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第十九章 転生者編
第百五十八話 転生者は学園に入学する
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ティアはユナとスティルンを連れ、学園の施設を順に案内して回っていた。
広い校舎、整った設備、行き交う生徒たち。
どれも二人にとっては新鮮で、視線は落ち着きなく動いている。
「あのう……ティアさん」
前を歩くティアに、ユナが少し遠慮がちに声をかけた。
「どうして神であるあなたが、学園で学んでいるんですか?」
ティアは足を止め、振り返る。
「楽しいからよ」
あっさりとした答えだった。
「親友と呼べる友達もできたし、恋をしたり、ふざけ合ったり。
時には面倒なこともあるけど……それもまとめて楽しむの」
少しだけ柔らかい笑みを浮かべる。
「そんなの、神でも人でも変わらないでしょ?」
「……」
ユナはその言葉に、思わず息を呑んだ。
「でも……」
今度はスティルンが恐る恐る口を開く。
「神であることは内緒にしてるって言ってましたよね?
俺たちに教えてしまって、大丈夫なんですか?」
「大丈夫よ」
ティアは自信満々に言い切る。
「あなた達が『私は神だ』って言っても、誰も信じないもの。
ちゃんと認識阻害の保険をかけてるから」
くるりと振り返り、いたずらっぽく微笑んだ。
「私は神だって、絶対に認識されないのよ」
「……凄い」
ユナの目がキラキラと輝く。
「そんなことまで出来るなんて……!」
魔法という存在への好奇心が、抑えきれない様子だった。
「そうだわ」
ティアは思い出したように言う。
「武道場に案内するわ」
地下にある広い武道場に到着すると、ティアは振り返って説明する。
「ここは武道場。
魔法も思いきり使っていい場所よ」
指先に、ふわりと炎を灯してみせた。
「ユナ、火魔法が使えるわよね?」
「は、はい!
やってみたいです!」
ユナは身を乗り出す。
「じゃあ、火をイメージして。
ファイヤーボールを放ってみて」
「……はい!」
ユナは深呼吸し、集中する。
掌の上に、ゆらりと火球が浮かび上がった。
「できた……!
ファイヤーボール!」
勢いよく放たれた火球は、正面の壁にぶつかって弾ける。
「すげぇ!!」
スティルンが思わず声を上げた。
「異世界ファンタジーそのものじゃん!」
ぴょんと飛び上がって、はしゃいでいる。
「スティルンは、まだ魔法は使えないから」
ティアはくすっと笑う。
「学園でちゃんと勉強しなさいね」
「はいっ!」
その後、三人は再び職員室へ戻り、
案内はひとまず担任のアスハに引き継がれた。
ティアは自分の教室へ戻る。
すると。
「ねぇ、ティア!」
真っ先にミミィが駆け寄ってきた。
「編入生が来たんだって?」
「う、うん……」
ティアは少し照れたように答える。
「今、学園の施設を案内してたところよ」
「どんな子?」
「男子と女子って聞いたぞ!」
「イケメンと可愛い子らしいぜ!」
「気になるー!」
クラスメイトたちが一斉に集まり、教室は一気に騒がしくなった。
「はいはい、みんな席に着いて!」
担任のアスハが入ってくると、教室は次第に静まる。
その後ろには、ユナとスティルンの姿があった。
「今日から、このクラスの仲間になる二人を紹介するよ。
さあ、自己紹介を」
二人は教壇に立つ。
「初めまして。
ユナ・アミュです。よろしくお願いします」
「俺はスティルン・バナスです。
よろしくお願いします」
簡潔だが、しっかりとした挨拶だった。
「二人の席は後ろの空いているところへ。
分からないことがあったら、遠慮なくクラスメイトに聞くように」
