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12 親友
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シーナはマリンの王都同行を拒否した。
「だってそうでしょ?こんな出来の悪い妹を王都に連れて行ったら私の評判まで下がるじゃない」
「それでは妹様はこの小屋に置いていくのですか?」
「そうよ」
シーナに悪びれる様子は微塵もない。
慈愛に満ちた聖女様が肉親である妹様を見捨てるの?
本当にこのお方が聖女様なのかしら?
ラライネの頭に一瞬よぎった疑惑。
ナーゼストがラライネの肩に手を置く。
「何か思うことがあるようだが、それ以上は考えないほうがいい。いくら大司祭とはいえ、聖女様への不敬は許されることではないよ。ラライネ」
「……うん」
「ではシーナ様。早速ですが我々と共に王都にある大聖堂へ行きましょう」
「やったー!これでこんな生活ともおさらばよ!!」
シーナはナーゼストに連れられ馬車に乗る。
そのまま一度も振り返ること無く、生まれ育った家を後にした。
◇◇
『行っちゃった。これでマリンとゆっくりお話しが出来るよ』
空中を泳ぐように浮かぶ女性。
マリンはその女性を見たことがある。
見たことがあるのに思い出せない。
『そう言えば記憶を消したままだったね。今戻してあげるから』
マリンは思い出した。
あの日、教会でこの女性と会った記憶。
「また会えたね!ヴィーナ!」
『うん!マリン!』
マリンは思い出したのだ。
大事な親友のことを。
◇◇
時は遡り数日前の教会。
『初めまして。私は女神。女神ヴィーナだよ』
「は、初めまして」
突然の出来事に驚くマリン。
ただ反射的に挨拶をしただけだった。
しかしヴィーナはマリンの反応を見て、満面の笑みをこぼす。
『嬉しいな。誰かと話すなんて久しぶり!』
「そうなんですか?」
『うん。私と話せる人はほとんどいないの。前に私と話せた子は500年前だったかな』
ヴィーナは昔を懐かしむような、それでいて悲しむような表情を見せる。
『私はおしゃべりが好きなの。でもほとんどの子が私と喋るどころか見ることすらできない。だからマリンを見つけた時は嬉しかったの!またおしゃべりが出来るって』
子供の様にはしゃぐヴィーナ。
マリンはその姿を見ながら涙を流した。
『え?どうして泣くの?私何か悪いこと言っちゃった?』
「違うの。そうじゃなくて…。私お父さんお母さんが死んじゃった時、凄く怖かったの。このままシーナもいなくなったらどうしようって。1人になるのが怖かったの。だからどれだけシーナがわがままでも我慢して。でも、ヴィーナ様ずっと1人で…。それを考えるだけで悲しくなって」
『マリンは優しい子だね。だから私が見えるのかも』
ヴィーナはマリンの頭を優しくなでる。
そっと涙を拭きとり、おでこを合わせた。
『ねえマリン、私達お友達にならない?私は絶対にマリンを1人にしない。約束する』
「お友達?親友じゃなくて?」
『フフフ、そうね。親友になりましょうマリン。私のことはヴィーナって呼んで』
「うん!ヴィーナ!!」
「だってそうでしょ?こんな出来の悪い妹を王都に連れて行ったら私の評判まで下がるじゃない」
「それでは妹様はこの小屋に置いていくのですか?」
「そうよ」
シーナに悪びれる様子は微塵もない。
慈愛に満ちた聖女様が肉親である妹様を見捨てるの?
本当にこのお方が聖女様なのかしら?
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「何か思うことがあるようだが、それ以上は考えないほうがいい。いくら大司祭とはいえ、聖女様への不敬は許されることではないよ。ラライネ」
「……うん」
「ではシーナ様。早速ですが我々と共に王都にある大聖堂へ行きましょう」
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『そう言えば記憶を消したままだったね。今戻してあげるから』
マリンは思い出した。
あの日、教会でこの女性と会った記憶。
「また会えたね!ヴィーナ!」
『うん!マリン!』
マリンは思い出したのだ。
大事な親友のことを。
◇◇
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「は、初めまして」
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ただ反射的に挨拶をしただけだった。
しかしヴィーナはマリンの反応を見て、満面の笑みをこぼす。
『嬉しいな。誰かと話すなんて久しぶり!』
「そうなんですか?」
『うん。私と話せる人はほとんどいないの。前に私と話せた子は500年前だったかな』
ヴィーナは昔を懐かしむような、それでいて悲しむような表情を見せる。
『私はおしゃべりが好きなの。でもほとんどの子が私と喋るどころか見ることすらできない。だからマリンを見つけた時は嬉しかったの!またおしゃべりが出来るって』
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「お友達?親友じゃなくて?」
『フフフ、そうね。親友になりましょうマリン。私のことはヴィーナって呼んで』
「うん!ヴィーナ!!」
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