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第九章 新学期編
第七十四話 天空の剣ミネルヴァ
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数日後、ティアにアダミルから連絡が届いた。
呼び出された先は魔界。
どうやら飛行艇の解析が完了したらしい。
「アダミル。
私を呼びつけるなんて、よほどの大発見なんでしょうね?」
「主よ、まあそう言わんでくれ。
良い知らせじゃぞ。」
アダミルは白衣を翻しながら、満足げに顎を撫でた。
「飛行艇を解析したら、なんとレベスターの位置情報が残っておったんじゃ。
つまり――」
「こちらから先手を打てる、ってことね!」
「そうじゃ!
それにの、もうひとつ朗報がある。
アダミル渾身の最高傑作、完全新造の飛行艇を建造中じゃ。
主の作戦に華を添えるに相応しい船になる!」
「やっぱりそういうところは抜け目ないわね。」
ティアが肩を竦めると、アダミルは得意げに胸を張った。
「ふふふ、当然じゃ。
最高の仕事を見せてやる!
しばし待っておれ!」
朗報だった。
国家間の転移陣が閉ざされている今、まともな移動手段は存在しなかった。
だが空からの進軍が可能になれば、邪竜教団に対して大きな優位を得られる。
――寮の自室に戻ったティアは、臣下達を集めた。
「アダミルの解析でレベスターへの航路が判明したわ。
これでこちらから邪竜教団に攻め込める。
あなた達の力が必要になるわよ。」
セリアが冷静に進言する。
「主様。
相手の情報が未確認のまま突入するのは危険かと存じます。
何かしら偵察を――」
「難しいわね。
あちらも奪われた飛行艇の件には気づいているでしょうし、悠長に構えている時間はないはず。
むしろ準備を進めている可能性が高いわ。」
ティアは臣下達を見渡すと、不敵に笑った。
「そこでアダミルには、あなた達専用の機動兵器――オメガΣの開発を急がせているわ。
完成すれば強力な戦力になる。」
「おお!
俺達専用のカッコいい相棒ができるのか!」
カインは子供のようにはしゃぐ。
「カイン!
主様の御前だ、控えろ!」
すかさずバロムが叱責する。
「何だよ堅いんだよ、お前はさ。」
「主様が与えてくださるのだ。
我らはそれ以上の戦果で応えるのみ。」
「バロムちゃんは硬いね。」
「リシェル。
それは全身鎧だから当然でしょ。」
ティアは小さく笑みを漏らすと、臣下達へ告げる。
「準備が整うまで、学園周辺に邪竜教団の動きがないか監視をお願い。」
「御意!」
セリア達は一斉に姿を消した。
――数日後。
昼休み、ティアは学園の庭園でアーサーと昼食を共にしていた。
「邪竜教団に攻め込む準備をしているわ。」
「そうか!
なら俺も連れて行ってくれ。」
「そのつもりよ。
戦力は多い方がいいからね。
ただ……気がかりは学園の警備ね。
私達が不在になれば手薄になる。」
アーサーも頷く。
「確かに。
まだ怯えている女子生徒も多いしな。」
「私は分身を置いていくこともできるけど、分身って細やかな対応までは無理なのよね。
騎士団に頼むのも一案だけど……やっぱり適任は“あいつ”しかいないわね。」
「誰だ?」
「すぐ分かるわ。」
――数日後。
ティアはカインを使者に出し、ロイスへ学園警備の協力を依頼した。
放課後、生徒会室を訪れたロイスが静かに頭を下げる。
「ティアさん。
お久しぶりですね。」
「奥で話しましょう。」
応接間に移動したティアは、事の次第を端的に伝える。
「邪竜教団の航空艇を奪ったわ。
こちらから攻め込むつもりよ。」
ロイスの表情が険しくなる。
「……アヴェスター邪竜教団。
名だけは聞いたことがあります。
邪竜アヴェスターは、かつて勇者でさえ倒せず、命を代償にして封印された存在。破壊・死・快楽、三つの首を持つ絶対の災厄です。
一つは破壊、これは恐らく腐食系の炎を吐きます。
二つ目は死。恐らく即死系の呪い。
三つ目は快楽です。
これに関しては相手の力を何らかの方法で封じ、自我を破壊して快楽の本能のみを植え付けると伝承されています。
身体は天を覆うほど巨大で剣では傷すら付かない硬い鱗に覆われています。
復活を許せば、この世界は破滅に向かうでしょう。」
「随分と物騒ね。
要は復活させなければいいんでしょ。
何とかするわ。」
「……楽観視は危険です。
十分気をつけてください。
ティアさんがが行くと言うのであれば、俺は依頼通り学園を守り抜きます。
騎士団と冒険者をまとめ、ここを死守しましょう。」
ティアは満足げに頷いた。
「あら、頼もしいわね。」
――そして数日後。
アダミルから再び連絡が届く。
「主よ!