そう告げて、朝の会は終わった。
休み時間になるや否や、ミミィはさっそく転生者の二人に声をかけていた。
「ねえねえ! 二人って、どこから来たの?」
身を乗り出し、距離はかなり近い。
人懐っこさ全開だ。
「あ、えっと……」
ユナは一瞬だけ言葉を探し、それからあっさりと答えた。
「私もスティルンも、転生者なの」
迷いはなかった。
「へぇ~、違う世界から来たんだ~。
すごいね!」
ミミィは特に驚いた様子もなく、ただ楽しそうに笑う。
「転生者だってよ!」
「すげぇ!」
「初めて見た!」
近くにいたクラスメイトたちがざわつき始める。
「転生者って、どうやってこの世界に来るの?」
アーシャは純粋な好奇心から、転生の仕組みに興味を示した。
「俺たちはさ」
スティルンが胸を張る。
「元の世界で一回、ちゃんと死んでるんだ!」
「おお……」
「マジで……」
教室にどよめきが走った。
やがて授業が始まり、気がつけば昼休み。
中庭で昼食をとっていたのは、ミミィ、アーシャ、そしてティアの三人だった。
ユナとスティルンはというと、クラスメイト数人に囲まれ、食堂へ連れて行かれている。
「ねえ、ティア」
ミミィが箸を止めて言う。
「放課後さ、ユナとスティルン誘ってミュウオケ行かない?」
「二人が良ければね」
ティアは苦笑しつつ念を押す。
「ミミィ、無理に誘っちゃダメだからね」
どうせ、有無を言わせない勢いで押すのだろうと予想はついている。
「わかってるって!」
ミミィは悪びれず、楽しそうに笑った。
そして放課後。
案の定というべきか、ミミィは半ば強引にユナとスティルンをミュウオケへ誘っていた。
いつ声をかけたのかティアは気づかなかったが、校門前で五人が揃い、そのまま街のミュウオケへ向かう。
五人で来るのは、もしかすると初めてかもしれない。
ティアはいつも、ミミィやアーシャと三人で来ていた。
「さあさあ! どんどん選曲してよね!」
ミミィは一番乗りで歌い始める。
続いてティア、アーシャも次々と曲を入れ、店内は一気に賑やかになった。
ミミィの歌に合わせて、ティアとアーシャは笑い、はしゃぐ。
「ミュウオケって言うんだね」
ユナは目を輝かせている。
「三人とも、すごく楽しそう」
「ああ……」
スティルンも感心したように頷く。
「カラオケみたいなもんだよな。
それにしても、魔法効果が派手でスゲェけど」
やがて、ティアの順番が回ってくる。
歌い始めた瞬間。
空気が変わった。
「……うそ」
ユナは思わず呟く。
「すごい歌声……」
「胸の奥に、まっすぐ入ってくる……」
スティルンも息を呑んだ。
澄んだ声は、柔らかく、それでいて確かな力を持って心に響く。
ユナは気づけば、ぽろりと涙を流していた。
それから三時間。
五人はすっかり打ち解け、
歌い、笑い、語り合い、気づけば時間を忘れて盛り上がっていた。
こうして、転生者二人は
この世界での「居場所」を、少しずつ見つけ始めていた。
数日後。
バイト先である店に立っていたティアは、店長のクレスンに呼び止められた。
「ティアさん。
例の件だけどね、知り合いのプロデューサーから連絡があったよ」
「えっ……!」
ティアの瞳がぱっと輝く。
「次の日曜日、ATS放送局まで来てほしいってさ。
時間を取ってくれるそうだ」
「店長っ!ありがとうございます!!」
ティアは思わず声を上げ、その場でぴょんと跳ねた。
「行きます!絶対行きます!
ミミィとアーシャにも、すぐ知らせます!」
嬉しさを隠しきれない様子に、クレスンは思わず笑みを浮かべた。
バイトを終え、夕暮れの帰り道。
ティアは歩きながら、さっそくスマホを取り出してグループ通話をかけた。
「ミミィ!アーシャ!聞いて!」
画面に二人の顔が映る。
「プロデューサーから連絡あったよ!
次の日曜日、ATS放送局で会ってくれるって!」
「ほんと!?やったぁ!!」
「すごい!やったね、ティア!」
二人の歓声がスマホ越しに響く。
「明日、昼休みに作戦会議しよ!」
ミミィは画面の向こうで、思いきりガッツポーズをしていた。
「わかったわ」
ティアはくすっと笑う。
「ミミィが脱線しない作戦会議、よね?」
「そうそう。
ミミィは目を離すとすぐ脱線するから」
アーシャもすかさず同意する。
「え~!?そんなことないし!」
ミミィはむっとして頬を膨らませた。
「気合いが入りすぎてるだけよ!」
「はいはい」
ティアは楽しそうに笑いながら、歩みを続ける。
その夜、三人は時間を忘れるほど話し込み、
それぞれが思い描く少し先の未来に胸を膨らませていた。
広い校舎、整った設備、行き交う生徒たち。
どれも二人にとっては新鮮で、視線は落ち着きなく動いている。
「あのう……ティアさん」
前を歩くティアに、ユナが少し遠慮がちに声をかけた。
「どうして神であるあなたが、学園で学んでいるんですか?」
ティアは足を止め、振り返る。
「楽しいからよ」
あっさりとした答えだった。
「親友と呼べる友達もできたし、恋をしたり、ふざけ合ったり。
時には面倒なこともあるけど……それもまとめて楽しむの」
少しだけ柔らかい笑みを浮かべる。
「そんなの、神でも人でも変わらないでしょ?」
「……」
ユナはその言葉に、思わず息を呑んだ。
「でも……」
今度はスティルンが恐る恐る口を開く。
「神であることは内緒にしてるって言ってましたよね?
俺たちに教えてしまって、大丈夫なんですか?」
「大丈夫よ」
ティアは自信満々に言い切る。
「あなた達が『私は神だ』って言っても、誰も信じないもの。
ちゃんと認識阻害の保険をかけてるから」
くるりと振り返り、いたずらっぽく微笑んだ。
「私は神だって、絶対に認識されないのよ」
「……凄い」
ユナの目がキラキラと輝く。
「そんなことまで出来るなんて……!」
魔法という存在への好奇心が、抑えきれない様子だった。
「そうだわ」
ティアは思い出したように言う。
「武道場に案内するわ」
地下にある広い武道場に到着すると、ティアは振り返って説明する。
「ここは武道場。
魔法も思いきり使っていい場所よ」
指先に、ふわりと炎を灯してみせた。
「ユナ、火魔法が使えるわよね?」
「は、はい!
やってみたいです!」
ユナは身を乗り出す。
「じゃあ、火をイメージして。
ファイヤーボールを放ってみて」
「……はい!」
ユナは深呼吸し、集中する。
掌の上に、ゆらりと火球が浮かび上がった。
「できた……!
ファイヤーボール!」
勢いよく放たれた火球は、正面の壁にぶつかって弾ける。
「すげぇ!!」
スティルンが思わず声を上げた。
「異世界ファンタジーそのものじゃん!」
ぴょんと飛び上がって、はしゃいでいる。
「スティルンは、まだ魔法は使えないから」
ティアはくすっと笑う。
「学園でちゃんと勉強しなさいね」
「はいっ!」
その後、三人は再び職員室へ戻り、
案内はひとまず担任のアスハに引き継がれた。
ティアは自分の教室へ戻る。
すると。
「ねぇ、ティア!」
真っ先にミミィが駆け寄ってきた。
「編入生が来たんだって?」
「う、うん……」
ティアは少し照れたように答える。
「今、学園の施設を案内してたところよ」
「どんな子?」
「男子と女子って聞いたぞ!」
「イケメンと可愛い子らしいぜ!」
「気になるー!」
クラスメイトたちが一斉に集まり、教室は一気に騒がしくなった。
「はいはい、みんな席に着いて!」
担任のアスハが入ってくると、教室は次第に静まる。
その後ろには、ユナとスティルンの姿があった。
「今日から、このクラスの仲間になる二人を紹介するよ。
さあ、自己紹介を」
二人は教壇に立つ。
「初めまして。
ユナ・アミュです。よろしくお願いします」
「俺はスティルン・バナスです。
よろしくお願いします」
簡潔だが、しっかりとした挨拶だった。
「二人の席は後ろの空いているところへ。
分からないことがあったら、遠慮なくクラスメイトに聞くように」
そう告げて、朝の会は終わった。
休み時間になるや否や、ミミィはさっそく転生者の二人に声をかけていた。
「ねえねえ! 二人って、どこから来たの?」
身を乗り出し、距離はかなり近い。
人懐っこさ全開だ。
「あ、えっと……」
ユナは一瞬だけ言葉を探し、それからあっさりと答えた。
「私もスティルンも、転生者なの」
迷いはなかった。
「へぇ~、違う世界から来たんだ~。
すごいね!」
ミミィは特に驚いた様子もなく、ただ楽しそうに笑う。
「転生者だってよ!」
「すげぇ!」
「初めて見た!」
近くにいたクラスメイトたちがざわつき始める。
「転生者って、どうやってこの世界に来るの?」
アーシャは純粋な好奇心から、転生の仕組みに興味を示した。
「俺たちはさ」
スティルンが胸を張る。
「元の世界で一回、ちゃんと死んでるんだ!」
「おお……」
「マジで……」
教室にどよめきが走った。
やがて授業が始まり、気がつけば昼休み。
中庭で昼食をとっていたのは、ミミィ、アーシャ、そしてティアの三人だった。
ユナとスティルンはというと、クラスメイト数人に囲まれ、食堂へ連れて行かれている。
「ねえ、ティア」
ミミィが箸を止めて言う。
「放課後さ、ユナとスティルン誘ってミュウオケ行かない?」
「二人が良ければね」
ティアは苦笑しつつ念を押す。
「ミミィ、無理に誘っちゃダメだからね」
どうせ、有無を言わせない勢いで押すのだろうと予想はついている。
「わかってるって!」
ミミィは悪びれず、楽しそうに笑った。
そして放課後。
案の定というべきか、ミミィは半ば強引にユナとスティルンをミュウオケへ誘っていた。
いつ声をかけたのかティアは気づかなかったが、校門前で五人が揃い、そのまま街のミュウオケへ向かう。
五人で来るのは、もしかすると初めてかもしれない。
ティアはいつも、ミミィやアーシャと三人で来ていた。
「さあさあ! どんどん選曲してよね!」
ミミィは一番乗りで歌い始める。
続いてティア、アーシャも次々と曲を入れ、店内は一気に賑やかになった。
ミミィの歌に合わせて、ティアとアーシャは笑い、はしゃぐ。
「ミュウオケって言うんだね」
ユナは目を輝かせている。
「三人とも、すごく楽しそう」
「ああ……」
スティルンも感心したように頷く。
「カラオケみたいなもんだよな。
それにしても、魔法効果が派手でスゲェけど」
やがて、ティアの順番が回ってくる。
歌い始めた瞬間。
空気が変わった。
「……うそ」
ユナは思わず呟く。
「すごい歌声……」
「胸の奥に、まっすぐ入ってくる……」
スティルンも息を呑んだ。
澄んだ声は、柔らかく、それでいて確かな力を持って心に響く。
ユナは気づけば、ぽろりと涙を流していた。
それから三時間。
五人はすっかり打ち解け、
歌い、笑い、語り合い、気づけば時間を忘れて盛り上がっていた。
こうして、転生者二人は
この世界での「居場所」を、少しずつ見つけ始めていた。
数日後。
バイト先である店に立っていたティアは、店長のクレスンに呼び止められた。
「ティアさん。
例の件だけどね、知り合いのプロデューサーから連絡があったよ」
「えっ……!」
ティアの瞳がぱっと輝く。
「次の日曜日、ATS放送局まで来てほしいってさ。
時間を取ってくれるそうだ」
「店長っ!ありがとうございます!!」
ティアは思わず声を上げ、その場でぴょんと跳ねた。
「行きます!絶対行きます!
ミミィとアーシャにも、すぐ知らせます!」
嬉しさを隠しきれない様子に、クレスンは思わず笑みを浮かべた。
バイトを終え、夕暮れの帰り道。
ティアは歩きながら、さっそくスマホを取り出してグループ通話をかけた。
「ミミィ!アーシャ!聞いて!」
画面に二人の顔が映る。
「プロデューサーから連絡あったよ!
次の日曜日、ATS放送局で会ってくれるって!」
「ほんと!?やったぁ!!」
「すごい!やったね、ティア!」
二人の歓声がスマホ越しに響く。
「明日、昼休みに作戦会議しよ!」
ミミィは画面の向こうで、思いきりガッツポーズをしていた。
「わかったわ」
ティアはくすっと笑う。
「ミミィが脱線しない作戦会議、よね?」
「そうそう。
ミミィは目を離すとすぐ脱線するから」
アーシャもすかさず同意する。
「え~!?そんなことないし!」
ミミィはむっとして頬を膨らませた。
「気合いが入りすぎてるだけよ!」
「はいはい」
ティアは楽しそうに笑いながら、歩みを続ける。
その夜、三人は時間を忘れるほど話し込み、
それぞれが思い描く少し先の未来に胸を膨らませていた。
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