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第六章 学園生活
第四十七話 恋の結末
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部屋でティアとメリルは、取り留めのない話をしながらのんびり過ごしていた。
そんな時――コンコン、とドアを叩く音。
「誰だろ?」
ティアが立ち上がって扉を開けると、そこには涙で頬を濡らしたナターシャが立っていた。
「……ナターシャ!」
驚いたティアは、すぐに彼女を部屋の中へ招き入れた。
「え?な、ナターシャ!
どうしたの?」
真っ先に声を上げたのはメリルだった。
けれどナターシャは言葉を発さず、重たい足取りで椅子に腰を下ろす。
ティアもメリルも、無理に問いたださず、彼女が話し出すのを静かに待った。
メリルはおどおどして落ち着かない。
やがてナターシャは、震える声でぽつりと告げる。
「……あのね。
ブライトンと話をしたの。
……振られちゃったの」
ティアは心の奥で――やはり、と悟っていた。
「え?ど、どういうこと?」
事情を知らないメリルだけが目を丸くする。
「ナターシャ。
……勇気を出したんだね。
偉かったよ。」
ティアの優しい言葉に、ナターシャは唇を噛んで嗚咽を漏らす。
「……ブライトンは、好きな人がいるって。
わかってた……わかってたけど……
どうしようもなくて……」
言葉はそこで途切れ、ナターシャは堰を切ったように涙を流した。
うわぁ~!
「え?え?え?え? えぇぇぇ?」
メリルは混乱して、両手をばたつかせる。
しばらく泣き続けたナターシャは、やっと涙を拭い、赤い目でティアを見つめた。
「……でも、私。
諦めないわ。
ティアにも……負けないつもりだから」
ティアは小さく息を吐き、静かに頷いた。
「……うん。
偉い」
二人は互いの熱を確かめ合うように抱き締め合った。
その光景を見つめながら、メリルは「わたしだけ置いてけぼりだよぉ……」と涙ぐみ、三人の間に奇妙な絆と緊張感が生まれていった。
翌朝、ホテルのレストランにはクラスメイトたちが次々と集まってきていた。
メリルとティア、そしてナターシャ。さらにブライトンや男子たち、そして女子達も続々と姿を見せる。
席に着くと、メリルがため息をつきながら呟いた。
「……なんだか気が重いわ」
「どうして?」
ティアが首を傾げると、メリルは少し口を尖らせた。
「どうしてって……昨日あんな話を聞かされたんだもん。そりゃ気も重くなるでしょ」
「ああ、ナターシャのことね」
ティアは小さく頷いた。
「そうね……私も関わってるから、複雑っていえば複雑だけど」
レストランはビュッフェ形式。二人は料理を取り分けながら話を続ける。
「もう、ティアったら。
もう少し落ち込んでもいいと思う」
まだ膨れた顔のメリルに、ティアは苦笑した。
「ごめん。
そうよね……ナターシャの気持ちを考えたら、私もちゃんと答えを出さなきゃ」
席に戻り、二人は食事を始める。
ナターシャは女子グループと一緒に、少し元気のない笑顔を見せていた。
ブライトンは男子たちと賑やかに談笑している。――一見すると、いつも通りの光景。
食事を終えたティアとメリルが食器を返却してレストランを出ようとしたとき、声がかかった。
「ティア! ちょっと話があるんだ」
振り返るとブライトンが立っていた。
「メリル、ごめん。
先に戻ってて」
「……うん。わかった」
ティアはブライトンと共に砂浜へ向かい、波音の響く浜辺を並んで歩いた。
「昨日……ナターシャから告白されたんだ。
俺のことが好きだって。
でも俺は、ティアが好きだからって断った」
「うん。ナターシャから聞いたよ」
ブライトンは一度深呼吸をして、真っ直ぐにティアを見つめる。
「急かすつもりはない。
でも……ティアの答えが聞きたい。
今ここで」
ティアは短く目を伏せ、そして真剣な瞳で応えた。
「……ごめんなさい。
私はブライトンとは付き合えない。
他に好きな人がいるわけじゃないけど……まだそういう気持ちになれないの。
ごめんね」
ブライトンはしばらく黙ったまま空を見上げ、波音に耳を傾けていた。
「……わかった。
受け止めるよ。
でも、俺はまだ諦めたわけじゃないから」
「……うん。
わかった」
ティアは小さく手を振り、ブライトンを浜辺に残して部屋へ戻った。
「おかえり」
迎えたメリルの顔は、複雑そうに曇っていた。
「どうしたの?
