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27.木から落ちた猿、虎の尾を踏む
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ーside国王ー
「ーーーと、このように、王太子殿下は、私にヴィクターを断罪させようとしました。しかし、私は彼の親友であり、この証拠は、偽物であると断言できます。全て王太子殿下の策謀によるものです」
帰ったはずの皇子が、再び謁見を申し込んできたため、何事かと思ったが…ああ、これは大ごとだ
ヴィクターの手柄を自分の物にし蹴落とす道を選んだだと!…王太子の地位を確実にするために考えた結果がこれか。なんと情けないことだ。ミレーナも止めずに、セレナ嬢を蹴落とそうとしたのか…浅はかな…
王太子とその婚約者としての地位や権力を利用して、身分の低い者、気の弱い者に圧力をかけ、偽証させた。社会的な責任や道徳的な規範を無視し、自らの欲望のみを追求する。…それが私の息子、そして、息子の選んだ婚約者か…。
「重く受け止めていただきたい。この件については早々に、アルマンド公爵家及びホフマン伯爵家にも伝え、私を侮辱した件についても、国に遣いを送る。賢明なご判断をされることを願っています。では、御前を失礼いたします。」
道を示すべきだったか…。いや、正直、人を貶めるにしてもあまりにも穴だらけな策略だ。…やはり王の器ではない…決断を…だが、息子を見捨てることは、亡き王妃に申し訳が立たない…
どうしたらよいのだ…。とにかく、まず話を聞かねば。
「誰か!今すぐ王太子とミレーナをここに呼ぶのだ!」
*****
暢気な顔をしてやってきた2人に、偽証した企画書とやらを投げつける。
「うわ!父上何をするのです!っ…これは、なぜ、これがここに!」
「何とも愚かな真似をしてくれた。お前はいったい何を考えている!!」
怒りが抑えがたい。アレクは動揺を隠せず、震える声でつぶやく。
「嘘だろ…協力してくれるのではなかったのか?」
「…協力する。そう、本当に言ったのか?思い出してみろ」
自分の声に冷たい怒りがこもるのを感じる。
「適切に対処すると、措置をとるとも言いました。え?」
「そうだ、皇子が至極まっとうな判断をし、対処した結果、その愚かな成果物がそこにある!!」
言葉の本来の意味を捉えることもできないのか!!
「よくも、第2皇子に皇位継承の話をしたな!先日、第1皇子が皇太子になったばかりだ。それも、第2皇子が辞退して、平和的に決まったというのに…お前は…」
「そんな情報は、私には入っておりません…」
「どこのだれを使って情報を集めたのだ!古い不確かな情報しかつかめないとは、嘆かわしい」
あの国に戦いを挑む気か!そんなことになってみろ、我が国なぞ一捻りだ。
アレクは何も言えず、ミレーナも青ざめてただ茫然としている。沈黙が大広間を支配する。
*****
ーいつものお茶の時間ー
「ねえ、セレナ。とうとうやらかしたわね。あの2人」
エヴァン皇子は、私たちに事のあらましを説明した後、ヴィクター様を尋ねに行っている。
「わざわざ危険なことに臨むなんて…予想通りすぎて笑えますわ」
「本当ね。多少、想定外のことはあったけど、概ねセレナの計画通りで、鳥肌が立つわ」
ええ、計画通りですわ。…私は忘れてはいませんのよ
幼き頃、そう、婚約者候補だった時代、自分より愚かな者に馬鹿にされたことを
ーお前の家の悪評は聞いているぞ。婚約者候補だと?はっ!私の経歴に傷がつくー
ー肩書と金の力がなければ、お前など私の婚約者候補になれなかった。地位と金に感謝するんだなー
ー優秀さを鼻にかけやがって 候補から外れたのだからもう私の前に姿を見せるなー
本当、何を言っているのかしら?
