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第五章 闇の王国編 闇の住人達
第三十八話 機動兵器オメガ
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荒れ果てた遺跡に駆け込んだロイスたち。
頭上を覆う黒雲の下、石造りの回廊から次々と黒尽くめの暗殺者たちが飛び出してきた。
「はぁッ!」
ロイスは軽やかに身をひねり、剣を抜くと、流れるような一閃で敵を切り伏せる。
「御加勢いたします、ロイス殿!」
セリアが後方から駆け寄り、次々と敵を斬り捨てていく。
「次から次へと……面倒な連中ですね。」
冷ややかな声と共に、彼女の剣閃が血煙を上げる。
「ハハッ!もっと来やがれ!」
カインは拳で敵の胸板を砕き、膝蹴りで二人をまとめて吹き飛ばした。
「ルシェル!」
「リシェル!」
双子は楽しげに魔法を放ち、火炎と烈風が戦場を薙ぎ払う。
ロイスは彼らを信じ、細かい敵は任せて一直線に進む。
石段を駆け上がった先――高台の中央に、鎖に吊るされたティアの姿があった。
「ロイス! 来てくれたのね!」
わざとらしい震え声で助けを求めるティア。
だが、その瞳の奥には遊ぶような光が宿っている。
「ティア!」
ロイスは剣を振るいながら駆け寄ろうとする。
その瞬間、甲高い声が響いた。
「さて、勇者ロイス! お前の相手は――こいつだ!」
闇から現れたのはメザウス。
そして、その背後から、地を揺るがす衝撃音と共に巨体が姿を現した。
銀色の装甲。
人の形をしながらも二回りは大きく、両腕に握られた巨剣。
全身は魔道具を埋め込まれた強固な鎧で覆われ、衝撃にも魔法にも屈しない威容。
機動兵器――“オメガ”。
その眼光が赤く輝いた次の瞬間。
ドンッ――!
オメガは一息に距離を詰め、巨剣を振り下ろしてきた。
「速い!」
ロイスも、囚われ演技中のティアも、同時に驚愕する。
ガキィィン!!
ロイスは辛うじて剣で受け止めるが、衝撃に腕が痺れ、体ごと押し飛ばされそうになる。
「チッ……!」
歯を食いしばり、ロイスは後方に飛び退き、距離を取った。
目の前で唸りを上げる銀の巨人――。
勇者と機動兵器の死闘が、ついに幕を開ける。
ロイスが後方へ跳び退き、息を整える。
その刹那、メザウスの背後から、重厚なマントを翻して一人の男が歩み出てきた。
「メザウス――勇者は、倒せそうか?」
低く響く声。
威圧感と気品を兼ね備えた立ち振る舞い。
その姿を見て、ティアは即座に悟った。
(……ザザルン王国の王、ゼフェルント!)
「はっ。これより“オメガ”の性能をお見せします。」
メザウスが恭しく頭を下げる。
「うむ。楽しみだな。」
ゼフェルントは片手を背に回し、余裕の笑みを浮かべた。
オメガが剣を構える。
次の瞬間――怒涛の剣撃がロイスに襲いかかった。
金属の巨躯とは思えぬ俊敏さ。振り下ろされる剣は雷のごとく、連撃は嵐のごとし。
「くっ……!」
ロイスは一打一打を受け流し、時に剣で逸らし、時に身をひねってかわす。
金属と金属が激しく火花を散らし、轟音が遺跡を揺るがせる。
「勇者よ、その程度か!」
メザウスが嘲るが、ロイスは耳を貸さない。
「はぁッ!」
受け止めた一撃を振り払い、ロイスは一瞬の間合いを開ける。
その刹那、彼の剣に淡い光が宿った。
魔力が刃を奔り、空気が張り詰める。
ティアは吊られたまま目を見開いた。
(……出るわね。ロイスの得意技――臥竜一閃!)
(まだ未達……未完成。けれどその一閃は、凡百の攻撃など凌駕する!)
ロイスが踏み込み、閃光のように抜けた。
――ギィィンッ!