メリル。
元気ないね。
前は“興味あります!”って感じで根掘り葉掘り聞いてきたのに」
「さすがにそんな無神経なことはできないよ」
「ブライトンとは話して……付き合えないって断ったわ」
「……そっか」
メリルは沈んだ声で返す。
「メリル。
そんなに神妙にならないで。
メリルは明るいのが一番の取り柄なんだから」
「ちょっと!
ティア!
“それだけ”が取り柄ってどういうことよ!」
「ほらほら、それそれ!
怒った顔も笑顔も可愛い。
それがメリルだから」
ティアの言葉に、メリルは思わず吹き出した。
「ブライトンのことはもうおしまい!
気分変えて街に出かけよ」
「……うん! 行こう!」
すっかり笑顔を取り戻したメリルとティアは、肩を並べて楽しく街へと繰り出していった。
街を散策していたティアとメリルは、お土産屋をひやかしたり、可愛い雑貨を買ったり、カフェで甘いパフェを食べたりして、穏やかで楽しい時間を過ごしていた。
店を出て歩いていると、不意に賑やかな声が響いた。
「おお! ティア! メリル!」
声の主はマイセル。
そしてその隣にはノッティスとクラウドがいる。
「ん?
マイセルにノッティス、それにクラウド。三人で散策してたの?」
「そのつもりだったんだけどさ!」
マイセルが勢いよく説明を始めた。
「今流行りの“ミュージックオーケストラ”って知ってるか?
個室で好きな歌を歌える店!
クラスの女子を誘って行きたかったんだけど、誰も行ってくれなくて。
ちょうど会ったし――ティア! メリル!
一緒に行かないか?」
「ああ、ミュウオケでしょ!
知ってる!
今めっちゃ流行ってるよね!
行きたい!」
ティアは目を輝かせ、メリルの腕を揺さぶった。
「メリル、どうする?」
「え、あはは……。
ティアが行くなら、いいけど……」
メリルは苦笑しながら答えた。乗り気ではなさそうだが、断る気もない。
「よっしゃぁぁ!」
男子三人は声を揃えてガッツポーズ。まるで勝利の雄叫びのように盛り上がった。
「ふふっ、なんか楽しそう」
「う、うん……」
ティアの無邪気な笑顔とは裏腹に、メリルは少し複雑そうな表情を浮かべていた。
店は街の中心部にあり、外からでも賑やかな歌声と楽器音が漏れ聞こえてきた。
中に入ると、すでに大勢の客でごった返している。
「混んでるな……。
俺、ちょっと聞いてくる!」
マイセルは猛ダッシュで受付へ突撃した。
五分ほど待つと、汗をにじませたマイセルが走って戻ってくる。
「一部屋空いてた! ラッキー!」
「やった!」
ティアは両手を叩いて大喜び。
五人は店内を抜け、個室の部屋に案内された。扉を開けると、中にはふかふかのソファと不思議な水晶のようなマイクが置かれている。
壁には魔法のスクリーンがあり、歌に合わせて光景が映し出されるらしい。
「すごーい!
