鬼上司と秘密の同居

なの

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「海斗おはよう体調は?」
「ふぁ~おはよう…ございます。昨日よりは…」
「とりあえず…」

体温計で測ると熱は下がっていた。

「無理しなくていいけど…行けるか?」
「はい。大丈夫です。昨日は迷惑かけて…」
「すみませんじゃなくて、ありがとうな」
「はい。ありがとうございます」
「じゃあ飯、食べるか。今日は雑炊にしたぞ。昼間も消化のいいもの食べろよ」
「そういえば部長って、なんでそんなに料理上手なんですか?」
「ん?家にはいつもお手伝いさんがいたんだよ…その人がめちゃくちゃ料理上手な人でさ。見てるうちに俺も作りたいなーって…そのうち教えてもらって…作れるようになってさ。本当は俺、料理人になりたかったんだよ。人に食べてもらうの嬉しくて。でもこの家に生まれたらからさ。今は後悔はしてないけどな。そういえば海斗は何に……いやっなんでも…」
「俺は………学校の先生になりたかったんです。両親とも先生で…母は養護教諭でした。でも結局…自分でならないと決めたんで」
「あぁ…悪かったな。朝からこんな…」
「気にしないでください。夢なんて叶えられる人なんて…ごく一部、叶えられた人は幸せですよ。幸せになれる権利が元々あるんです。俺にはないから…俺は…幸せには…」
「海斗?」
「部長、俺そろそろ行きます。では会社で」
「あぁ…気をつけて行けよ」

玄関で見送りしてもらって外に出た。空は俺の心のようにどんよりしていた…今日も雨、降るんだろうか?そんな事を考えていたら職場に着いた。

「小沢、大丈夫か?熱出したって…」
「あぁ…ありがとう。もう大丈夫」
「そういえば昨日、部長もリモートで、いやぁー静かだったわ」
「あっ…そうなんだ」

「おはよう」そう言って入ってきたのは部長だった。相変わらずニコリともしない…でも俺だけには優しくて甘い部長だ。

「午後から商談で出かけるから用事があるものは早めに頼む」
そう言って机に座ろうとした部長と目があった。

俺は気恥ずかしくてパソコンの画面に顔を向けた。しばらくして
「小沢…ちょっといいか?」
上田さんに声をかけられた。
「はい…」
昨日休んだから嫌味を言われるんじゃないかと思って少し身構えた。

「お前さぁ…社会人なんだから体調管理はちゃんとしろよ。自己管理ができないんだったら辞めたっていいんだけど」
「ご迷惑かけて申し訳ありません」
「一昨日だってさーお前のせいで俺まで部長に怒られて始末書まで書かされたんだけど…どうしてくれるの?」
「本当にすみません」
ただただ僕は謝るしかなかった…

「何やってるんだ」
「部長…いやぁー昨日、体調不良で休んだので自己管理がなってないって話してたんです」
「なぜ上田が言う必要がある?おかしいだろ。昨日休んだ…って言ったら俺も休んだんだよな。俺も自己管理がなってないって?」
「いや…部長はリモートしてましたし…休んではいないというか…」
「お前は小沢に対して何か悪意でもあるのか?一昨日のことだって…そういえばお前の始末書、あれはなんだ?もう一度、書き直せ。小沢に構う暇があるなら自分の管理をちゃんとしろ。早く席に戻れ」
「…っはい。すみませんでした」
上田さんは肩を落として席に戻っていった。

「部長…すみません」
「小沢、ありがとうだろ?ちょっと目を離すと誰かに余計な事を言われるの俺は嫌なんだよ。お前も席に戻れ、またもし呼び出されたら俺にメールしろよ」そう言って頭を少しだけ撫でてくれた。
「ありがとうございます。戻ります」

それからは何事もなくもうすぐ定時の時間になろうとしていたら部長からメールが来た。

〝急遽、接待になった。終わり次第、迎えに行くから今日は学の所で飯食べてくれないか?学には連絡しておく〟

部長いないんだ…なんとなく淋しい気持ちになったが、学さんに日曜日のこともお礼言いたいから仕方ないや。

「こんばんは」
「いらっしゃい…って海斗。浅井さんから連絡きたよ」
「うん。学さん、こんばんは。この前はすみません。ありがとうございました」
「海斗、何もなくてよかったよ」
「学さん、今日のオススメなんですか?」
「なんでもオススメだけど…実はポトフを作ったんだよ。どうだ」
「嬉しいです。実は昨日、熱出しちゃって…」
「やっぱり熱出たか」
「やっぱりって?悠斗どういうこと?」
「いやいや…こっちの話、お酒はやめとくか?」
「ちょっと飲みたいな」
「じゃあ軽めのワイン持ってくるわ」
悠人とワインを飲みながら学さんの料理を待っていた。 

「おまたせ」
学さんが持ってきた料理は大きめ野菜とソーセージが入ったポトフとほうれん草とベーコンのキッシュ、ポテトサラダだった。
「わぁー美味しそう」
「食べれるだけ食べろ。残しても浅井が食べるよ」
「全部食べられそうです。透さんは接待で食べるだろうから」
「無理はするなよ」
「そういえば学さんは小さい頃から料理人になりたかったの?」
「いや…俺は…」
「学さんお医者さんになりたかったんだよね~」
「悠人…」
「でもさー血を見るのが苦手で、友達が鼻血出したの見て倒れちゃったんだって。血が苦手じゃ無理って諦めたんだよね~」
「悠人お前なー」
「いいじゃん。だからね学さん包丁持つと顔が怖いの手を切らないようにって。でも今は、お店を2人で持てたから幸せでしょ」
「そうだな。幸せだよ。悠人がいてくれるから」

そんな甘々な2人の姿が恥ずかしいと思うのと同時にとても羨ましく思えた。お互いがお互いを好きって言える関係…俺もついこの前までそうだったなのに…
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