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王宮
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今日は王妃様から再びお茶会の招待を受けた。しかし前回は2人きりだったが今回は既に結婚されている王太子の妃様と第3王子の婚約者もいると聞いている
2人とお茶会をするのは2,3年ぶりであとはパーティーでお会いしたくらいなので少し楽しみにしている
今回は春で暖かくなってきたために庭園で行われると聞き、私はそこへ行くのに一番の近道を歩く 。木々は青々としていて花も赤や黄色などたくさんの色どりであふれており綺麗に咲いている。確かにお茶会の会場としてはピッタリだ
花を眺めながら歩いていると、向こう側から誰か2人組が歩いてくるのが見えた。2人のうちの1人は私に気がつくと少しパッと表情が明るくなったあとすぐに無表情になった。だが少しそわそわしている雰囲気があるので完全には隠しきれていない
もう1人の方はその子のことを愛おしそうな目で見ている。相変わらず仲が良いようだ
私は2人の目の前まで行くとスカートをつまみ礼をする
「いつもフェオがお世話になっております、ルーク殿下。ミシャロン様はパーティーぶりですわね」
ミシャロン=トラスツゥール様、彼女は第3王子であるルーク殿下の婚約者だ。胸くらいの長さがある夏の海のような青い髪にエメラルドの宝石のようなぱっちりとした瞳をもっており、身長は小さめなので彼女の印象はとても可愛らしい
私の顔を見て少し頬を染めている姿は小動物のようで可愛らしく、思わず抱きしめたくなる
「いえ、僕の方もフェオドールにはお世話になっております」
「はい、お久しぶりにお会いできてとても嬉しく思いますわ」
それぞれ優しい微笑みで挨拶を返してくれる。2人の兄弟になれたらどれだけ良かったものだろうか、その未来がこないことに胸を痛めながら笑顔を浮かべて会話を続ける
「お2人は一緒に来られたのですか?」
「いえ、私が王宮に着けば門の近くで待機しておられたようで…別に来なくてもよろしかったのに」
「私が迎えに行きたかったから行っただけだよ」
ミシャロンは目をそらし少し不満そうに言ったが、どことなく嬉しそうなことにルークも気づいているらしく優しい声音で返し、その返答に少し顔を赤くした彼女を見て満足そうにしている。本当に仲が良い。
「そういえば、ジーク殿下はどこにおられるのでしょう?」
ジーク殿下という言葉に体がびくりと反応する。学園では避けているし、届けられた手紙も怖くて1つも開けていない。サリーも私の殿下に対する態度に気づいているようなのでその話は全くと言っていいほどしない。なので今日の殿下の予定も私は知らないのだ
何か言おうと口を開く前に、先にルークがそれに対する返事をしてくれた
「兄上は本日お父上から仕事を与えられているから城の中にいるはずだよ」
「あら、そうでしたの。ジーク殿下もお忙しいですのね」
「1年後に兄上は学園を卒業するからね、仕方ないのだろう」
その話を聞き、なら今日はお茶会が終わればさっさと帰らなければいけないわね、と考える
この間は王妃と2人きりだったが今回は他に2人の女性もいるので急に来ることはないだろう。ならば警戒すべきは今のお茶会のある庭園へ行くまでと帰りくらいだ
そう考え少しホッとする。だがホッとしたのはそれだけでなく、リアトリスと一緒にいないと知ったからということが大きいだろう
だが、私のそのつかぬ間の安堵もすぐに崩れ去ることとなった
それはそのあと少し3人で話をし、ルークと別れてミシャロンと庭園まで向かっていたときのことだった
「あ、エミリア様。ジーク殿下がおられますわ」
そう言われ、ミシャロンが指差した方向を私は思わず見てしまった。指差したところは城と城を行き来できる渡り廊下で、そこには言っていた通りジークがいた
「…本当ですわね」
「挨拶しなくて良いのですか?」
「ええ、お仕事中とお聞きしましたし邪魔する訳にはいきませんから」
「そうなのですか」と返事をするミシャロンに私は笑顔で頷く
