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第十章 悪魔王ディアボロス
第八十七話 悪魔界での決戦
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足元に広がる大地は黒ずみ、ひび割れた亀裂からは赤黒い炎と瘴気が漏れ出していた。
空は常に曇天に覆われ、渦を巻く暗雲の中を紫の稲光が走る。
風は熱を孕みながらも冷たく、耳の奥に不快なざわめきを響かせる。
ここは――紛れもなく、悪魔たちの故郷《悪魔界》だった。
「……ここが、悪魔界。」
ロイスは剣を握り直し、全身を緊張で満たす。
「空気が重い……普通の人間なら一歩で気を失うわね。」
リリアは表情を引き締め、周囲を警戒する。
「油断するな。どこから来るか分からんぞ。」
オースティンが槍を構え、視線を巡らせる。
その瞬間、地面の裂け目から黒い影が蠢き、次々と這い出してきた。
赤い目をぎらつかせた悪魔たちが、喉の奥から獣じみた唸り声を漏らす。
「来るぞ!」
ロイスが叫ぶや否や、十体を超える悪魔が一斉に襲いかかってきた。
「サーシャ!」
「任せて!」
放たれた魔法は光の矢となって飛び、先頭の悪魔を貫く。
「邪魔!」
リリアが手を掲げると、漆黒の炎が迸り、三体の悪魔を呑み込んだ。
「薙ぎ倒すぜ。」
オースティンが槍で悪魔を薙ぎ倒していく。
「叩き斬るのみだ!」
ロイスが前に出る。聖光を纏った剣が唸りを上げ、悪魔の胴を真っ二つに裂いた。
切断面から黒煙が吹き出し、動きが止まる。
「聖属性が効くのね。
ロイスさん、やっぱり頼りになるわ。」
リリアが笑みを浮かべるが、その背後に新たな影が迫っていた。
「リリア、後ろだ!」
ロイスの叫びに、リリアは反射的に剣を抜き払う。ティアから預かった《永久の剣》が光を放ち、迫る悪魔を真っ二つにした。
「ふぅ……助かったわ。」
「油断するな、まだまだ来るぞ!」
「任せて下さい。」
ディックが広範囲の聖属性魔法を展開。
悪魔は光となって消えていく。
再び地面が震え、さらに多くの悪魔が影から姿を現す。
ロイスたちの悪魔界での死闘が、いま幕を開けた。
ロイスたちは次々と迫る悪魔を斬り伏せていた。
剣光、矢、魔法の閃光が闇を切り裂くが、倒しても倒しても影から湧き出す悪魔は止まらない。
「はぁ、はぁ……きりがないわね!」
サーシャが杖を振るうたびに聖なる光弾が悪魔を焼き尽くすが、その額には汗が滲んでいた。
そんな中、ただひとり冷静さを失わない者がいた。
リリアだ。
周囲を見渡し、戦況を冷徹に分析していた。
「ロイスさん。」
彼女は悪魔を切り伏せるロイスの背中に声をかける。
「ここは一度、撤退すべきです。」
「リリア!
どういうことだ?」
ロイスは息を荒げつつも、振り返らず問い返す。
「この数を相手に戦い続ければ、必ずこちらが不利になる。
体力と魔力の消耗が大きすぎます。」
確かに戦況は劣勢ではなかった。
だが、無限に現れるかのような悪魔を前に、仲間たちの呼吸は次第に乱れ、焦燥が募っていく。
「皆、一旦退くぞ!」
ロイスが判断を下すと、仲間たちは頷いた。
「そうね……そろそろ苦しくなってきたわ。」
サーシャも口を開き、杖を支えに後退する。
「了解だ!」
「撤退に賛成する。」
オースティンとディックもロイスの元へ駆け寄った。
その瞬間だった――。
洞窟の奥から凄まじい魔力が二つ、同時に放たれる。
大地が震え、瘴気が渦を巻く。
「おやおや、もう帰るのですか?」
低く響く声とともに、一人の影が現れる。
「もう少し遊んでいってくださいよ。」
愉悦に満ちた笑みと共に、もう一人が姿を見せた。
現れたのは――アルビゲイツとマシュロフ。
悪魔王ディアボロスに仕える幹部たちが、ついにロイスたちの前に立ちはだかった。
アルビゲイツとマシュロフは、不敵な笑みを浮かべながらロイスたちを見下ろしていた。
「やるしかない!」
ロイスは剣を握り直し、仲間の前に立つ。
「そこの女は俺がいただく!」
アルビゲイツはリリアを指差し、挑発的に笑った。
「またやられに来るなんて……本当にバカなんだから!」
リリアも負けじと指先を突きつけ、挑発を返す。
「俺たちも援護するぞ!」
オースティンが槍を構え、サーシャは杖を振りかざす。
ディックも詠唱を始め、全員が戦闘態勢へと移った。
「ふふふ、ではこちらは俺がやろうか。」
マシュロフはロイスの前に立ちふさがり、鋭い殺気を放つ。
「ミィーニャ!」
リリアが呼びかけると、眩い光とともにドラゴンが姿を現す。
「よっしゃ!
