51 / 162
第七章 シャクイードの使者
第五十一話 魔王達の共演
しおりを挟む
「――人間界に、面白い奴がいるね。」
低く、それでいてどこか愉快そうな声が響いた。
それは、玉座の奥に座る存在――魔王シャクイードの声。
誰も知らぬ地の底。光すら届かぬ深淵に、彼は己の居城を築き、数百年の眠りを経て今なお再生の時を待ち続けていた。
その長い石造りの広間には、一つの巨大な黒曜石の机が鎮座している。
机の最奥、中央に座すのは――人間の子供ほどの姿に擬態したシャクイード。
その小さな容姿とは裏腹に、周囲の空気を支配する圧倒的な覇気が漂う。
そして、その両脇には九つの影が並んでいた。
魔界で戦いに敗れながらもなお恐怖と名を残す、歴戦の魔王たち。
右手に並ぶは――
・龍牙魔王【バレル】(男)──龍をも屠る牙を持つ暴虐の巨漢。
・雷鬼魔王【レストラ】(男)──雷鳴を纏い、大地を裂く雷槌の狂鬼。
・水蛇魔王【ミケーニャ】(女)──艶やかな肢体を持ち、万の水蛇を操る妖艶なる女王。
・地貪魔王【グレコロン】(男)──大地そのものを喰らう、飢餓の巨塊。
・海伯魔王【ミロード】(女)──深海を統べ、潮流すら意のままにする蒼の女帝。
左手に並ぶは――
・風絶魔王【ヒゴール】(男)──風を断ち、嵐をも消し飛ばす虚空の刃。
・氷輪魔王【マレー】(女)──氷と輪廻を司る冷厳の魔女。
・煙霧魔王【バダルト】(男)──姿を定めぬ黒煙の支配者。
・炎凱魔王【ソトレード】(男)──業火を纏い、戦場を歓喜する炎の将軍。
かつて七魔王戦争で敗れた強者たちが、今は揃ってシャクイードの左右に並ぶ。
その光景は、まさに魔界の再来を告げる「魔王会議」であった。
「さて……僕たちの目的は人間界の支配。
そして、君達は魔界の支配。
いずれは天界も支配する。
その為の準備と思ってやってきたけど。
勇者の娘。
ティアと言う女にことごとく潰されたね。」
シャクイードは口元に笑みを浮かべ、机に指を軽く叩いた。
その小さな音だけで、場に座す魔王たちの威圧が一斉に昂ぶり、広間全体が震えた。
「――その女は強いのか?」
龍牙魔王バレルは腕組みしながら話す
「ん~、正直わからないね。
大した魔力も感じない普通の人間にも見える。
毒を使うけど、彼女の場合は眷属と言うか護衛というか、周りの者達は桁外れに強いね。」
魔王たちは誰一人言葉を発さぬまま、ただ愉悦と殺気に満ちた笑みを浮かべていた。
「その女、ティアとか言ったかしら。
私が最初に接触しても良いかしら?」
氷輪魔王マレーが自信ありげに立ち上がる。
白銀の髪を揺らし、冷ややかな視線を浮かべながら、唇に挑発的な笑みを刻む。
シャクイードは、机に肘をつきながら細めた瞳を向ける。
「……偵察程度にしてもらえると助かるよ。
相手の力は未知数だ。
ここで貴重な戦力を失いたくはないんでね。」
「わかったわ。」マレーは微笑んだ。
「どんな女か、この目で見定めてくるわ。」
――場面は転じる。
その頃、ティアは「里帰り」と称して魔界へ戻っていた。
玉座の間に集うのは、魔界を統べる傲慢・強欲・怠惰・暴食・色欲・嫉妬の魔王たち。
傲慢の魔王アルセリオス、
強欲の魔王ガルディアン、
怠惰の魔王ミゼリス、
暴食の魔王グラトーラ、
色欲の魔王ヴェリアン、
嫉妬の魔王イラエル。
「七魔王」の名を持つ者たちが、円卓を囲むようにして座していた。
ティアは軽やかな笑みを浮かべて手を振る。
「久しぶりね、みんな元気にしてた?