瞬間、オメガの巨体が剣圧に弾かれ、吹き飛ぶ。
大地が割れ、粉塵が爆ぜ、衝撃波が辺り一帯を薙ぎ払った。
土煙の中に響く金属の軋み。
巨兵オメガがよろめきながら立ち上がる。
だがその装甲には、確かに斬撃の痕が刻まれていた。
ティアは胸を高鳴らせ、心の中で呟く。
(やっぱり……ロイスは、ただの勇者じゃない!
でも、オメガの様子が気になる。
油断し無いでロイス。)
粉塵の中でよろめいていたオメガの巨体が、やがて静かに立ち上がった。
メザウスが口元を吊り上げる。
「――さあ、ここからだ。」
途端に、銀色の装甲が鈍く光を帯び、音を立てて自己修復を始める。
傷が消え、砕けた箇所が塞がり、瞬く間に全身が再生していく。
しかも、その輝きは次第に漆黒へと変貌した。
「なっ……!」
ロイスの目が見開かれる。
ティアも息を呑む。
「……装甲が書き換わった。
ロイスの攻撃を解析して、耐性を得たのね……!」
再びロイスは臥竜一閃を放った。
閃光が走り、轟音と共にオメガを吹き飛ばす。
だが――立ち上がった機体には、もはや傷一つ残っていなかった。
「くっ……なるほどな。」
ロイスは低く息を吐き、剣を握り直す。
「つまり、一撃必殺で仕留めなければ通じなくなる……」
「ふははは!」
メザウスが高らかに笑った。
「勇者よ、理解したか!
オメガは戦いの中で進化する機動兵器!
お前の技はもう無意味だ!
さあ、どうする?」
その言葉に、ロイスの脳裏に師の姿が蘇る。
荒野で汗まみれになりながら鍛錬した日々。
「師匠……戦いの最中、もう駄目だと思ったことはないんですか?」
「ははは、あるぞ!」
「えっ……あるんですか?」
「己より強い敵に出会った時なんざ、何度だって逃げ出したくなる。
だがな――そんな時は……気合いだッ!!」
「……なんだよ、気合いって……」
苦笑しながら呟いたロイスの全身から、突如として金色の光が噴き上がる。
魔力が溢れ、空気が震え、揺らめくオーラが彼を包み込んだ。
ティアの瞳が揺れる。
(この気配……ロディアス様に似ている……!)
次の瞬間、オメガが疾風のようにロイスの前へ迫る。
剣が振り下ろされる刹那――
「――反攻の天撃ッ!!」
ロイスの剣が閃き、巨体の一撃を受け止め、力の流れを反転させた。
炸裂する衝撃。
オメガの右腕が断ち切られ、金属片を撒き散らしながら宙を舞う。
鈍い音を立てて落下したのは、巨大な剣を握ったままの右腕。
黒鉄の巨兵は、片腕を失ってなお、無言でロイスを睨み据えていた。
ティアとロイスの予想通りにオメガは腕を再構築していく。
ある意味予想できる展開。
「これで決める。」
ロイスは静かに息を吸った。
剣に魔力が集まり、辺りの空気が緊迫し、恐ろしい程の圧迫感をオメガに与える。
そして、ゆっくりと剣を横一閃に引き払う。
閃光が大地を切り裂き、轟音が空を震わせた。
ロイスの渾身の一撃――勇者固有スキル、十界入滅。
膝から上を吹き飛ばされたオメガは、その場で膝を突き、動かなくなる。
ロイスは荒く息を吐いた。
(……やった、か?)
その時、メザウスの低い笑い声が響いた。
「ふ、ははは……!
見事だ勇者。
だが――それで勝ったつもりか?」
影が揺れ、周囲の闇から次々と銀光が浮かび上がる。
それは――オメガ。
しかも先程の一体と同じ姿をした巨兵が、五体も。
しかも、全てが耐性を上げ、さらに強化されていた。
「……なっ……!」
ロイスは目を見開く。
胸を上下させる呼吸は乱れ、先程の大技で魔力の大半を消耗している。
握った剣が重く感じる。
ティアは鎖に繋がれたまま、冷静に状況を見つめた。
(ロイス……。
あなたはもう限界に近い。
それでも、ここで退けば――勇者としての名を汚すことになる……)
メザウスが嘲るように言い放った。
「さあ、勇者よ。
選べ!
この地で散るか、それとも仲間ごと屠られるか!」
ロイスは唇を噛み、剣を構え直した。
だが、その身体は明らかに限界に近い。
ティアは心の中で彼に問いかける。
(ロイス……どうするの?)