完成じゃ!
新型飛行艇と、臣下専用の機動兵器――オメガΣ、堂々の完成じゃ!」
ついに、反撃の準備が整おうとしていた。
アダミルは街から離れた広大な原野に、ティアと臣下たちを集めた。
その場には風を震わせるような緊張感が漂っている。
「主よ!
本日ここに、我が渾身の発明をお披露目いたそう!
まずは――新型航空艇!
その名も……《天空の剣(ソード・オブ・スカイ) ミネルヴァ》じゃ!」
眩い光が奔り、空間がひずむ。
次の瞬間、亜空間から現れたのは、赤と金に輝く巨大な艦影だった。
流線型のフォルムが陽光を反射し、優美にして猛々しい存在感を放っている。
奪取した飛行艇よりも一回り大きく、見る者を圧倒する威容だった。
「すごい……!」
ティアは思わず息を呑んだ。
「そしてじゃ!」
アダミルは格納庫を指さした。
「セリアの機体――《ミッドナイト》!」
重厚なハンガーゲートが開き、漆黒の巨影が地に降り立つ。
鋭い輪郭を持つスリムな機体。腰には双剣を佩き、今にも切り裂かんとする凶烈な気配を漂わせている。
「この機体はセリアの剣技と速度に特化しておる! まさに闇夜の騎士よ!」
「ミッドナイト……。」
セリアは呆然と見上げ、言葉を失った。
「次! カインの機体!
《サウザンド・フィスト》!」
オレンジと黒を基調とした巨体が現れる。
肩と腕は異様なまでに発達し、拳を振り上げた瞬間、大地がどよめくほどの迫力を持っていた。
「格闘術を極限まで引き出す機体! 拳で千軍万馬を薙ぎ払え!」
「すっげぇぇ!!」
カインは両手を突き上げ、子供のようにはしゃいだ。
「そして次は――双子の機体! 《アマテラス》と《ツクヨミ》!」
光に包まれて二体の機体が並んで舞い降りる。
淡いピンクの魔導士を思わせる機体と、柔らかい黄色に輝く相棒。
杖を携え、双子のように寄り添う姿はまさに調和の象徴だった。
「魔法特化の双機体! 二人の力を合わせれば、奇跡すら紡ぎ出すぞ!」
「よろしくね。」
リシェルとルシェルは手を取り合い、声を揃えて笑顔を交わした。
「お次はゲド! その名も――《ベルゼバブ》!」
不気味な緑の巨体が姿を現す。装甲は有機的に歪み、小さな装置が脈動している。
そして背部のハッチから無数の小型ドローン――蟲のような機械群が舞い飛んだ。
「ビットマシン搭載! 蟲の群れが相手を包囲殲滅するぞ!」
「いい色だ……!」
ゲドは歪んだ笑みを浮かべ、うっとりと見上げた。
「次はヨル! 機体名は――《ダズル》!」
銀色の機体が音もなく降り立つ。
まるで空気に溶け込むかのように輪郭が揺らぎ、その姿は実体感すら薄い。
「幻術と妖術、さらに“ステルスミラー”を搭載! 光学迷彩とは格が違うぞ! 魔力によって完全に透き通ってしまうのじゃ!」
「……頼りにしているぞ。」
ヨルは静かに機体へ手を伸ばした。
「そして最後! バロムの機体――《バルムンク》!」
轟音とともに、圧倒的な巨躯が大地に突き立つように降り立った。
剛腕は山のように太く、背には大剣を背負う。
他の機体がしなやかならば、この機体はただただ剛直。大地を割り、大山をも砕く存在だった。
「途轍もない怪力と剣撃! その振り下ろしは天地をも断つ! ふははははは!!」
アダミルの高笑いが野に轟いた。
ティアは臣下たちと共に、その壮観な光景を前にただ立ち尽くすしかなかった。
これが、自分たちの新たな武器――邪竜教団に挑むための切り札だった。
呼び出された先は魔界。
どうやら飛行艇の解析が完了したらしい。
「アダミル。
私を呼びつけるなんて、よほどの大発見なんでしょうね?」
「主よ、まあそう言わんでくれ。
良い知らせじゃぞ。」
アダミルは白衣を翻しながら、満足げに顎を撫でた。
「飛行艇を解析したら、なんとレベスターの位置情報が残っておったんじゃ。
つまり――」
「こちらから先手を打てる、ってことね!」
「そうじゃ!