人間界は楽しいよ、
みんなも来ればいいのに。
……そうそう、ザザルン王国でのことなんだけど、少し面倒なことになってるのよね。」
「面倒とはなんだ?」
アルセリオスが不機嫌そうに声を低める。
ティアはあっさりと答えた。
「オメガっていう機動兵器を作ってたんだけど、それ自体は大したことなかったの。
ただね、王様が魔王ブリュンって奴に乗っ取られてて、その裏でエルリン王子が世界征服の野望を抱いてたの。
そしてさらに裏に――始祖の魔王、シャクイードが暗躍してるのよ。」
広間に沈黙が走る。
「シャクイード……だと?」
「奴は千年前に人間界を支配しようとして勇者に敗れたはずでは?」
「完全体じゃないって本人が言ってたけどね。
しかも、七魔王になり損ねた連中を配下にしてるみたい。」
「な、なんと……」
強欲の魔王ガルディアンが唸る。
「……あまり良い状況とは言えないな。
全盛期を知らずとも、伝説級の魔王だ。
軽く見積もっても脅威だ。」
ティアは肩を竦め、笑顔のまま言った。
「だからね、
この件、みんなに振ってもいいかな?
私、学園生活で忙しいし。」
「バカを言うな!」
アルセリオスとガルディアンが同時に立ち上がる。
「我らとて魔界を離れられぬ。
シャクイードの眷属とやらが魔界を狙うこともあるのだぞ!」
「え~、面倒なんだよね。
あなた達6人でかかれば、シャクイードくらいあっという間に倒せるでしょ?」
「無茶を言うな!」
「人間界の事に魔王全員で関わるなどあり得ん!」
ティアは少し唇を尖らせる。
「じゃあ、私一人でやれってこと?」
「放っておけばよい!」
「そうはいかないの。
もう首を突っ込んじゃったし、シャクイードは必ず魔界にも手を伸ばすわよ?」
一同は黙り込む。
「まあいいわ。
頼りにならないわね。」
ティアは笑顔のまま肩を竦める。
「学園生活もあるのに、変なシャクイードって奴の相手もしなきゃいけないなんて、ハードワークすぎるわ。
……でも、私もこの前よりかなりレベル上がったし、なんとかなるかな。」
「ん? またレベルが上がったのか?」
「ええ、魔力障壁と物理障壁を常時維持してるでしょ?
あれだけでも膨大な魔力を消費するから、自然とレベルが上がっちゃうの。」
「そ、それで今は幾つだ?」
ティアは小首を傾げて微笑む。
「えっと……25000よ。
障壁もそれ用に合わせて組み直すのがちょっと面倒なのよね。」
「に、25000……!」
魔王たちは顔を見合わせ、声を失った。
「まあ、魔界のことは任せるわ。
私の領土は分身が守ってるし、分身だけでも私の三分の一の力はあるから。
大丈夫だから、気にしないで。」
「さん、三分の一……レベル8000……」
一同は呆然とする。
ティアは手を振りながらあっさりと立ち去った。
「夏休みはまだ続くの。
学園も楽しいから、みんなも遊びに来ればいいのに。
――じゃ、そういうことで!」
彼女の姿が消えた後、重苦しい沈黙が広間を支配した。
「……レベル25000とは、一体どれほどの強さなのだ……?」
「想像すらできん……」
マレーは地下から地上に出てくると、大きな魔力を探した。
だが、シャクイードが言うような強者の気配は感じられない。
「……隠れているのか?」
ひとまずザザルン王国へ向かうことにした。勇者の娘なら相応の魔力を有しているはず。
それを当てにしていたが──見込み違いだった。
王都に到着したマレーは、人間の姿に擬態する。
情報を集めるうちに、フェルミナンス学園にティアがいると知る。
「此処かしら。」
夏休みの学園は人影もない。だが内部に入ると、いくつかの高い魔力の存在が感じられた。
――その頃。
ティアは寮の自室で寛いでいた。
「ん? リシェル! ルシェル!」
「主様。」
「見てきて。何か来てるでしょ。」
「来てますね。……それでは。」
二人は消えていった。
⸻
マレーの前に、リシェルとルシェルが突然転移して現れる。
「誰だ!」
マレーは思わず警戒の声を上げる。
「ここは部外者が入ってはならない場所。」
「ここは主様が寛ぐ場所。
故に、すぐ立ち去れ。」
「……主様?
もしかして、ティアとか言う人間の護衛か?」
「主様の名を呼ぶとは、何者?」
「ああ、なるほど。
主様が言っていた通りだね……そろそろ偵察が来るはずだと。
お前がそれか。」
「今日は偵察だけだ。
……中々の強さを感じる。
他にも数人いるな。
ここは引かせてもらう。」
そう言って転移を試みるが、魔法陣は発動しない。
「……なに?
