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24.猿知恵
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美しい庭園の中、春の柔らかな陽光が花々を照らし、さわやかな風が吹き抜けていた。
古風な木製のベンチに腰掛け、お茶を楽しんでいるとレティシアがふと顔を上げて、軽やかな声で話し始めた。
「そうだわ、セレナ。私の婚約者のエヴァン様が、来週こちらの国へ来ますわ。」
「あら?どういったご用件で?」
レティシアは、微笑みを浮かべ、カップをそっとテーブルに置いた。
「私に会いに来るのが第一目的ですが、アストリア国の遣いとして、国王陛下に用事があるそうですわ。詳しくは聞いていませんけど。それでね。実は、提案があるのだけど。」
「何かしら?」
「私とエヴァン様、あなたとヴィクター様とでお茶をしない?お手紙でヴィクター様のことを書いたら、私の婚約者、興味を持ったらしく会わせてとうるさいのよ。お願い。」
何と書いたのかしら?
「構いませんわ。でも、エヴァン様がいらっしゃるのなら、ついでに、レオナード様も来るかしら。」
「そうね、来ると思うわ。側近ですもの。そういえばあなたたち幼馴染だったわね。」
腐れ縁ともいう。父親同士が商売の関係で仲良く、隣国に住んでいるにもかかわらず、幼いころから頻繁に会う機会が多かった。私の考えを…ええ、善悪問わず、すぐ理解し、実行を共にする…まあ、よく似ているのでしょうね…
この人とも婚約の話が出たが、2人そろって全力で必死に拒否をしたわ。父親2人は残念そうだったが、考えが手に取るようにわかる人が伴侶?相手の言葉や態度を通して、自分の嫌な面が見えそうで、ぞっとするわ。レオナードにそう話したら『同感だ』と言っていた。その辺の考えも似ていて、ほっとしたわ。
「まあ、レオナード様も来るのでしたら…ヴィクター様の情報ねらいね。きっと。」
「そうなるわね。エヴァン様は新しいもの好きだし、レオナード様は、あなたと同じでお金の匂いがする話が好きだし。」
‥‥‥。
「とにかく、ヴィクター様の予定を聞いておいてね。」
*****
ーsideミレーナー
「ミレーナ、来週、アストリア国のエヴァン・ラドクリフ第2皇子がこの国に来る」
アレク様の声には緊張が滲んでいた。一瞬わからなかったが、すぐにエヴァンの名に思い当たった。
「レティシアの婚約者ですわね。」
アレク様は頷き、少し間を置いてから口を開いた。
「ああ、…前に父上に言われたことを覚えているか?」
「王太子としての地位を確実に…というお話ですか?」
ため息をつきながらアレク様は続けた。
「そうだ。しかし、まだ学生の私たちは、国の政策などにも関われない。誰が見ているかわからない慈善活動をやったところで…それに、優秀な人材に学院で声をかけようにも、CクラスとAクラスでは接点がなさすぎる。八方ふさがりだ」
「…そうですわよね」
「そこでだ。こうなったら、私たちの地位を一番危ういものにしている原因を取り除こうと思う」
「原因とは何ですの?」
「ヴィクターとセレナだ!!ヴィクターも前は、私たちに従っていたのに、セレナが何をしたのかはわからないがあのような腑抜けになってしまった。成績は上がったようだが、それだけだ。しかし、なぜか2人の評判が前よりいいのだ。2人を遠巻きに見ている者たちの目も優し気だ。私たちといったい何が違うというのだ!!!」
「そ、そうですよ。憧れを持たれるのは私たちのはずです!!!」
私も苛立ちに同調し、声を張り上げた。
「チャンスが来週、この国に来る。これを逃してはいけない。確実にものにするぞ」
正直、何のことかわからない。しかし、アレク様を頼りに何とかしなくては。未来の王太子妃がセレナに見下されるなんて、あってはならないわ。
古風な木製のベンチに腰掛け、お茶を楽しんでいるとレティシアがふと顔を上げて、軽やかな声で話し始めた。
「そうだわ、セレナ。私の婚約者のエヴァン様が、来週こちらの国へ来ますわ。」
「あら?どういったご用件で?」
レティシアは、微笑みを浮かべ、カップをそっとテーブルに置いた。
「私に会いに来るのが第一目的ですが、アストリア国の遣いとして、国王陛下に用事があるそうですわ。詳しくは聞いていませんけど。それでね。実は、提案があるのだけど。」
「何かしら?」
「私とエヴァン様、あなたとヴィクター様とでお茶をしない?お手紙でヴィクター様のことを書いたら、私の婚約者、興味を持ったらしく会わせてとうるさいのよ。お願い。」
何と書いたのかしら?
「構いませんわ。でも、エヴァン様がいらっしゃるのなら、ついでに、レオナード様も来るかしら。」
「そうね、来ると思うわ。側近ですもの。そういえばあなたたち幼馴染だったわね。」
腐れ縁ともいう。父親同士が商売の関係で仲良く、隣国に住んでいるにもかかわらず、幼いころから頻繁に会う機会が多かった。私の考えを…ええ、善悪問わず、すぐ理解し、実行を共にする…まあ、よく似ているのでしょうね…
この人とも婚約の話が出たが、2人そろって全力で必死に拒否をしたわ。父親2人は残念そうだったが、考えが手に取るようにわかる人が伴侶?相手の言葉や態度を通して、自分の嫌な面が見えそうで、ぞっとするわ。レオナードにそう話したら『同感だ』と言っていた。その辺の考えも似ていて、ほっとしたわ。
「まあ、レオナード様も来るのでしたら…ヴィクター様の情報ねらいね。きっと。」
「そうなるわね。エヴァン様は新しいもの好きだし、レオナード様は、あなたと同じでお金の匂いがする話が好きだし。」
‥‥‥。
「とにかく、ヴィクター様の予定を聞いておいてね。」
*****
ーsideミレーナー
「ミレーナ、来週、アストリア国のエヴァン・ラドクリフ第2皇子がこの国に来る」
アレク様の声には緊張が滲んでいた。一瞬わからなかったが、すぐにエヴァンの名に思い当たった。
「レティシアの婚約者ですわね。」
アレク様は頷き、少し間を置いてから口を開いた。
「ああ、…前に父上に言われたことを覚えているか?」
「王太子としての地位を確実に…というお話ですか?」
ため息をつきながらアレク様は続けた。
「そうだ。しかし、まだ学生の私たちは、国の政策などにも関われない。誰が見ているかわからない慈善活動をやったところで…それに、優秀な人材に学院で声をかけようにも、CクラスとAクラスでは接点がなさすぎる。八方ふさがりだ」
「…そうですわよね」
「そこでだ。こうなったら、私たちの地位を一番危ういものにしている原因を取り除こうと思う」
「原因とは何ですの?」
「ヴィクターとセレナだ!!ヴィクターも前は、私たちに従っていたのに、セレナが何をしたのかはわからないがあのような腑抜けになってしまった。成績は上がったようだが、それだけだ。しかし、なぜか2人の評判が前よりいいのだ。2人を遠巻きに見ている者たちの目も優し気だ。私たちといったい何が違うというのだ!!!」
「そ、そうですよ。憧れを持たれるのは私たちのはずです!!!」
私も苛立ちに同調し、声を張り上げた。
「チャンスが来週、この国に来る。これを逃してはいけない。確実にものにするぞ」
正直、何のことかわからない。しかし、アレク様を頼りに何とかしなくては。未来の王太子妃がセレナに見下されるなんて、あってはならないわ。
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