鬼上司と秘密の同居

なの

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初めての

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透さんに連れてきてもらったのは、とても素敵なホテルだった。

ホテルの前に横付けされるとベルボーイがドアを開けてくれた。
でも…めちゃくちゃ高そうなんだけど、わざわざ予約してくれたんだと思うと嬉しい気持ちと申し訳ない気持ちが湧いて出てきた。

「透さん、ごめんなさい」

「ん?どうした?」

「お金使わせてしまって…」

「そんなこと気にする必要ないよ。実は…ここはさ前もって予約してたんだ。海斗にバレると怒られると思って内緒にしてたけど、俺のために頑張って秘書検定を受けてくれる海斗に贅沢な思いさせて欲しくて…それなのに、あんな可愛いおねだりされたら、もっと叶えたくなったけどね」

ベルボーイの案内で部屋に向かうと高層階だからか綺麗な景色が広がっていた。
「わぁー綺麗」

「夜景はきっと綺麗だから楽しみだな。コースも頼んでるから、それまでゆっくりしようか」
後から抱きしめられてしばらく2人で景色を見ていた。ふと思い出して透さんの方を向いた。

「さっきから気になってたんですけど…あの大きい荷物ってなんですか?」
ベルボーイに渡して運んでもらった荷物だ。

「あぁ…これか?俺たちのスーツ。明日、ここから仕事に直接行くからな。せっかくのホテルなんだ少しゆっくりしてから行きたいだろ?朝食もビュッフェ頼んだけど…起きれなかったらルームサービスでも頼めばいいから」

「わざわざ用意してくれたんですか?」

「まぁ…な。海斗が試験受けてる間に取りに行ってきた」

「何から何まで、ありがとうございます」
そんな事まで考えて行動してくれた透さんが嬉しくて思わず抱きついた。

「今日は積極的だな」耳元で喋られるとくすぐったくて透さんから逃げようとすると急に強く抱きしめられた。
「海斗、愛してる」急に囁かれて顔が赤く染まるのを感じながら透さんを見ると、目の奥に吸い込ませそうな熱を感じてそっと瞼を閉じると唇が降りてきた。啄むような口づけを交わしていく。
「シャワー浴びようか…」

そのまま傾れ込むように浴室に向かった。久しぶりで膝が崩れそうになる程の快感と快楽に酔いながらお互いを求め合った。こんなにも愛しい人がいて、愛しいと思ってくれる人がいる。それが嬉しかった。

ベッドで後ろから抱きしめてくれる透さんの指にも指輪が嵌めてあってつい顔が綻んでしまいながら、その手を絡めた。
「透さんと出会えて幸せ」
「いや…俺こそ海斗と出会えて幸せだよ」

夕方だった空が、だんだんと暗くなって外の灯りが広がってきた。
「海斗、お腹すいた?ディナーでも食べに行こうか?」

透さんが持ってきてくれたスーツを着て、お揃いで買った色違いのネクタイをお互いに付け合った。

夜景が見れるホテルのディナーなんて来たことがなかった僕は変にテンションが上がって1人浮かれていた。でもふと見ると透さんは冷静にワインを飲んでいた。なんだか1人だけ浮かれてるようで…気持ちがモヤモヤしてきた。

「透さんっ」呼びかけると目を細めて僕を見つめてくる。その甘いマスクで何人もの人とこういう場所に来たことがあるんじゃないかと勘繰ってしまう。

「どうした?」

「あの…透さんはこういう場所に来るの慣れてるんですか?」思わず聞いてしまった。透さんは眉間に少し皺を寄せて何か考えてる…途端に不安になった。さっきまでの熱い熱が冷めていくような…つい俯いてしまった。

「海斗?海斗だから一緒に行こうと探したんだ。2人でどこかに行けるタイミングなかなかなかったしな。本当は温泉でも行きたかったけど」

「なんか僕だけ浮かれてるような気がして…透さんはきっとモテただろうし…他にも誰かと来たことあるから慣れてるのかな?って……すみません」  

透さんは僕の隣に座り直して頭を撫でてくれた。
「俺もこんな綺麗な場所で海斗と一緒にいられるって幸せで、めちゃくちゃ緊張してるよ?でもそんなこと見せたらカッコ悪いだろ?海斗はいつも俺が大人だって言ってくれてるんだから。でも、ほら」

透さんに手を取られて心臓に手を当てるとドキドキと鼓動が伝わってきた。「ね?」と言われて恥ずかしくなってしまった。

いつも自分だけが子供っぽいと思ってた。すぐにやきもち焼いて、透さんの過去を気にしてる。

「俺だって海斗の過去が気にならないわけじゃない。でも過去を気にしても戻ることはできない。それなら未来に向かって2人でたくさんの思い出を作った方が良くないか?」

「そうだね。透さん」

「よし飲み直そう」2人で素敵な夜景を見ながら少しだけ飲んだ。明日からは、また仕事だ。透さんと初めて泊まったホテルは夜景の綺麗な素敵なところだった。

夜景を眺めながら、透さんの腕の中で眠った夜は幸せで、この幸せが壊れないように、そう願った。この先もずっと、透さんといられるように…



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