転移できない……?
ど、どういうことだ!」
マレーの頭に動揺が走る。
「あなた、シャクイードとか言う魔王の配下の魔王?
……魔王の配下の魔王って、ややこしいわね。」
いつの間にかそこにティアが立っていた。
「お……お前が、ティアとか言う小娘か。
ふん、大した魔力も感じないな。
護衛に守られるだけの存在か。」
「ちなみに、転移できないのは私がそれを封じてるからよ。」
ティアは軽く肩を竦める。
「それはいいとして……あなたも魔王なんでしょ? 私に興味でも湧いたのかしら?」
転移を封じている?
ただの人間にそんな事が…。
「今日は……どんな女なのかを見に来ただけだ。」
「そう。
私はね、夏休みが終わったら学園生活で忙しいの。
だから、問題は起こさないでね?」
にこりと笑ったその瞬間、マレーの背筋を冷たい刃が撫でた。
彼女から発せられる魔力は表面的には微弱。
だがその奥底には、底知れぬ奈落の気配が眠っている。
「(こ、こいつは……人間なのか?
それとも……!)」
ティアと従者たちは霧のように掻き消えた。
結界が解けたのを確認すると、マレーは慌てて転移で逃走する。
「……報告しなくては。あれは、ただの人間ではない……!」
低く、それでいてどこか愉快そうな声が響いた。
それは、玉座の奥に座る存在――魔王シャクイードの声。
誰も知らぬ地の底。光すら届かぬ深淵に、彼は己の居城を築き、数百年の眠りを経て今なお再生の時を待ち続けていた。
その長い石造りの広間には、一つの巨大な黒曜石の机が鎮座している。
机の最奥、中央に座すのは――人間の子供ほどの姿に擬態したシャクイード。
その小さな容姿とは裏腹に、周囲の空気を支配する圧倒的な覇気が漂う。
そして、その両脇には九つの影が並んでいた。
魔界で戦いに敗れながらもなお恐怖と名を残す、歴戦の魔王たち。
右手に並ぶは――
・龍牙魔王【バレル】(男)──龍をも屠る牙を持つ暴虐の巨漢。
・雷鬼魔王【レストラ】(男)──雷鳴を纏い、大地を裂く雷槌の狂鬼。
・水蛇魔王【ミケーニャ】(女)──艶やかな肢体を持ち、万の水蛇を操る妖艶なる女王。
・地貪魔王【グレコロン】(男)──大地そのものを喰らう、飢餓の巨塊。
・海伯魔王【ミロード】(女)──深海を統べ、潮流すら意のままにする蒼の女帝。
左手に並ぶは――
・風絶魔王【ヒゴール】(男)──風を断ち、嵐をも消し飛ばす虚空の刃。
・氷輪魔王【マレー】(女)──氷と輪廻を司る冷厳の魔女。
・煙霧魔王【バダルト】(男)──姿を定めぬ黒煙の支配者。
・炎凱魔王【ソトレード】(男)──業火を纏い、戦場を歓喜する炎の将軍。
かつて七魔王戦争で敗れた強者たちが、今は揃ってシャクイードの左右に並ぶ。
その光景は、まさに魔界の再来を告げる「魔王会議」であった。
「さて……僕たちの目的は人間界の支配。
そして、君達は魔界の支配。
いずれは天界も支配する。
その為の準備と思ってやってきたけど。
勇者の娘。
ティアと言う女にことごとく潰されたね。」
シャクイードは口元に笑みを浮かべ、机に指を軽く叩いた。
その小さな音だけで、場に座す魔王たちの威圧が一斉に昂ぶり、広間全体が震えた。
「――その女は強いのか?」
龍牙魔王バレルは腕組みしながら話す
「ん~、正直わからないね。
大した魔力も感じない普通の人間にも見える。
毒を使うけど、彼女の場合は眷属と言うか護衛というか、周りの者達は桁外れに強いね。」
魔王たちは誰一人言葉を発さぬまま、ただ愉悦と殺気に満ちた笑みを浮かべていた。
「その女、ティアとか言ったかしら。
私が最初に接触しても良いかしら?」
氷輪魔王マレーが自信ありげに立ち上がる。
白銀の髪を揺らし、冷ややかな視線を浮かべながら、唇に挑発的な笑みを刻む。
シャクイードは、机に肘をつきながら細めた瞳を向ける。
「……偵察程度にしてもらえると助かるよ。
相手の力は未知数だ。
ここで貴重な戦力を失いたくはないんでね。」
「わかったわ。」マレーは微笑んだ。
「どんな女か、この目で見定めてくるわ。」
――場面は転じる。
その頃、ティアは「里帰り」と称して魔界へ戻っていた。
玉座の間に集うのは、魔界を統べる傲慢・強欲・怠惰・暴食・色欲・嫉妬の魔王たち。
傲慢の魔王アルセリオス、
強欲の魔王ガルディアン、
怠惰の魔王ミゼリス、
暴食の魔王グラトーラ、
色欲の魔王ヴェリアン、
嫉妬の魔王イラエル。
「七魔王」の名を持つ者たちが、円卓を囲むようにして座していた。
ティアは軽やかな笑みを浮かべて手を振る。
「久しぶりね、みんな元気にしてた?