頭上を覆う黒雲の下、石造りの回廊から次々と黒尽くめの暗殺者たちが飛び出してきた。
「はぁッ!」
ロイスは軽やかに身をひねり、剣を抜くと、流れるような一閃で敵を切り伏せる。
「御加勢いたします、ロイス殿!」
セリアが後方から駆け寄り、次々と敵を斬り捨てていく。
「次から次へと……面倒な連中ですね。」
冷ややかな声と共に、彼女の剣閃が血煙を上げる。
「ハハッ!もっと来やがれ!」
カインは拳で敵の胸板を砕き、膝蹴りで二人をまとめて吹き飛ばした。
「ルシェル!」
「リシェル!」
双子は楽しげに魔法を放ち、火炎と烈風が戦場を薙ぎ払う。
ロイスは彼らを信じ、細かい敵は任せて一直線に進む。
石段を駆け上がった先――高台の中央に、鎖に吊るされたティアの姿があった。
「ロイス! 来てくれたのね!」
わざとらしい震え声で助けを求めるティア。
だが、その瞳の奥には遊ぶような光が宿っている。
「ティア!」
ロイスは剣を振るいながら駆け寄ろうとする。
その瞬間、甲高い声が響いた。
「さて、勇者ロイス! お前の相手は――こいつだ!」
闇から現れたのはメザウス。
そして、その背後から、地を揺るがす衝撃音と共に巨体が姿を現した。
銀色の装甲。
人の形をしながらも二回りは大きく、両腕に握られた巨剣。
全身は魔道具を埋め込まれた強固な鎧で覆われ、衝撃にも魔法にも屈しない威容。
機動兵器――“オメガ”。
その眼光が赤く輝いた次の瞬間。
ドンッ――!
オメガは一息に距離を詰め、巨剣を振り下ろしてきた。
「速い!」
ロイスも、囚われ演技中のティアも、同時に驚愕する。
ガキィィン!!
ロイスは辛うじて剣で受け止めるが、衝撃に腕が痺れ、体ごと押し飛ばされそうになる。
「チッ……!」
歯を食いしばり、ロイスは後方に飛び退き、距離を取った。
目の前で唸りを上げる銀の巨人――。
勇者と機動兵器の死闘が、ついに幕を開ける。
ロイスが後方へ跳び退き、息を整える。
その刹那、メザウスの背後から、重厚なマントを翻して一人の男が歩み出てきた。
「メザウス――勇者は、倒せそうか?」
低く響く声。
威圧感と気品を兼ね備えた立ち振る舞い。
その姿を見て、ティアは即座に悟った。
(……ザザルン王国の王、ゼフェルント!)
「はっ。これより“オメガ”の性能をお見せします。」
メザウスが恭しく頭を下げる。
「うむ。楽しみだな。」
ゼフェルントは片手を背に回し、余裕の笑みを浮かべた。
オメガが剣を構える。
次の瞬間――怒涛の剣撃がロイスに襲いかかった。
金属の巨躯とは思えぬ俊敏さ。振り下ろされる剣は雷のごとく、連撃は嵐のごとし。
「くっ……!」
ロイスは一打一打を受け流し、時に剣で逸らし、時に身をひねってかわす。
金属と金属が激しく火花を散らし、轟音が遺跡を揺るがせる。
「勇者よ、その程度か!」
メザウスが嘲るが、ロイスは耳を貸さない。
「はぁッ!」
受け止めた一撃を振り払い、ロイスは一瞬の間合いを開ける。
その刹那、彼の剣に淡い光が宿った。
魔力が刃を奔り、空気が張り詰める。
ティアは吊られたまま目を見開いた。
(……出るわね。ロイスの得意技――臥竜一閃!)
(まだ未達……未完成。けれどその一閃は、凡百の攻撃など凌駕する!)
ロイスが踏み込み、閃光のように抜けた。
――ギィィンッ!
瞬間、オメガの巨体が剣圧に弾かれ、吹き飛ぶ。
大地が割れ、粉塵が爆ぜ、衝撃波が辺り一帯を薙ぎ払った。
土煙の中に響く金属の軋み。
巨兵オメガがよろめきながら立ち上がる。
だがその装甲には、確かに斬撃の痕が刻まれていた。
ティアは胸を高鳴らせ、心の中で呟く。
(やっぱり……ロイスは、ただの勇者じゃない!
