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9 新たなる神託
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この日村はかつてないほどの賑わいで活気づいていた。
ゼラス教の大司教様たちが長い旅路を終え、この村に到着したからだ。
村人は皆一目大司教様を見ようと教会に集まっている。
しかし祭事故に教会内への立ち入りは禁止されていた。
教会の礼拝堂には4人の大司教達が勢揃いしている。
赤い髪をたなびかせた美しい女性、ニア。
鍛えられた筋肉が服の上からでも分かるほどの大男、マックス。
眼鏡をかけ、聖典をひたすら読んでいる地味子、ラライネ。
短く切りそろえられた白銀の髪、誰もが羨むだろう美貌を持ち合わせた美青年、ナーゼスト。
この4人と同時に対面出来る人間は世界中を探してもごくわずかだろう。
その1人がこの教会で祈りを捧げている神父だった。
神父は彼らを目の前にして震えている。
ナーゼストは震える神父に優しく声を掛けた。
「神父よ、そう緊張するな。我々はただ事実を知りたいまでだ。大司教でもない君の聖典に神託が刻まれたというのは本当か?」
「恐れながらナーゼスト大司教様、本当でございます。こちらをご覧ください」
ナーゼストに聖典を差し出した神父。
その聖典を奪い取る様に取り上げたのはマックスだった。
「『その少女を残し、この礼拝堂から去りなさい』か。間違いねぇ、これは神託だ。その少女というのは誰だ?」
「ちょっとマックス!勝手な行動をしないで。あなたの一つの行動が大司教の格を下げることに繋がるのよ」
マックスを制したのはニア。
ニアはマックスの横柄な振る舞いが以前より問題だと感じていた。
そもそもここに来た目的は聖女様の捜索だ。
女神様と何かしら交流を持ったと思われる少女。
聖典もなくそんなことが出来るのなら間違いなく女神ヴィーナ様の声が聞こえているということになる。
大司教たちが勢揃いしているのも500年ぶりの聖女様誕生の兆候があったからなのだ。
「フン、お前が俺に指示できる権限はねぇよ。それに、神託が個人に作用するようなことを刻んだことなんて今まで1度もなかった。この神託に書かれた少女が聖女様で間違いないだろう。この少女をすぐにでも探さないほうが大司教として格が下がる。そうだろ?」
「それは…」
「そこまででいいだろう。マックスの言い分も分かる。しかし事が重大だからこそ足並みをそろえなければいけないのだ。ニアはそれを危惧したまで」
「そう!そうなのよ!!流石分かってるわねナーゼスト」
マックスは無言でナーゼストに神父の聖典を渡した。
ナーゼストも神託が本物であることを確認し、聖典を神父に返す。
「さて、では神父。この少女は今どこにいる?」
「それが…分からないのです」
「どういうことよ?ここに来たってことは祝福を受けに来た女の子でしょ、祝福を受ける前に名前を記載するのは遵守すべき項目のはずよね?」
「はい、その通りでございます。ですがその少女は祝福を受けるためではなくお祈りのためにこの教会に来たと申しておりました。泥で汚れた服装からして貧しい家の出身だとは思うのですが…」
「手掛かりはねぇのか。しらみつぶしに探すしかなさそうだな」
マックスの提案に大司教たちは首を縦に振る。
この小さな村にいる少女の数はそこまで多くないだろう。
探そうと思えば探せる。
問題は―
「どうやって聖女様だと見分けるの?」
今まで寡黙に聖典を呼んでいたラライネが口を開く。
確かに子供の数こそ問題ではないが、聖女が最後に現れたのは500年前、誰もその見つけ方など知らなかった。
「確かにそれは一理ある」
「聖典を見せればいいんじゃない?」
「これは女神様の神託を刻むものだ。女神様の声が聞こえるという聖女様に見せたところで関係はないだろう」
「じゃあどうするの?このままじゃ聖女様見つけられないじゃない!」
こればかりはどうすることも出来ない。
大司教たちは手詰まりだった。
その時大司教たちの聖典に神託が刻まれる。
『村はずれの小屋に向かえ。そこに聖女はいる』
「「「「!!!」」」」
驚愕する大司教たち。
神託が4人同時に刻まれることなど1度もなかったからである。