人間界は楽しいよ、
みんなも来ればいいのに。
……そうそう、ザザルン王国でのことなんだけど、少し面倒なことになってるのよね。」
「面倒とはなんだ?」
アルセリオスが不機嫌そうに声を低める。
ティアはあっさりと答えた。
「オメガっていう機動兵器を作ってたんだけど、それ自体は大したことなかったの。
ただね、王様が魔王ブリュンって奴に乗っ取られてて、その裏でエルリン王子が世界征服の野望を抱いてたの。
そしてさらに裏に――始祖の魔王、シャクイードが暗躍してるのよ。」
広間に沈黙が走る。
「シャクイード……だと?」
「奴は千年前に人間界を支配しようとして勇者に敗れたはずでは?」
「完全体じゃないって本人が言ってたけどね。
しかも、七魔王になり損ねた連中を配下にしてるみたい。」
「な、なんと……」
強欲の魔王ガルディアンが唸る。
「……あまり良い状況とは言えないな。
全盛期を知らずとも、伝説級の魔王だ。
軽く見積もっても脅威だ。」
ティアは肩を竦め、笑顔のまま言った。
「だからね、
この件、みんなに振ってもいいかな?
私、学園生活で忙しいし。」
「バカを言うな!」
アルセリオスとガルディアンが同時に立ち上がる。
「我らとて魔界を離れられぬ。
シャクイードの眷属とやらが魔界を狙うこともあるのだぞ!」
「え~、面倒なんだよね。
あなた達6人でかかれば、シャクイードくらいあっという間に倒せるでしょ?」
「無茶を言うな!」
「人間界の事に魔王全員で関わるなどあり得ん!」
ティアは少し唇を尖らせる。
「じゃあ、私一人でやれってこと?」
「放っておけばよい!」
「そうはいかないの。
もう首を突っ込んじゃったし、シャクイードは必ず魔界にも手を伸ばすわよ?」
一同は黙り込む。
「まあいいわ。
頼りにならないわね。」
ティアは笑顔のまま肩を竦める。
「学園生活もあるのに、変なシャクイードって奴の相手もしなきゃいけないなんて、ハードワークすぎるわ。
……でも、私もこの前よりかなりレベル上がったし、なんとかなるかな。」
「ん? またレベルが上がったのか?」
「ええ、魔力障壁と物理障壁を常時維持してるでしょ?
あれだけでも膨大な魔力を消費するから、自然とレベルが上がっちゃうの。」
「そ、それで今は幾つだ?」
ティアは小首を傾げて微笑む。
「えっと……25000よ。
障壁もそれ用に合わせて組み直すのがちょっと面倒なのよね。」
「に、25000……!」
魔王たちは顔を見合わせ、声を失った。
「まあ、魔界のことは任せるわ。
私の領土は分身が守ってるし、分身だけでも私の三分の一の力はあるから。
大丈夫だから、気にしないで。」
「さん、三分の一……レベル8000……」
一同は呆然とする。
ティアは手を振りながらあっさりと立ち去った。
「夏休みはまだ続くの。
学園も楽しいから、みんなも遊びに来ればいいのに。
――じゃ、そういうことで!」
彼女の姿が消えた後、重苦しい沈黙が広間を支配した。
「……レベル25000とは、一体どれほどの強さなのだ……?」
「想像すらできん……」
マレーは地下から地上に出てくると、大きな魔力を探した。
だが、シャクイードが言うような強者の気配は感じられない。
「……隠れているのか?」
ひとまずザザルン王国へ向かうことにした。勇者の娘なら相応の魔力を有しているはず。
それを当てにしていたが──見込み違いだった。
王都に到着したマレーは、人間の姿に擬態する。
情報を集めるうちに、フェルミナンス学園にティアがいると知る。
「此処かしら。」
夏休みの学園は人影もない。だが内部に入ると、いくつかの高い魔力の存在が感じられた。
――その頃。
ティアは寮の自室で寛いでいた。
「ん? リシェル! ルシェル!」
「主様。」
「見てきて。何か来てるでしょ。」
「来てますね。……それでは。」
二人は消えていった。
⸻
マレーの前に、リシェルとルシェルが突然転移して現れる。
「誰だ!」
マレーは思わず警戒の声を上げる。
「ここは部外者が入ってはならない場所。」
「ここは主様が寛ぐ場所。
故に、すぐ立ち去れ。」
「……主様?