でも、オメガの様子が気になる。
油断し無いでロイス。)
粉塵の中でよろめいていたオメガの巨体が、やがて静かに立ち上がった。
メザウスが口元を吊り上げる。
「――さあ、ここからだ。」
途端に、銀色の装甲が鈍く光を帯び、音を立てて自己修復を始める。
傷が消え、砕けた箇所が塞がり、瞬く間に全身が再生していく。
しかも、その輝きは次第に漆黒へと変貌した。
「なっ……!」
ロイスの目が見開かれる。
ティアも息を呑む。
「……装甲が書き換わった。
ロイスの攻撃を解析して、耐性を得たのね……!」
再びロイスは臥竜一閃を放った。
閃光が走り、轟音と共にオメガを吹き飛ばす。
だが――立ち上がった機体には、もはや傷一つ残っていなかった。
「くっ……なるほどな。」
ロイスは低く息を吐き、剣を握り直す。
「つまり、一撃必殺で仕留めなければ通じなくなる……」
「ふははは!」
メザウスが高らかに笑った。
「勇者よ、理解したか!
オメガは戦いの中で進化する機動兵器!
お前の技はもう無意味だ!
さあ、どうする?」
その言葉に、ロイスの脳裏に師の姿が蘇る。
荒野で汗まみれになりながら鍛錬した日々。
「師匠……戦いの最中、もう駄目だと思ったことはないんですか?」
「ははは、あるぞ!」
「えっ……あるんですか?」
「己より強い敵に出会った時なんざ、何度だって逃げ出したくなる。
だがな――そんな時は……気合いだッ!!」
「……なんだよ、気合いって……」
苦笑しながら呟いたロイスの全身から、突如として金色の光が噴き上がる。
魔力が溢れ、空気が震え、揺らめくオーラが彼を包み込んだ。
ティアの瞳が揺れる。
(この気配……ロディアス様に似ている……!)
次の瞬間、オメガが疾風のようにロイスの前へ迫る。
剣が振り下ろされる刹那――
「――反攻の天撃ッ!!」
ロイスの剣が閃き、巨体の一撃を受け止め、力の流れを反転させた。
炸裂する衝撃。
オメガの右腕が断ち切られ、金属片を撒き散らしながら宙を舞う。
鈍い音を立てて落下したのは、巨大な剣を握ったままの右腕。
黒鉄の巨兵は、片腕を失ってなお、無言でロイスを睨み据えていた。
ティアとロイスの予想通りにオメガは腕を再構築していく。
ある意味予想できる展開。
「これで決める。」
ロイスは静かに息を吸った。
剣に魔力が集まり、辺りの空気が緊迫し、恐ろしい程の圧迫感をオメガに与える。
そして、ゆっくりと剣を横一閃に引き払う。
閃光が大地を切り裂き、轟音が空を震わせた。
ロイスの渾身の一撃――勇者固有スキル、十界入滅。
膝から上を吹き飛ばされたオメガは、その場で膝を突き、動かなくなる。
ロイスは荒く息を吐いた。
(……やった、か?)
その時、メザウスの低い笑い声が響いた。
「ふ、ははは……!
見事だ勇者。
だが――それで勝ったつもりか?」
影が揺れ、周囲の闇から次々と銀光が浮かび上がる。
それは――オメガ。
しかも先程の一体と同じ姿をした巨兵が、五体も。
しかも、全てが耐性を上げ、さらに強化されていた。
「……なっ……!」
ロイスは目を見開く。
胸を上下させる呼吸は乱れ、先程の大技で魔力の大半を消耗している。
握った剣が重く感じる。
ティアは鎖に繋がれたまま、冷静に状況を見つめた。
(ロイス……。
あなたはもう限界に近い。
それでも、ここで退けば――勇者としての名を汚すことになる……)
メザウスが嘲るように言い放った。
「さあ、勇者よ。
選べ!
この地で散るか、それとも仲間ごと屠られるか!」
ロイスは唇を噛み、剣を構え直した。
だが、その身体は明らかに限界に近い。
ティアは心の中で彼に問いかける。
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