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第十四章 セイントスター世界学園へ
第百十六話 迷走する真実
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教室に戻ると、すでに数名の生徒たちが決闘を終えて戻ってきていた。
それぞれが互いの戦いを語り合い、興奮と高揚の空気に包まれている。
ティアが自分の席へ戻ろうとしたその時――
一人の青年が静かに立ち上がり、彼女を見つめて声をかけた。
「ティアさん……ですよね?」
振り向いたティアの目に映ったのは、淡い銀紫の髪を肩まで流した青年。
その瞳は深く、どこか懐かしい光を宿している。
「はい、そうです。
あなたは?」
「私は――ユサリス・ロード。
あなたと同じ、神魔族です。」
「……あなたが……。」
ティアは思わず息を呑んだ。
「同族に会えるなんて、まるで夢みたい。
本当に嬉しいわ。」
ユサリスは柔らかく微笑んだ。
「私も同じ気持ちですよ。
ですが……どうやら、私たちは“別の世界”の出身のようですね。」
「ええ、そのようですね。」
ティアは軽く頷いた。
「それより――」とユサリスは声を潜める。
「あなた、気づいてますね。
担任の“あの方”の正体に。」
ティアの表情がわずかに強張る。
「……ええ。間違いありません。
彼は遊戯神ウルの使徒です。」
「そうですか。」
「前世で私は天使でした。
その頃、何度か彼と会ったことがあるの。
……でもね、遊戯神ウルが関わっているとなると。」
「嫌な予感がする、ということですね。」
「その通り。
あの神は“楽しければ何でもあり”の存在。
自分が面白がるためなら、平気で人を巻き込む。
今回のこの学園――遊びの一環かもしれないわ。」
「……つまり、私たちは“駒”ということですか。」
「ええ。
恐らくこの神域からは、学園が終わるまで出られない。
門はすでに閉じられているはずよ。」
ユサリスは苦笑した。
「まったく、神の遊びは度が過ぎますね。」
ティアは小さくため息をついた。
「本当にね……。
それに、外の世界のことも気がかりだわ。
娘の様子も確認できないなんて。」
「娘さんがいらっしゃるんですか?」
「ええ。
少し事情があって、今は眠りについているの。
臣下を残してきたから大丈夫だとは思うけれど……心配なの。」
ユサリスは静かに頷いた。
「それは気がかりですね。
……でも、あなたのような方が母親なら、娘さんはきっと大丈夫ですよ。」
ティアは少し笑みを見せた。
「ありがとう、ユサリスさん。
そう言ってもらえると少し気が楽になるわ。
ところで、あなたの決闘はもう終わったの?」
「ええ。無事にね。」
2人の間に穏やかな空気が流れる。
ほんのわずかだが、同族としての共鳴のようなものがそこには確かにあった。
そのとき、背後から明るい声が響く。
「ティアさん!
決闘、終わったんですね?」
振り返ると、聖霊族のアリーシアが小走りで近づいてきていた。
その瞳は翠玉のように輝き、どこか安堵の表情を浮かべている。
ティアは微笑んで頷いた。
「ええ、無事にね。
ちょっと派手にやりすぎちゃったかもしれないけど。」
アリーシアは嬉しそうに笑った。
「ふふ、そうでしたか。
あなたが強いのは何となく感じていたんです。
勝てて良かった。
それにしても、他の人達の決闘を見れないのは残念ですね。」
ティアは苦笑する。
「それも何か意図があるのね……。」
――こうして、ティアの“神域での学園生活”は、少しずつその謎を見せ始めていた。
教室を出たティアは、しばらく廊下に立ち止まり、学園内を静かに見渡した。
高い天井、輝く魔導灯、そしてどこまでも整然とした回廊。
まるで神々のために造られた学び舎のような荘厳さが漂っている。
「主様。
同行いたします。」
背後から、いつもの落ち着いた声が響いた。
振り返ると、セリアが恭しく一礼していた。
「ええ、お願い。
……ところで、何か情報は掴めた?」
「はい。
残念ながら、元の世界には戻れないようです。
学園の門を潜ってみましたが、その先で転移も封じられています。
恐らく、私たちは完全に隔離された神域に閉じ込められたと見て間違いないかと。」
ティアは静かに息を吐いた。
「……やっぱり、そうよね。」
「一応、学園の外も確認しました。」とセリアは続ける。
「外には“街”があります。
ただ、それは現実のものではなく、ここに集められた者たちの故郷を模した、
幻影都市のような造りです。」
「なるほど、ウルらしいわね。
遊び心が過ぎるわ。」
「従者たちは、学園のどこに?」
「専用の控え室がございます。
私は情報収集を優先したため長居はしていませんが……中はなかなか快適でした。
飲み物も食事も揃っていて、結界も穏やかです。」
「そう。少し安心したわ。
……じゃあ、私は職員室に行ってみる。」
「承知いたしました。」
ティアは軽く頷き、校舎の奥にある職員室へと向かう。
扉を開けると、部屋の奥で神官服を纏った男が書類に目を通していた。
彼――使徒ダクトスはティアに気づくと、ゆっくりと椅子を回し、穏やかに笑みを浮かべた。
「やあ……久しぶりですね、
ユスティティア。
その制服姿、とてもよく似合っていますよ。」
「ありがとうございます。
でも、そんな呼び方はやめてください。
今は“ティア”です。」
「ふふ、失礼しました。
ではティアさん。
今日は何をしに?」
ティアは近くの椅子に腰掛けると軽く腕を組み、問いを投げる。
「聞きたいことがあるです。
神ウルは、何を企んでいるのですか?」
ダクトスは苦笑し、肩を竦めた。
「まったく……あの方は退屈が嫌いですからね。
“神エレボスが、あなたや人間界に干渉した”と耳にして、
自分も何か面白いことをしたいと仰ったのですよ。」
「やっぱり……そんな気がしてたわ。」
「ただ、同じようなことではつまらない。
だからこそ、様々な世界から英雄たちを集めて戦わせる――
それが今回の学園の真意のようです。
勝者には神の加護を与える、と。」
「神々の遊戯……ね。
本当に、あの人らしいわ。」
「ちなみに――」とダクトスは口元を緩める。
「神ウルは、あなたに舞姫(まいひめ)の加護を授けたいと考えておられる。」
「舞姫……?」ティアが目を瞬かせる。
「ああ、踊り子や巫女の加護ですよね。
神の声を舞で伝える――そういう力の系譜だったはず。」
「ええ。
あなたの美しさと気品を見て、ウル様はすぐに決められたようです。
“戦場で舞う姿を見たい”と。」
「ふふ、相変わらず好奇心旺盛な神様ですね。
でも悪くないですね。
踊りや舞が得意になるなんて、少し魅力的だもの。」
「神々の間では、あなたは相当人気がありますよ。
神エレボスが抜け駆けをしたと、神ウルは文句を言っていたくらいです。」
「まぁ……そうなんですか?
ふふ、少し嬉しい話ですね。」
ティアは立ち上がり、軽くスカートを整える。
「事情は分かりました。
でも、ここでは“ユスティティア”ではなく――“ティア”として過ごします。
それをお忘れなく。」
そう告げて彼女は背を向け、静かに職員室を後にした。
ダクトスはその背を見送りながら、苦笑を漏らす。
「さて、ティアさんはどれだけ楽しませてくれるのか。
ちょっと楽しみですね。」
――そして、ティアの“神々の遊戯”は、静かに幕を開けていくのだった。
教室に戻ると、次の時間割の授業が始まった。
一時間目は神域の理論講義。ティアはノートを取りながら、時折隣の席のアリーシアに質問を投げかけるほど真面目に取り組んでいた。
そして次の時間――学園の名物とも言える「決闘実習」が始まる。
授業と決闘を交互にこなすこのカリキュラムは、肉体と精神、知識と魔力の均衡を保つために設計されたものだという。
ティアも初日は観察重視かと思われたが、すでに幾つもの決闘をこなしながら、戦闘と学問の両立を見事にやり遂げていた。
――そして、その日の最後の決闘が始まる。
相手の名は、幽玄族(ゆうげんぞく)のミラ・トナマ。
「ミラさん。
あなたと決闘ね。」
ティアが声をかけると、対面した少女は静かに一礼した。
「ティアさん。
こちらこそ、よろしくお願いします。」
その声音はまるで風鈴のように澄んでいて、どこか現実感が薄い。
ミラの姿はこの世のものとは思えなかった。
瞳には黒目がなく、全体が淡いピンク色に光を帯びている。
肌は雪のように白く、透けるように儚い。
長い白髪がふわりと揺れるたび、彼女の輪郭が一瞬、霞のようにぼやける。
――まるで、そこに存在しているのに、触れられない幻。
ティアは無意識に彼女のステータスを読み取ろうとした。
だが、魔力視を向けた瞬間、視界がノイズに包まれる。
「……見えない?」
薄く眉をひそめるティア。
ぼやけた光の中に、数字も文字も浮かばない。
まるでステータス自体が霧の結界に覆われているようだった。
『防御結界……か。単なる幻惑では無さそうだ。」
内心でそう呟きながら、ティアは相手を正面から見据えた。
ミラは微笑んだ。
その笑みは無垢で、どこか哀しげでもある。
「私たち、似ている気がしますね。
……どちらも“人ならざる者”。」
「そうかしら?
でも、あなたの方がずっと神秘的よ。」
ミラの瞳がふわりと光を帯びる。
その瞬間、ティアの肌をかすめるような冷気が走った。
まるで空気ごと彼女が死の静寂に変えていくかのようだった。
「……面白い。
手加減は、要らないわね。」
ティアは微かに微笑むと、蒼い魔力をゆらりと解き放った。
――幽玄と神魔、光と霧。
二人の存在が対峙した瞬間、闘技場の空気が震え、
周囲にいた観客たちは息を呑んだ。
ここから始まるのは、ただの決闘ではない。
“存在そのもの”をかけた、神秘と理のぶつかり合い――。
それぞれが互いの戦いを語り合い、興奮と高揚の空気に包まれている。
ティアが自分の席へ戻ろうとしたその時――
一人の青年が静かに立ち上がり、彼女を見つめて声をかけた。
「ティアさん……ですよね?」
振り向いたティアの目に映ったのは、淡い銀紫の髪を肩まで流した青年。
その瞳は深く、どこか懐かしい光を宿している。
「はい、そうです。
あなたは?」
「私は――ユサリス・ロード。
あなたと同じ、神魔族です。」
「……あなたが……。」
ティアは思わず息を呑んだ。
「同族に会えるなんて、まるで夢みたい。
本当に嬉しいわ。」
ユサリスは柔らかく微笑んだ。
「私も同じ気持ちですよ。
ですが……どうやら、私たちは“別の世界”の出身のようですね。」
「ええ、そのようですね。」
ティアは軽く頷いた。
「それより――」とユサリスは声を潜める。
「あなた、気づいてますね。
担任の“あの方”の正体に。」
ティアの表情がわずかに強張る。
「……ええ。間違いありません。
彼は遊戯神ウルの使徒です。」
「そうですか。」
「前世で私は天使でした。
その頃、何度か彼と会ったことがあるの。
……でもね、遊戯神ウルが関わっているとなると。」
「嫌な予感がする、ということですね。」
「その通り。
あの神は“楽しければ何でもあり”の存在。
自分が面白がるためなら、平気で人を巻き込む。
今回のこの学園――遊びの一環かもしれないわ。」
「……つまり、私たちは“駒”ということですか。」
「ええ。
恐らくこの神域からは、学園が終わるまで出られない。
門はすでに閉じられているはずよ。」
ユサリスは苦笑した。
「まったく、神の遊びは度が過ぎますね。」
ティアは小さくため息をついた。
「本当にね……。
それに、外の世界のことも気がかりだわ。
娘の様子も確認できないなんて。」
「娘さんがいらっしゃるんですか?」
「ええ。
少し事情があって、今は眠りについているの。
臣下を残してきたから大丈夫だとは思うけれど……心配なの。」
ユサリスは静かに頷いた。
「それは気がかりですね。
……でも、あなたのような方が母親なら、娘さんはきっと大丈夫ですよ。」
ティアは少し笑みを見せた。
「ありがとう、ユサリスさん。
そう言ってもらえると少し気が楽になるわ。
ところで、あなたの決闘はもう終わったの?」
「ええ。無事にね。」
2人の間に穏やかな空気が流れる。
ほんのわずかだが、同族としての共鳴のようなものがそこには確かにあった。
そのとき、背後から明るい声が響く。
「ティアさん!
決闘、終わったんですね?」
振り返ると、聖霊族のアリーシアが小走りで近づいてきていた。
その瞳は翠玉のように輝き、どこか安堵の表情を浮かべている。
ティアは微笑んで頷いた。
「ええ、無事にね。
ちょっと派手にやりすぎちゃったかもしれないけど。」
アリーシアは嬉しそうに笑った。
「ふふ、そうでしたか。
あなたが強いのは何となく感じていたんです。
勝てて良かった。
それにしても、他の人達の決闘を見れないのは残念ですね。」
ティアは苦笑する。
「それも何か意図があるのね……。」
――こうして、ティアの“神域での学園生活”は、少しずつその謎を見せ始めていた。
教室を出たティアは、しばらく廊下に立ち止まり、学園内を静かに見渡した。
高い天井、輝く魔導灯、そしてどこまでも整然とした回廊。
まるで神々のために造られた学び舎のような荘厳さが漂っている。
「主様。
同行いたします。」
背後から、いつもの落ち着いた声が響いた。
振り返ると、セリアが恭しく一礼していた。
「ええ、お願い。
……ところで、何か情報は掴めた?」
「はい。
残念ながら、元の世界には戻れないようです。
学園の門を潜ってみましたが、その先で転移も封じられています。
恐らく、私たちは完全に隔離された神域に閉じ込められたと見て間違いないかと。」
ティアは静かに息を吐いた。
「……やっぱり、そうよね。」
「一応、学園の外も確認しました。」とセリアは続ける。
「外には“街”があります。
ただ、それは現実のものではなく、ここに集められた者たちの故郷を模した、
幻影都市のような造りです。」
「なるほど、ウルらしいわね。
遊び心が過ぎるわ。」
「従者たちは、学園のどこに?」
「専用の控え室がございます。
私は情報収集を優先したため長居はしていませんが……中はなかなか快適でした。
飲み物も食事も揃っていて、結界も穏やかです。」
「そう。少し安心したわ。
……じゃあ、私は職員室に行ってみる。」
「承知いたしました。」
ティアは軽く頷き、校舎の奥にある職員室へと向かう。
扉を開けると、部屋の奥で神官服を纏った男が書類に目を通していた。
彼――使徒ダクトスはティアに気づくと、ゆっくりと椅子を回し、穏やかに笑みを浮かべた。
「やあ……久しぶりですね、
ユスティティア。
その制服姿、とてもよく似合っていますよ。」
「ありがとうございます。
でも、そんな呼び方はやめてください。
今は“ティア”です。」
「ふふ、失礼しました。
ではティアさん。
今日は何をしに?」
ティアは近くの椅子に腰掛けると軽く腕を組み、問いを投げる。
「聞きたいことがあるです。
神ウルは、何を企んでいるのですか?」
ダクトスは苦笑し、肩を竦めた。
「まったく……あの方は退屈が嫌いですからね。
“神エレボスが、あなたや人間界に干渉した”と耳にして、
自分も何か面白いことをしたいと仰ったのですよ。」
「やっぱり……そんな気がしてたわ。」
「ただ、同じようなことではつまらない。
だからこそ、様々な世界から英雄たちを集めて戦わせる――
それが今回の学園の真意のようです。
勝者には神の加護を与える、と。」
「神々の遊戯……ね。
本当に、あの人らしいわ。」
「ちなみに――」とダクトスは口元を緩める。
「神ウルは、あなたに舞姫(まいひめ)の加護を授けたいと考えておられる。」
「舞姫……?」ティアが目を瞬かせる。
「ああ、踊り子や巫女の加護ですよね。
神の声を舞で伝える――そういう力の系譜だったはず。」
「ええ。
あなたの美しさと気品を見て、ウル様はすぐに決められたようです。
“戦場で舞う姿を見たい”と。」
「ふふ、相変わらず好奇心旺盛な神様ですね。
でも悪くないですね。
踊りや舞が得意になるなんて、少し魅力的だもの。」
「神々の間では、あなたは相当人気がありますよ。
神エレボスが抜け駆けをしたと、神ウルは文句を言っていたくらいです。」
「まぁ……そうなんですか?
ふふ、少し嬉しい話ですね。」
ティアは立ち上がり、軽くスカートを整える。
「事情は分かりました。
でも、ここでは“ユスティティア”ではなく――“ティア”として過ごします。
それをお忘れなく。」
そう告げて彼女は背を向け、静かに職員室を後にした。
ダクトスはその背を見送りながら、苦笑を漏らす。
「さて、ティアさんはどれだけ楽しませてくれるのか。
ちょっと楽しみですね。」
――そして、ティアの“神々の遊戯”は、静かに幕を開けていくのだった。
教室に戻ると、次の時間割の授業が始まった。
一時間目は神域の理論講義。ティアはノートを取りながら、時折隣の席のアリーシアに質問を投げかけるほど真面目に取り組んでいた。
そして次の時間――学園の名物とも言える「決闘実習」が始まる。
授業と決闘を交互にこなすこのカリキュラムは、肉体と精神、知識と魔力の均衡を保つために設計されたものだという。
ティアも初日は観察重視かと思われたが、すでに幾つもの決闘をこなしながら、戦闘と学問の両立を見事にやり遂げていた。
――そして、その日の最後の決闘が始まる。
相手の名は、幽玄族(ゆうげんぞく)のミラ・トナマ。
「ミラさん。
あなたと決闘ね。」
ティアが声をかけると、対面した少女は静かに一礼した。
「ティアさん。
こちらこそ、よろしくお願いします。」
その声音はまるで風鈴のように澄んでいて、どこか現実感が薄い。
ミラの姿はこの世のものとは思えなかった。
瞳には黒目がなく、全体が淡いピンク色に光を帯びている。
肌は雪のように白く、透けるように儚い。
長い白髪がふわりと揺れるたび、彼女の輪郭が一瞬、霞のようにぼやける。
――まるで、そこに存在しているのに、触れられない幻。
ティアは無意識に彼女のステータスを読み取ろうとした。
だが、魔力視を向けた瞬間、視界がノイズに包まれる。
「……見えない?」
薄く眉をひそめるティア。
ぼやけた光の中に、数字も文字も浮かばない。
まるでステータス自体が霧の結界に覆われているようだった。
『防御結界……か。単なる幻惑では無さそうだ。」
内心でそう呟きながら、ティアは相手を正面から見据えた。
ミラは微笑んだ。
その笑みは無垢で、どこか哀しげでもある。
「私たち、似ている気がしますね。
……どちらも“人ならざる者”。」
「そうかしら?
でも、あなたの方がずっと神秘的よ。」
ミラの瞳がふわりと光を帯びる。
その瞬間、ティアの肌をかすめるような冷気が走った。
まるで空気ごと彼女が死の静寂に変えていくかのようだった。
「……面白い。
手加減は、要らないわね。」
ティアは微かに微笑むと、蒼い魔力をゆらりと解き放った。
――幽玄と神魔、光と霧。
二人の存在が対峙した瞬間、闘技場の空気が震え、
周囲にいた観客たちは息を呑んだ。
ここから始まるのは、ただの決闘ではない。
“存在そのもの”をかけた、神秘と理のぶつかり合い――。
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