地位に感謝するのはご自分よ?王太子などという肩書がなければ私の視界にすら入れなかった人間。金、金とうるさいのよ。ご自分で稼いだこともなく貴族と民のお金で生きているくせに。生まれた時に与えられた地位の上に胡坐をかいて努力をしない王の国?そんな国、愛せないわ。
きっと、地位とお金の力がなくても生きていけると、そんなものなくてもご自分の人間性に自信があると、暗におっしゃっているのね。ふふ、ならば……と、私が人生計画を立ててあげた
「セレナが、根に持つ人間だってことを知らなかったのが、人生の敗因。もはやセレナの決定に、ただ従うか、受け入れるかの選択肢しか残されていないわね。」
「ーーーと、このように、王太子殿下は、私にヴィクターを断罪させようとしました。しかし、私は彼の親友であり、この証拠は、偽物であると断言できます。全て王太子殿下の策謀によるものです」
帰ったはずの皇子が、再び謁見を申し込んできたため、何事かと思ったが…ああ、これは大ごとだ
ヴィクターの手柄を自分の物にし蹴落とす道を選んだだと!…王太子の地位を確実にするために考えた結果がこれか。なんと情けないことだ。ミレーナも止めずに、セレナ嬢を蹴落とそうとしたのか…浅はかな…
王太子とその婚約者としての地位や権力を利用して、身分の低い者、気の弱い者に圧力をかけ、偽証させた。社会的な責任や道徳的な規範を無視し、自らの欲望のみを追求する。…それが私の息子、そして、息子の選んだ婚約者か…。
「重く受け止めていただきたい。この件については早々に、アルマンド公爵家及びホフマン伯爵家にも伝え、私を侮辱した件についても、国に遣いを送る。賢明なご判断をされることを願っています。では、御前を失礼いたします。」
道を示すべきだったか…。いや、正直、人を貶めるにしてもあまりにも穴だらけな策略だ。…やはり王の器ではない…決断を…だが、息子を見捨てることは、亡き王妃に申し訳が立たない…
どうしたらよいのだ…。とにかく、まず話を聞かねば。
「誰か!今すぐ王太子とミレーナをここに呼ぶのだ!」
*****
暢気な顔をしてやってきた2人に、偽証した企画書とやらを投げつける。
「うわ!父上何をするのです!っ…これは、なぜ、これがここに!」
「何とも愚かな真似をしてくれた。お前はいったい何を考えている!!」
怒りが抑えがたい。アレクは動揺を隠せず、震える声でつぶやく。
「嘘だろ…協力してくれるのではなかったのか?」
「…協力する。そう、本当に言ったのか?思い出してみろ」
自分の声に冷たい怒りがこもるのを感じる。
「適切に対処すると、措置をとるとも言いました。え?」
「そうだ、皇子が至極まっとうな判断をし、対処した結果、その愚かな成果物がそこにある!!」
言葉の本来の意味を捉えることもできないのか!!
「よくも、第2皇子に皇位継承の話をしたな!先日、第1皇子が皇太子になったばかりだ。それも、第2皇子が辞退して、平和的に決まったというのに…お前は…」
「そんな情報は、私には入っておりません…」
「どこのだれを使って情報を集めたのだ!古い不確かな情報しかつかめないとは、嘆かわしい」
あの国に戦いを挑む気か!そんなことになってみろ、我が国なぞ一捻りだ。
アレクは何も言えず、ミレーナも青ざめてただ茫然としている。沈黙が大広間を支配する。
*****
ーいつものお茶の時間ー
「ねえ、セレナ。とうとうやらかしたわね。あの2人」
エヴァン皇子は、私たちに事のあらましを説明した後、ヴィクター様を尋ねに行っている。
「わざわざ危険なことに臨むなんて…予想通りすぎて笑えますわ」
「本当ね。多少、想定外のことはあったけど、概ねセレナの計画通りで、鳥肌が立つわ」
ええ、計画通りですわ。…私は忘れてはいませんのよ
幼き頃、そう、婚約者候補だった時代、自分より愚かな者に馬鹿にされたことを
ーお前の家の悪評は聞いているぞ。婚約者候補だと?はっ!私の経歴に傷がつくー
ー肩書と金の力がなければ、お前など私の婚約者候補になれなかった。地位と金に感謝するんだなー
ー優秀さを鼻にかけやがって 候補から外れたのだからもう私の前に姿を見せるなー
本当、何を言っているのかしら?
地位に感謝するのはご自分よ?王太子などという肩書がなければ私の視界にすら入れなかった人間。金、金とうるさいのよ。ご自分で稼いだこともなく貴族と民のお金で生きているくせに。生まれた時に与えられた地位の上に胡坐をかいて努力をしない王の国?そんな国、愛せないわ。
きっと、地位とお金の力がなくても生きていけると、そんなものなくてもご自分の人間性に自信があると、暗におっしゃっているのね。ふふ、ならば……と、私が人生計画を立ててあげた
「セレナが、根に持つ人間だってことを知らなかったのが、人生の敗因。もはやセレナの決定に、ただ従うか、受け入れるかの選択肢しか残されていないわね。」
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