若頭の溺愛は、今日も平常運転です

なの

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結婚式前夜、騒がしくて幸せすぎる夜に

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数日後。
屋敷の中庭では、舎弟たちが一糸乱れぬ結婚式準備に奔走していた。

「指輪の箱、金の縁取りに変更です!」

「誓いの言葉、額装して祭壇に飾りたいっす!」

「悠真さん、ドレス拒否してるからタキシード二着目いっときます!」

「だからドレス着せようとするなって何回言えば……!」

騒がしくて、でもどこか温かい空気。
その中心で、鷹臣と悠真は肩を並べて立っていた。
指には銀のリングが静かにきらめいている。

「……なあ」

「ん?」

「結局お前のサプライズ、全部バレてたけどな」

「……うるせぇ」

「でも、ちゃんと伝わったよ。全部」

「だったらもう何も言わなくていいな」

「……でも、ひとつだけ言わせろ」

「なんだよ」

悠真はふっと笑って手を伸ばした。指先がそっと鷹臣の手を包んで……そのぬくもりを確かめるように握りしめた。

「ありがとな。俺の人生に、お前がいてくれて」

その一言に、鷹臣の顔がふわりとほころんだ。

「……これからも、ずっとそばにいる」

「わかってる。……でもこれからのは、ちょっと特別だよな」

「どこがだよ」

「だって……朝起きたら結婚してんだぜ?」

そう言って悠真が照れ隠しにそっぽを向くと鷹臣がくすりと笑った。

「お前がとなりにいる朝なら、どんな朝でもいい」

「甘いな、若頭。砂糖吐きそう」

ふたりで笑い合ったときだった。

「兄貴ぃぃぃぃぃ!!悠真さんんんん!!」

わらわらと現れる舎弟たち。

「感動したっす!」

「俺たち、誓いの言葉が聞けただけでご飯三杯いけます!」

「てか結婚式明日なのに、なんでこんな尊い会話ぶちかましてくるんすか……!」

「明日どうなっちゃうの俺たち!生きて帰れる自信ない!」

「てか準備終わってないから早く戻れって!まだフラワーシャワーの花びらが……!」

「式中泣いて使いもんにならない未来が見えてますけど!!」

「ていうか鷹臣さん、式でちゃんと泣いてくださいね!?悠真さん感動してるのに、無表情で照れて終わりとかダメですからね!?」

「お前らの式じゃねぇから落ち着け!!」

鷹臣のツッコミが響き、悠真が肩を震わせて笑う。

「……なんかさ、うるせぇけどさ」

「ん?」

「……悪くねぇな、こういうのも」

その言葉に鷹臣は真っ直ぐな目で言った。

「これからずっとだぞ。俺と、こいつらと騒がしいくらいの幸せ」

悠真は一瞬、黙って……それから笑った。

「……最高かもな」

空は高く、陽の光が降り注ぐ。明日、ふたりは夫夫ふうふになる。
でもこの一夜が恋人としての最後の夜。
笑って、泣いて、隣にいて……

これから始まる未来は、もっともっと甘くなる。
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