ーーだって会いに行けるはずなんてない。本当はお顔を見た瞬間、抱きつきたい衝動に駆られたけれどね。
でもね、会いに行けるわけないのよ。と心の中でミシャロンに言う。いや、本当は自分に言い聞かせているのかもしれない
ーー会いに行けるわけないのよ、殿下とリアトリス様が一緒にいるところになんて
確かにリアトリスはいた。ミシャロンは気づかなかったようだが殿下の奥に金色の髪と淡いピンクのドレスが少しだけ見えている。顔がはっきり見えているわけではない、だが私にははっきりわかった。彼女は間違いなくリアトリスであると。
ーーまさかルーク様にも嘘をつかれるとは思ってなかったけれど。いや、ただ単に殿下は仕事であると聞いていただけかもしれない
そこでもう一つ気づくことがあった。彼らが歩く方向の先は、国王との謁見の場のみ存在する
殿下とリアトリスが国王へ直々に会いに行って話すこととしてありえる話はーーー
「…婚約?」
「どうかされたのですか?エミリア様」
心配そうな声で私の顔を覗き込むミシャロン。大丈夫よ、と言おうと顔を上げると彼女は少し目を見開いた
「エミリア様のお顔、真っ青ですわ。体調が優れないのでしたらすぐにそう言っていただければよかったのに」
頭が痛い。確かに体調が良くないのかもしれない、今日のお茶会は参加できなさそうだと思いサリーを呼ぶ
「ごめんなさいミシャロン、今日は体調が優れないのでお茶会に参加できそうにないと王妃様に伝えてもらってもよろしいでしょうか?」
「もちろんですわ。伝えておきますのでエミリア様はごゆっくりしてくださいね」
「ええ、ありがとうございます」
オロオロして焦っている様子だったので、大丈夫よという意味を込めて笑顔を作る
ルーク様のことは考えすぎかもしれない。だが、婚約は時期的にあってもおかしくはない話だ
物語の中では私が婚約破棄する前に婚約話を国王にしに行くというものはなかったはずだが、もしかしたら私が思い出せていないだけかもしれない
どちらにしろあと少しなのだ。あと少しで殿下を幸せにできる。あと少しで全て終わるのだ。
それまで、私の心に溜まる醜いものが溢れて出てきてしまわぬよう我慢すればいいだけだ
帰りの馬車の中、私は私の手に重ねられたサリーの手をぎゅっと握り続けた
2人とお茶会をするのは2,3年ぶりであとはパーティーでお会いしたくらいなので少し楽しみにしている
今回は春で暖かくなってきたために庭園で行われると聞き、私はそこへ行くのに一番の近道を歩く 。木々は青々としていて花も赤や黄色などたくさんの色どりであふれており綺麗に咲いている。確かにお茶会の会場としてはピッタリだ
花を眺めながら歩いていると、向こう側から誰か2人組が歩いてくるのが見えた。2人のうちの1人は私に気がつくと少しパッと表情が明るくなったあとすぐに無表情になった。だが少しそわそわしている雰囲気があるので完全には隠しきれていない
もう1人の方はその子のことを愛おしそうな目で見ている。相変わらず仲が良いようだ
私は2人の目の前まで行くとスカートをつまみ礼をする
「いつもフェオがお世話になっております、ルーク殿下。ミシャロン様はパーティーぶりですわね」
ミシャロン=トラスツゥール様、彼女は第3王子であるルーク殿下の婚約者だ。胸くらいの長さがある夏の海のような青い髪にエメラルドの宝石のようなぱっちりとした瞳をもっており、身長は小さめなので彼女の印象はとても可愛らしい
私の顔を見て少し頬を染めている姿は小動物のようで可愛らしく、思わず抱きしめたくなる
「いえ、僕の方もフェオドールにはお世話になっております」
「はい、お久しぶりにお会いできてとても嬉しく思いますわ」
それぞれ優しい微笑みで挨拶を返してくれる。2人の兄弟になれたらどれだけ良かったものだろうか、その未来がこないことに胸を痛めながら笑顔を浮かべて会話を続ける
「お2人は一緒に来られたのですか?」
「いえ、私が王宮に着けば門の近くで待機しておられたようで…別に来なくてもよろしかったのに」
「私が迎えに行きたかったから行っただけだよ」
