王子に買われた妹と隣国に売られた私

京月

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第四話

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 ユリ視点

 私ユリ・ジョーカーには姉がいる。私の姉は素晴らしい人だ。仁徳を人として表したらきっとあんな人になるのだろう。


 姉には婚約者もいる。スペード王国の第一王子様だ。すごいな、結婚したら姉が王女様になる。妹として誇らしい。


 私は素晴らしい姉を持つ素晴らしい妹、誰よりも誇らしい姉を持つ誇らしい妹


 ユリ・ジョーカーは姉のおまけ


 誰かが言ったのかそれとも私自身がそう思っているのか、いつしかそんなイメージが私について回るようになった。


 私はおまけなんかじゃない、勉強だって運動だって頑張っている。…頑張っているけど何においても私は勝てなかった。


 それは昔の事、私とリリア姉さまとサリウス様で鬼ごっこをしていた。鬼は私。全力だった。全力で走ったけど姉さまには追い付けなかった。しかしそれを見かねた姉さまはわざと遅く走りわざと捕まった。


「ユリは足が速いね!私じゃ敵わないな」


 嘘つき、嘘つき、嘘つき、嘘つき、嘘つき、嘘つき、嘘つき、嘘つき、嘘つき、嘘つき、嘘つき、嘘つき、嘘つき


 私はその日から一番になりたいと思うようになった。


 私は姉さまの大切なものを奪う。そのためには何でもする。手始めは婚約者のサリウス様だ。


 私はサリウス様をあらゆる手で魅了する。姉さまの悪い噂、私への非道と称した作り話、姉さまを超える為初めてもサリウス様に捧げた。


 サリウス様が私のものになるのに時間はかからなかった。


 それからは簡単だった。反乱を起こさせ罪を全て両親に擦り付けた。姉さまに擦り付けるのも良かったがそれだと確実に死刑になってしまうのでやめた。


 そしてサリウス様と共謀し今に至る。姉さまのあの絶望した顔は一生忘れないだろう。


「ハハハハハハハハハ」


 誰もいない自室の中でユリ・ジョーカーは高笑いをするのだった。
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