それにの、もうひとつ朗報がある。
アダミル渾身の最高傑作、完全新造の飛行艇を建造中じゃ。
主の作戦に華を添えるに相応しい船になる!」
「やっぱりそういうところは抜け目ないわね。」
ティアが肩を竦めると、アダミルは得意げに胸を張った。
「ふふふ、当然じゃ。
最高の仕事を見せてやる!
しばし待っておれ!」
朗報だった。
国家間の転移陣が閉ざされている今、まともな移動手段は存在しなかった。
だが空からの進軍が可能になれば、邪竜教団に対して大きな優位を得られる。
――寮の自室に戻ったティアは、臣下達を集めた。
「アダミルの解析でレベスターへの航路が判明したわ。
これでこちらから邪竜教団に攻め込める。
あなた達の力が必要になるわよ。」
セリアが冷静に進言する。
「主様。
相手の情報が未確認のまま突入するのは危険かと存じます。
何かしら偵察を――」
「難しいわね。
あちらも奪われた飛行艇の件には気づいているでしょうし、悠長に構えている時間はないはず。
むしろ準備を進めている可能性が高いわ。」
ティアは臣下達を見渡すと、不敵に笑った。
「そこでアダミルには、あなた達専用の機動兵器――オメガΣの開発を急がせているわ。
完成すれば強力な戦力になる。」
「おお!
俺達専用のカッコいい相棒ができるのか!」
カインは子供のようにはしゃぐ。
「カイン!
主様の御前だ、控えろ!」
すかさずバロムが叱責する。
「何だよ堅いんだよ、お前はさ。」
「主様が与えてくださるのだ。
我らはそれ以上の戦果で応えるのみ。」
「バロムちゃんは硬いね。」
「リシェル。
それは全身鎧だから当然でしょ。」
ティアは小さく笑みを漏らすと、臣下達へ告げる。
「準備が整うまで、学園周辺に邪竜教団の動きがないか監視をお願い。」
「御意!」
セリア達は一斉に姿を消した。
――数日後。
昼休み、ティアは学園の庭園でアーサーと昼食を共にしていた。
「邪竜教団に攻め込む準備をしているわ。」
「そうか!
なら俺も連れて行ってくれ。」
「そのつもりよ。
戦力は多い方がいいからね。
ただ……気がかりは学園の警備ね。
私達が不在になれば手薄になる。」
アーサーも頷く。
「確かに。
まだ怯えている女子生徒も多いしな。」
「私は分身を置いていくこともできるけど、分身って細やかな対応までは無理なのよね。
騎士団に頼むのも一案だけど……やっぱり適任は“あいつ”しかいないわね。」
「誰だ?」
「すぐ分かるわ。」
――数日後。
ティアはカインを使者に出し、ロイスへ学園警備の協力を依頼した。
放課後、生徒会室を訪れたロイスが静かに頭を下げる。
「ティアさん。
お久しぶりですね。」
「奥で話しましょう。」
応接間に移動したティアは、事の次第を端的に伝える。
「邪竜教団の航空艇を奪ったわ。
こちらから攻め込むつもりよ。」
ロイスの表情が険しくなる。
「……アヴェスター邪竜教団。
名だけは聞いたことがあります。
邪竜アヴェスターは、かつて勇者でさえ倒せず、命を代償にして封印された存在。破壊・死・快楽、三つの首を持つ絶対の災厄です。
一つは破壊、これは恐らく腐食系の炎を吐きます。
二つ目は死。恐らく即死系の呪い。
三つ目は快楽です。
これに関しては相手の力を何らかの方法で封じ、自我を破壊して快楽の本能のみを植え付けると伝承されています。
身体は天を覆うほど巨大で剣では傷すら付かない硬い鱗に覆われています。
復活を許せば、この世界は破滅に向かうでしょう。」
「随分と物騒ね。
要は復活させなければいいんでしょ。
何とかするわ。」
「……楽観視は危険です。
十分気をつけてください。
ティアさんがが行くと言うのであれば、俺は依頼通り学園を守り抜きます。
騎士団と冒険者をまとめ、ここを死守しましょう。」
ティアは満足げに頷いた。
「あら、頼もしいわね。」
――そして数日後。
アダミルから再び連絡が届く。
「主よ!
