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新しい朝 ― 二度目の幸福
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戦いから三日後。王都郊外の小さな山荘の窓から差し込む朝陽が、白いシーツを黄金色に染める中、リオナはゆっくりと目を開けた。
まだ体は重く、体力が完全に回復していないが、首筋の番の噛み痕が温かく疼いた。
隣には黒髪が乱れ、簡素なシャツ姿で、初めて見る無防備なアーヴィンの寝顔だった。
「……生きてる」
リオナは小さく呟き、そっと手を伸ばした。指先がアーヴィンの頬に触れると、琥珀の瞳が静かに開いた。
「リオナ……目が覚めたか」
アーヴィンの声は優しく、すぐにリオナを抱き寄せる。αのフェロモンが優しく包み込み、心臓の鼓動がシンクロする。記憶魔法の反動で倒れたリオナを、アーヴィンが王都外れまで運び、ノエルの手配でこの山荘に匿ったのだ。
「王都は……?」
「アルトは王室裁判で拘束。偽装薬の全貌が暴かれ、フェルデン家は没落した。王室契約の暴走も未然に防がれた。君の記憶魔法が、全てを変えた」
リオナは小さく頷いた。ノエルの調査と自分の魔力で掴んだ勝利。誰かに守られる道具ではなく、自分で未来を選び取った証明だ。
だが、体はまだ震え、過大な負担がかかった代償だった。
「父上は?」
「エルド公爵は王室の叱責を受け、セイクリッド家の名誉を保つため国外へ。君への追究は、王室の特赦で免れた。もう、誰もお前を縛れん」
アーヴィンの言葉に、リオナの胸から重い枷が外れる感覚があった。公爵家の次男として、Ωとして、誰かの道具として生きる運命からの解放だった。
***
数週間後。
王都から遠く離れた海辺の村で、リオナとアーヴィンは新たな生活を始めた。
山荘での療養を終え、ノエルの伝で小さな家を借り、質素だが自由な日々を送っていた。
リオナは治癒魔法で村人の怪我を癒していた。
夕暮れには浜辺を二人で散歩し、波の音に耳を傾ける。貴族社会の華美な礼装もフェロモンの抑制薬も必要ない、ありのままの二人。
ある夕暮れ、波打ち際でリオナが呟いた。
「ずっと誰かの道具だと思って生きてきた。愛される価値もないΩだと。
でもあなたと出会って、初めて喜びを知った」
アーヴィンはリオナの手を取り、琥珀の瞳を輝かせる。
「俺もだ。お前と出会うまで、騎士の務めだけが生きる意味だった。君が俺に、本物の愛を教えてくれた」
二人のフェロモンが海風に混ざり合い、黄金色の夕陽が白銀の髪を照らす。リオナは微笑み、アーヴィンの胸に額を寄せた。
「もう誰かに選ばれるんじゃない。自分で選んだあなたと、生きていく」
***
一年後。
同じ海辺の家で、二人は静かな朝を迎えていた。
テーブルの上には焼きたてのパンと魚のスープ。
リオナの治癒魔法は村で評判となり、アーヴィンは漁師の手伝いをしながら剣術を子供たちに教えていた。
ノエルが時折訪れ、王都の噂話を届ける。
「アルトは終身刑、セイクリッド家は衰退、王室が新しい魔法政策を始めた」
と。だが二人は笑って受け流す。過去の呪縛は、もう遠くなった。
窓辺で朝陽を見ながら、リオナがつぶやいた。
「あなたと出会えて、本当に良かった」
アーヴィンがリオナの手を握り、静かにうなずく。
「俺もだ。君と出会えてよかった」
海風がカーテンを揺らし、二人の絆が穏やかな未来を紡いでいる。
愛を知り、自ら選び取った幸福。二度目の世界は、確かに美しい朝を迎えていた。
まだ体は重く、体力が完全に回復していないが、首筋の番の噛み痕が温かく疼いた。
隣には黒髪が乱れ、簡素なシャツ姿で、初めて見る無防備なアーヴィンの寝顔だった。
「……生きてる」
リオナは小さく呟き、そっと手を伸ばした。指先がアーヴィンの頬に触れると、琥珀の瞳が静かに開いた。
「リオナ……目が覚めたか」
アーヴィンの声は優しく、すぐにリオナを抱き寄せる。αのフェロモンが優しく包み込み、心臓の鼓動がシンクロする。記憶魔法の反動で倒れたリオナを、アーヴィンが王都外れまで運び、ノエルの手配でこの山荘に匿ったのだ。
「王都は……?」
「アルトは王室裁判で拘束。偽装薬の全貌が暴かれ、フェルデン家は没落した。王室契約の暴走も未然に防がれた。君の記憶魔法が、全てを変えた」
リオナは小さく頷いた。ノエルの調査と自分の魔力で掴んだ勝利。誰かに守られる道具ではなく、自分で未来を選び取った証明だ。
だが、体はまだ震え、過大な負担がかかった代償だった。
「父上は?」
「エルド公爵は王室の叱責を受け、セイクリッド家の名誉を保つため国外へ。君への追究は、王室の特赦で免れた。もう、誰もお前を縛れん」
アーヴィンの言葉に、リオナの胸から重い枷が外れる感覚があった。公爵家の次男として、Ωとして、誰かの道具として生きる運命からの解放だった。
***
数週間後。
王都から遠く離れた海辺の村で、リオナとアーヴィンは新たな生活を始めた。
山荘での療養を終え、ノエルの伝で小さな家を借り、質素だが自由な日々を送っていた。
リオナは治癒魔法で村人の怪我を癒していた。
夕暮れには浜辺を二人で散歩し、波の音に耳を傾ける。貴族社会の華美な礼装もフェロモンの抑制薬も必要ない、ありのままの二人。
ある夕暮れ、波打ち際でリオナが呟いた。
「ずっと誰かの道具だと思って生きてきた。愛される価値もないΩだと。
でもあなたと出会って、初めて喜びを知った」
アーヴィンはリオナの手を取り、琥珀の瞳を輝かせる。
「俺もだ。お前と出会うまで、騎士の務めだけが生きる意味だった。君が俺に、本物の愛を教えてくれた」
二人のフェロモンが海風に混ざり合い、黄金色の夕陽が白銀の髪を照らす。リオナは微笑み、アーヴィンの胸に額を寄せた。
「もう誰かに選ばれるんじゃない。自分で選んだあなたと、生きていく」
***
一年後。
同じ海辺の家で、二人は静かな朝を迎えていた。
テーブルの上には焼きたてのパンと魚のスープ。
リオナの治癒魔法は村で評判となり、アーヴィンは漁師の手伝いをしながら剣術を子供たちに教えていた。
ノエルが時折訪れ、王都の噂話を届ける。
「アルトは終身刑、セイクリッド家は衰退、王室が新しい魔法政策を始めた」
と。だが二人は笑って受け流す。過去の呪縛は、もう遠くなった。
窓辺で朝陽を見ながら、リオナがつぶやいた。
「あなたと出会えて、本当に良かった」
アーヴィンがリオナの手を握り、静かにうなずく。
「俺もだ。君と出会えてよかった」
海風がカーテンを揺らし、二人の絆が穏やかな未来を紡いでいる。
愛を知り、自ら選び取った幸福。二度目の世界は、確かに美しい朝を迎えていた。
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