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しおりを挟む柳腰のくせに強靭な腰を揺すりながらそんなことを突然言われても、喘ぎ声を噛み殺すために唇を噛み締めている俺には返事の言葉を紡ぐ術もない。
――愛してると同じくらい憎いのは俺の方だっつーの。
何で散々俺を裏切っているお前がそんな発言をするんだよって思ったら、生理的に潤ませていただけだった瞳がわずかに霞がかった。
それに気付いたのか気付いていないのか由貴が目尻を舐めて。
「颯くんに伝えたい気持ちがたくさんあります。そしてそうすることはとても簡単です。でも、それじゃあ意味がない。キミが自分で気付いてくれなきゃ、いつまで経っても僕たちは平行線ですよ?」
「ど、いう……っ、意味だよっ?」
俺が気付いていないことってなんだよ、気付いてないのは由貴の方だろ……俺がこんなにお前だけを捕まえておきたいって思ってるのに気付いてないのはお前の方だろ。
「いつか颯くんの口から聞きたいですね」
(俺の口から聞きたいことってなんだよ……平行線ってなんだよ……)
そんな風にモヤモヤしてみても、途端抽挿を再開されてしまえば、ただひたすらに熱杭で身体を揺さぶられる全身の血が沸騰するような悦楽に、俺は唇を噛み締めるしかなくなって、結局由貴の考えていることが何一つとしてわからないのであった。
由貴が一度吐き出した精が中で泡立つくらいに抉り回される劣情に思考は霧散し、目眩く快楽に身体を灼かれ、何も言えない素直になれない自分にほとほと嫌気が差す。
ひとつの快感を二人で分かち合っているのかも、ひとつだった心がふたつに分かれてしまっているのかも、そのどちらが本当の現実なのかもわからなくなるような、絶頂の瞬間に仕掛けられたやけに甘やかなキスが何だか切なくて。
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