本当に歌う場所なんだ!」
「さぁさぁ、誰が最初に歌う?」
クラウドがにやりと笑ってマイクを差し出すと、ティアの目がさらに輝いた。
「はいっ! 私からいく!」
勢いよくマイクを受け取るティア。
そのテンションに男子たちは「おおー!」と盛り上がり、メリルは肩をすくめながらも笑って見守っていた。
そんな時――コンコン、とドアを叩く音。
「誰だろ?」
ティアが立ち上がって扉を開けると、そこには涙で頬を濡らしたナターシャが立っていた。
「……ナターシャ!」
驚いたティアは、すぐに彼女を部屋の中へ招き入れた。
「え?な、ナターシャ!
どうしたの?」
真っ先に声を上げたのはメリルだった。
けれどナターシャは言葉を発さず、重たい足取りで椅子に腰を下ろす。
ティアもメリルも、無理に問いたださず、彼女が話し出すのを静かに待った。
メリルはおどおどして落ち着かない。
やがてナターシャは、震える声でぽつりと告げる。
「……あのね。
ブライトンと話をしたの。
……振られちゃったの」
ティアは心の奥で――やはり、と悟っていた。
「え?ど、どういうこと?」
事情を知らないメリルだけが目を丸くする。
「ナターシャ。
……勇気を出したんだね。
偉かったよ。」
ティアの優しい言葉に、ナターシャは唇を噛んで嗚咽を漏らす。
「……ブライトンは、好きな人がいるって。
わかってた……わかってたけど……
どうしようもなくて……」
言葉はそこで途切れ、ナターシャは堰を切ったように涙を流した。
うわぁ~!
「え?え?え?え? えぇぇぇ?」
メリルは混乱して、両手をばたつかせる。
しばらく泣き続けたナターシャは、やっと涙を拭い、赤い目でティアを見つめた。
「……でも、私。
諦めないわ。
ティアにも……負けないつもりだから」
ティアは小さく息を吐き、静かに頷いた。
「……うん。
偉い」
二人は互いの熱を確かめ合うように抱き締め合った。
その光景を見つめながら、メリルは「わたしだけ置いてけぼりだよぉ……」と涙ぐみ、三人の間に奇妙な絆と緊張感が生まれていった。
翌朝、ホテルのレストランにはクラスメイトたちが次々と集まってきていた。
メリルとティア、そしてナターシャ。さらにブライトンや男子たち、そして女子達も続々と姿を見せる。
席に着くと、メリルがため息をつきながら呟いた。
「……なんだか気が重いわ」
「どうして?」
ティアが首を傾げると、メリルは少し口を尖らせた。
「どうしてって……昨日あんな話を聞かされたんだもん。そりゃ気も重くなるでしょ」
「ああ、ナターシャのことね」
ティアは小さく頷いた。
「そうね……私も関わってるから、複雑っていえば複雑だけど」
レストランはビュッフェ形式。二人は料理を取り分けながら話を続ける。
「もう、ティアったら。
もう少し落ち込んでもいいと思う」
まだ膨れた顔のメリルに、ティアは苦笑した。
「ごめん。
そうよね……ナターシャの気持ちを考えたら、私もちゃんと答えを出さなきゃ」
席に戻り、二人は食事を始める。
ナターシャは女子グループと一緒に、少し元気のない笑顔を見せていた。
ブライトンは男子たちと賑やかに談笑している。――一見すると、いつも通りの光景。
食事を終えたティアとメリルが食器を返却してレストランを出ようとしたとき、声がかかった。
「ティア! ちょっと話があるんだ」
振り返るとブライトンが立っていた。
「メリル、ごめん。
先に戻ってて」
「……うん。わかった」
ティアはブライトンと共に砂浜へ向かい、波音の響く浜辺を並んで歩いた。
「昨日……ナターシャから告白されたんだ。
俺のことが好きだって。
でも俺は、ティアが好きだからって断った」
「うん。ナターシャから聞いたよ」
ブライトンは一度深呼吸をして、真っ直ぐにティアを見つめる。
「急かすつもりはない。
でも……ティアの答えが聞きたい。
今ここで」
ティアは短く目を伏せ、そして真剣な瞳で応えた。
「……ごめんなさい。
私はブライトンとは付き合えない。
他に好きな人がいるわけじゃないけど……まだそういう気持ちになれないの。
ごめんね」
ブライトンはしばらく黙ったまま空を見上げ、波音に耳を傾けていた。
「……わかった。
受け止めるよ。
でも、俺はまだ諦めたわけじゃないから」
「……うん。
わかった」
ティアは小さく手を振り、ブライトンを浜辺に残して部屋へ戻った。
「おかえり」
迎えたメリルの顔は、複雑そうに曇っていた。
「どうしたの?
