捨てられた騎士団長と相思相愛です

京月

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「すまないミルネ、料理の支度までしてもらって」

「いえいえ、これも将来の妻として当たり前のことですから!それより体の調子はどうですか?」

「何とか元には戻った…けどこれじゃあ足りない」


 少し顔を曇らせるサラド。


 それを見かねた私はサラド様の体に簡易的な回復魔法をかける。


「これで体力は戻っているはずです。婚約パーティーにはまだ時間がありますから…無理をなさらないでください」

「そうだな…食事を一緒に取るまでは休憩にしよう」

「はい!」


 サラド様を見つける数日前、私の元に一通の招待状が届いた。

 
 サラド様の元婚約者パナとゼゴ副団長の婚約パーティーへのお誘い。


 この2人にはあまり関係していない私が招待されたことに疑問を抱いたが、サラド様の話を聞いて納得がいく。

 
 本当なら参加する気なんて無かったけど、サラド様のそのことを伝えたら是非同伴させてくれと言われた。


「俺はもちろんミルネのことを愛している。だがこのままあの2人との遺恨を残したままでは本当の幸せを感じることは出来ないだろう。どうか、俺のわがままを聞いてくれないか?」

「…分かりました!正直私もガツンと言ってやりたいですから!2人で堂々と婚約パーティーに参加してやりましょう!」


◇◇◇◇


 パナ視点


「お久しぶりですね、パナ」


 どうしてここに…というか火傷は…?


 一度真っ白になった頭をフル回転させることでそこにいるミルネがサラドを治療したという事実に気が付く。


 ゼゴの奴……一体どうなっているのよ!?


「どうかされましか?先ほどから黙っていますが?」

「いえ…別に…。ご元気そうで何よりです。それにしても少し会わない期間があるだけでかなり他人行儀になってしまいますね。どうか昔のような言葉づかいで会話していただけると幸いです」

「いえ、それには及びません。もう私はあなたとは赤の他人なのですから。礼儀は必要ですよ」


 これは…不味い。

 サラドの存在で私の算段の全てが狂い始めている。

 ここでサラドに私の印象を変えてもらわないと非常に面倒くさいことになる。

 どうにか話の場を持たねば…!


「それは…残念です。こんな形になってしまいましたが少し誤解があるのかもしれません。ミルネさん、少しサラド様と2人きりでお話がしたいのだけど…よろしいでしょうか?」

「ええ。お好きにどうぞ」


 2人でバルコニーへと移動する。

 
 この時期の夜風は気持ちいくらいなのに、今の私には酷く冷たく感じる。


「それで…誤解とは?」

「……それは…ゼゴ様と私の関係についてです」

「婚約されたのでしょう?」

「表面上はです!真実はー」

「おい!何故お前がここに…その姿で立っている!?」


 私の嘘で固められた弁解は始まる前にとある人物によって遮られる。

 
 空気を読め!…ゼゴ!!



「久しいなゼゴ」
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