「これは、すぐにでも見つけないといけない」
ゼラス教の大司教様たちが長い旅路を終え、この村に到着したからだ。
村人は皆一目大司教様を見ようと教会に集まっている。
しかし祭事故に教会内への立ち入りは禁止されていた。
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赤い髪をたなびかせた美しい女性、ニア。
鍛えられた筋肉が服の上からでも分かるほどの大男、マックス。
眼鏡をかけ、聖典をひたすら読んでいる地味子、ラライネ。
短く切りそろえられた白銀の髪、誰もが羨むだろう美貌を持ち合わせた美青年、ナーゼスト。
この4人と同時に対面出来る人間は世界中を探してもごくわずかだろう。
その1人がこの教会で祈りを捧げている神父だった。
神父は彼らを目の前にして震えている。
ナーゼストは震える神父に優しく声を掛けた。
「神父よ、そう緊張するな。我々はただ事実を知りたいまでだ。大司教でもない君の聖典に神託が刻まれたというのは本当か?」
「恐れながらナーゼスト大司教様、本当でございます。こちらをご覧ください」
ナーゼストに聖典を差し出した神父。
その聖典を奪い取る様に取り上げたのはマックスだった。
「『その少女を残し、この礼拝堂から去りなさい』か。間違いねぇ、これは神託だ。その少女というのは誰だ?」
「ちょっとマックス!勝手な行動をしないで。あなたの一つの行動が大司教の格を下げることに繋がるのよ」
マックスを制したのはニア。
ニアはマックスの横柄な振る舞いが以前より問題だと感じていた。
そもそもここに来た目的は聖女様の捜索だ。
女神様と何かしら交流を持ったと思われる少女。
聖典もなくそんなことが出来るのなら間違いなく女神ヴィーナ様の声が聞こえているということになる。
大司教たちが勢揃いしているのも500年ぶりの聖女様誕生の兆候があったからなのだ。
「フン、お前が俺に指示できる権限はねぇよ。それに、神託が個人に作用するようなことを刻んだことなんて今まで1度もなかった。この神託に書かれた少女が聖女様で間違いないだろう。この少女をすぐにでも探さないほうが大司教として格が下がる。そうだろ?」
「それは…」
「そこまででいいだろう。マックスの言い分も分かる。しかし事が重大だからこそ足並みをそろえなければいけないのだ。ニアはそれを危惧したまで」
「そう!そうなのよ!!流石分かってるわねナーゼスト」
マックスは無言でナーゼストに神父の聖典を渡した。
ナーゼストも神託が本物であることを確認し、聖典を神父に返す。
「さて、では神父。この少女は今どこにいる?」
「それが…分からないのです」
「どういうことよ?ここに来たってことは祝福を受けに来た女の子でしょ、祝福を受ける前に名前を記載するのは遵守すべき項目のはずよね?」
「はい、その通りでございます。ですがその少女は祝福を受けるためではなくお祈りのためにこの教会に来たと申しておりました。泥で汚れた服装からして貧しい家の出身だとは思うのですが…」
「手掛かりはねぇのか。しらみつぶしに探すしかなさそうだな」
マックスの提案に大司教たちは首を縦に振る。
この小さな村にいる少女の数はそこまで多くないだろう。
探そうと思えば探せる。
問題は―
「どうやって聖女様だと見分けるの?」
今まで寡黙に聖典を呼んでいたラライネが口を開く。
確かに子供の数こそ問題ではないが、聖女が最後に現れたのは500年前、誰もその見つけ方など知らなかった。
「確かにそれは一理ある」
「聖典を見せればいいんじゃない?」
「これは女神様の神託を刻むものだ。女神様の声が聞こえるという聖女様に見せたところで関係はないだろう」
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その時大司教たちの聖典に神託が刻まれる。
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驚愕する大司教たち。
神託が4人同時に刻まれることなど1度もなかったからである。
「これは、すぐにでも見つけないといけない」
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