ミシャロンは目をそらし少し不満そうに言ったが、どことなく嬉しそうなことにルークも気づいているらしく優しい声音で返し、その返答に少し顔を赤くした彼女を見て満足そうにしている。本当に仲が良い。
「そういえば、ジーク殿下はどこにおられるのでしょう?」
ジーク殿下という言葉に体がびくりと反応する。学園では避けているし、届けられた手紙も怖くて1つも開けていない。サリーも私の殿下に対する態度に気づいているようなのでその話は全くと言っていいほどしない。なので今日の殿下の予定も私は知らないのだ
何か言おうと口を開く前に、先にルークがそれに対する返事をしてくれた
「兄上は本日お父上から仕事を与えられているから城の中にいるはずだよ」
「あら、そうでしたの。ジーク殿下もお忙しいですのね」
「1年後に兄上は学園を卒業するからね、仕方ないのだろう」
その話を聞き、なら今日はお茶会が終わればさっさと帰らなければいけないわね、と考える
この間は王妃と2人きりだったが今回は他に2人の女性もいるので急に来ることはないだろう。ならば警戒すべきは今のお茶会のある庭園へ行くまでと帰りくらいだ
そう考え少しホッとする。だがホッとしたのはそれだけでなく、リアトリスと一緒にいないと知ったからということが大きいだろう
だが、私のそのつかぬ間の安堵もすぐに崩れ去ることとなった
それはそのあと少し3人で話をし、ルークと別れてミシャロンと庭園まで向かっていたときのことだった
「あ、エミリア様。ジーク殿下がおられますわ」
そう言われ、ミシャロンが指差した方向を私は思わず見てしまった。指差したところは城と城を行き来できる渡り廊下で、そこには言っていた通りジークがいた
「…本当ですわね」
「挨拶しなくて良いのですか?」
「ええ、お仕事中とお聞きしましたし邪魔する訳にはいきませんから」
「そうなのですか」と返事をするミシャロンに私は笑顔で頷く
ーーだって会いに行けるはずなんてない。本当はお顔を見た瞬間、抱きつきたい衝動に駆られたけれどね。
でもね、会いに行けるわけないのよ。と心の中でミシャロンに言う。いや、本当は自分に言い聞かせているのかもしれない
ーー会いに行けるわけないのよ、殿下とリアトリス様が一緒にいるところになんて
確かにリアトリスはいた。ミシャロンは気づかなかったようだが殿下の奥に金色の髪と淡いピンクのドレスが少しだけ見えている。顔がはっきり見えているわけではない、だが私にははっきりわかった。彼女は間違いなくリアトリスであると。
ーーまさかルーク様にも嘘をつかれるとは思ってなかったけれど。いや、ただ単に殿下は仕事であると聞いていただけかもしれない
そこでもう一つ気づくことがあった。彼らが歩く方向の先は、国王との謁見の場のみ存在する
殿下とリアトリスが国王へ直々に会いに行って話すこととしてありえる話はーーー
「…婚約?」
「どうかされたのですか?エミリア様」
心配そうな声で私の顔を覗き込むミシャロン。大丈夫よ、と言おうと顔を上げると彼女は少し目を見開いた
「エミリア様のお顔、真っ青ですわ。体調が優れないのでしたらすぐにそう言っていただければよかったのに」
頭が痛い。確かに体調が良くないのかもしれない、今日のお茶会は参加できなさそうだと思いサリーを呼ぶ
「ごめんなさいミシャロン、今日は体調が優れないのでお茶会に参加できそうにないと王妃様に伝えてもらってもよろしいでしょうか?」
「もちろんですわ。伝えておきますのでエミリア様はごゆっくりしてくださいね」
「ええ、ありがとうございます」
オロオロして焦っている様子だったので、大丈夫よという意味を込めて笑顔を作る
ルーク様のことは考えすぎかもしれない。だが、婚約は時期的にあってもおかしくはない話だ
物語の中では私が婚約破棄する前に婚約話を国王にしに行くというものはなかったはずだが、もしかしたら私が思い出せていないだけかもしれない
どちらにしろあと少しなのだ。あと少しで殿下を幸せにできる。あと少しで全て終わるのだ。
それまで、私の心に溜まる醜いものが溢れて出てきてしまわぬよう我慢すればいいだけだ
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