毒舌アイドルは毒の魔物に転生する。

馳 影輝

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第一章 転生

第六話 密命と罪とアルハラクイーン

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冒険者ギルド本部。
騒がしさとは無縁の静けさが漂う、上層階の作戦会議室。

テーブルには数人のギルド高官と、調査班の冒険者たちが集っていた。
中心に座るのは、ギルド副長のロイ=フェンリル。
冷静沈着で知られる男が、今は一枚の報告書に眉を寄せていた。

「……やはり、妙だ」

「シエラ嬢のこと、ですか?」

頷くロイ。

報告書のタイトルにはこうある。
『新規登録冒険者「シエラ」の出現および行動記録について』



「Cランクの登録からわずか3週間で、レベル100を超える成長……。
“早熟スキル”を持つ者でも、ここまでの速度は異常だ」

「少し気になる報告がありまして、西方の集落で少女が一人行方不明になったそうで、調査班が調べたところ近くを流れる川の下流で遺体が見つかりました。
偶然かも知れませんが、シエラによく似ているそうです。」

「なるほど、気になる報告ですね。」



報告書には、ギルド関係者が把握している範囲のシエラの動きが克明に記されていた。
•日中は、複数のパーティにフリーランサーとして参加。いずれも高い戦闘力と分析能力を発揮。
•だが、夜間は“睡眠不要”と称して宿に戻らず、所在は不明。
•魔物討伐数の報告と照らし合わせると、夜に何らかの活動をしている可能性が高い。

「調査班が分析した限り、“死んだ少女は何者かに喰われた跡”があったとの報告もある」

「それって……」

「ああ。もしかすると擬態能力者の可能性がある。
それも、“死体から擬態する”タイプの──」

静まり返る部屋。

ロイは続ける。

「完全擬態……昔、魔王軍の諜報魔物が使っていた高位スキルだ。
まさか、シエラが魔物だとは考えたくはないが、もしそうだとしたら由々しき事態だ。」

「どうしますか? 排除の指示を?」

ロイは首を振る。

「……まだ確定ではない。
だが、今のシエラはギルドにとって“有力な戦力”であるのも事実。
下手に追い詰めれば、“本性”を現して周囲を巻き込む可能性もある」

「つまり?」

「監視と内偵を続けろ。
……それと、もう一人。例の冒険者セリアにも接触する」

「なぜセリアを?」

「シエラとパーティーを組んでいる冒険者、かつ精神的に距離を取りつつある唯一の存在だ。
もしシエラが“偽者”なら、セリアはその証拠を掴む鍵になる」



◆ギルドの密命

その日のうちに、ギルド本部から極秘命令が下された。
•対象:冒険者シエラ
•状態:要監視・接触制限
•目的:擬態能力および魔族疑惑の真偽調査
•補助対象:セリア・ロスリア(※シエラとパーティ所属)



ロイは最後に書き記した。

「擬態者にしては、行動が理知的すぎる。
本能のままに動く魔物にしては、人間らしさを保ちすぎている。
ならば、奴の“真意”は……進化か、破壊か、あるいは──」

──シエラには、疑わしき事が多い。

ギルドの応接室。
目の前のロイ副長から密命を受けた時、セリアは即答を避けた。
彼女は情報を引き出すだけの「駒」として利用されようとしている。それは明白だった。

けれど。

それでもシエラが「魔物かもしれない」と言われた時、セリアの心には戸惑いと、信じたい気持ちの裏腹が入り混じり複雑な心境だった。



◆シエラへの違和感
改めてシエラを観察してみると
•食事を一切とらない。
•夜は宿に戻らない。
•感情が「切れて」いるように見える時がある。
•視線が、時折“別の何か”のようになる。

それでもセリアは、無理やり自分に言い聞かせていた。

(まだこれだけで全てを否定できない。)

だが──ギルドに呼び出され、渡された書類にはこうあった。

「擬態魔物の疑い。セリア・ロスリアにのみ接触調査の許可を出す」

「……なぜ私に?」

ギルドを出た帰り道。
セリアは、見上げた空に問いかけるように呟いた。

シエラが魔物なら、あの笑顔も、あの声も全部――演技? 狡猾な罠?