もしかして、ティアとか言う人間の護衛か?」
「主様の名を呼ぶとは、何者?」
「ああ、なるほど。
主様が言っていた通りだね……そろそろ偵察が来るはずだと。
お前がそれか。」
「今日は偵察だけだ。
……中々の強さを感じる。
他にも数人いるな。
ここは引かせてもらう。」
そう言って転移を試みるが、魔法陣は発動しない。
「……なに?
転移できない……?
ど、どういうことだ!」
マレーの頭に動揺が走る。
「あなた、シャクイードとか言う魔王の配下の魔王?
……魔王の配下の魔王って、ややこしいわね。」
いつの間にかそこにティアが立っていた。
「お……お前が、ティアとか言う小娘か。
ふん、大した魔力も感じないな。
護衛に守られるだけの存在か。」
「ちなみに、転移できないのは私がそれを封じてるからよ。」
ティアは軽く肩を竦める。
「それはいいとして……あなたも魔王なんでしょ? 私に興味でも湧いたのかしら?」
転移を封じている?
ただの人間にそんな事が…。
「今日は……どんな女なのかを見に来ただけだ。」
「そう。
私はね、夏休みが終わったら学園生活で忙しいの。
だから、問題は起こさないでね?」
にこりと笑ったその瞬間、マレーの背筋を冷たい刃が撫でた。
彼女から発せられる魔力は表面的には微弱。
だがその奥底には、底知れぬ奈落の気配が眠っている。
「(こ、こいつは……人間なのか?
それとも……!)」
ティアと従者たちは霧のように掻き消えた。
結界が解けたのを確認すると、マレーは慌てて転移で逃走する。
「……報告しなくては。あれは、ただの人間ではない……!」
1
あなたにおすすめの小説
俺! 神獣達のママ(♂)なんです!
青山喜太
ファンタジー
時は、勇者歴2102年。
世界を巻き込む世界大戦から生き延びた、国々の一つアトランタでとある事件が起きた。
王都アトスがたったの一夜、いや正確に言えば10分で崩壊したのである。
その犯人は5体の神獣。
そして破壊の限りを尽くした神獣達はついにはアトス屈指の魔法使いレメンスラーの転移魔法によって散り散りに飛ばされたのである。
一件落着かと思えたこの事件。
だが、そんな中、叫ぶ男が1人。
「ふざけんなぁぁぁあ!!」
王都を見渡せる丘の上でそう叫んでいた彼は、そう何を隠そう──。
神獣達のママ(男)であった……。
私は〈元〉小石でございます! ~癒し系ゴーレムと魔物使い~
Ss侍
ファンタジー
"私"はある時目覚めたら身体が小石になっていた。
動けない、何もできない、そもそも身体がない。
自分の運命に嘆きつつ小石として過ごしていたある日、小さな人形のような可愛らしいゴーレムがやってきた。
ひょんなことからそのゴーレムの身体をのっとってしまった"私"。
それが、全ての出会いと冒険の始まりだとは知らずに_____!!
