その執着、愛ですか?~追い詰めたのは俺かお前か~

ちろる

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 翌日、会社に出勤すると真白ましろが居なかった。
 昨日の今日で、どうしたんだろう……と胸がざわざわしたけれど、俺と真白はもう別れたんだ。関係のない話なんだ。

 一緒に出勤したかなめ先輩が「佐伯さえき先輩どうしたんだろうね?」と話しかけてきて、もう別れたはずなのに気になって仕方がない。

「さぁ……風邪でもひいたんじゃないんですか?」

 素っ気なく答えると要先輩が悲しそうに瞼を伏せた。
 要先輩はまだ、俺と真白が別れたことを惜しんでいるようだ。

 でも──。

 もう忘れるって決めたから。
 時間はかかるだろうけれど、もう忘れるって決めたから。真白のことはもう考えない。

 何とか頭から真白を振り払おうとしていると、背後から「風間かざま先輩」と声がかかった。振り向くと南波ななみちゃんが立っていて。

「南波ちゃん、お疲れ」

「風間先輩、お疲れ様です。あの……今日の夜って空いてますか?」

 南波ちゃんが頬を染めながらそんなことを訊いてくるから。
 やっぱり俺は、ちゃんと女性を好きになって、そして幸せにならなければいけないと思った。もう真白とは終わったんだから。

「うん、空いてるよ?」

「本当ですか!? あの……良かったら一緒にご飯行きません?」

 背後から要先輩の視線を感じつつ、でも。
 折角、俺に好意を寄せてくれているんだ。またとないチャンスじゃないか。

「いいね。どこ行く?」

「いろり屋はどうですか? 新入社員歓迎会で行った居酒屋さんです」

 新入社員歓迎会──そこでまた真白の顔が頭を過ったけれど、俺はその幻影を振り払った。

 忘れるんだ。真白のことは。
 俺は南波ちゃんを見ていくって決めたから。

「了解、十九時しちじからでいい?」

「はいっ! じゃあ今晩そこで待ち合わせで!」

 それだけ言って、南波ちゃんは嬉しそうに席に戻って行った。
 真白とは違う、華奢な女の子の背に、本来の自分のあるべき姿を問うた。

 これでいい、これで。

 正しい道へ戻るんだ──。
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