リリア、俺の出番だな!」
ミィーニャは誇らしげに翼を広げ、巨大な身体でリリアの隣に立った。
「ドラゴンだと……!」
アルビゲイツは目を見開き、その姿に一瞬たじろぐ。
「ミィーニャ、いくわよ!」
「おう!」
リリアの魔法が閃き、同時にミィーニャの口から巨大な火球が放たれる。
轟音と共に襲いかかる連撃を、アルビゲイツは必死に剣で受け止めた。
「ぐっ……!
ドラゴンまで連れているとはな!」
一方、ロイスたちはマシュロフと激突していた。
ロイスの剣撃に、マシュロフが黒き剣で応じる。
「ふんっ!」
火花が散り、互いに力を込め合う。
サーシャが詠唱し、聖なる雷を放つ。
「光よ、敵を討て!」
稲妻がマシュロフを包み、その隙をオースティンの槍が突く。
「はぁっ!」
鋭い一撃がマシュロフの脇腹をかすめ、血が散った。
「ぬぅ……!」
マシュロフは一歩退くが、すぐに笑みを浮かべる。
「まだだ!」
ディックの詠唱が完成し、聖属性の結界が張られる。
仲間たちの連携が冴えわたり、戦況は次第にロイスたちへと傾いていった。
だが――。
ドォンッ!!!
天地を揺るがす轟音と共に、漆黒の魔力が戦場を覆う。
空気が震え、悪魔たちでさえ戦慄して後ずさった。
「フハハハハ!
ここがお前たちの墓場だ!」
深淵の闇を纏い、圧倒的な威圧を放つ存在が現れる。
その姿は――悪魔王ディアボロス。
ロイスたちの心臓が、一瞬にして重く沈んだ。
ロイスは、その圧倒的な魔力に息を呑んだ。
今まで対峙した何者よりも桁外れの力。
まるで世界そのものが圧迫されるかのような威圧感に、剣を握る手が震える。
リリアもミィーニャも、目を見開きながらその圧を受け止めていた。
「フハハハハァ!」
豪快に笑いながら、ディアボロスは手を伸ばした。
「アビルゲイツ!マシュロフ!」
叫ぶと同時に、巨大な手が2人の悪魔を掴み上げる。
「我が王に力を!」
次の瞬間、2人の悪魔は断末魔を上げる間もなく吸い込まれていき、その存在ごとディアボロスに取り込まれた。
爆発的な魔力が奔流となって解き放たれ、空間が震え、大地が軋む。
ロイスもリリア達も、その衝撃に吹き飛ばされ、地面に叩きつけられた。
「うぐっ……!」
サーシャ、オースティン、ディックはそのまま気を失い、動かなくなる。
ロイスとリリア、そしてミィーニャだけが、血を流しながらも必死に立ち上がろうとしていた。
「フハハ!
さて――誰から死にたい?」
その声は空気そのものを震わせ、呼吸すら奪う。
ロイスの胸が締め付けられ、肺から空気が抜け落ちそうになる。
「ぐはっ……!」
それでもロイスは必死に息を整え、剣を構えた。
リリアとミィーニャも、倒れそうな身体を必死に支えながら前に立つ。
「おい!リリア!
あれは……ヤバすぎる!
ここから――」
ミィーニャが叫んだ、その瞬間だった。
「――!」
リリアはディアボロスの凄絶な一撃をまともに受け、視界が閃光に包まれる。
轟音。
そして血飛沫。
「リリアぁっ!」
ロイスの目の前で、リリアの身体が吹き飛び、地面に叩きつけられた。
動かない。
赤く染まった大地に沈み込む。
全く反応できないほどの速さ――。
ロイスの全身から血の気が引いた。
「おい!勇者!」
ミィーニャはリリアのもとへ駆け寄りながら、叫ぶ。
「このままじゃ全滅だ!
なんとかしろ!」
『ダメだ……』
ロイスの脳裏に絶望がこだまする。
『レベルが違いすぎる……見えなかった……。
強いなんて次元じゃない……』
ディアボロスは不敵な笑みを浮かべ、ゆっくりとロイスを見据えた。
その瞳に映るのは、絶望に立ち尽くす獲物にすぎなかった。
空は常に曇天に覆われ、渦を巻く暗雲の中を紫の稲光が走る。
風は熱を孕みながらも冷たく、耳の奥に不快なざわめきを響かせる。
ここは――紛れもなく、悪魔たちの故郷《悪魔界》だった。
「……ここが、悪魔界。」
ロイスは剣を握り直し、全身を緊張で満たす。
「空気が重い……普通の人間なら一歩で気を失うわね。」
リリアは表情を引き締め、周囲を警戒する。
「油断するな。どこから来るか分からんぞ。」
オースティンが槍を構え、視線を巡らせる。
その瞬間、地面の裂け目から黒い影が蠢き、次々と這い出してきた。
赤い目をぎらつかせた悪魔たちが、喉の奥から獣じみた唸り声を漏らす。
「来るぞ!」
ロイスが叫ぶや否や、十体を超える悪魔が一斉に襲いかかってきた。
「サーシャ!」
「任せて!」
放たれた魔法は光の矢となって飛び、先頭の悪魔を貫く。
「邪魔!」
リリアが手を掲げると、漆黒の炎が迸り、三体の悪魔を呑み込んだ。
「薙ぎ倒すぜ。」
オースティンが槍で悪魔を薙ぎ倒していく。
「叩き斬るのみだ!」
ロイスが前に出る。聖光を纏った剣が唸りを上げ、悪魔の胴を真っ二つに裂いた。
切断面から黒煙が吹き出し、動きが止まる。
「聖属性が効くのね。
ロイスさん、やっぱり頼りになるわ。」
リリアが笑みを浮かべるが、その背後に新たな影が迫っていた。
「リリア、後ろだ!」
ロイスの叫びに、リリアは反射的に剣を抜き払う。ティアから預かった《永久の剣》が光を放ち、迫る悪魔を真っ二つにした。
「ふぅ……助かったわ。」
「油断するな、まだまだ来るぞ!」
「任せて下さい。」
ディックが広範囲の聖属性魔法を展開。
悪魔は光となって消えていく。
再び地面が震え、さらに多くの悪魔が影から姿を現す。
ロイスたちの悪魔界での死闘が、いま幕を開けた。
ロイスたちは次々と迫る悪魔を斬り伏せていた。
剣光、矢、魔法の閃光が闇を切り裂くが、倒しても倒しても影から湧き出す悪魔は止まらない。
「はぁ、はぁ……きりがないわね!」
サーシャが杖を振るうたびに聖なる光弾が悪魔を焼き尽くすが、その額には汗が滲んでいた。
そんな中、ただひとり冷静さを失わない者がいた。
リリアだ。
周囲を見渡し、戦況を冷徹に分析していた。
「ロイスさん。」
彼女は悪魔を切り伏せるロイスの背中に声をかける。
「ここは一度、撤退すべきです。」
「リリア!
どういうことだ?」
ロイスは息を荒げつつも、振り返らず問い返す。
「この数を相手に戦い続ければ、必ずこちらが不利になる。
体力と魔力の消耗が大きすぎます。」
確かに戦況は劣勢ではなかった。
だが、無限に現れるかのような悪魔を前に、仲間たちの呼吸は次第に乱れ、焦燥が募っていく。
「皆、一旦退くぞ!」
ロイスが判断を下すと、仲間たちは頷いた。
「そうね……そろそろ苦しくなってきたわ。」
サーシャも口を開き、杖を支えに後退する。
「了解だ!」
「撤退に賛成する。」
オースティンとディックもロイスの元へ駆け寄った。
その瞬間だった――。
洞窟の奥から凄まじい魔力が二つ、同時に放たれる。
大地が震え、瘴気が渦を巻く。
「おやおや、もう帰るのですか?」
低く響く声とともに、一人の影が現れる。
「もう少し遊んでいってくださいよ。」
愉悦に満ちた笑みと共に、もう一人が姿を見せた。
現れたのは――アルビゲイツとマシュロフ。
悪魔王ディアボロスに仕える幹部たちが、ついにロイスたちの前に立ちはだかった。
アルビゲイツとマシュロフは、不敵な笑みを浮かべながらロイスたちを見下ろしていた。
「やるしかない!」
ロイスは剣を握り直し、仲間の前に立つ。
「そこの女は俺がいただく!」
アルビゲイツはリリアを指差し、挑発的に笑った。
「またやられに来るなんて……本当にバカなんだから!」
リリアも負けじと指先を突きつけ、挑発を返す。
「俺たちも援護するぞ!」
オースティンが槍を構え、サーシャは杖を振りかざす。
ディックも詠唱を始め、全員が戦闘態勢へと移った。
「ふふふ、ではこちらは俺がやろうか。」
マシュロフはロイスの前に立ちふさがり、鋭い殺気を放つ。
「ミィーニャ!」
リリアが呼びかけると、眩い光とともにドラゴンが姿を現す。
「よっしゃ!
リリア、俺の出番だな!」
ミィーニャは誇らしげに翼を広げ、巨大な身体でリリアの隣に立った。
「ドラゴンだと……!」
アルビゲイツは目を見開き、その姿に一瞬たじろぐ。
「ミィーニャ、いくわよ!」
「おう!」
リリアの魔法が閃き、同時にミィーニャの口から巨大な火球が放たれる。
轟音と共に襲いかかる連撃を、アルビゲイツは必死に剣で受け止めた。
「ぐっ……!
ドラゴンまで連れているとはな!」
一方、ロイスたちはマシュロフと激突していた。
ロイスの剣撃に、マシュロフが黒き剣で応じる。
「ふんっ!」
火花が散り、互いに力を込め合う。
サーシャが詠唱し、聖なる雷を放つ。
「光よ、敵を討て!」
稲妻がマシュロフを包み、その隙をオースティンの槍が突く。
「はぁっ!」
鋭い一撃がマシュロフの脇腹をかすめ、血が散った。
「ぬぅ……!」
マシュロフは一歩退くが、すぐに笑みを浮かべる。
「まだだ!」
ディックの詠唱が完成し、聖属性の結界が張られる。
仲間たちの連携が冴えわたり、戦況は次第にロイスたちへと傾いていった。
だが――。
ドォンッ!!!
天地を揺るがす轟音と共に、漆黒の魔力が戦場を覆う。
空気が震え、悪魔たちでさえ戦慄して後ずさった。
「フハハハハ!
ここがお前たちの墓場だ!」
深淵の闇を纏い、圧倒的な威圧を放つ存在が現れる。
その姿は――悪魔王ディアボロス。
ロイスたちの心臓が、一瞬にして重く沈んだ。
ロイスは、その圧倒的な魔力に息を呑んだ。
今まで対峙した何者よりも桁外れの力。
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リリアもミィーニャも、目を見開きながらその圧を受け止めていた。
「フハハハハァ!」
豪快に笑いながら、ディアボロスは手を伸ばした。
「アビルゲイツ!マシュロフ!」
叫ぶと同時に、巨大な手が2人の悪魔を掴み上げる。
「我が王に力を!」
次の瞬間、2人の悪魔は断末魔を上げる間もなく吸い込まれていき、その存在ごとディアボロスに取り込まれた。
爆発的な魔力が奔流となって解き放たれ、空間が震え、大地が軋む。
ロイスもリリア達も、その衝撃に吹き飛ばされ、地面に叩きつけられた。
「うぐっ……!」
サーシャ、オースティン、ディックはそのまま気を失い、動かなくなる。
ロイスとリリア、そしてミィーニャだけが、血を流しながらも必死に立ち上がろうとしていた。
「フハハ!
さて――誰から死にたい?」
その声は空気そのものを震わせ、呼吸すら奪う。
ロイスの胸が締め付けられ、肺から空気が抜け落ちそうになる。
「ぐはっ……!」
それでもロイスは必死に息を整え、剣を構えた。
リリアとミィーニャも、倒れそうな身体を必死に支えながら前に立つ。
「おい!リリア!
あれは……ヤバすぎる!
ここから――」
ミィーニャが叫んだ、その瞬間だった。
「――!」
リリアはディアボロスの凄絶な一撃をまともに受け、視界が閃光に包まれる。
轟音。
そして血飛沫。
「リリアぁっ!」
ロイスの目の前で、リリアの身体が吹き飛び、地面に叩きつけられた。
動かない。
赤く染まった大地に沈み込む。
全く反応できないほどの速さ――。
ロイスの全身から血の気が引いた。
「おい!勇者!」
ミィーニャはリリアのもとへ駆け寄りながら、叫ぶ。
「このままじゃ全滅だ!
なんとかしろ!」
『ダメだ……』
ロイスの脳裏に絶望がこだまする。
『レベルが違いすぎる……見えなかった……。
強いなんて次元じゃない……』
ディアボロスは不敵な笑みを浮かべ、ゆっくりとロイスを見据えた。
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