異世界でカイゼン
soue kitakaze
ファンタジー
作者:北風 荘右衛(きたかぜ そうえ)
この物語は、よくある「異世界転生」ものです。
ただ
・転生時にチート能力はもらえません
・魔物退治用アイテムももらえません
・そもそも魔物退治はしません
・農業もしません
・でも魔法が当たり前にある世界で、魔物も魔王もいます
そこで主人公はなにをするのか。
改善手法を使った問題解決です。
主人公は現世にて「問題解決のエキスパート」であり、QC手法、IE手法、品質工学、ワークデザイン法、発想法など、問題解決技術に習熟しており、また優れた発想力を持つ人間です。ただそれを正統に評価されていないという鬱屈が溜まっていました。
そんな彼が飛ばされた異世界で、己の才覚ひとつで異世界を渡って行く。そういうお話をギャグを中心に描きます。簡単に言えば。
「人の死なない邪道ファンタジーな、異世界でカイゼンをするギャグ物語」
ということになります。
建国のアルトラ ~魔界の天使 (?)の国造り奮闘譚~
ヒロノF
ファンタジー
死後に転生した魔界にて突然無敵の身体を与えられた地野改(ちの かい)。
その身体は物理的な攻撃に対して金属音がするほど硬く、マグマや高電圧、零度以下の寒さ、猛毒や強酸、腐食ガスにも耐え得る超高スペックの肉体。
その上で与えられたのはイメージ次第で命以外は何でも作り出せるという『創成魔法』という特異な能力。しかし、『イメージ次第で作り出せる』というのが落とし穴! それはイメージ出来なければ作れないのと同義! 生前職人や技師というわけでもなかった彼女には機械など生活を豊かにするものは作ることができない! 中々に持て余す能力だったが、周囲の協力を得つつその力を上手く使って魔界を住み心地良くしようと画策する。
近隣の村を拠点と定め、光の無かった世界に疑似太陽を作り、川を作り、生活基盤を整え、家を建て、魔道具による害獣対策や収穫方法を考案。
更には他国の手を借りて、水道を整備し、銀行・通貨制度を作り、発電施設を作り、村は町へと徐々に発展、ついには大国に国として認められることに!?
何でもできるけど何度も失敗する。
成り行きで居ついてしまったケルベロス、レッドドラゴン、クラーケン、歩く大根もどき、元・書物の自動人形らと共に送る失敗と試行錯誤だらけの魔界ライフ。
様々な物を創り出しては実験実験また実験。果たして住み心地は改善できるのか?
誤字脱字衍字の指摘、矛盾の指摘大歓迎です! 見つけたらご報告ください!
2024/05/02改題しました。旧タイトル
『魔界の天使 (?)アルトラの国造り奮闘譚』
2023/07/22改題しました。旧々タイトル
『天使転生?~でも転生場所は魔界だったから、授けられた強靭な肉体と便利スキル『創成魔法』でシメて住み心地よくしてやります!~』
この作品は以下の投稿サイトにも掲載しています。
『小説家になろう(https://ncode.syosetu.com/n4480hc/)』
『ノベルバ(https://novelba.com/indies/works/929419)』
『アルファポリス(https://www.alphapolis.co.jp/novel/64078938/329538044)』
『カクヨム(https://kakuyomu.jp/works/16818093076594693131)』
神様から転生スキルとして鑑定能力とリペア能力を授けられた理由
瀬乃一空
ファンタジー
普通の闇バイトだと思って気軽に応募したところ俺は某国の傭兵部隊に入れられた。しかし、ちょっとした俺のミスから呆気なく仲間7人とともに爆死。気が付くと目の前に神様が……。
神様は俺を異世界転生させる代わりに「罪業の柩」なるものを探すよう命じる。鑑定スキルや修復スキル、イケメン、その他を与えられることを条件に取りあえず承諾したものの、どうしたらよいか分からず、転生した途端、途方にくれるエルン。
高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません
下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。
横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。
偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。
すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。
兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。
この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。
しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。
元チート大賢者の転生幼女物語
こずえ
ファンタジー
(※不定期更新なので、毎回忘れた頃に更新すると思います。)
とある孤児院で私は暮らしていた。
ある日、いつものように孤児院の畑に水を撒き、孤児院の中で掃除をしていた。
そして、そんないつも通りの日々を過ごすはずだった私は目が覚めると前世の記憶を思い出していた。
「あれ?私って…」
そんな前世で最強だった小さな少女の気ままな冒険のお話である。
悪徳貴族の、イメージ改善、慈善事業
ウィリアム・ブロック
ファンタジー
現代日本から死亡したラスティは貴族に転生する。しかしその世界では貴族はあんまり良く思われていなかった。なのでノブリス・オブリージュを徹底させて、貴族のイメージ改善を目指すのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる