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2 招かれざる客
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貴族に限らず、学びのチャンスは平等に。と言う初代国王陛下の命により建てられた、王立学園。
貴族の平均的な屋敷何個分ですか?と、呆れる程広い敷地を持つ学園内の一角。
庭と言う名の森の中、湖のほとりのガゼボで、現在、私は一つ下の弟ヘンリーと、私の幼馴染である同い年のベルバラ・カーリン伯爵令嬢と一緒に昼食をとっております。
では、改めてご挨拶を。
私の名は、フィオラ・ドロッセル。
歳は十六歳。
侯爵家の長女です。
因みに、私には三歳上の兄と、先程ご紹介いたしました一歳下の弟がおります。
女の子供は私一人の為、両親だけでなく、兄弟からも溺愛されておりますの。
簡単に申しますと、兄弟揃ってシスコンですわね。
私達兄弟は皆、社交界の蝶と謳われる母と同じ、金の髪に、晴天の空を溶かし込んだような青い瞳をしております。
因みに、父は金に近い赤銅色の髪に、赤い瞳を持っています。
自分の色が一切出なかった事に普通の親でしたら落ち込む所でしょうが、母命の父は、気にする所か、私達が生まれる度に、歓喜の舞を踊ったそうです。
流石は、婿でも構わないから自分と結婚してほしいと、次期公爵の座を弟君に渡した挙句、お母様に土下座をしながら求婚されただけはありますわね。
はぁ、私も両親のような恋をしてみたいですわ。
と、言いましても、貴族に恋愛は難しい事はよく分かっています。
私は「ある人物」の事を思い出し、内心舌打ちをしてしまいました。
本当に面倒。
「姉様、先程からどうしたのですか?可愛いお顔が百面相になってますが」
「本当に…フィオ、貴女大丈夫?」
弟よ、貴方と私は双子の様にそっくりな顔だと言う事、自覚していますか?
可愛い…って、貴方。
「………はぁ」
思わず溜息。
だってほら、もうすぐ「あの方」が、いえ、「あの方々が」来る時間ではないかしら?
「姉様、やはりアレのせいですか?」
「アレって、ヘンリー……言い方」
「ベル、あんな奴アレで十分です!」
「確かに、アレは汚物でしかないけど、一応フィオの「婚約者」なわけだし」
貴方達、どちらも大差ないわ。
アレだの汚物だの。
…………まぁ、否定はしませんが。
口の悪い弟と幼馴染を横目に、「大丈夫」と笑みを見せながらお茶を口に運んだ…その時。
「フィオ!助けてくれ」
ガサガサと茂みを掻き分け、一人の男子生徒が突っ込んで参りました。
「あの方々」の、まず一人目。
王家にしか現れない、黒髪に紫の瞳を持つ美男子。
名はアシェリー・アリストラ。
この国の王太子。そして、私の従兄弟でもある。
彼の母である王妃様は、私の母の姉にあたります。おかげでアシェとは幼少期からのお付き合いです。
「アシェ、またですか?」
このヘタレが!
あんな「小娘」一人に振り回されるなんて。
「アシェリーさまぁ!待ってください!」
あら、「あの方々」の二人目が登場ですわね。
「ラファエロ伯爵令嬢、私を追いかけてくるのはやめて欲しいと申したはずだ!編入初日から毎日毎日、もう二週間連続ではないか!」
あら、一応言える事は言ってらっしゃるのね?
って、確か昨日も似たような事を言われてましたわよね、アシェ。
とりあえず、小娘……ではなく、彼女についてですが、彼女はフレア・ラファエロ伯爵令嬢。
二週間前にこの学園に編入してこられました。
以前は、体が弱く家庭教師に勉強を見てもらっていたそうです。
………コレの何処が、体が弱いと言うのでしょうか。
彼女は、編入初日、アシェの前で盛大に転び、それを助けた…と言うか、起こしてくれたアシェに恋をしたそうです。
それからと言うもの、毎日追いかけっこ。
クラスが別なのは幸いしましたが、昼休憩に入ると毎日のように彼女は教室に突撃して来ます。
因みにアシェと私、そしてベルバラは同じクラス。成績上位者のSクラスです。
そして、彼女は底辺であるCクラスの上のBクラス。
と言うか、学園内は「平等」とは申しましても、片や王族、片や伯爵令嬢。節度を弁える気はないのかしら……見ている此方が頭痛になりそうだわ。
「だってぇ、アシェリーさまは、私の運命のお相手なんです!優しく抱き上げてくださった時に、天から祝福されたのですわ!」
抱き上げた…。
手を引いて起こしただけですわよね。
と言うか、「運命」だの「祝福」だの、この時代は「乙女ゲーム」ではございませんのよ?
「何度も言うが、私はただ転んだ君を起こしただけだ!運命や天の祝福なぞ知らん!」
「そんなに照れなくても大丈夫です!アシェリーさまが私の事を気になってるのは存じておりますから、うふっ」
「頼むから関わらないでくれ!だいたい、私の名を呼ぶ許可は出していない!」
このピンクの髪の小娘は、頭の中までピンク色ね。
はぁ…本当、こんな露骨な令嬢は初めてね。
未だに婚約者を迎えないアシェに対して、色目を使う令嬢方は多いけど、ここまで酷いこはいませんでしたわ。
「待ってくれ、フレア!」
あら?
