伏せ字ばっかで話していない」

 朱鷺光と真帆子がやり取りしていると、弘介が、呆れたような様子で苦笑しながら、ツッコミを入れた。

「なんか若い女性に見られると恥ずかしいなぁ」

 朱鷺光は、スキーグローブの嵌った手で頬を掻く。

「ちょっと、いいの?」

 自分もスキーウェアに着替え、スキー板を履いたシータが、パティアを肘でつついて耳打ちする。

「…………」

 パティアは、最初無言でいたが、やがて、

「朱鷺光、私と一緒に先に上へ行かないか?」
「え、あ、いいけど」

 と、声をかけると、朱鷺光が反応して、スケーティングしながら移動していく。

「耐寒対策はしたはずだけど……」

 朱鷺光は、パティアに近付いてそう言うが、

「オイルと冷却液クーラントはな。でも私は他のR.Seriesと違って組み込みギミックがあるだろう?」
「ああ、まぁ、それは気になるか」

 左腕の大型シールドは外しているが、右腕のブレード内蔵シールドの方は、何かあったときのためにと装着したままだった。
 ちなみにパティアのウェアは、それらがつけたままにできるよう、シータが手縫いとミシンで直したものである。

「やっぱり上越の雪は重いわねー……」

 スケーティングでシータに近寄ってきながら、真帆子が言う。

「真帆子さんは、……アメリカにいたぐらいだから、やっぱりカナダとかで?」

 シータが、真帆子にそう声をかける。

「ええ、有名なゲレンデばかりに行ってたわけじゃないけど」
「ここでも」

 スケーティングで、爽風が真帆子の更に後ろからやってきた。

「ゴンドラで上の方に行けば結構パウダースノーですよ、真帆子さん」

 爽風や颯華、澄光達はしばらく真帆子のことを「真帆子先生」と呼んでいたが、すでに講師の立場ではない真帆子の方からの提案で、「真帆子さん」呼びになっていた。

「なるほどね、じゃあ、私達も行ってみましょうか」

 真帆子が言って、爽風と颯華、シータと共にゴンドラの乗り場に向かっていく。


「で、ついてきちゃったんだけど……」

 澄光が言う。

 眼下には、きれいには圧雪されていない急斜面のゲレンデコース。
 どう見ても上級者向けのコースである。

「お、おい澄光、ここにはよく来てたんじゃないのかよ」

 正恭が言う。

「こ、こんな上級者向けコースまで上がってくるなんて、初めてだよ」

 澄光はそう言ってから、

「と、俊彰はスポーツできるくらいだから、こ、これぐらいなんともないだろ?」
「す、スキーはそこまで経験ないぞ……」

 と、言うと、俊彰はそう返した。

「この雪なら真帆子さんも納得?」

 同じコースの入り口に立った、颯華が、真帆子に訊ねる。

「そうね、まあまあではあるかしらね」

 やや苦笑交じりに、真帆子はそう応えた。

「パティア、どうだ?」
「回路に異常はないが、実際に動作させてみないとな……」

 朱鷺光が訊ねると、パティアがそう答える。

「まぁでも、レーザーも合わせて一般客のいる中で試験動作させるわけにも行かないし、なんにもないことを祈るしかないかな」

 朱鷺光は、そう苦笑してから、ストラップのついたスキー用の偏光サングラスをかける。

「よし、じゃあ、とりあえずひと滑りしてみるか、一緒に行こうぜ」
「あ、ああ」

 朱鷺光に誘われる形で、パティアが滑り出していく。2人して深めのパラレルターンを描きながら、ゲレンデを滑っていった。

「ど、どうするんだよ、朱鷺光さん行っちゃったぞ」
「ど、どうするったって……」

 コース入口のすみで、澄光達が怯えるようにしているのを見つけた爽風は、

「ほら! さっさと滑れ! お前ら!」

 と、なかばつき飛ばすように、3人をコースへと滑り出させていった。

「うわぁぁぁぁっ」

 3人揃って、声を上げながら思い切り直滑降で転げ落ちるように滑っていく。

「あっちに初心者向け傾斜の森林コースもありましたのに」

 ファイが、呆れたように、そちらの方角を指差してそう言った。

「良いんじゃない、これぐらいスパルタでも」
「あれ、真帆子さんがそういうとは思わなかったな」

 真帆子の言い種に、颯華が意外そうにそう言う。

「いくらアメリカ暮らしが長いっても、根っこは日本人だしね」
「それもそうか」

 苦笑しながら言う真帆子に、颯華はそう言った。

「じゃー悪いけど、ファイ、シータ、あの3人、なんとかしといて」
「分かりました」
「仕方ないわねー」

 それぞれあらぬ方向へ突っ込んでいった澄光達を見つつ、颯華はそう言いながら、自分もゴーグルをかける。
 言われた、ファイは苦笑しながら答え、シータはやれやれと言った感じで言った。

「颯華、真帆子さん、私達も行こ!」
「うん!」

 爽風がそう言って、颯華が答えつつ、真帆子とともに、3人がコースへと躍り出ていった。
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