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噛みつかれるように口付けられながら下肢がぶつかり合えば、振動でしまりのない口端からだらしなく唾液が首筋を伝い、時折由貴が垂れた道筋を辿るように舌でそれを掬った。
肌と肌が打ち合う乾いた音と、それとは全く真逆の結合部から聴こえる濡れた音が交じりあって性感を煽られて。
「っ、く……ゆ、き……っ……」
「颯くん、……気持ちいいですか?」
ここで今までの俺なら躊躇いなく否定してしまうところだが、こちらからは求めてこないことが由貴の不満だと小鳥遊に言われていたから。
「はっ……イイに決まってんだろうがっ……もっと来い……由貴っ……」
羞恥に耐えながら素直に快楽を認めて、奥襞を締め付けて昂らせてやろうと吸引するように最奥に導けば、珍しく由貴が柳眉を顰めるからニヤリとほくそ笑む。
「そんなに余裕でいいんですか? もっと乱れてくださいね? 僕のことしか考えられないくらい」
「……く、言われなくてもっ……はっ、テメェのっ……ことしか、ぁっ、……く、考えてっ、ねぇよっ」
満足そうに瞳を眇めた由貴が激しく追い立てるように小刻みに抽挿を繰り返すと、言葉通りもうコイツのことしか考えられなくて。
由貴の瞳の中に愉悦に満ちた自分の顔を見つけてしまって、思わず羞恥一色に染まって憤死してしまいそうになりつつも。
縋るようにソファの背もたれにぎゅっと手でしがみついて責めに耐えていると、いよいよ込み上げる終点の兆しに下腹の雄が痙攣を始める。
由貴の言うとおり基本的に快楽に弱くて従順な俺の方が吐精のタイミングも早いし、回数も多い。
「ゆ、き……も、俺っ……駄目っ……だ……」
持ち上げられている腰と宙で舞っているつま先ががくがくと震え出すと、由貴の長大が奥の更に奥を抉るから未知なる部分を穿たれて脳まで甘い衝撃が走ってぼうっとなった。
目の前でフラッシュがたかれたように光が明滅して、ただただ荒い呼吸を繰り返していたものの、ついに身体が頂点を刻んで――。
「はっ……達くっ……由貴っ……っ、んっ!」
先に俺が精を撒き散らした後で少し遅れて由貴の硬い熱が中でどくんと脈打って弾けたのがわかって、最後の一滴まで搾り取ろうと筒を蠕動させた。
達した余韻で身体を弛緩させると、由貴がどこまでも愛おしさを滲ませた瞳で汗で張り付いた俺の前髪を掻き分けた。
「愛しています。颯くん」
「……俺も、愛してっから……とりあえず抜けっ」
「嫌です」
やっぱり大人げなく婀娜っぽい瞳で俺を見つめた由貴が、中に収めたまま再び硬さを取り戻すのに溜め息が出た。
「ベッドに行くんじゃなかったのか?」
「ベッドはお楽しみにとっておきましょう」
言いながら再び、中に放たれた熱で下腹が温まったまま抽挿を再開するから、埋火のように灼けついた身体はどこまでも由貴を求め続けた。
肌と肌が打ち合う乾いた音と、それとは全く真逆の結合部から聴こえる濡れた音が交じりあって性感を煽られて。
「っ、く……ゆ、き……っ……」
「颯くん、……気持ちいいですか?」
ここで今までの俺なら躊躇いなく否定してしまうところだが、こちらからは求めてこないことが由貴の不満だと小鳥遊に言われていたから。
「はっ……イイに決まってんだろうがっ……もっと来い……由貴っ……」
羞恥に耐えながら素直に快楽を認めて、奥襞を締め付けて昂らせてやろうと吸引するように最奥に導けば、珍しく由貴が柳眉を顰めるからニヤリとほくそ笑む。
「そんなに余裕でいいんですか? もっと乱れてくださいね? 僕のことしか考えられないくらい」
「……く、言われなくてもっ……はっ、テメェのっ……ことしか、ぁっ、……く、考えてっ、ねぇよっ」
満足そうに瞳を眇めた由貴が激しく追い立てるように小刻みに抽挿を繰り返すと、言葉通りもうコイツのことしか考えられなくて。
由貴の瞳の中に愉悦に満ちた自分の顔を見つけてしまって、思わず羞恥一色に染まって憤死してしまいそうになりつつも。
縋るようにソファの背もたれにぎゅっと手でしがみついて責めに耐えていると、いよいよ込み上げる終点の兆しに下腹の雄が痙攣を始める。
由貴の言うとおり基本的に快楽に弱くて従順な俺の方が吐精のタイミングも早いし、回数も多い。
「ゆ、き……も、俺っ……駄目っ……だ……」
持ち上げられている腰と宙で舞っているつま先ががくがくと震え出すと、由貴の長大が奥の更に奥を抉るから未知なる部分を穿たれて脳まで甘い衝撃が走ってぼうっとなった。
目の前でフラッシュがたかれたように光が明滅して、ただただ荒い呼吸を繰り返していたものの、ついに身体が頂点を刻んで――。
「はっ……達くっ……由貴っ……っ、んっ!」
先に俺が精を撒き散らした後で少し遅れて由貴の硬い熱が中でどくんと脈打って弾けたのがわかって、最後の一滴まで搾り取ろうと筒を蠕動させた。
達した余韻で身体を弛緩させると、由貴がどこまでも愛おしさを滲ませた瞳で汗で張り付いた俺の前髪を掻き分けた。
「愛しています。颯くん」
「……俺も、愛してっから……とりあえず抜けっ」
「嫌です」
やっぱり大人げなく婀娜っぽい瞳で俺を見つめた由貴が、中に収めたまま再び硬さを取り戻すのに溜め息が出た。
「ベッドに行くんじゃなかったのか?」
「ベッドはお楽しみにとっておきましょう」
言いながら再び、中に放たれた熱で下腹が温まったまま抽挿を再開するから、埋火のように灼けついた身体はどこまでも由貴を求め続けた。
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