それでも。

「……私、嘘でもあの人が好きだよ……」

それが、セリアの“罪”だった。

ギルドの密命はこうだった:
•シエラとの接触を維持せよ。
•シエラの行動パターンを記録し、疑わしい変化を報告せよ。
•危険があれば、速やかに離脱しギルドへ通報せよ。

(私はこの目で確かめる。
彼女が“シエラ”と言う人間であるのか、それとも“魔物”なのか)

そして、ダンジョンの最下層へとシエラを追跡して今に至る。

未開のダンジョンの最下層で2人はお互いの正義のために向かい合っている。

「おいおい!そんな事をしている場合なのか?」
復讐の罪ガルド・ヘムリクが現れた。

「どちらの罪だ?憎み合い、罵り合い、その解決は復讐心のみでしか満たされない。」

「セリア。あなたと剣を交えるのは少し待ってもらうしかないわね。
変なのが現れたから。」

「すまないね。
我らはお前を試さなくてはならないのだよ。
その先に魔王としての資格があるのか。」

「ええ、私は進化を極める。
その為にここにいるのよ。」

「復讐。おまえにも覚えがあるのではないか?
憎しみ、無念、心が凍るような怒り……。」
その瞬間、私の視界は前世の死亡する寸前の景色へと変貌した。

だが、私は冷静である。
ーーこれは、精神崩壊攻撃ーー

「無駄よ。」
何度も私を殺した男がナイフで私を刺し続けた。
酷い激痛と苦しみ、怒りが心で渦巻く。
「そうね。……わかるわよ。
痛み、恐怖、そんなもの。
今の私には恐怖にもならない。」

「な!どう言う事だ。」

腐蝕絶滅眼、発動。

「ま!まさか…」
ガルド・ヘムリクは黒い墨の様に砕けちり消滅した。

「復讐なんて、この世界で叶わないじゃない。
それより私は前を向いて進むだけ。」
すかさず手を出して吸収する。

「ますますあなたが欲しいなったわ」
強欲のアモ・リッツ。

「あなたにはあげられない。
あなたを貰うから。」

「いいわね、いいわね、もっとよ。
もっとちょうだい。」

黒い霧と共が辺りに漂うと触れるもの触れるものと吸収していく。
ー強欲の霧ーである。
触れるものを吸収して魔力に変えていく。

シエラの周りにも黒い霧が纏わりつくと身体を蝕んでいく。

「さあ、あなたをちょうだい!」

「これまでの戦いを見て来なかったの?
あなた達では私に勝てない。
いいえ、力が及ばない。よく自分の身体を見てみなさい。」

アモ・リッツはふと自分を見ると黒い霧が身体を蝕んでいた。
「な!なによ、これ!」

「もうわかったでしょ。
早く私の栄養になりなさい。」
それは私がが腐蝕絶滅眼を発動させて徐々にアモを破壊していたのだ。

そして手を伸ばして吸収すると、魔王種への進化の条件を満たした。
身体を黒い魔力の渦が巻き付いて進化が始まった。
レベルは500を超えてアルハラクイーンへと姿を変える。

突如、スルカの中で黒炎のような魔力が爆発する。

「う、ああああああああッ!!」

地面を抉り、空間が震え、封じられていた“魔王の血”が顕現する。

堕ちし天使──魔王の血族アルハラクイーン
光そして闇すらも喰らい、怒りの深淵に落ちた天使。白き翼は天の加護、黒き翼は悪罪の影

スルカの姿は変貌する。
•肌はすべてを見透すかのように透き通る様な白い肌。
•翼は四枚の赤黒い大きな羽に覆われて
•目は深淵のような赤に染まり
•声は美しく華麗で、神託のように響く
その姿は神とも悪魔とも捉えられる荘厳な姿。

その姿にセリアは息を飲んで見つめている。
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