完成じゃ!
新型飛行艇と、臣下専用の機動兵器――オメガΣ、堂々の完成じゃ!」
ついに、反撃の準備が整おうとしていた。
アダミルは街から離れた広大な原野に、ティアと臣下たちを集めた。
その場には風を震わせるような緊張感が漂っている。
「主よ!
本日ここに、我が渾身の発明をお披露目いたそう!
まずは――新型航空艇!
その名も……《天空の剣(ソード・オブ・スカイ) ミネルヴァ》じゃ!」
眩い光が奔り、空間がひずむ。
次の瞬間、亜空間から現れたのは、赤と金に輝く巨大な艦影だった。
流線型のフォルムが陽光を反射し、優美にして猛々しい存在感を放っている。
奪取した飛行艇よりも一回り大きく、見る者を圧倒する威容だった。
「すごい……!」
ティアは思わず息を呑んだ。
「そしてじゃ!」
アダミルは格納庫を指さした。
「セリアの機体――《ミッドナイト》!」
重厚なハンガーゲートが開き、漆黒の巨影が地に降り立つ。
鋭い輪郭を持つスリムな機体。腰には双剣を佩き、今にも切り裂かんとする凶烈な気配を漂わせている。
「この機体はセリアの剣技と速度に特化しておる! まさに闇夜の騎士よ!」
「ミッドナイト……。」
セリアは呆然と見上げ、言葉を失った。
「次! カインの機体!
《サウザンド・フィスト》!」
オレンジと黒を基調とした巨体が現れる。
肩と腕は異様なまでに発達し、拳を振り上げた瞬間、大地がどよめくほどの迫力を持っていた。
「格闘術を極限まで引き出す機体! 拳で千軍万馬を薙ぎ払え!」
「すっげぇぇ!!」
カインは両手を突き上げ、子供のようにはしゃいだ。
「そして次は――双子の機体! 《アマテラス》と《ツクヨミ》!」
光に包まれて二体の機体が並んで舞い降りる。
淡いピンクの魔導士を思わせる機体と、柔らかい黄色に輝く相棒。
杖を携え、双子のように寄り添う姿はまさに調和の象徴だった。
「魔法特化の双機体! 二人の力を合わせれば、奇跡すら紡ぎ出すぞ!」
「よろしくね。」
リシェルとルシェルは手を取り合い、声を揃えて笑顔を交わした。
「お次はゲド! その名も――《ベルゼバブ》!」
不気味な緑の巨体が姿を現す。装甲は有機的に歪み、小さな装置が脈動している。
そして背部のハッチから無数の小型ドローン――蟲のような機械群が舞い飛んだ。
「ビットマシン搭載! 蟲の群れが相手を包囲殲滅するぞ!」
「いい色だ……!」
ゲドは歪んだ笑みを浮かべ、うっとりと見上げた。
「次はヨル! 機体名は――《ダズル》!」
銀色の機体が音もなく降り立つ。
まるで空気に溶け込むかのように輪郭が揺らぎ、その姿は実体感すら薄い。
「幻術と妖術、さらに“ステルスミラー”を搭載! 光学迷彩とは格が違うぞ! 魔力によって完全に透き通ってしまうのじゃ!」
「……頼りにしているぞ。」
ヨルは静かに機体へ手を伸ばした。
「そして最後! バロムの機体――《バルムンク》!」
轟音とともに、圧倒的な巨躯が大地に突き立つように降り立った。
剛腕は山のように太く、背には大剣を背負う。
他の機体がしなやかならば、この機体はただただ剛直。大地を割り、大山をも砕く存在だった。
「途轍もない怪力と剣撃! その振り下ろしは天地をも断つ! ふははははは!!」
アダミルの高笑いが野に轟いた。
ティアは臣下たちと共に、その壮観な光景を前にただ立ち尽くすしかなかった。
これが、自分たちの新たな武器――邪竜教団に挑むための切り札だった。
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