メリル。
元気ないね。
前は“興味あります!”って感じで根掘り葉掘り聞いてきたのに」
「さすがにそんな無神経なことはできないよ」
「ブライトンとは話して……付き合えないって断ったわ」
「……そっか」
メリルは沈んだ声で返す。
「メリル。
そんなに神妙にならないで。
メリルは明るいのが一番の取り柄なんだから」
「ちょっと!
ティア!
“それだけ”が取り柄ってどういうことよ!」
「ほらほら、それそれ!
怒った顔も笑顔も可愛い。
それがメリルだから」
ティアの言葉に、メリルは思わず吹き出した。
「ブライトンのことはもうおしまい!
気分変えて街に出かけよ」
「……うん! 行こう!」
すっかり笑顔を取り戻したメリルとティアは、肩を並べて楽しく街へと繰り出していった。
街を散策していたティアとメリルは、お土産屋をひやかしたり、可愛い雑貨を買ったり、カフェで甘いパフェを食べたりして、穏やかで楽しい時間を過ごしていた。
店を出て歩いていると、不意に賑やかな声が響いた。
「おお! ティア! メリル!」
声の主はマイセル。
そしてその隣にはノッティスとクラウドがいる。
「ん?
マイセルにノッティス、それにクラウド。三人で散策してたの?」
「そのつもりだったんだけどさ!」
マイセルが勢いよく説明を始めた。
「今流行りの“ミュージックオーケストラ”って知ってるか?
個室で好きな歌を歌える店!
クラスの女子を誘って行きたかったんだけど、誰も行ってくれなくて。
ちょうど会ったし――ティア! メリル!
一緒に行かないか?」
「ああ、ミュウオケでしょ!
知ってる!
今めっちゃ流行ってるよね!
行きたい!」
ティアは目を輝かせ、メリルの腕を揺さぶった。
「メリル、どうする?」
「え、あはは……。
ティアが行くなら、いいけど……」
メリルは苦笑しながら答えた。乗り気ではなさそうだが、断る気もない。
「よっしゃぁぁ!」
男子三人は声を揃えてガッツポーズ。まるで勝利の雄叫びのように盛り上がった。
「ふふっ、なんか楽しそう」
「う、うん……」
ティアの無邪気な笑顔とは裏腹に、メリルは少し複雑そうな表情を浮かべていた。
店は街の中心部にあり、外からでも賑やかな歌声と楽器音が漏れ聞こえてきた。
中に入ると、すでに大勢の客でごった返している。
「混んでるな……。
俺、ちょっと聞いてくる!」
マイセルは猛ダッシュで受付へ突撃した。
五分ほど待つと、汗をにじませたマイセルが走って戻ってくる。
「一部屋空いてた! ラッキー!」
「やった!」
ティアは両手を叩いて大喜び。
五人は店内を抜け、個室の部屋に案内された。扉を開けると、中にはふかふかのソファと不思議な水晶のようなマイクが置かれている。
壁には魔法のスクリーンがあり、歌に合わせて光景が映し出されるらしい。
「すごーい!
本当に歌う場所なんだ!」
「さぁさぁ、誰が最初に歌う?」
クラウドがにやりと笑ってマイクを差し出すと、ティアの目がさらに輝いた。
「はいっ! 私からいく!」
勢いよくマイクを受け取るティア。
そのテンションに男子たちは「おおー!」と盛り上がり、メリルは肩をすくめながらも笑って見守っていた。
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