「何故だ、僕の事を好きだと言ったじゃないか!」
茂みから突っ込んで来られた、「あの方々」の最後のお一人。
まったく、此方は此方で頭の中がお花畑ですわね。
「ユリウスさまはぁ、好きですよ?」
貴族の平均的な屋敷何個分ですか?と、呆れる程広い敷地を持つ学園内の一角。
庭と言う名の森の中、湖のほとりのガゼボで、現在、私は一つ下の弟ヘンリーと、私の幼馴染である同い年のベルバラ・カーリン伯爵令嬢と一緒に昼食をとっております。
では、改めてご挨拶を。
私の名は、フィオラ・ドロッセル。
歳は十六歳。
侯爵家の長女です。
因みに、私には三歳上の兄と、先程ご紹介いたしました一歳下の弟がおります。
女の子供は私一人の為、両親だけでなく、兄弟からも溺愛されておりますの。
簡単に申しますと、兄弟揃ってシスコンですわね。
私達兄弟は皆、社交界の蝶と謳われる母と同じ、金の髪に、晴天の空を溶かし込んだような青い瞳をしております。
因みに、父は金に近い赤銅色の髪に、赤い瞳を持っています。
自分の色が一切出なかった事に普通の親でしたら落ち込む所でしょうが、母命の父は、気にする所か、私達が生まれる度に、歓喜の舞を踊ったそうです。
流石は、婿でも構わないから自分と結婚してほしいと、次期公爵の座を弟君に渡した挙句、お母様に土下座をしながら求婚されただけはありますわね。
はぁ、私も両親のような恋をしてみたいですわ。
と、言いましても、貴族に恋愛は難しい事はよく分かっています。
私は「ある人物」の事を思い出し、内心舌打ちをしてしまいました。
本当に面倒。
「姉様、先程からどうしたのですか?可愛いお顔が百面相になってますが」
「本当に…フィオ、貴女大丈夫?」
弟よ、貴方と私は双子の様にそっくりな顔だと言う事、自覚していますか?
可愛い…って、貴方。
「………はぁ」
思わず溜息。
だってほら、もうすぐ「あの方」が、いえ、「あの方々が」来る時間ではないかしら?
「姉様、やはりアレのせいですか?」
「アレって、ヘンリー……言い方」
「ベル、あんな奴アレで十分です!」
「確かに、アレは汚物でしかないけど、一応フィオの「婚約者」なわけだし」
貴方達、どちらも大差ないわ。
アレだの汚物だの。
…………まぁ、否定はしませんが。
口の悪い弟と幼馴染を横目に、「大丈夫」と笑みを見せながらお茶を口に運んだ…その時。
「フィオ!助けてくれ」
ガサガサと茂みを掻き分け、一人の男子生徒が突っ込んで参りました。
「あの方々」の、まず一人目。
王家にしか現れない、黒髪に紫の瞳を持つ美男子。
名はアシェリー・アリストラ。
この国の王太子。そして、私の従兄弟でもある。
彼の母である王妃様は、私の母の姉にあたります。おかげでアシェとは幼少期からのお付き合いです。
「アシェ、またですか?」
このヘタレが!
あんな「小娘」一人に振り回されるなんて。
「アシェリーさまぁ!待ってください!」
あら、「あの方々」の二人目が登場ですわね。
「ラファエロ伯爵令嬢、私を追いかけてくるのはやめて欲しいと申したはずだ!編入初日から毎日毎日、もう二週間連続ではないか!」
あら、一応言える事は言ってらっしゃるのね?
って、確か昨日も似たような事を言われてましたわよね、アシェ。
とりあえず、小娘……ではなく、彼女についてですが、彼女はフレア・ラファエロ伯爵令嬢。
二週間前にこの学園に編入してこられました。
以前は、体が弱く家庭教師に勉強を見てもらっていたそうです。
………コレの何処が、体が弱いと言うのでしょうか。
彼女は、編入初日、アシェの前で盛大に転び、それを助けた…と言うか、起こしてくれたアシェに恋をしたそうです。
それからと言うもの、毎日追いかけっこ。
クラスが別なのは幸いしましたが、昼休憩に入ると毎日のように彼女は教室に突撃して来ます。
因みにアシェと私、そしてベルバラは同じクラス。成績上位者のSクラスです。
そして、彼女は底辺であるCクラスの上のBクラス。
と言うか、学園内は「平等」とは申しましても、片や王族、片や伯爵令嬢。節度を弁える気はないのかしら……見ている此方が頭痛になりそうだわ。
「だってぇ、アシェリーさまは、私の運命のお相手なんです!優しく抱き上げてくださった時に、天から祝福されたのですわ!」
抱き上げた…。
手を引いて起こしただけですわよね。
と言うか、「運命」だの「祝福」だの、この時代は「乙女ゲーム」ではございませんのよ?
「何度も言うが、私はただ転んだ君を起こしただけだ!運命や天の祝福なぞ知らん!」
「そんなに照れなくても大丈夫です!アシェリーさまが私の事を気になってるのは存じておりますから、うふっ」
「頼むから関わらないでくれ!だいたい、私の名を呼ぶ許可は出していない!」
このピンクの髪の小娘は、頭の中までピンク色ね。
はぁ…本当、こんな露骨な令嬢は初めてね。
未だに婚約者を迎えないアシェに対して、色目を使う令嬢方は多いけど、ここまで酷いこはいませんでしたわ。
「待ってくれ、フレア!」
あら?
「何故だ、僕の事を好きだと言ったじゃないか!」
茂みから突っ込んで来られた、「あの方々」の最後のお一人。
まったく、此方は此方で頭の中がお花畑ですわね。
「ユリウスさまはぁ、好きですよ?」
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