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13.私は一歩も引かない
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sideレティシア
王女がらみの案件はまだまだある。
若くして隊長に就任されたスヴェイン様。
その実力と才覚を妬む者は少なくないけれど、その中でも特に露骨だったのが第2皇子の近衛隊の元副隊長だったわ。もう王宮にいないけど。そして、彼もまた王女とつながっていた。
その元副隊長が目を付けたのは、スヴェイン様が幼い頃に書かれた日記や、「俺が世界を救う」という微笑ましいポエム。誰もが子どもの頃に抱く無邪気な夢を記しただけのものよ。
それをわざわざ手に入れ、「こんな恥ずかしい奴に忠誠を誓うべきか?」なんて、他の騎士たちに配布しようとしていたの。どれだけ歪んだ心を持てばそんな行為に及ぶのかしら?
王女とどんな取引をしたのかは分からないけれど、人を貶めて地位を得ようとする者が隊長になどなれるはずもない。彼が隊長職に手を伸ばすために選んだ手段の浅はかさと卑劣さに、怒りを通り越して呆れるばかりよ。
スヴェイン様は、それらが無くなったことに気付き、真っ赤な顔をして、
『部屋に置いておいたものだから、もしかして捨てたかもしれないけど、見つけた邸の者から聞いたレティに呆れられるのは嫌だから』
と、自らあのポエムの存在を教えてくださった。
恥じらいながら言い訳するその姿……可愛らしいかったわ。
でも、スヴェイン様は、いつか本当に世界を救うお方よ! 何も恥ではないわ!!
もちろん、スヴェイン様の日記やポエムは、部屋にあったのだから、内部の者の手引きがなければ手に入れることなんて不可能。
調べてみたら、案の定。勤めて間もない使用人の一人が、王女の母の実家に縁のある者だと分かった。
その女は、最初からどこか他の使用人とは違う雰囲気を漂わせていた。
「まさか、スヴェイン様を狙っている?」なんて勘ぐっていたけど、目的は別にあったということね。
この女は、ルナちゃんの誘拐にも関わっていた。
ふふ。でも、もう彼女はスヴェイン様の屋敷の使用人ではないわ。我が商会が管理する鉱山で、一生その報いを受けることになるの。
その後、私は元副隊長の屋敷に配下と忍び込み、日記などを盗み出した。
密かに持っていたいという欲を押し込み、泣く泣く燃やしたわ。
「誰にも彼を傷つけさせない」
そう呟きながら、その炎の明かりを見つめていると、何故か心がすっと軽くなるようだった。
幸い、この一件について噂が出回ることはなかった。
スヴェイン様は、少しばつが悪そうにしながらも「やっぱり、いつの間にか捨てていたのだな」と呟き、ほっと胸を撫で下ろしていた。
無邪気なその姿に、思わず微笑んでしまったけれど、彼が気付かないように顔を背けた。
団長様には内々にこの件を報告し、元副隊長は密かに左遷された。証拠を燃やしてしまったから、容疑止まりにはなったけれど、それでも二度と王都に戻ることは叶わない。
マグナス同様、過酷な地で国のために生きるといいわ。そこで、己の行いを振り返る時間でも持つことね。
王女は、そろそろ気付いてもよさそうだけれど、これでも終わりにせず、スヴェイン様を陥れようとするなら――関わったすべての者を過酷な地に送ってやるわ。
反省も後悔も、己の無力さも、その身に刻むには十分な場所よ。
そして、たとえそれが王女であろうと、例外ではないのだから。
スヴェイン様のためなら、私はあらゆる手段で阻止してみせる。彼が輝きを失わないように。彼が、その優しさと強さを失わないように。たとえどんな相手が立ちはだかろうとも、私は一歩も引かないわ。
王女がらみの案件はまだまだある。
若くして隊長に就任されたスヴェイン様。
その実力と才覚を妬む者は少なくないけれど、その中でも特に露骨だったのが第2皇子の近衛隊の元副隊長だったわ。もう王宮にいないけど。そして、彼もまた王女とつながっていた。
その元副隊長が目を付けたのは、スヴェイン様が幼い頃に書かれた日記や、「俺が世界を救う」という微笑ましいポエム。誰もが子どもの頃に抱く無邪気な夢を記しただけのものよ。
それをわざわざ手に入れ、「こんな恥ずかしい奴に忠誠を誓うべきか?」なんて、他の騎士たちに配布しようとしていたの。どれだけ歪んだ心を持てばそんな行為に及ぶのかしら?
王女とどんな取引をしたのかは分からないけれど、人を貶めて地位を得ようとする者が隊長になどなれるはずもない。彼が隊長職に手を伸ばすために選んだ手段の浅はかさと卑劣さに、怒りを通り越して呆れるばかりよ。
スヴェイン様は、それらが無くなったことに気付き、真っ赤な顔をして、
『部屋に置いておいたものだから、もしかして捨てたかもしれないけど、見つけた邸の者から聞いたレティに呆れられるのは嫌だから』
と、自らあのポエムの存在を教えてくださった。
恥じらいながら言い訳するその姿……可愛らしいかったわ。
でも、スヴェイン様は、いつか本当に世界を救うお方よ! 何も恥ではないわ!!
もちろん、スヴェイン様の日記やポエムは、部屋にあったのだから、内部の者の手引きがなければ手に入れることなんて不可能。
調べてみたら、案の定。勤めて間もない使用人の一人が、王女の母の実家に縁のある者だと分かった。
その女は、最初からどこか他の使用人とは違う雰囲気を漂わせていた。
「まさか、スヴェイン様を狙っている?」なんて勘ぐっていたけど、目的は別にあったということね。
この女は、ルナちゃんの誘拐にも関わっていた。
ふふ。でも、もう彼女はスヴェイン様の屋敷の使用人ではないわ。我が商会が管理する鉱山で、一生その報いを受けることになるの。
その後、私は元副隊長の屋敷に配下と忍び込み、日記などを盗み出した。
密かに持っていたいという欲を押し込み、泣く泣く燃やしたわ。
「誰にも彼を傷つけさせない」
そう呟きながら、その炎の明かりを見つめていると、何故か心がすっと軽くなるようだった。
幸い、この一件について噂が出回ることはなかった。
スヴェイン様は、少しばつが悪そうにしながらも「やっぱり、いつの間にか捨てていたのだな」と呟き、ほっと胸を撫で下ろしていた。
無邪気なその姿に、思わず微笑んでしまったけれど、彼が気付かないように顔を背けた。
団長様には内々にこの件を報告し、元副隊長は密かに左遷された。証拠を燃やしてしまったから、容疑止まりにはなったけれど、それでも二度と王都に戻ることは叶わない。
マグナス同様、過酷な地で国のために生きるといいわ。そこで、己の行いを振り返る時間でも持つことね。
王女は、そろそろ気付いてもよさそうだけれど、これでも終わりにせず、スヴェイン様を陥れようとするなら――関わったすべての者を過酷な地に送ってやるわ。
反省も後悔も、己の無力さも、その身に刻むには十分な場所よ。
そして、たとえそれが王女であろうと、例外ではないのだから。
スヴェイン様のためなら、私はあらゆる手段で阻止してみせる。彼が輝きを失わないように。彼が、その優しさと強さを失わないように。たとえどんな相手が立ちはだかろうとも、私は一歩も引かないわ。
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